- 1. 【動画 36秒】急速拡大装置とは?小児矯正で重要な役割を果たす治療法
- 2. 1. はじめに
- 2.1. 急速拡大装置とは?
- 2.2. なぜ急速拡大装置が必要なのか?
- 2.3. 使用される主なケースと目的
- 3. 2. 急速拡大装置の仕組みと種類
- 3.1. 2-1. 急速拡大装置の基本構造
- 3.1.1. 上顎の骨を広げる科学
- 3.1.2. ネジを回す方法
- 3.1.3. 治療期間
- 3.2. 2-2. 拡大装置の種類
- 3.2.1. 1. 固定式急速拡大装置(Rapid Palatal Expander:RPE)
- 3.2.2. 2. 可撤式拡大装置(拡大床)
- 3.2.3. 3. MSE矯正(ミニスクリューを使用した急速拡大)
- 3.3. まとめ
- 4. 3. 急速拡大装置のメリットとデメリット
- 4.1. 3-1. メリット
- 4.1.1. 1. 抜歯をせずに歯並びを整えられる
- 4.1.2. 2. 顎の成長をコントロールできる
- 4.1.3. 3. 鼻呼吸の改善につながる可能性
- 4.2. 3-2. デメリット
- 4.2.1. 1. 最初の装着時の違和感や痛み
- 4.2.2. 2. 口腔ケアの難しさ
- 4.2.3. 3. 発音への影響
- 4.3. まとめ
- 5. 4. 治療の流れと使用期間
- 5.1. 4-1. 治療前の検査・診断
- 5.1.1. 口腔内検査・X線撮影の活用
- 5.2. 4-2. 治療のステップ
- 5.2.1. 1. 急速拡大装置の装着
- 5.2.2. 2. 毎日のネジ回し(拡大の手順)
- 5.2.3. 3. 治療経過のチェック
- 5.2.4. 4. 目標達成後の装置維持(リテーナーの装着)
- 5.3. 4-3. 治療期間の目安
- 5.4. まとめ
- 6. 5. 急速拡大装置の適応年齢と対象者
- 6.1. 何歳から治療が可能ですか?
- 6.2. まとめ
- 7. 6. 急速拡大装置と他の矯正装置の比較
- 7.1. 6-1. 急速拡大装置 vs. ワイヤー矯正
- 7.2. 6-2. 急速拡大装置 vs. インビザライン(マウスピース矯正)
- 7.3. まとめ
- 8. 7. 急速拡大装置の費用と保険適用の有無
- 8.1. 7-1. 治療費用
- 8.2. 7-2. 保険適用されるケース(顎変形症など)
- 8.2.1. ✅ 保険適用の対象となるケース
- 8.3. 7-3. 医療費控除の活用方法
- 8.3.1. ✅ 医療費控除とは?
- 8.3.2. ✅ 医療費控除の対象となるもの
- 8.3.3. ✅ 医療費控除の計算例
- 9. 8. 急速拡大装置のケアと注意点
- 9.1. 8-1. 毎日のケア方法
- 9.1.1. 📌 食後の清掃方法(歯ブラシ・洗浄液の活用)
- 9.1.2. 📌 食べてはいけない食品(粘着性のあるもの・硬いもの)
- 9.2. 8-2. 使用中の注意点
- 9.2.1. 📌 痛みが出た時の対処法
- 9.2.2. 📌 ネジ回しを忘れた場合の対応
- 9.2.3. 📌 発音への影響と慣れるコツ
- 9.3. まとめ
- 10. 9. 急速拡大装置に関するよくある質問(FAQ)
- 10.1. 📌 1. 急速拡大装置の装着は痛いですか?
- 10.2. 📌 2. 急速拡大後に後戻りする可能性はありますか?
- 11. 江戸川区篠崎で急速拡大装置を用いた矯正治療をご検討の方へ
- 12. 【動画】アデノイド顔貌
- 13. 筆者・院長
【動画 36秒】急速拡大装置とは?小児矯正で重要な役割を果たす治療法
1. はじめに
急速拡大装置とは?
