- 1. 【🎬39秒】閉経後は要注意!骨粗鬆症と歯周病のダブルリスク
- 2. 歯と骨、実は深くつながっています
- 3. 骨粗鬆症とは?
- 3.1. 骨粗鬆症で起こりやすい骨折
- 3.2. 骨粗鬆症は歯を支える骨にも影響します
- 3.3. 骨は常に生まれ変わっています
- 4. 骨粗鬆症と歯周病の関係
- 4.1. 歯周病は歯ぐきではなく「骨」の病気です
- 4.2. 骨粗鬆症と歯周病は「骨」を介してつながっています
- 5. 慢性炎症は全身にも影響します
- 6. 閉経後女性との関係
- 6.1. 女性ホルモンの減少が骨と歯ぐきの健康に影響します
- 6.2. 閉経後は歯周病が進行しやすい理由
- 7. 骨粗鬆症になると歯は抜けやすくなる?
- 7.1. 骨粗鬆症だけで歯が抜けることはありません
- 7.2. 歯を守るためには歯周病の管理が重要です
- 8. 骨粗鬆症の薬を飲んでいる方へ
- 8.1. 歯科治療の前に知っておきたい「顎骨壊死(MRONJ)」について
- 9. 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)とは?
- 9.1. MRONJの主な症状
- 10. MRONJは抜歯だけが原因ではありません
- 11. MRONJのリスクを高める要因
- 12. 骨粗鬆症治療薬別の注意点
- 12.1. ビスホスホネート(BP)製剤
- 12.1.1. 主な薬剤
- 12.1.2. 特徴
- 12.1.3. 歯科治療での注意点
- 12.2. デノスマブ(プラリア®)
- 12.2.1. 特徴
- 12.2.2. 注意点
- 12.3. ロモソズマブ(イベニティ®)
- 12.3.1. 特徴
- 12.3.2. 歯科での注意点
- 12.4. テリパラチド(フォルテオ®・テリボン®)
- 12.4.1. 特徴
- 12.4.2. 歯科での注意点
- 12.5. SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
- 12.5.1. 主な薬剤
- 12.5.2. 特徴
- 12.5.3. 歯科での注意点
- 12.6. 活性型ビタミンD製剤
- 12.6.1. 主な薬剤
- 12.6.2. 特徴
- 12.6.3. 歯科での注意点
- 13. 骨粗鬆症治療中でも歯科治療は受けられます
- 14. 歯科受診前に必ず伝えていただきたいこと
- 14.1. チェックリスト
- 15. 骨粗鬆症の薬を自己判断で中止しないでください
- 16. お口の健康を守ることがMRONJ予防につながります
- 17. 骨粗鬆症の人が歯を守る方法
- 17.1. 今日から始められる5つの予防習慣
- 17.2. 定期的な歯科検診を受けましょう
- 17.3. 毎日のセルフケアを丁寧に行いましょう
- 17.4. 食事で骨と歯を丈夫にする
- 17.4.1. 海藻類
- 17.4.2. 魚類ならメザシ
- 17.4.3. カルシウムだけでは十分ではありません
- 17.4.4. 特に意識したいマグネシウム
- 17.4.4.1. マグネシウムを多く含む食品
- 17.4.5. ビタミンDも欠かせません
- 17.4.5.1. ビタミンDを多く含む食品
- 17.4.6. たんぱく質もしっかり摂りましょう
- 17.5. 適度な運動は骨を強くします
- 17.5.1. 日光浴
- 17.5.2. 運動
- 17.6. 日光浴でビタミンDを作る
- 17.7. 禁煙も大切です
- 18. セルフチェック
- 18.1. あなたは大丈夫?
