目次

シェードガイドの基本定義

シェードガイドとは、歯の色調を判別・比較するための基準となる色見本のことです。歯科治療やホワイトニングの際に、患者の歯の色を正確に把握し、適切な治療計画を立てるために使用されます。一般的には、色見本が並んだプレート状のツールで、歯の白さや黄ばみの程度を分類するために用いられます。

何のために使うのか?(用途・目的)

シェードガイドは、主に以下の目的で使用されます。

シェードガイドB1を歯に当ててみる
シェードガイドB1を歯と比べる
シェードガイドB1を歯と比べる

色合わせ

写真は、ビタシェードの中で最も明度が高いB1シェードです。B1に比べ天然歯は黄色みが強いのが分かります。

色合わせをするときは、最も歯の色に近そうなものを選んで歯に添わしてみます。

ホワイトニングで歯の色が変化したとき、たとえば「A4シェードがA1シェードになった」というような言い方をします。

  • ホワイトニングの効果測定
    ホワイトニング前後の歯の色を比較し、施術効果を評価するために用いられます。
  • 補綴物(被せ物・入れ歯)の色合わせ
    クラウン(被せ物)やブリッジ、部分入れ歯などの色を患者の天然歯と調和させるために活用されます。
  • 歯科治療における色調記録
    患者の歯の色を記録し、経過を追う際の基準として使用されます。
  • 審美歯科・美容歯科での活用
    自然な仕上がりを求める審美歯科治療では、患者の希望する歯の白さを決定するために欠かせません。

シェードガイドの歴史と発展

シェードガイドの歴史は、歯科材料の発展と密接に関わっています。

  • 初期のシェードガイド
    19世紀後半から20世紀初頭にかけて、歯科医師は手作りの色見本を用いて歯の色を判定していました。
  • 標準化の進展(20世紀)
    1920年代にVITA社が最初の標準化されたシェードガイド「VITA クラシック」を開発し、世界中の歯科医で広く使われるようになりました。
  • 最新技術の導入(21世紀)
    近年では、デジタルシェードマッチング技術が進化し、AIを活用した色調診断が可能になっています。3Dスキャナーやスペクトロフォトメーターを用いた測定が行われ、より正確な色合わせが可能になっています。

日本と海外のシェードガイドの違い

シェードガイドには、日本国内と海外での使用環境の違いによる特徴があります。

  • 日本のシェードガイドの特徴
    • 日本人の歯の色は、欧米人と比べて黄色味が強い傾向にあるため、より自然な色調の選択肢が必要です。
    • 国内メーカー(松風、GCなど)が独自のシェードガイドを開発し、日本市場に最適化した色調を提供しています。
  • 海外のシェードガイドの特徴
    • 欧米では、ホワイトニング志向が強く、非常に明るい色調(ブリーチングシェード)が充実しています。
    • VITA社(ドイツ)やKuraray Noritake(日本・海外向け)がグローバルスタンダードとして広く利用されています。
  • 日本と海外のホワイトニングトレンドの違い
    • 日本では、自然な白さを求める傾向が強く、A系統(やや黄味がかった白)が主流。
    • 欧米では、極端に白いブリーチングシェード(B1より白い色)が人気。

このように、日本と海外ではシェードガイドのニーズや利用方法に違いがあり、患者の希望に応じた適切な選択が求められます。

シェードガイドの種類

代表的なシェードガイドの種類

シェードガイドにはさまざまな種類があり、用途や精度によって異なる特徴を持っています。ここでは、代表的なシェードガイドを紹介します。

VITAシェードガイド
VITAシェードガイド

シェードガイドは左から明度順に並ぶ

左から明度(白い)順にB1, A1, B2, D2, A2, C1, C2, D3, A3, D4, B3, A3.5, B4, C3, A4, C4の16段階になります。