急速拡大装置(Rapid Palatal Expander:RPE)は、主に小児矯正で使用される装置で、上顎(じょうがく)の骨を短期間で左右に広げるために開発された矯正器具です。歯列や顎の成長に問題がある場合に適用され、上顎の幅が狭い、歯の並びが重なっている(叢生〈そうせい〉)、口呼吸などの症状に対応します。
この装置は、ネジの部分を定期的に回して少しずつ上顎の正中口蓋縫合を拡げていく仕組みで、短期間で効果が現れるのが特徴です。成長期の子どもが主な対象ですが、成人矯正でも特殊な方法(MSE矯正など)で使用されることがあります。
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なぜ急速拡大装置が必要なのか?
急速拡大装置が必要とされる理由は、顎の骨格に起因する歯列や呼吸の問題を根本から改善するためです。以下のような課題を抱える患者に特に有効とされています。
- 狭い上顎(狭窄歯列弓) → 歯が並ぶスペースが足りない
上顎が狭いと、永久歯が正しい位置に生えそろわず、歯が重なり合って叢生(そうせい)を引き起こします。これを防ぐために、急速拡大装置で骨の幅を広げる治療が行われます。 - 非抜歯矯正のためのスペース確保
上顎の拡大により、抜歯せずに歯を並べるスペースを確保できるため、将来的に抜歯を回避する可能性が高まります。 - 口呼吸の改善
上顎が狭い場合、鼻腔(びこう)も圧迫され、口呼吸の原因となります。上顎を拡大することで、鼻腔を広げ、鼻呼吸を促進する効果が期待できます。 - 顔面バランスの改善
上顎の成長不足による顔の不調和を改善し、より自然な顔立ちをサポートする効果があります。
使用される主なケースと目的
急速拡大装置は、以下のような症例で使用されることが一般的です。
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- 叢生(そうせい):歯の並びがガタガタでスペース不足が顕著な場合
- 狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう):歯列の幅が通常より狭い状態
- 口呼吸:鼻腔が狭くなり、口で呼吸する習慣がついている場合
- 非対称な顎の成長:左右どちらかに顎が偏っている場合
このように、急速拡大装置は、歯並びの問題だけでなく、呼吸や顔のバランスなど、多角的な改善を目的とした装置です。そのため、治療初期段階での使用が多く、将来的な矯正の選択肢を広げる役割を果たします。
2. 急速拡大装置の仕組みと種類
2-1. 急速拡大装置の基本構造
上顎の骨を広げる科学
急速拡大装置(Rapid Palatal Expander:RPE)は、主に成長期の子どもを対象とし、上顎(じょうがく)の骨を短期間で拡大するための矯正装置です。
上顎は2つの骨(左側の上顎骨と右側の上顎骨)が中央の**正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)**によって結合されています。成長期の子どもでは、この縫合がまだ完全に固まっていないため、急速拡大装置を使用することで、2つの骨を少しずつ左右に広げることが可能です。
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拡大のメカニズム:
- 装置の中央にあるネジを1日1回、1/4分回転させる
- 左右の上顎骨が正中口蓋縫合でゆっくりと離れていく
- その隙間に新しい骨が形成され、顎の幅が広がる
- 上顎の幅が広がることで歯並びが整いやすくなり、鼻腔も拡大されることで鼻呼吸が改善
ネジを回す方法
急速拡大装置(スケルトンタイプ)の基本構造として、上顎の第1大臼歯と第1小臼歯の4本にバンドをかけ、太い針金で左右の4本の歯を連結します。中心部にはネジがあり、患者さん自身で回します。
細い針金をスクリュー部の小さな穴に挿入し、回転させて調整します。操作が難しい場合は、ご両親に手伝ってもらいます。。
治療期間
開くスピードは、スクリューを1日あたり1/4回転させることで、0.2mmずつ拡大していきます。開く量の目標値は個人によって異なりますが、約1か月間続けると、合計で6mmの拡大が可能となります。
2-2. 拡大装置の種類
1. 固定式急速拡大装置(Rapid Palatal Expander:RPE)
- 最も一般的な急速拡大装置で、上顎の奥歯に金属バンドで固定される
- ネジを毎日少しずつ回して拡大を進める
- 適用年齢:主に6〜15歳の子ども(成長期で上顎骨が柔らかい時期に効果的)