- 18.2. チェック結果の目安
- 19. このような症状がある方は早めに受診しましょう
- 20. 歯科と医科が連携して歯を守ります
- 21. よくある質問(FAQ)
- 21.1. Q1. 骨粗鬆症になると歯は自然に抜けますか?
- 21.2. Q2. 骨粗鬆症の薬を飲んでいても歯石取りはできますか?
- 21.3. Q3. 骨粗鬆症の薬を飲んでいると抜歯はできませんか?
- 21.4. Q4. 骨粗鬆症の薬は治療前に中止したほうがよいですか?
- 21.5. Q5. インプラント治療は受けられますか?
- 21.6. Q6. 骨粗鬆症の薬を飲んでいることは歯科医院へ伝える必要がありますか?
- 21.7. Q7. 歯周病を治療すると骨粗鬆症も改善しますか?
- 22. まとめ
- 22.1. 関連記事
- 23. 骨粗鬆症と診断された方へ 歯周病検査・定期クリーニングで歯を守りましょう
- 24. 【動画】歯周病の手遅れの症状
- 25. 筆者・院長
- 25.1. 深沢 一
- 25.1.1. メッセージ
【🎬39秒】閉経後は要注意!骨粗鬆症と歯周病のダブルリスク
歯と骨、実は深くつながっています
「骨粗鬆症は整形外科の病気だから、歯とは関係ない」
そのように思われる方は少なくありません。
しかし実際には、骨粗鬆症と歯周病はどちらも「骨」に関わる病気であり、互いに影響し合うことが分かってきています。
骨粗鬆症になると、全身の骨だけでなく、歯を支えている**歯槽骨(しそうこつ)**も弱くなる可能性があります。さらに歯周病が加わることで、歯を支える骨の吸収が進みやすくなり、歯を失うリスクが高まることがあります。
また、骨粗鬆症の治療薬には、歯科治療の際に注意が必要なものもあります。
この記事では、
- 骨粗鬆症と歯周病の関係
- 閉経後の女性でリスクが高くなる理由
- 骨粗鬆症になると歯は抜けやすくなるのか
- 歯を守るために今日からできること
について、医学的根拠をもとに分かりやすく解説します。
骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症とは、骨量(骨密度)の減少や骨質の劣化によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
日本では約1,000万人以上が罹患していると推定され、その約8割を女性が占めています。特に閉経後は女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、骨量が急激に減少しやすくなります。
骨粗鬆症で起こりやすい骨折
骨粗鬆症では、ちょっとした転倒や軽い衝撃でも骨折することがあります。
特に骨折しやすい部位は次のとおりです。
- 大腿骨近位部(脚の付け根)
- 背骨(脊椎圧迫骨折)
- 手首(橈骨遠位端)
- 上腕骨近位部(肩)
特に高齢者では、大腿骨近位部骨折をきっかけに歩行が困難となり、要介護状態へ進行することも少なくありません。
そのため、骨粗鬆症は「骨が弱くなるだけの病気」ではなく、健康寿命にも大きく関わる全身疾患として考えられています。
骨粗鬆症は歯を支える骨にも影響します
歯は顎の骨の中に埋まっています。
正確には**歯槽骨(しそうこつ)**と呼ばれる骨によって支えられています。
骨粗鬆症になると、全身の骨と同様に歯槽骨も骨代謝の影響を受けます。
骨粗鬆症だけで歯が抜けることは通常ありませんが、歯周病がある場合には歯槽骨が失われやすくなり、歯を支える力が弱くなる可能性があります。
骨は常に生まれ変わっています