つまり、左ほど白い歯ということが出来ます。

実際のやり方はシェードガイドを歯の近くに持って行き、最も近い色のものをその歯のシェードと判定します。

日本人の標準的なシェード

一般的に日本人のシェードはA3~A3.5が標準的で、A2であれば、かなり白い歯の方という印象を受けます。

ホワイトニングでほとんどの方の歯をB1やA1程度の白さにすることを目標とします。

また、 A1や B1くらいまで白くなると「この人の歯は白いな」と誰もが感じる白さです。

A1とB1の白さの違いは、人間の目では殆ど判別出来ないくらいです。(シェードガイド2本を同時に持って比べれば分ります。)

VITA クラシック
  • 最も広く使用されている標準的なシェードガイド。
  • A(赤みを帯びた茶色)、B(赤みを帯びた黄色)、C(グレーがかった色)、D(赤みを帯びたグレー)の4系統に分類されている。
  • 審美歯科や補綴治療の際に広く利用される。
VITA 3Dマスター
  • VITAクラシックの進化版で、より詳細な色調分類が可能。
  • 明度(Value)、彩度(Chroma)、色相(Hue)の3要素を基準に色を決定。
  • 29色の組み合わせにより、より自然な色調を再現可能。
オパールエッセンス シェードガイド
  • ホワイトニング後の歯の色調を評価するために特化したシェードガイド。
  • 通常のシェードガイドでは対応しきれない、ブリーチング後の明るい色を測定できる。
ゼンオパール シェードガイド
  • ホワイトニングを前提としたブリーチングシェードを採用。
  • 特に審美歯科やホワイトニング専門クリニックで活用される。
  • FW5やFW2といった特殊なシェードが含まれる。

各シェードガイドの特徴と適用範囲

シェードガイド名特徴適用範囲
VITA クラシック歯科業界の標準、広く使用一般歯科、補綴治療、審美歯科
VITA 3Dマスター3次元色彩モデルでより正確な診断高精度な補綴治療、審美歯科
オパールエッセンス シェードガイドホワイトニング後の歯の色を測定ホワイトニング、審美歯科
ゼンオパール シェードガイド特殊なブリーチングシェード対応審美歯科、ホワイトニング

シェードガイドの選択(用途別の選択基準)

用途によって最適なシェードガイドが異なります。以下の基準をもとに選択すると効果的です。

  • 一般的な歯の色調を確認したい場合
    VITA クラシックが最適。広く歯科業界で使われ、補綴治療にも適応。
  • より正確な色調を測定したい場合
    VITA 3Dマスターが推奨。色の明度・彩度・色相を詳細に分類。
  • ホワイトニング前後の色を比較したい場合
    オパールエッセンス シェードガイドを使用。ブリーチング後の白さを正確に測定。
  • ホワイトニング特化の色調測定が必要な場合
    ゼンオパール シェードガイドが適しており、ブリーチング後の色調が測定可能。

シェードガイド価格の相場と購入方法

価格の相場

シェードガイドの価格は種類やメーカーによって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

シェードガイド名価格帯(目安)
VITA クラシック8,000円〜15,000円
VITA 3Dマスター20,000円〜40,000円
オパールエッセンス シェードガイド10,000円〜25,000円
ゼンオパール シェードガイド15,000円〜30,000円
購入方法

シェードガイドは、以下の方法で購入できます。

  • 歯科材料専門店
    松風、GC、白水貿易などの歯科材料メーカーが取り扱い。
  • オンライン通販
    Amazon、楽天、FEEDデンタルなどで販売されている。
  • メーカー公式サイト
    VITA、Kuraray Noritake、松風などの公式サイトから直接購入可能。