- 使用期間:2〜4週間で拡大完了+3〜6ヶ月間の固定期間
メリット
✔ 短期間で大きく拡大できる
✔ 上顎の発育を促進し、非抜歯矯正を可能にする
✔ 鼻腔拡大による鼻呼吸改善の効果も期待できる
デメリット
✖ 固定されているため、歯磨きがしにくい
✖ 最初の数日は違和感や軽い痛みを感じることがある
2. 可撤式拡大装置(拡大床)
- 取り外しが可能なプレートタイプの装置
- 歯列の幅を少しずつ広げる緩徐拡大(Slow Expansion)に適用
- 適用年齢:6歳以上(ただし効果は成長期の子どもに限る)
- 使用期間:数ヶ月〜1年以上
メリット
✔ 取り外し可能で清掃がしやすい
✔ 固定式よりも違和感が少ない
デメリット
✖ 固定式より効果が出るのに時間がかかり、内側に倒れた歯を起こして歯列を広げる効果はあるが、顎骨そのものを拡大することはできない
✖ 患者の使用状況に依存するため、正しく使用しないと効果が低くなる
3. MSE矯正(ミニスクリューを使用した急速拡大)
- 成人矯正向けの特殊な拡大方法
- **ミニスクリュー(MSE:Micro-implant Supported Expander)**を骨に埋め込み、強制的に上顎を拡大
- 適用年齢:成人(18歳以上)でも効果がある数少ない方法
- 使用期間:2〜4週間で拡大完了+3〜6ヶ月の固定期間
メリット
✔ 成人でも顎を広げることが可能
✔ 従来の矯正方法では対応できなかったケースにも適応
デメリット
✖ ミニスクリューを埋め込む外科的処置が必要
✖ 治療後の疼痛が発生することがある
まとめ
- 急速拡大装置は上顎を広げる科学的メカニズムを利用し、矯正治療の土台を作る装置
- **固定式(RPE)**は効果が高いが清掃が難しく、**可撤式(拡大床)**は取り外しできるが効果は限定的
- 成人向けにはMSE矯正があり、ミニスクリューを利用することで骨の拡大が可能
- 使用する装置は患者の年齢や症例によって選択される
このように、急速拡大装置は歯列矯正において重要な役割を果たし、適切に使用することで非抜歯矯正や顔の成長バランスの改善にもつながります。
3. 急速拡大装置のメリットとデメリット
3-1. メリット
1. 抜歯をせずに歯並びを整えられる
急速拡大装置を使用することで、歯を抜かずに歯が生えるための十分なスペースを確保できます。特に成長期の子どもでは、顎の骨が柔らかく、適切な時期に装置を使用することで非抜歯矯正が可能になります。
こんな人におすすめ
✅ 将来的に抜歯を避けたい方
✅ 歯並びのスペースが足りない(叢生〈そうせい〉)方
2. 顎の成長をコントロールできる
上顎の成長が不十分な場合、顔のバランスが崩れることがあります。急速拡大装置は上顎の発育を促進し、顔の左右対称性を整える効果も期待できます。
改善できる症例
✅ 顎が狭く、歯並びが乱れている
✅ 上顎の成長不足による受け口
3. 鼻呼吸の改善につながる可能性
上顎を拡大することで、鼻腔(びこう)が広がり、鼻の通りが良くなることがあります。これは、口呼吸をしているお子さんの改善につながる可能性があるため、睡眠時無呼吸症候群の予防としても注目されています。
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期待できる効果
✅ 鼻詰まりの改善
✅ 口呼吸の減少(健康リスクの低減)
3-2. デメリット
1. 最初の装着時の違和感や痛み
装置をつけたばかりの数日間は、圧迫感や軽い痛みを感じることがあります。これは上顎の骨が広がる際の正常な反応ですが、数日で慣れることがほとんどです。
対策
✅ 柔らかい食事をとる
✅ 痛みが強い場合は鎮痛剤を使用する
2. 口腔ケアの難しさ
固定式の急速拡大装置は、歯に直接装着されるため、食べかすが詰まりやすく、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。
対策
✅ 歯ブラシ+フロス+洗口液を併用する
✅ 矯正用の歯間ブラシを使用する
3. 発音への影響
装置が上顎にあるため、一時的にサ行・タ行の発音がしづらくなることがあります。しかし、多くの場合、数週間で適応し、発音も元に戻ります。
対策
✅ ゆっくり話すことを意識する
✅ 発音の練習をする
まとめ
メリット | デメリット |
---|---|
歯を抜かずに矯正できる | 装着時の違和感や痛み |
顎の成長をコントロールできる | 口腔ケアが難しい |
鼻呼吸の改善が期待できる | 発音に一時的な影響が出る |
急速拡大装置は、多くのメリットを持つ矯正治療ですが、デメリットを理解し、適切に対処することでより快適な矯正治療が可能になります。