骨は一度できたら変化しないものではありません。
体の中では毎日、
- 古い骨を壊す「骨吸収」
- 新しい骨を作る「骨形成」
という働きが繰り返されています。
このバランスによって健康な骨が維持されています。
しかし、加齢やホルモンバランスの変化などにより骨吸収が骨形成を上回ると、骨密度が低下し、骨粗鬆症へと進行します。
骨粗鬆症と歯周病の関係
歯周病は歯ぐきではなく「骨」の病気です

歯周病というと「歯ぐきの病気」というイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、実際に歯を失う原因となるのは、歯ぐきの腫れではなく歯を支える歯槽骨が溶けてしまうことです。
歯周病菌が歯周ポケット内で増殖すると、体の免疫反応によって炎症が起こります。
この炎症が長期間続くと、炎症性サイトカインなどの働きによって歯槽骨が少しずつ吸収されていきます。
その結果、
- 歯周ポケットが深くなる
- 歯ぐきが下がる
- 歯がぐらつく
- 最終的には歯が抜けてしまう
という経過をたどります。
骨粗鬆症と歯周病は「骨」を介してつながっています

骨粗鬆症では、全身の骨密度が低下します。
一方、歯周病では炎症によって歯槽骨が吸収されます。
つまり、どちらも骨の健康に関わる病気です。
近年の研究では、
- 骨密度が低い人ほど歯槽骨の吸収が進みやすい
- 閉経後女性では歯周病が重症化しやすい
- 骨粗鬆症患者では歯の喪失本数が多い傾向がある
ことが報告されています。
ただし、骨粗鬆症そのものが歯周病の直接的な原因になるわけではありません。
歯周病はあくまでも細菌感染によって起こる病気です。
しかし、骨粗鬆症によって歯槽骨が弱くなることで、歯周病が進行しやすい環境になる可能性があると考えられています。
慢性炎症は全身にも影響します
歯周病はお口だけの病気ではありません。
歯周病による慢性的な炎症は、血液を介して全身へ影響を及ぼすことが知られており、
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 心血管疾患
- 誤嚥性肺炎
などとの関連が報告されています。
近年では、骨代謝との関連についても研究が進められており、歯周病と骨粗鬆症は互いに影響し合う可能性がある全身疾患として注目されています。
閉経後女性との関係

女性ホルモンの減少が骨と歯ぐきの健康に影響します
閉経後の女性では、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少します。
エストロゲンには骨吸収を抑える働きがあるため、その分泌が減少すると骨密度が低下しやすくなります。
さらに、エストロゲンは歯周組織の健康維持にも関わっています。
そのため閉経後は、
- 骨粗鬆症
- 歯周病
- 歯肉退縮
- ドライマウス
などのリスクが高くなることが知られています。
閉経後は歯周病が進行しやすい理由

閉経後は、
- 骨密度の低下
- 歯槽骨の脆弱化
- 歯ぐきの血流低下
- 炎症反応の変化
- 唾液分泌量の減少
など複数の要因が重なることで、歯周病が進行しやすくなります。
特に50歳以降で歯ぐきから出血する、歯が長く見える、歯が揺れるなどの症状がある場合は、早めに歯周病検査を受けることが大切です。
骨粗鬆症になると歯は抜けやすくなる?

骨粗鬆症だけで歯が抜けることはありません
「骨粗鬆症になると歯が抜ける」と心配される方がいますが、骨粗鬆症だけが原因で歯が自然に抜けることは通常ありません。
歯を失う最大の原因は、歯周病やむし歯です。
しかし、骨粗鬆症によって歯を支える骨が弱くなっている状態で歯周病になると、歯槽骨の吸収が進みやすくなり、結果として歯を失うリスクが高くなる可能性があります。
つまり、
骨粗鬆症+歯周病
この組み合わせが最も注意すべき状態といえます。
歯を守るためには歯周病の管理が重要です
骨粗鬆症そのものを変えることは難しくても、歯周病は予防・治療できる病気です。
定期的な歯科検診で歯周病を早期に発見し、歯石除去や専門的なクリーニングを継続することで、歯槽骨へのダメージを最小限に抑えられる可能性があります。
また、骨粗鬆症で治療中の方は、服用している薬によって歯科治療の進め方が変わる場合があります。
そのため、歯科を受診する際は、現在使用している薬の名前や注射治療の有無を必ず歯科医師へ伝えることが大切です。
歯と骨の健康は切り離して考えることはできません。全身の健康管理とあわせて、お口の健康を維持することが、生涯ご自身の歯で食事を楽しむための第一歩となります。
骨粗鬆症の薬を飲んでいる方へ
歯科治療の前に知っておきたい「顎骨壊死(MRONJ)」について

