- 1. 叢生(乱杭歯)とは
- 1.1. 犬歯にみられる叢生の特徴
- 1.1.1. 主にみられる状態
- 1.1.2. 犬歯の叢生を放置するリスク
- 2. 奥歯にも叢生は起こる?
- 2.1. 奥歯の歯並びの乱れでみられる状態
- 3. 奥歯の歯並びが乱れることで起こり得る問題
- 3.1. 食べ物が詰まりやすくなる
- 3.2. 噛みにくくなることがある
- 4. 叢生の主な原因
- 4.1. 顎と歯の大きさのバランス
- 4.2. 遺伝的な要因
- 4.3. 乳歯を早く失った場合
- 4.4. 歯の萌出や顎の成長に関係する要因
- 5. 叢生を放置するリスク
- 5.1. 虫歯・歯周病のリスクが高まる
- 5.2. 見た目が気になることがある
- 5.3. 噛み合わせに影響することがある
- 5.4. 歯や歯ぐきの健康管理が難しくなることがある
- 6. 叢生の治療法
- 6.1. ワイヤー矯正
- 6.2. 抜歯を伴う矯正治療
- 6.3. マウスピース矯正
- 6.3.1. 特徴
- 7. 子どもの叢生に対する矯正治療
- 8. 矯正治療を始める時期
- 8.1. 子どもの場合
- 8.2. 大人の場合
- 9. 叢生の矯正治療にかかる期間と費用
- 10. まとめ
- 10.1. 関連記事
- 11. デコボコした歯並びが気になる方へ
- 12. 【動画】アデノイド顔貌
- 13. 筆者・院長
- 13.1. 深沢 一
- 13.1.1. メッセージ

歯が重なったり、ねじれたりしてデコボコに並んでいる状態を「叢生(そうせい)」といいます。「乱杭歯(らんぐいば)」と呼ばれることもある、不正咬合の一つです。
叢生は見た目だけの問題ではありません。歯が重なった部分は歯ブラシが届きにくく、プラークが残りやすいため、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。
この記事では、叢生の特徴や原因、放置するリスク、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの治療法についてわかりやすく解説します。
叢生(乱杭歯)とは

叢生とは、歯が並ぶためのスペースが不足するなどの理由により、歯が重なったり、ねじれたり、歯列から外れた位置に生えたりしている状態です。
顎の大きさに対して歯が大きい場合などに起こりやすく、前歯や犬歯の周囲で目立つことがあります。
歯並びが乱れると見た目に影響するだけでなく、歯磨きがしにくくなったり、噛み合わせに影響したりすることがあります。
犬歯にみられる叢生の特徴
犬歯は永久歯列の完成に近い時期に生えてくるため、その時点で十分なスペースが残っていないと、歯列の外側や内側など本来とは異なる位置に萌出することがあります。
上顎の犬歯が歯列の外側に生えた状態は、一般に「八重歯」と呼ばれることもあります。

主にみられる状態
- 犬歯が歯列から外れた位置に生えている
- 周囲の歯と重なっている
- 前歯にねじれがみられる
- 歯が並ぶスペースが不足している
犬歯は噛み合わせにおいて重要な役割を持つ歯ですが、犬歯の位置だけで噛み合わせの良し悪しが決まるわけではありません。
歯列全体や上下の歯の接触状態などを確認し、必要に応じて矯正治療を検討します。
犬歯の叢生を放置するリスク
犬歯や周囲の歯が重なっていると、歯ブラシやデンタルフロスが届きにくくなることがあります。
そのため、
- プラークが残りやすくなる
- 虫歯や歯肉炎・歯周病のリスクが高まる
- 歯肉退縮がみられることがある
- 歯の一部に負担が集中することがある
- 見た目が気になることがある
などの問題につながる可能性があります。
奥歯にも叢生は起こる?
叢生は前歯だけではなく、小臼歯や大臼歯などの奥歯にみられることもあります。
永久歯が生えるためのスペースが不足していると、歯が本来の位置に萌出できず、傾いたり、歯列から外れた位置に生えたりする場合があります。
また、歯の位置や顎の状態によっては、永久歯が十分に萌出せず、埋伏することもあります。