4. 治療の流れと使用期間
4-1. 治療前の検査・診断
急速拡大装置を使用する前に、患者の顎の状態や歯並びを詳細に分析する必要があります。診断の精度を高めるために、以下の検査を行います。
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口腔内検査・X線撮影の活用
✅ 口腔内検査:歯並びの確認、虫歯や歯周病の有無をチェック
✅ X線撮影(パノラマ・セファロ):顎の成長具合や骨の状態を確認
これらの診断をもとに、急速拡大装置が適用可能かどうかを判断します。
4-2. 治療のステップ
1. 急速拡大装置の装着
- 歯科医院で装置を装着し、正しくフィットしているかを確認
- ネジの回し方の説明を受ける
装着直後は違和感や軽い圧迫感を感じることがありますが、数日で慣れるケースがほとんどです。
2. 毎日のネジ回し(拡大の手順)
装置の中央にはネジが組み込まれており、1日1回回すことで上顎の幅を広げていきます。
✅ 基本的なネジ回しの流れ
- 専用のキーを使ってネジを1/4回転(0.25mm程度)回す
- 1日1回、指定された回数を守って行う
- 約2〜4週間で5〜7mm程度の拡大が完了
⚠ 注意点
- 適切な回数を守る(回しすぎると痛みや違和感が強くなる)
- ネジ回しを忘れた場合は、歯科医に相談
- 途中で痛みが強い場合や、異常を感じたら速やかに受診
3. 治療経過のチェック
急速拡大期間中は、1〜2週間ごとに歯科医院でのチェックが必要です。
- 拡大の進捗状況を確認
- 装置のゆるみやトラブルがないかをチェック
- 歯磨きの状態や口腔内の清潔を保てているか指導
4. 目標達成後の装置維持(リテーナーの装着)
急速拡大が完了すると、そのまま放置すると後戻りするリスクがあるため、一定期間、装置を固定して骨が安定するのを待ちます(固定期間)。
また、装置を外した後にはリテーナー(保定装置)を装着し、後戻りを防ぎます。
リテーナーは3〜6ヶ月程度、指定された時間装着する必要があります。
4-3. 治療期間の目安
治療段階 | 期間 | 主な内容 |
---|---|---|
急速拡大期間 | 約2〜4週間 | 毎日ネジを回し、上顎を5〜7mm拡大 |
固定期間 | 約3〜6ヶ月 | 拡大装置をそのまま維持し、新しい骨の形成を促す |
リテーナー装着 | 約6ヶ月以上 | 後戻りを防ぎながら顎の骨を安定させる |
⚠ 成人矯正(MSE矯正)の場合
- 拡大期間は2〜4週間程度
- 固定期間は6ヶ月以上(骨の安定化に時間がかかるため)
まとめ
- 治療前に口腔内検査・X線を行い、適用ケースを判断
- 急速拡大装置は毎日のネジ回しで2〜4週間で拡大
- 固定期間(3〜6ヶ月)を経て、骨が安定するまで維持
- 最後にリテーナーを装着し、後戻りを防ぐ
急速拡大装置は、正しく使用すれば非抜歯矯正や鼻呼吸の改善にもつながる重要な治療法です。適切な治療スケジュールを守り、歯科医と相談しながら進めていくことが大切です。
5. 急速拡大装置の適応年齢と対象者
何歳から治療が可能ですか?
急速拡大装置の治療開始時期は、患者の顎の成長具合によって異なります。一般的には、6歳〜15歳の成長期の子どもが最も適した対象とされます。
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✅ 最適な開始時期
- 6歳〜15歳(乳歯から永久歯への生え変わりが終わってから)
- 正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)がまだ開いている時期
この時期は、上顎の骨が柔らかく急速拡大装置の効果が最も出やすいため、短期間で骨を拡げることが可能です。
⚠ 16歳以降、特に思春期を過ぎると、骨の成長が進んでしまい、通常の急速拡大装置では効果が出にくくなるため、治療の選択肢が変わります。
まとめ
比較項目 | 小児矯正(6〜15歳) | 成人矯正(15歳以上) |
---|---|---|
上顎の成長状態 | まだ成長途中で柔軟 | 成長が完了して硬い |
急速拡大装置の適応 | 通常のRPEで拡大可能 | 通常のRPEでは効果が低い |
MSE矯正の適応 | 必要なし | MSE矯正で拡大可能 |
治療期間 | 約3〜6ヶ月 | 約6〜12ヶ月 |
主な目的 | 顎の成長を促しながら歯を並べる | 顎を広げてスペースを確保 |
非抜歯矯正の可能性 | 高い | 条件による |
結論:成長期の早い段階で治療を開始することがベスト!