骨粗鬆症の治療薬は、骨折を予防し、健康寿命を延ばすために非常に重要な薬です。
一方で、一部の骨粗鬆症治療薬では、まれではあるものの**「薬剤関連顎骨壊死(Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw:MRONJ)」**という副作用が報告されています。
そのため、「骨粗鬆症の薬を飲んでいるから抜歯はできない」と誤解されることがありますが、実際にはそうではありません。
薬を自己判断で中止したり、歯科受診を避けたりすることはかえって危険です。
大切なのは、現在使用している薬を歯科医師へ正しく伝え、主治医と連携しながら適切に治療を進めることです。
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)とは?
MRONJとは、骨粗鬆症やがん治療に使用される一部の薬剤の影響により、顎の骨が露出したまま治癒せず、骨が壊死してしまう病気です。
顎の骨は、食事や会話などで毎日大きな負荷がかかるだけでなく、歯を介して細菌が侵入しやすい特殊な環境にあります。
そのため、骨の代謝が抑えられた状態で感染や外科処置が加わると、ごくまれに骨の治癒が遅れ、MRONJを発症することがあります。
MRONJの主な症状
初期には症状がほとんどないこともありますが、進行すると次のような症状がみられます。
- 顎の骨が露出して治らない
- 歯ぐきの腫れや痛み
- 膿が出る
- 歯がぐらつく
- 顎のしびれ
- 口臭が強くなる
- 顎の骨折(重症例)
早期に発見すれば保存的な治療で改善することもありますが、進行すると治療が長期化する場合があります。
MRONJは抜歯だけが原因ではありません
「抜歯をすると顎骨壊死になる」と思われがちですが、実際にはそれだけではありません。
近年では、重度の歯周病や根尖病変など、慢性的な感染そのものがMRONJの発症リスクになることが分かっています。
つまり、
- 歯周病を放置する
- 根の先に膿がある歯を放置する
- 歯ぐきが腫れたままにする
こうした状態のほうが、長期的にはリスクを高める可能性があります。
そのため、骨粗鬆症治療を開始する前から、お口の中を健康な状態に保つことが非常に重要です。
MRONJのリスクを高める要因
次のような要因が重なると、MRONJの発症リスクが高くなると考えられています。
- BP製剤・デノスマブなどの使用
- がん治療で高用量の骨吸収抑制薬を使用している
- 長期間の薬物療法
- 重度歯周病
- 根尖病変
- 抜歯やインプラントなどの外科処置
- 合わない入れ歯による慢性的な刺激
- 喫煙
- 糖尿病
- ステロイド薬の長期使用
- 抗がん剤治療
- 口腔清掃状態が悪い
骨粗鬆症の患者さんでは、お口の中を清潔に保ち、歯周病を予防することがMRONJ予防につながります。
骨粗鬆症治療薬別の注意点

ビスホスホネート(BP)製剤
主な薬剤
- ボナロン®(アレンドロン酸)
- フォサマック®
- ベネット®(リセドロン酸)
- アクトネル®
- ボンビバ®
- リクラスト®(ゾレドロン酸)
特徴
BP製剤は、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑え、骨密度を維持する薬です。
骨の中に長期間蓄積されるという特徴があります。
歯科治療での注意点
- MRONJとの関連が最もよく知られている薬です。
- 骨粗鬆症治療で使用する通常量では発症頻度は低いとされています。
- しかし長期間使用している方や他のリスク因子がある場合には注意が必要です。
自己判断で休薬することは推奨されません。
デノスマブ(プラリア®)
デノスマブは、破骨細胞の働きを抑える注射薬です。
6か月ごとに皮下注射を行います。
特徴
BP製剤とは作用機序が異なりますが、MRONJのリスクは同程度と考えられています。
一方で、薬の効果は時間とともに低下するため、自己判断で注射を中止すると骨折リスクが急激に高まることがあります(リバウンド現象)。
注意点
歯科治療が必要な場合は、
- 整形外科
- 内科
- 歯科
が連携し、治療時期を調整することがあります。
自己判断で注射を延期・中止してはいけません。
ロモソズマブ(イベニティ®)
ロモソズマブは、骨形成を促進すると同時に骨吸収を抑える新しいタイプの薬です。
毎月1回、12か月間注射します。
特徴
骨を作る働きを高めながら骨吸収も抑えるため、高い骨折予防効果があります。
歯科での注意点
MRONJの報告はありますが、頻度は高くありません。
それでも抜歯などの外科処置では、服用中であることを歯科医師へ必ず伝えることが重要です。
テリパラチド(フォルテオ®・テリボン®)
テリパラチドは、副甲状腺ホルモン(PTH)の作用を利用した骨形成促進薬です。
特徴
骨を壊すのではなく、新しい骨を作る働きを促進します。
歯科での注意点
MRONJのリスクを高める薬ではありません。
むしろ一部では、MRONJの治療補助として使用された報告もあります。
通常の歯科治療で特別な制限はありませんが、使用していることは必ず伝えてください。
SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
主な薬剤
- エビスタ®(ラロキシフェン)
- ビビアント®(バゼドキシフェン)
閉経後女性に多く使用されます。
特徴
女性ホルモンに似た作用を持ち、骨量の減少を抑えます。
歯科での注意点
MRONJとの関連はほとんどありません。
通常の歯科治療は問題なく受けられます。
活性型ビタミンD製剤
主な薬剤
- エディロール®
- アルファロール®
- ワンアルファ®
特徴
カルシウム吸収を高め、骨代謝を改善します。
歯科での注意点
MRONJとの関連はありません。
ただし他の骨粗鬆症治療薬と併用されることが多いため、服薬内容はすべて申告してください。
骨粗鬆症治療中でも歯科治療は受けられます