歯科医院向けのものは歯科材料業者経由での購入が一般的ですが、個人でも通販サイトを利用すれば手に入る場合があります。

シェードガイドの使い方

正しいシェードマッチングの手順

シェードガイドを正しく使用することで、より自然な色調の補綴物(被せ物やブリッジなど)を作成できます。以下の手順に従うことが重要です。

セルフホワイトニングのメカニズム
歯の色光源によって異なる

歯科で行うシェードテイキングとは、患者さんの歯の近くにシェードガイドを持って行き、歯の色のタイプや明るさを調べることをいいます。

ホワイトニングでは術前の歯の色を記録し、術後の歯の色との変化を比較します。

蛍光灯の下と太陽光の下では歯の色の見え方が違うためシェードテイキングを行う際には、歯科専用の治療用ライトを消して、出来る限る自然な太陽光のもとで調べます。

1. 照明環境の調整
  • 自然光のもとで確認
    自然光(5,500K前後)やデイライトLEDを使用し、蛍光灯や白熱灯などの人工照明は避ける。
  • 明るすぎる光はNG
    過度な光源は歯の色を正しく判定できないため、均一な照明環境で観察する。
  • グレーの背景を使用
    白やカラフルな背景は視覚的な影響を与えるため、ニュートラルグレーの背景を用意する。
2. 口腔内の考慮
  • 乾燥した歯は色が違って見える
    口を長時間開けすぎると歯が乾燥し、本来の色より白く見えてしまうため、適度な水分状態を保つ。
  • リップカラーやメイクの影響を最小限に
    口紅や濃いメイクは色の認識に影響するため、ナチュラルな状態で行う。
3. カラーサンプルの適用方法
  • 歯の中央部にシェードガイドを並べる
    歯の明度や彩度が最も安定する中央部で色を比較。
  • 上下の歯と比較しながら選ぶ
    隣接する歯の色調とバランスを考慮しながら決定する。
  • 短時間で判断する(5秒以内)
    長時間見ると目が慣れてしまうため、直感的に判断する。

A1, A2, A3, A3.5シェードの見え方

A1シェード

A1シェード


A1シェードを歯の色と比べています。かなり近い色ですね。

A2シェード

A2シェード


A2シェードを同じ人の歯に合わせています。A2シェードより白いですね。

A3シェード

A3シェード


A3シェードを歯に合わせてみました。上顎の中切歯はホワイトスポットがあるため白っぽく見えますが、A3シェードに近い色をしています。

下顎の側切歯はA3シェードと言ってよいでしょうね。

A3.5シェード

A3.5シェード


A3.5シェードを歯に合わせてみました。天然歯の方が遥かに白いですね。

間違ったシェードマッチングを防ぐ方法

シェードガイドの使用時には、いくつかの注意点を押さえることで誤ったマッチングを防ぐことができます。

  • 不適切な照明環境を避ける
    • 室内の黄色い電球や蛍光灯は歯の色を不自然に見せるため、デイライトLEDや自然光を活用。
  • 歯の乾燥を防ぐ
    • 長時間の診察で歯が乾燥すると、実際より白く見えるため、必要に応じて水分を補給しながら確認。
  • 隣接歯の影響を考慮する
    • 単独の歯だけでなく、周囲の歯との調和を意識して選択。
  • 目の疲労を避ける
    • 長時間シェードガイドを見続けると色の認識が鈍るため、定期的に休憩しながら作業を進める。

シェードガイドを使った診断の実例

実際の歯科診療において、シェードガイドを活用した診断の具体例を紹介します。

ケース1: ホワイトニング前後の比較
  • 患者のホワイトニング前の歯の色を記録(例:A3)。
  • 施術後にB1まで白くなったことを確認し、施術の成功を評価。
ケース2: セラミッククラウンの色合わせ
  • 隣接する歯の色を考慮し、VITA 3Dマスターを用いて最も自然な色を選定。
  • 補綴技工士に正確な情報を提供し、より自然な仕上がりを実現。
ケース3: 入れ歯の人工歯の選択
  • 高齢患者の歯の色に合わせ、VITAクラシックのC系統から適切なシェードを選択。
  • 全体のバランスを確認しながら、人工歯の色を決定。