- 小児期(6〜15歳)なら、急速拡大装置(RPE)で自然な顎の成長を促しながら矯正が可能
- **成人(15歳以上)**の場合、通常のRPEでは効果が低く、MSE矯正や外科的処置が必要になる可能性が高い
急速拡大装置は、できるだけ成長期の早い段階で治療を始めることで、より自然で負担の少ない矯正が可能になります。
6. 急速拡大装置と他の矯正装置の比較
矯正治療にはさまざまな方法がありますが、**急速拡大装置(RPE)**は顎の骨格にアプローチできる点が特徴です。ここでは、**ワイヤー矯正、インビザライン(マウスピース矯正)**と比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
6-1. 急速拡大装置 vs. ワイヤー矯正
比較項目 | 急速拡大装置(RPE) | ワイヤー矯正(ブラケット矯正) |
---|---|---|
目的 | 顎の骨を広げる | 歯を動かして歯並びを整える |
適用年齢 | 6〜15歳(成長期) | 10代〜成人まで対応可能 |
装置の固定 | 固定式 | 固定式 |
治療期間 | 2〜4週間で拡大+3〜6ヶ月の固定 | 1.5〜3年(全体矯正) |
痛み | 初期に圧迫感があるが、短期間で終了 | ワイヤーの調整時に痛みを感じることがある |
費用 | 約20万〜40万円 | 約60万〜100万円 |
後戻り | 固定期間を守れば少ない | 保定装置(リテーナー)を使用しないと後戻りしやすい |
📌 どちらが適している?
✅ 顎のスペースを広げることが優先 → 急速拡大装置
✅ 歯並びを全体的に整えたい → ワイヤー矯正
⚠ 急速拡大装置は歯並びそのものを整える装置ではなく、顎のスペースを広げるためのもの。その後、ワイヤー矯正やマウスピース矯正を併用することが多い。
6-2. 急速拡大装置 vs. インビザライン(マウスピース矯正)
比較項目 | 急速拡大装置(RPE) | インビザライン(マウスピース矯正) |
---|---|---|
目的 | 顎の骨を広げる | 歯を動かして歯並びを整える |
適用年齢 | 6〜15歳(成長期) | 12歳以上〜成人まで対応可能 |
装置の固定 | 固定式 | 取り外し可能 |
治療期間 | 2〜4週間で拡大+3〜6ヶ月の固定 | 1〜2年(ケースによる) |
痛み | 初期に圧迫感あり | マウスピース交換時に違和感あり |
メンテナンス | 歯磨きが難しい | 取り外して歯磨き可能 |
目立ちやすさ | 金属装置が目立つ | 透明で目立ちにくい |
📌 どちらが適している?
✅ 顎のスペースを広げることが優先 → 急速拡大装置
✅ 目立たずに歯並びを整えたい → インビザライン
⚠ 急速拡大装置は顎の拡大を目的とするため、その後にインビザラインで歯並びを整えることも多い。
まとめ
結論:目的に応じて装置を選ぶのが重要!
- 顎を広げたい → 急速拡大装置(RPE)
- ゆっくり顎を広げたい → 床矯正
- 歯並びを本格的に整えたい → ワイヤー矯正 or インビザライン
急速拡大装置は、他の矯正装置と組み合わせることで、より効果的な矯正治療が可能になります。
7. 急速拡大装置の費用と保険適用の有無
7-1. 治療費用
拡大装置の費用は、使用する装置の種類や治療の難易度によって異なりますが、当院では精密検査ご治療費の総額をご呈示いたします。追加費用は掛かりません。
※当院の治療費は下記リンクから確認できます。
⚠ 注意点
- 上記の費用は自費診療です。
- 矯正治療では、急速拡大装置を使用した後にワイヤー矯正やインビザラインを併用することが一般的です。
7-2. 保険適用されるケース(顎変形症など)
通常、矯正治療は自由診療(自費診療)となりますが、特定の条件を満たす場合は保険適用されることがあります。
✅ 保険適用の対象となるケース
- 顎変形症(がくへんけいしょう)
- 上下の顎のズレが大きく、外科手術が必要な場合
- 急速拡大装置を手術前の準備として使用する場合
- 厚生労働省が指定する先天性疾患(例:唇顎口蓋裂、クルーゾン症候群など)
- 遺伝的な病気で顎の成長に異常がある場合
- 顎骨の発育不全による咬合異常
- **重度の上顎の狭窄(きょうさく)**があり、医師の診断により保険適用されることがある
⚠ 保険適用の注意点
- 指定自立支援医療機関(顎口腔機能診断施設)での治療が必要
- 一般的な歯列矯正(歯並びを整える目的)では保険適用されない
💡 保険適用の判断は歯科医師による診断が必要!