骨粗鬆症の薬を使用しているからといって、歯科治療ができないわけではありません。
実際には、
- 歯石除去
- 歯周病治療
- むし歯治療
- 根管治療
- 入れ歯治療
など、多くの治療は通常どおり受けられます。
抜歯やインプラントなど外科的処置が必要な場合には、主治医と情報共有を行いながら安全に治療計画を立てます。
歯科受診前に必ず伝えていただきたいこと

骨粗鬆症治療を受けている方は、初診時や治療前に次の内容を歯科医師へお伝えください。
チェックリスト
- 骨粗鬆症と診断されている
- 現在飲んでいる薬の名前
- 注射薬の種類
- 最終注射日
- 治療開始時期
- 整形外科・内科の病院名
- がん治療歴の有無
- ステロイド薬を使用しているか
- 糖尿病などの持病
可能であれば、お薬手帳をご持参いただくと確認がスムーズです。
骨粗鬆症の薬を自己判断で中止しないでください
インターネットでは、「歯科治療の前には骨粗鬆症の薬を止めたほうがよい」という情報を目にすることがあります。
しかし現在の国内外のガイドラインでは、自己判断での休薬は推奨されていません。
特にデノスマブでは、休薬によって短期間で骨折リスクが高まることが知られています。
薬を続けるか、一時的に調整するかは、骨折リスクと顎骨壊死リスクの両方を考慮し、整形外科・内科・歯科が連携して判断します。
お口の健康を守ることがMRONJ予防につながります
MRONJは非常に心配な副作用ですが、骨粗鬆症治療を受けているすべての方に起こるわけではありません。
むしろ、日頃から歯周病を予防し、お口の中を清潔に保つことが最も重要な予防策です。
歯ぐきから血が出る、歯がぐらつく、歯ぐきが腫れているなどの症状がある方は、放置せず早めに歯科を受診しましょう。
骨粗鬆症の治療と歯科治療は両立できます。医科と歯科が連携しながら適切に管理することで、安全にお口の健康を守ることが可能です。
骨粗鬆症の人が歯を守る方法