歯科治療におけるシェードガイドの役割

被せ物(クラウン・ブリッジ)作成時の活用

シェードガイドは、補綴治療(クラウン・ブリッジなど)において、天然歯と人工歯の色を調和させるために不可欠なツールです。

1. 天然歯との色調の統一
  • クラウン(被せ物)やブリッジを作製する際、患者の歯の色に合わせた人工歯を選択する。
  • シェードガイドを使用して、最も自然な色調を再現することで、違和感のない仕上がりを実現。
2. 技工士との情報共有
  • 歯科医が選んだシェード情報を技工所へ伝え、セラミックやジルコニアなどの補綴物の色を調整。
  • VITAクラシックVITA 3Dマスターなどの標準化されたシェードガイドを使用することで、技工士との意思疎通がスムーズに。
3. 患者の満足度向上
  • 「白すぎる」または「暗すぎる」といった仕上がりのズレを防ぎ、患者の希望に合った自然な歯を提供。
  • 色調確認を事前に行い、患者の意見を反映させることで、満足度を高める。

ホワイトニング治療前後の色調確認

ホワイトニングを行う際、シェードガイドを用いることで施術前後の色の変化を客観的に評価できます。

1. ホワイトニング前の色調記録
  • オパールエッセンス シェードガイドゼンオパール シェードガイドなど、ホワイトニング用のシェードガイドを使用し、元の歯の色を確認。
  • 色調を記録することで、ホワイトニング後の効果を明確に比較可能。
2. 施術後の色調評価
  • ホワイトニングの回数や施術効果を数値化し、患者と共に成果を確認。
  • 「B1」よりも白いブリーチングシェード(VITA BL1, BL2)を用いて評価。
3. ホワイトニング後のメンテナンス指導
  • 施術後の色戻りを防ぐため、患者に適切なケア方法(ホワイトニング歯磨き粉の使用、着色しやすい飲食物の回避)を指導。
  • 数か月後に再評価し、色調維持のための追加施術を提案。

歯の色タイプ別分類:A、B、C、Dタイプの特徴とホワイトニング効果

色調

 色調による分類

歯の色はA,B,C,Dの4タイプの色調に分類されます。タイプごとに明度順に左から並べてあります。

Aタイプ:赤茶色A1<A2<A3<A3.5<A4
Bタイプ:赤黄色B1<B2<B3<B4
Cタイプ:灰色C1<C2<C3<C4
Dタイプ:赤灰色D2<D3<D4  (D1はありません)
※ホワイトニングによって最も歯が白くなりやすいのは赤茶色系のAタイプ、次いで赤黄色のBタイプ、最も歯が白くなりにくいのが灰色系のCタイプです。歯の色のタイプは個人個人で異なるので、ホワイトニングを行ってC1シェード(Cタイプ)が A1シェード(Aタイプ)になるということはありません。

明度

 明度による分類

明度順にB1< A1< B2< D2< A2< C1< C2< D3< A3< D4< B3< A3.5< B4< C3< A4< C4の16段階になります。

部分入れ歯・インプラントにおける色調審査

部分入れ歯やインプラント治療では、周囲の歯と調和する自然な色を選ぶことが重要です。

1. 部分入れ歯の人工歯選び
  • 部分入れ歯の人工歯は、隣接する天然歯と色を合わせる必要がある。
  • シェードガイドを用いて、年齢や口腔環境に応じた適切な色を選択。
2. インプラントの上部構造の色調確認
  • インプラントの上部構造(セラミッククラウンなど)を選定する際、シェードガイドで最適な色を決定。
  • 歯肉の色との調和も考慮し、色の選択を行う。
3. 長期間の色調維持
  • インプラントや部分入れ歯の人工歯は、天然歯と異なり経年的な変色が少ないため、周囲の歯との色のバランスを長期的に考慮する。