顎変形症などの症状が疑われる場合、まずは保険適用可能な矯正歯科で相談するのが重要です。
7-3. 医療費控除の活用方法
急速拡大装置の治療費は基本的に自費診療ですが、医療費控除を活用することで年間の所得税を軽減できます。
✅ 医療費控除とは?
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円(または所得の5%)を超える場合、超えた分を所得税の控除対象にできる制度です。
✅ 医療費控除の対象となるもの
- 急速拡大装置の費用
- 矯正治療の診察・検査費用
- 通院にかかる交通費(電車・バス代)
- 治療に必要な処方薬の費用
💡 「美容目的の矯正治療」は控除対象外になることがあるため、医師の診断書をもらっておくと安心
✅ 医療費控除の計算例
- 矯正治療費(急速拡大装置+ワイヤー矯正)= 80万円
- 交通費(通院の電車代など)= 1万円
- 総額= 81万円
控除額=(81万円 - 10万円)× 所得税率
👉 例えば**所得税率20%**の人なら、
控除額 71万円 × 20% = 14.2万円 が税額から減額!
8. 急速拡大装置のケアと注意点
急速拡大装置は、治療効果を最大限に引き出すために、毎日のケアや使用時の注意点が重要になります。ここでは、清掃方法・食事の注意点・痛みの対処法・ネジ回しの忘れた場合の対応などを詳しく解説します。
8-1. 毎日のケア方法
📌 食後の清掃方法(歯ブラシ・洗浄液の活用)
急速拡大装置は歯に固定されているため、食べカスがたまりやすく、虫歯や歯肉炎のリスクが高まるため、適切なケアが必要です。
✅ 歯磨きのポイント
- 通常の歯ブラシで歯全体を磨く
- 矯正用の歯間ブラシで装置の隙間を清掃(特にネジ部分に汚れが溜まりやすい)
- 洗口液(フッ素入りのものが理想)を併用し、口内を清潔に保つ
- 週に1回は矯正用の専用ブラシや超音波洗浄器を使用
✅ 可撤式(取り外し可能な装置)の場合
- 流水でしっかり洗浄し、専用の洗浄剤を使用する
- 熱湯で洗わない(変形する可能性あり)
⚠ 汚れが溜まると装置の効果が低下するため、毎食後のケアが必須!
📌 食べてはいけない食品(粘着性のあるもの・硬いもの)
急速拡大装置を装着している間は、装置に負担をかける食品を避けることが重要です。
🚫 食べてはいけないもの
- キャラメル・ガム・グミ(粘着性があり、装置に絡まりやすい)
- ナッツ・せんべい・氷・硬いパン(装置に強い負荷がかかり、破損の原因になる)
- 繊維質の多い野菜(セロリ・ほうれん草)(装置の隙間に詰まりやすい)
✅ 食べやすい食品の例
- やわらかいご飯・うどん・スープ(噛む負担が少ない)
- ヨーグルト・豆腐・バナナ(栄養もあり、装置に負担がかからない)
- 小さくカットした野菜・果物(歯や装置に優しい)
⚠ 硬い食べ物を無理に噛むと装置が破損する可能性があるので注意!
8-2. 使用中の注意点
📌 痛みが出た時の対処法
急速拡大装置は、顎の骨を広げるための矯正器具なので、装着初期やネジを回した後に痛みや圧迫感を感じることがあります。
✅ 痛みを軽減する方法
- 冷たいものを口に含む(氷水やアイスなどで鎮痛効果)
- 痛みが強い場合は市販の鎮痛剤を使用(ロキソニン・イブなど)
- 柔らかい食事に変更し、刺激を減らす
- 1週間程度で痛みは落ち着くため、無理に触らない
⚠ 痛みが強すぎる・1週間以上続く場合は歯科医に相談!