奥歯の歯並びの乱れでみられる状態
- 小臼歯が歯列から外れて萌出する
- 歯が傾いて生える
- 歯の一部が十分に萌出しない
- 親知らずが斜めや横向きに埋伏している
- 上下の歯が適切に噛み合わない
なお、親知らずが前方の歯を押して前歯の叢生を引き起こすという考え方については、明確な因果関係が確立しているわけではありません。
そのため、前歯の叢生を予防することだけを目的として親知らずの抜歯が必要になるとは限りません。
親知らずを抜歯するかどうかは、周囲の歯への影響、虫歯や歯周病のリスク、炎症の有無、萌出方向などを総合的に確認して判断します。
奥歯の歯並びが乱れることで起こり得る問題
食べ物が詰まりやすくなる
歯と歯の間の接触状態や歯の位置によっては、食べ物が詰まりやすくなることがあります。
食べ物やプラークが残りやすい状態が続くと、
- 虫歯
- 歯肉炎・歯周病
- 口臭
などのリスクを高める可能性があります。
噛みにくくなることがある
歯の位置や上下の噛み合わせによっては、一部の歯が十分に噛み合わなかったり、特定の歯に負担が集中したりすることがあります。
ただし、叢生があるからといって必ず咀嚼機能に問題が生じるわけではありません。
歯並びだけでなく、上下の歯の接触状態や顎の動きなどを含めて評価することが大切です。
叢生の主な原因
叢生は一つの原因だけで起こるとは限らず、歯の大きさや顎の大きさ、歯の萌出状態など複数の要因が関係します。

顎と歯の大きさのバランス
代表的な要因の一つが、歯が並ぶスペースと歯の大きさのアンバランスです。
顎の大きさに対して歯が大きい場合などには、永久歯がきれいに並ぶためのスペースが不足し、歯が重なったりねじれたりすることがあります。
遺伝的な要因
顎の大きさや形、歯の大きさなどには遺伝的な要因も関係しています。
そのため、家族に叢生がみられる場合、子どもにも似た歯並びがみられることがあります。
ただし、歯並びは遺伝だけで決まるものではなく、成長や歯の萌出、口腔環境などさまざまな要因の影響を受けます。
乳歯を早く失った場合
虫歯などによって乳歯を本来の生え替わり時期より早く失うと、隣の歯が移動して永久歯が生えるスペースが不足する場合があります。
一方で、乳歯が適切な時期を過ぎても残っている場合なども、永久歯の萌出に影響することがあります。
歯の萌出や顎の成長に関係する要因
歯並びには、
- 永久歯が生えてくる位置や方向
- 顎の成長
- 乳歯から永久歯への生え替わり
- 口腔周囲の筋肉や舌の状態
など、さまざまな要因が関係します。
指しゃぶりや舌の癖などの口腔習癖が歯並びや噛み合わせに影響する場合もありますが、叢生の原因を特定の習癖だけに求めることはできません。
叢生を放置するリスク

虫歯・歯周病のリスクが高まる
歯が重なっている部分は歯ブラシやデンタルフロスが届きにくく、プラークが残りやすくなります。
そのため、歯並びが整っている場合と比べてセルフケアが難しくなり、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。
見た目が気になることがある
前歯の重なりや八重歯など、口元の見た目を気にして矯正治療を検討する方もいます。
審美面でどの程度気になるかは個人によって異なります。
噛み合わせに影響することがある
叢生の程度や歯の位置によっては、上下の歯が適切に噛み合わず、一部の歯に負担が集中する場合があります。
一方、叢生があることだけを理由に、顎関節症や発音障害が起こると考えることは適切ではありません。
顎関節症は顎関節や咀嚼筋、生活習慣など複数の要因が関係する病態であり、歯並びや噛み合わせとの関係も単純ではありません。
発音についても、歯並びの状態によって影響を受ける場合はありますが、叢生があれば必ず発音障害が生じるわけではありません。
歯や歯ぐきの健康管理が難しくなることがある
叢生そのものが直接歯を失う原因になるわけではありません。
しかし、清掃しにくい状態によって虫歯や歯周病のリスクが高まり、それらが進行すると、長期的には歯の健康に影響する可能性があります。
叢生の治療法
叢生の治療では、歯が並ぶために必要なスペースを確保しながら、歯を適切な位置へ移動させます。

治療方法は、
- 叢生の程度
- 歯と顎の大きさ
- 上下の噛み合わせ
- 横顔や口元の状態
- 年齢や成長段階
- 歯や歯周組織の状態
などを確認して決定します。
ワイヤー矯正
歯にブラケットを装着し、ワイヤーの力を利用して歯を移動させる方法です。
幅広い症例に対応でき、歯の位置や角度などを細かく調整しやすいことが特徴です。
叢生の程度や噛み合わせによっては、抜歯を伴う矯正治療を行う場合があります。