審美歯科と一般歯科での活用の違い

シェードガイドの利用は、審美歯科と一般歯科で異なるアプローチが取られます。

1. 一般歯科におけるシェードガイドの役割
  • 主にクラウンやブリッジ、部分入れ歯などの補綴治療で使用。
  • 保険診療の範囲内で、できるだけ自然な色調を選択する。
  • 患者の口腔機能の回復が最優先であり、色の細かな調整よりも耐久性や機能性を重視。
2. 審美歯科におけるシェードガイドの役割
  • ホワイトニング、ラミネートベニア、オールセラミック治療などで積極的に活用。
  • 「より白く」「より自然に」といった審美的な要望に対応するため、細かい色調の調整が必要。
  • デジタルシェードマッチング(分光光度計やAI技術を活用)を取り入れ、より精密な色調診断を行う。
3. 具体的な違いの比較表
比較項目一般歯科審美歯科
目的機能回復が優先美しい仕上がりが優先
シェード選択保険適用の範囲で選択患者の要望に応じた細かな調整
使用するシェードガイドVITAクラシックが主流VITA 3Dマスター、ブリーチングシェード対応のガイドを使用
デジタル技術一般的に使用しないAIや分光光度計を活用
患者の満足度基準違和感なく機能回復できればOK理想の白さ・美しさを追求

まとめ

シェードガイドは、歯科治療のあらゆる場面で活用され、特に補綴治療や審美歯科で重要な役割を果たします。
一般歯科では機能回復を重視し、審美歯科では細かな色調調整が求められるため、それぞれに適したシェードガイドの選択が必要です。
また、ホワイトニングやインプラントの診断にも活用され、デジタル技術と併用することで、より正確な色調診断が可能になります。

シェードガイドの注意点

照明や環境による色の見え方の違い

シェードガイドを使用する際、照明や周囲の環境が色の見え方に大きな影響を与えます。

1. 照明の種類による影響
  • 自然光(デイライト):最も正確に歯の色を判断できる。午前中の自然光のもとでの確認が理想的。
  • 蛍光灯:青みがかった光のため、実際より白く見えることがある。
  • 白熱灯:黄味が強く、歯が暗めに見える傾向がある。
  • LED照明:最近ではデンタル用LED(5,500K前後)が推奨されており、安定した光源が確保できる。
2. 周囲の環境による影響
  • 背景色の影響:白い壁やカラフルな背景があると、歯の色の認識に誤差が生じるため、ニュートラルグレーの背景を使用するのが理想。
  • 衣服やメイクの影響:患者の服や口紅の色によって歯の色の印象が変わることがあるため、診察時に注意が必要。
3. 視覚疲労による影響
  • 長時間シェードガイドを見続けると目が疲れ、正しい色を判断しづらくなる。
  • 休憩を取りながら短時間でシェードを決定することが望ましい。

人による色の見え方の個人差

歯の色の見え方は、個人の視覚特性や経験によって異なります。

1. 色覚の個人差
  • 人間の目は個々に色の認識能力が異なるため、歯科医師や技工士の経験がシェードマッチングの精度に影響する。
  • 特に、色弱(色覚異常)を持つ人は、特定の色の違いを識別しにくいことがあるため、補助的にデジタルシェードマッチングを活用することが推奨される。
2. 視覚トレーニングの重要性
  • シェードマッチングのスキルは訓練によって向上する。
  • 歯科技工士や審美歯科医は、定期的にシェードガイドを用いた色彩訓練を行うことで、判断精度を向上できる。
3. 主観的判断を避ける方法
  • デジタルシェードマッチング機器(分光光度計など)を併用することで、客観的なデータをもとに色を決定できる。
  • チームでシェードマッチングを行い、複数の意見を取り入れることで精度を向上させる。

適切な保管方法と劣化の防止

シェードガイドは長期間使用するため、適切に管理しないと劣化し、色の正確性が損なわれる可能性があります。

1. シェードガイドの劣化の原因
  • 紫外線による退色:直射日光や強い照明の下で長期間放置すると、色調が変化する可能性がある。
  • 汚れや変色:頻繁な使用によって汚れが付着すると、元の色調と異なって見えることがある。
  • 摩耗や損傷:シェードチップの表面が傷つくと、光の反射が変わり、色の見え方に影響が出る。
2. 適切な保管方法
  • 専用ケースに収納:使用後は直射日光を避け、適切なケースに保管する。
  • 定期的な清掃:アルコールなどで定期的にクリーニングし、汚れの蓄積を防ぐ。
  • 色の劣化チェック:一定期間ごとに、新しいシェードガイドと比較し、色の変化がないか確認する。
3. 定期的な買い替え
  • 3~5年ごとに新しいシェードガイドに更新し、正確な色調を維持する。
  • デジタルシェードマッチング技術と併用することで、色調管理の精度をさらに向上できる。