📌 ネジ回しを忘れた場合の対応
急速拡大装置のネジ回しを毎日続けることが治療の成功に直結します。しかし、回し忘れると治療が遅れたり、顎の骨が固まりやすくなるため、できる限り決まった時間に回すことが大切です。
✅ 忘れた場合の対応
- 1日程度の回し忘れ → 翌日から通常通り再開(無理に多く回さない)
- 2〜3日忘れた場合 → 歯科医院に相談し、必要に応じて調整
- 1週間以上忘れた場合 → 顎の骨が固定される可能性があるため、自己判断せずに必ず受診
⚠ ネジを急に多く回すと痛みやトラブルの原因になるので絶対に避ける!
📌 発音への影響と慣れるコツ
急速拡大装置は上顎に装着するため、最初のうちはサ行・タ行の発音がしづらくなることがあります。
✅ 発音に慣れるためのコツ
- 最初の数日はゆっくり話す(口の動きに慣れる)
- 「さしすせそ」「たちつてと」を意識して練習
- 水を飲みながら話すと滑舌が改善しやすい
- 大きな声で本を読む・音読をする(筋肉の適応を早める)
⚠ ほとんどの人が1〜2週間で適応するため、焦らず練習することが大切!
まとめ
注意点 | 対処法 |
---|---|
清掃 | 矯正用ブラシや洗口液で丁寧にケア |
食事制限 | 硬いもの・粘着性のあるものは避ける |
痛みの対処 | 冷やす・鎮痛剤を服用・柔らかい食事を取る |
ネジ回し忘れ | すぐに再開、長期間忘れた場合は歯科医に相談 |
発音への影響 | ゆっくり話す・音読する・水を飲みながら練習 |
急速拡大装置は、適切なケアと注意点を守ることでよりスムーズに治療を進めることができます。矯正中の不安があれば、早めに歯科医に相談するのがベストです!
9. 急速拡大装置に関するよくある質問(FAQ)
急速拡大装置の治療を検討している方や、すでに装着している方から寄せられるよくある質問をまとめました。
📌 1. 急速拡大装置の装着は痛いですか?
A. 初期の違和感や圧迫感はありますが、強い痛みはほとんどありません。
装置を装着した直後や、ネジを回したときに圧迫感や軽い痛みを感じることがありますが、通常は1週間程度で慣れます。
✅ 痛みが出やすいタイミング
- 装着した初日〜2日目:異物感が強く、噛みにくい
- ネジを回した直後:上顎の骨が広がる感覚がある
✅ 痛みを和らげる方法
- 冷たいもの(アイス・冷水)を口に含む
- 市販の鎮痛剤(ロキソニン・イブ)を使用(痛みが強い場合)
- 柔らかい食事をとる(噛む負担を減らす)
⚠ もし1週間以上強い痛みが続く場合は、歯科医に相談してください。
📌 2. 急速拡大後に後戻りする可能性はありますか?
A. 適切に固定期間を守れば、後戻りのリスクは少なくなります。
急速拡大が完了した後、すぐに装置を外してしまうと、元の状態に戻る(後戻り)可能性があります。
そのため、拡大後は**「固定期間」と「リテーナー(保定装置)」**が重要になります。
✅ 後戻りを防ぐ方法
- 3〜6ヶ月間、拡大装置をそのまま固定(顎の骨が安定するまで)
- 拡大装置を外した後は、リテーナーを装着(後戻りを防ぐため)
- 歯科医の指示に従い、定期的にチェックを受ける
⚠ 固定期間を守らないと、せっかく広げた顎が元に戻ってしまうことがあるので注意!
江戸川区篠崎で急速拡大装置を用いた矯正治療をご検討の方へ
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「お子様の歯並び、大丈夫ですか?」
江戸川区篠崎駅前の当院では、顎の成長を見据え、美しい歯並びへ導く「急速拡大装置」を使用した矯正治療を行っています。
✅顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りない
✅噛み合わせがずれている(交叉咬合)
✅将来的に歯を抜かずに矯正したい
このようなお悩みをお持ちの方に、成長期に適した治療をご提案させていただきます。 お子さまの歯並びが気になる方は、お気軽にご相談ください!
【動画】アデノイド顔貌
筆者・院長
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深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。