今日から始められる5つの予防習慣
骨粗鬆症と診断されても、適切な生活習慣と歯周病予防を続けることで、歯を長く健康に保てる可能性があります。
歯を守るために大切なのは、「歯磨きだけ」ではありません。
骨の健康とお口の健康を同時に守ることが重要です。
定期的な歯科検診を受けましょう
歯周病は初期には自覚症状が少なく、気付かないうちに進行することがあります。
骨粗鬆症では歯槽骨が弱くなっている可能性があるため、歯周病を早期に発見し、進行を防ぐことが重要です。
歯科医院では、
- 歯周ポケット検査
- 歯石除去
- バイオフィルム除去
- ブラッシング指導
- レントゲンによる骨吸収の確認
などを定期的に行うことで、お口の状態を継続的に管理できます。
歯周病は早期に治療を開始するほど、歯を残せる可能性が高まります。
毎日のセルフケアを丁寧に行いましょう
歯周病は細菌感染によって起こります。
毎日の歯磨きによって歯垢(プラーク)を取り除くことが基本となります。
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは十分に落とせないため、
- デンタルフロス
- 歯間ブラシ
も併用しましょう。
毎日の小さな積み重ねが、歯周病予防につながります。
食事で骨と歯を丈夫にする
骨粗鬆症の予防というとカルシウムばかりが注目されますが、実際にはさまざまな栄養素が必要です。
ー 食事 ー
カルシウムの過剰摂取を避ける。カルシウム豊富な食材を意識して摂取する必要はありません。むしろ、マグネシウムを多く含む食材(きな粉、イワシ丸干し、干しえび、アオサ、青のり、わかめ、ひじき)を摂取することが重要です。
カルシウムだけでは十分ではありません
カルシウムは骨の材料になりますが、それだけでは丈夫な骨は作れません。
骨代謝を正常に保つためには、
- マグネシウム
- ビタミンD
- ビタミンK
- たんぱく質
- ビタミンC
なども重要です。
特に意識したいマグネシウム
近年では、カルシウムだけでなくマグネシウムの重要性も注目されています。
マグネシウムは骨の形成や骨質の維持に関わる栄養素です。
不足すると骨代謝に影響を与える可能性があります。
マグネシウムを多く含む食品
- あおさ
- 青のり
- わかめ
- ひじき
- 昆布
- 干しえび
- イワシ
- メザシ
- きな粉
- アーモンド
- 納豆
これらを日常の食事に取り入れることで、骨の健康維持に役立ちます。
ビタミンDも欠かせません
ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を助けます。
不足すると骨密度の低下につながることがあります。
ビタミンDを多く含む食品
- 鮭
- サンマ
- イワシ
- サバ
- キノコ類
食事だけでなく日光浴によっても体内で作られます。
たんぱく質もしっかり摂りましょう
骨はカルシウムだけではできていません。
コラーゲンなどのたんぱく質も重要な構成成分です。
肉・魚・卵・大豆製品などをバランスよく摂ることが大切です。
適度な運動は骨を強くします
ー 運動 ・日光浴ー
骨に力をかけることで、骨を強くする。日光にあたると皮下でビタミンDがつくられる(腸からのカルシウムの吸収を高める)。昼間に30分ほど外にいるだけでも十分(夏は日陰でもよい)。
骨は適度な刺激を受けることで丈夫になります。
特におすすめなのは、
- ウォーキング
- 階段の昇降
- 軽い筋力トレーニング
- スクワット
- バランス運動
です。
無理のない範囲で継続することが骨密度の維持につながります。
転倒予防にも役立つため、高齢者では特に重要です。
日光浴でビタミンDを作る
ビタミンDは皮膚が紫外線を浴びることで体内でも作られます。
そのため、適度な日光浴も骨粗鬆症予防には欠かせません。
目安としては、
- 夏:15〜30分程度
- 冬:30〜60分程度
屋外で過ごすだけでもビタミンDの生成が期待できます。
※地域や季節、肌の状態によって必要な時間は異なります。
禁煙も大切です
喫煙は、
- 骨密度の低下
- 血流悪化
- 歯周病悪化
- 傷の治りを遅らせる
など、骨と歯の両方に悪影響を及ぼします。
歯を守るためにも禁煙をおすすめします。
セルフチェック