シェードガイドと患者満足度の関係

シェードガイドを適切に活用することで、患者の満足度を向上させることができます。

1. 期待と現実のギャップを埋める
  • 患者の「理想の歯の色」と「実際の仕上がり」のギャップを最小限にすることが重要。
  • シェードガイドを用いて、治療前に患者とカウンセリングを行い、仕上がりのイメージを共有する。
2. 治療前の色調説明の重要性
  • ホワイトニングやクラウン治療の前に、患者とシェードを選びながら説明を行うことで、不安を軽減。
  • 「このシェードは自然な仕上がり」「このシェードはより白く見える」など、選択肢を提示しながら話を進める。
3. 色の不満による再治療の防止
  • シェードマッチングが適切に行われないと、患者が「思っていた色と違う」と感じ、再治療を希望するケースがある。
  • 事前にシェードガイドを用いてしっかり確認し、治療後の不満を防ぐ。
4. シェードガイドのデジタル化による信頼性向上
  • デジタルシェードマッチングを活用することで、より正確な色調選択が可能になり、患者への説明もより説得力を持たせることができる。
  • AI診断や分光光度計を用いた客観的なデータを示すことで、患者の納得感が増し、信頼関係の向上につながる。

まとめ

シェードガイドの使用には、照明環境や個人差、適切な保管・管理が重要です。
また、患者とのコミュニケーションをしっかり行い、仕上がりのイメージを共有することで、治療後の満足度を高めることができます。
近年ではデジタル技術の進化により、より正確なシェードマッチングが可能になり、今後の歯科治療においてさらに重要な役割を果たしていくでしょう。

シェードガイドの購入・入手方法

主要メーカーと取り扱い製品

シェードガイドは世界中の歯科材料メーカーによって開発されており、それぞれ異なる特性を持っています。ここでは、主要メーカーとその代表的な製品を紹介します。

1. VITA Zahnfabrik(ヴィータ・ツァーンファブリック)【ドイツ】
  • VITA クラシック:世界で最も広く使用される標準的なシェードガイド。
  • VITA 3Dマスター:より詳細な色調分類が可能な上位モデル。
  • VITA Easyshade® V:デジタルシェードマッチング用の分光光度計。
2. Kuraray Noritake Dental(クラレノリタケデンタル)【日本】
  • シェードガイド EX-3:日本市場向けの色調を採用したセラミックシェードガイド。
  • CrystalEye:デジタルシェードマッチングを可能にする最新機器。
3. Shofu(松風)【日本】
  • 松風 シェードガイド:日本人の歯の色調に合わせたカスタムシェードが可能。
4. GC(ジーシー)【日本】
  • ゼンオパール シェードガイド:ホワイトニングを考慮したブリーチングシェード対応。
5. Ivoclar Vivadent(イボクラール・ビバデント)【スイス】
  • IPS e.max シェードガイド:審美歯科向けの高精度シェードガイド。

シェードガイドが購入できる場所(通販・実店舗)

シェードガイドは、専門的な歯科材料の取扱店やオンラインショップで購入可能です。

1. オンライン通販(歯科医師向け)
2. オンライン通販(一般向け)
  • Amazon(https://www.amazon.co.jp/)
    → 歯科医師向けのシェードガイドのほか、簡易版のシェードガイドも購入可能。
  • 楽天市場(https://www.rakuten.co.jp/)
    → 業務用シェードガイドやホワイトニング用のガイドが出品されている。
3. 実店舗での購入
  • 歯科材料専門店(松風、GC、白水貿易など)
    → 専門店で直接シェードガイドを確認しながら購入可能。
  • 歯科ディーラー経由
    → 大手の歯科ディーラー(モリタ、ヨシダ、ナカニシなど)を通じて購入可能。