抜歯を伴う矯正治療
歯が並ぶスペースが大きく不足している場合などには、抜歯によってスペースを確保することがあります。
矯正治療では小臼歯を抜歯することがありますが、必ず第一小臼歯(4番)を抜歯するわけではありません。
どの歯を抜歯するか、あるいは抜歯せずに治療できるかは、歯並びや噛み合わせ、口元の状態、歯の健康状態などを総合的に診断して決定します。
マウスピース矯正
透明なマウスピース型の装置を一定期間ごとに交換しながら、少しずつ歯を移動させる治療方法です。
特徴
- 装置が目立ちにくい
- 食事や歯磨きの際に取り外せる
- 口腔内を清掃しやすい
マウスピース矯正は軽度から中等度の叢生に用いられることがありますが、現在では治療計画や症例によって幅広い歯並びに対応できる場合があります。
一方で、すべての叢生に適しているわけではありません。
歯の移動量や方向、抜歯の有無、噛み合わせなどによっては、ワイヤー矯正が適している場合や、両者を組み合わせる場合もあります。
子どもの叢生に対する矯正治療

子どもの矯正治療では、永久歯への生え替わりや顎の成長を確認しながら治療を検討します。
症例によっては、歯列の幅を調整したり、永久歯が生えるスペースを確保したりする治療を行います。
使用する装置には、
- 拡大床
- 急速拡大装置
- クワドヘリックス
などがあります。
ただし、すべての子どもに顎の拡大が必要なわけではありません。また、小児期に矯正治療を行えば、将来必ず抜歯を避けられるわけでもありません。
成長期の治療によって永久歯が生える環境を整えられる場合がありますが、最終的に抜歯が必要かどうかは、永久歯の大きさや顎の成長、叢生の程度、噛み合わせなどによって異なります。
矯正治療を始める時期

子どもの場合
矯正治療を始める適切な時期は、歯並びや噛み合わせによって異なります。
前歯の生え替わりが始まる頃に歯並びが気になる場合は、一度矯正歯科で相談するとよいでしょう。
早期に相談することで、すぐに治療を始める必要があるのか、永久歯への生え替わりや成長を見ながら経過観察するのかを判断できます。
「6〜12歳なら治療を始めたほうがよい」という意味ではありません。
大人の場合
矯正治療に一律の年齢制限はありません。
大人でも歯や歯周組織の状態が良好であれば、矯正治療を受けられる場合があります。
ただし、歯周病や虫歯などがある場合には、矯正治療を始める前に必要な治療を行うことがあります。
叢生の矯正治療にかかる期間と費用
治療期間や費用は、叢生の程度や治療範囲、使用する装置、抜歯の有無などによって大きく異なります。
成人の全体矯正では数年程度の治療期間が必要になることもありますが、軽度の症例では比較的短期間で治療できる場合もあります。
また、矯正装置による歯の移動が終了した後には、歯並びの後戻りを防ぐための保定期間が必要です。
矯正治療は原則として自由診療となるため、費用は歯科医院や治療内容によって異なります。
治療を検討する際は、検査・診断料、矯正装置料、調整料、保定装置料などを含めた総額について事前に確認しましょう。
まとめ
叢生(乱杭歯)とは、歯が並ぶスペースが不足するなどの理由によって、歯が重なったりねじれたりしている状態です。
見た目だけでなく、歯ブラシやデンタルフロスが届きにくくなることで、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。
叢生の治療には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などがあり、歯が並ぶスペースが大きく不足している場合には抜歯を検討することもあります。
子どもの場合は成長や永久歯への生え替わりを考慮して治療時期を判断しますが、早く治療を始めれば必ず抜歯を避けられるわけではありません。
歯並びの状態や年齢によって適した治療方法や開始時期は異なります。叢生が気になる場合は、矯正歯科で検査を受け、歯並びだけでなく噛み合わせや顎の状態も含めて治療方法を検討することが大切です。
関連記事
デコボコした歯並びが気になる方へ

叢生の程度や噛み合わせによって、適した治療方法や治療を始める時期は異なります。
歯並びが気になる方は、まずは現在の状態を確認し、ご自身に合った矯正治療について相談してみましょう。
気になる歯並びは早めの相談が改善への第一歩です。まずはお気軽にご相談ください。
【動画】アデノイド顔貌
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