あなたは大丈夫?
次の項目に当てはまるものがあるか確認してみましょう。
□ 50歳以上である
□ 閉経している
□ 骨粗鬆症と診断された
□ 骨粗鬆症の薬を服用・注射している
□ 歯ぐきから血が出る
□ 歯ぐきが腫れることがある
□ 歯が長く見えるようになった
□ 歯がぐらつく
□ 歯石取りを1年以上受けていない
□ 喫煙している
□ 糖尿病がある
□ 入れ歯が合わなくなってきた
チェック結果の目安
0~2項目
現在は大きなリスクは高くない可能性があります。
今後も定期的な歯科検診を継続しましょう。
3~5項目
歯周病や骨粗鬆症による影響が始まっている可能性があります。
一度歯周病検査を受けることをおすすめします。
6項目以上
歯周病が進行している可能性があります。
早めに歯科医院で精密検査を受けましょう。
また、骨粗鬆症治療中の方は、お薬手帳を持参してください。
このような症状がある方は早めに受診しましょう
次のような症状がある場合は、歯周病が進行している可能性があります。
- 歯ぐきから出血する
- 歯ぐきが繰り返し腫れる
- 歯が浮いた感じがする
- 歯が揺れる
- 噛みにくくなった
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが下がってきた
- 膿が出る
- 骨粗鬆症の薬を開始する予定である
- 骨粗鬆症治療中で抜歯を予定している
このような場合は自己判断せず、早めに歯科医院へ相談しましょう。
歯科と医科が連携して歯を守ります
骨粗鬆症と歯周病は、それぞれ別の病気ですが、どちらも骨の健康に深く関係しています。
そのため、
- 歯科
- 整形外科
- 内科
が連携して治療を進めることで、安全に骨粗鬆症の治療と歯科治療を両立できます。
骨粗鬆症だから歯を失うのではなく、歯周病を適切に管理することが、将来ご自身の歯を守ることにつながります。
毎日のセルフケアと定期的な歯科検診を続け、お口と全身の健康を一緒に守っていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 骨粗鬆症になると歯は自然に抜けますか?
いいえ。骨粗鬆症だけが原因で歯が自然に抜けることは通常ありません。ただし、歯周病があると歯を支える歯槽骨が失われやすくなり、歯を失うリスクが高まる可能性があります。
Q2. 骨粗鬆症の薬を飲んでいても歯石取りはできますか?
はい。通常の歯石取りやクリーニングは、多くの場合問題なく受けられます。むしろ、お口を清潔に保つことはMRONJの予防にもつながるため、定期的なメンテナンスが重要です。
Q3. 骨粗鬆症の薬を飲んでいると抜歯はできませんか?
いいえ。抜歯が必要な場合でも、多くは適切な診査・診断のもとで安全に行うことが可能です。治療計画は歯科医師が必要に応じて内科や整形外科と連携しながら進めます。
Q4. 骨粗鬆症の薬は治療前に中止したほうがよいですか?
自己判断で中止してはいけません。特にデノスマブでは、急な中止により骨折リスクが高まることが知られています。休薬の必要性は主治医と歯科医師が総合的に判断します。
Q5. インプラント治療は受けられますか?
骨粗鬆症だからといって、必ずしもインプラント治療ができないわけではありません。骨の状態や服用している薬、全身状態などを総合的に評価して適応を判断します。
Q6. 骨粗鬆症の薬を飲んでいることは歯科医院へ伝える必要がありますか?
はい。服用中または注射中の薬の種類や開始時期は、歯科治療の計画を立てるうえで非常に重要な情報です。受診時にはお薬手帳を持参し、必ず歯科医師へお伝えください。
Q7. 歯周病を治療すると骨粗鬆症も改善しますか?
歯周病治療で骨粗鬆症が改善するわけではありません。しかし、歯周病をコントロールすることで歯槽骨の破壊を抑え、歯を長く残せる可能性が高まります。
まとめ
骨粗鬆症と歯周病は、「骨」という共通点を持つ密接な関係のある病気です。
骨粗鬆症だけで歯が抜けることは通常ありませんが、歯周病が加わることで歯を支える骨が失われやすくなり、歯を失うリスクが高まる可能性があります。
また、骨粗鬆症治療薬の一部では、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)への配慮が必要ですが、多くの歯科治療は適切な管理のもとで安全に受けることができます。
歯を守るためには、
- 定期的な歯科検診
- 歯周病の早期発見・早期治療
- 毎日のセルフケア
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- 日光浴
- 禁煙
を継続することが大切です。
骨粗鬆症と診断された方や骨粗鬆症治療薬を使用している方は、お口の健康管理も全身の健康管理の一部として考え、気になる症状があれば早めに歯科医院へご相談ください。
関連記事
骨粗鬆症と診断された方へ 歯周病検査・定期クリーニングで歯を守りましょう

骨粗鬆症の治療では、骨折を予防することだけでなく、お口の健康を維持することも大切です。
当院では、歯周病検査やレントゲン検査を行い、お口の状態を詳しく確認したうえで、一人ひとりに合わせた予防・治療をご提案しています。
また、骨粗鬆症治療薬を使用されている方には、必要に応じて主治医と連携しながら、安全に歯科治療を進めています。
「骨粗鬆症の薬を飲んでいるけれど歯科治療が心配」
「歯ぐきから血が出る」
「歯がぐらついてきた」
このようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
【動画】歯周病の手遅れの症状
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。












