「前歯にヒビが入った」「ブリッジをインプラントにすべき?」35歳女性の歯のお悩みに回答

前歯が折れたら抜歯しかない?ブリッジとインプラントで悩む35歳女性へ
前歯が折れたら抜歯しかない?ブリッジとインプラントで悩む35歳女性へ

現在35歳です。 歯茎が下がっており骨が少し溶けている状態ですが、先生からは「歯周病初期です。噛み合せが悪いね」と言われました。子供のころに受け口の矯正をし、各1本ずつ少ない24本しかありません。

2点ご意見をお聞かせ下さい。 1つ目は、2年ほど前に子供の頭が前歯にぶつかり、当時受診したときは「様子を見て」と言われ、以後噛むと少し痛く、1年前のレントゲンも異常はなかったのですが、先日右上1番が折れていることが分かりました。横にスパッと線が入っており、違和感が増したら抜歯してインプラントにと言われました。抜歯は避けたいのですが、折れたら抜くしかないのでしょうか?

2つ目は、もともと下5番が両方生えてこなくて、13年くらい前に顎関節症になりブリッジにしました。自分の歯を失いたくないと言うなら、その5番をインプラントにすると、両側の歯の寿命が元に戻ると言われました。おっしゃることは理解できるのですが、やりたい気持ちとそこまでするのも~という気持ちとあります。

まだ若いし、なるべく自分の歯は残したいのですが、何が一番良い選択なのか悩んでおります。ご意見よろしくお願い致します!

前歯にヒビが入ったら抜歯しかない?ブリッジとインプラントで悩む35歳女性への歯科医師のアドバイス

「前歯にヒビが入っていると言われた」「将来的には抜歯してインプラントになるかもしれないと言われた」「ブリッジをインプラントに替えた方がよいのだろうか?」

このようなお悩みを抱える患者さんは少なくありません。今回は35歳女性から寄せられたご相談をもとに、前歯の歯根破折とブリッジ・インプラントの選択について解説します。

お子さんが前歯にぶつかった後から違和感が続き、検査で前歯に亀裂が見つかったとのことですが、「ヒビが入った=即抜歯」というわけではありません。

重要なのは、ヒビや破折がどこまで及んでいるかです。

歯根破折の場所によって予後は異なる

歯の破折にはさまざまな種類があります。

  • エナメル質だけの亀裂
  • 歯冠部の破折
  • 歯根の一部に及ぶ破折
  • 歯根全体に及ぶ垂直性歯根破折

軽度の亀裂であれば経過観察や補綴治療で長期間保存できることがあります。

一方、歯根が縦方向に深く割れている場合は細菌感染が起こりやすく、保存が困難となるため抜歯が必要になるケースもあります。

CTによる精密検査が重要

通常のレントゲンでは歯根破折が確認できないこともあります。

特に、

  • 噛むと痛い
  • 違和感が続く
  • 歯ぐきが腫れる

といった症状がある場合には、歯科用CTによる三次元的な診断が有効です。

まずは本当に保存が困難な状態なのかを正確に診断することが重要です。

歯根破折は外傷だけでなく、長年の咬合力によっても発生します。

特に次のような条件が重なるとリスクが高くなります。

  • 神経を取った歯
  • メタルコアを使用している歯
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 噛み合わせの異常
  • 長期間使用した補綴物

相談者の方は「噛み合わせが悪い」と指摘されているため、前歯への過剰な負担が関与している可能性も考えられます。

当院で経験した症例では、上顎前歯3本が連結されたクラウンの支台歯が破折していました。

赤矢印部で、連結クラウンの支台歯の根がいずれも破折している様子が確認できます。
赤矢印部で、連結クラウンの支台歯の根がいずれも破折している様子が確認できます。
赤矢印は、折れたクラウンとメタルコアを除去した後に露出した歯根の状態を示しています。
赤矢印は、折れたクラウンとメタルコアを除去した後に露出した歯根の状態を示しています。
3本の前歯をメタルボンドクラウンで再作製し、安定した支台形態と良好な適合が確認できます。
3本の前歯をメタルボンドクラウンで再作製し、安定した支台形態と良好な適合が確認できます。

レントゲンでは、

  • 支台歯とクラウンの境界の離開
  • ポスト周囲の透過像
  • 歯根輪郭の不連続像

など、典型的な歯根破折の所見が確認されました。

クラウンを除去すると、内部では支台歯が破折しており、一見問題なく見えても実際には咬合力を支えられない状態になっていました。

その後、歯根の状態を慎重に評価し、保存可能と判断された歯については再治療を行い、新しいメタルボンドクラウンで再補綴を実施しました。

歯根破折が疑われる場合でも、状態によっては保存できるケースがあるため、早期診断が重要です。

相談者の方は、生まれつき下顎第二小臼歯(5番)が欠損しており、13年前にブリッジ治療を受けています。

ブリッジの特徴

ブリッジは失った歯を補う有効な治療法ですが、支えとなる両隣の歯に負担がかかります。

そのため長期的には、

  • 支台歯の虫歯
  • 歯周病
  • 歯根破折

などのリスクが増加する可能性があります。

インプラントのメリット

インプラントは独立して噛む力を支えるため、隣の歯を削る必要がありません。

また、

  • 咬合力を分散できる
  • 支台歯への負担を軽減できる
  • 骨の吸収を抑制できる

といったメリットがあります。

そのため「残っている歯を長持ちさせたい」という観点では、インプラントが有利になることがあります。

今すぐインプラントにする必要はある?

ただし、13年間問題なく機能しているブリッジを無理に撤去してインプラントへ変更する必要があるとは限りません。

現在、

  • ブリッジが安定している
  • 支台歯に問題がない
  • 歯周病が進行していない

のであれば、そのまま経過観察という選択も十分合理的です。

将来的にブリッジの再製作が必要になったタイミングで、改めてインプラントを検討する方法もあります。

35歳という年齢を考えると、最も大切なのは「今ある歯をできるだけ長く残すこと」です。

前歯のヒビについては、まずCTによる精密検査を行い、保存可能かどうかを慎重に判断することが重要です。

また、ブリッジとインプラントの選択に絶対的な正解はありません。現在の状態、将来のリスク、治療への考え方を踏まえながら、ご自身が納得できる選択をすることが大切です。

治療方針に迷った場合は、セカンドオピニオンを活用しながら長期的な視点で判断することをおすすめします。

江戸川区篠崎で「前歯にヒビが入った」「ブリッジをインプラントにすべき?」とお悩みの方へ

前歯にヒビが入ったと言われ、「このまま抜歯になるのでは?」と不安を感じていませんか。また、長年使用しているブリッジをインプラントに替えるべきか悩まれている方も少なくありません。

歯にヒビが入っていても、状態によってはすぐに抜歯が必要とは限りません。歯科用CTなどで詳しく診査し、できる限りご自身の歯を残す方法を検討することが大切です。

また、ブリッジとインプラントにはそれぞれメリット・デメリットがあり、年齢やお口の状態によって最適な選択は異なります。現在問題なく機能しているブリッジを無理に交換する必要がないケースもあります。

江戸川区篠崎で前歯のヒビや歯の欠損治療にお悩みの方は、まずは正確な診断を受け、ご自身に合った治療法を一緒に考えていきましょう。大切な天然歯を長く守るための選択をサポートいたします。

【動画】奥歯を抜歯したまま放置すると?

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!