歯科医師向けと一般向けの違い

シェードガイドには、歯科医師向けと一般向けで大きな違いがあります。

1. 歯科医師向けのシェードガイド
  • 高精度な色調測定が可能:細かい色の違いまで分類されている。
  • セラミッククラウンやホワイトニングの色調確認に最適
  • 技工士との情報共有がしやすい:統一規格があり、補綴治療で使用可能。
2. 一般向けのシェードガイド
  • 簡易版が多く、低価格で購入可能(プラスチック製の簡易シェードガイドなど)。
  • ホワイトニング用に特化したものが多い(オパールエッセンスなど)。
  • 歯科医療現場での精密な治療には向かない
3. 比較表
項目歯科医師向け一般向け
価格8,000円~40,000円1,500円~5,000円
精度高精度(プロ仕様)簡易的
用途クラウン・ブリッジ・審美歯科ホワイトニングの参考
メーカーVITA, GC, 松風, Kuraray Noritake無名メーカーの簡易品も多い

おすすめのシェードガイドランキング(用途別)

用途ごとに最適なシェードガイドをランキング形式で紹介します。

1. 一般歯科・補綴治療向け
順位製品名特長
1位VITA クラシック世界標準のシェードガイド。補綴治療に最適。
2位VITA 3Dマスター3Dマッピングでより詳細な色調選択が可能。
3位松風 シェードガイド日本人向けのカラーバリエーションが充実。
2. ホワイトニング向け
順位製品名特長
1位オパールエッセンス シェードガイドホワイトニング後の色調測定に特化。
2位ゼンオパール シェードガイドブリーチングシェード対応。
3位VITA BL シェードガイドB1よりも白いブリーチング用カラーを備える。
3. デジタルシェードマッチング向け
順位製品名特長
1位VITA Easyshade® V分光光度計を搭載し、色調測定の精度が高い。
2位SpectroShade™AI技術を活用した最新のデジタルシェード。
3位CrystalEye(Kuraray Noritake)日本人向けの自然な色調再現が可能。

まとめ

シェードガイドの購入方法は、歯科医師向けと一般向けで異なります。
**一般歯科では「VITA クラシック」や「VITA 3Dマスター」**が、
**ホワイトニング用途では「オパールエッセンス」や「ゼンオパール」**が人気です。
また、デジタルシェードマッチングの導入が進み、より精度の高い色調診断が可能になっています。
用途に応じた最適なシェードガイドを選ぶことで、より自然で美しい歯の仕上がりを実現できます。

シェードガイドを正しく活用するために

シェードガイドは、歯の色を正確に判断し、補綴物やホワイトニングの仕上がりを最適化するために欠かせないツールです。しかし、正しく活用するためには、以下のポイントに注意する必要があります。

1. 照明環境の適正化

  • 自然光(5,500K前後)やデンタル用LEDを使用する。
  • 背景色や周囲の影響を考慮し、ニュートラルグレーを基準にする。

2. シェードマッチングの精度向上

  • シェードガイドを歯の中央に当て、短時間(5秒以内)で判断する。
  • 口腔内の水分状態を維持し、乾燥による色調変化を防ぐ。

3. 定期的な更新とメンテナンス

  • シェードガイドは紫外線や摩耗による劣化を防ぐため、適切に保管する。
  • 3〜5年ごとに新しいシェードガイドに更新し、正確な診断を維持する。

シェードガイドの今後の展望

シェードガイドは、技術の進化とともにさらなる精度向上が期待されています。

1. デジタルシェードマッチングの普及
  • AIや分光光度計を活用したデジタルシェードマッチングが一般化し、より客観的で正確な診断が可能になる。
  • クラウド連携により、患者ごとの色調データを管理し、経年変化の記録も容易に。
2. 3Dスキャナーとの統合
  • 口腔内スキャナーとシェードマッチング技術が統合され、色だけでなく歯の形状・質感も考慮した補綴物の作製が可能になる。
3. AIによるパーソナライズ診断
  • AIが患者の肌の色や歯の質感を解析し、最適なシェードを自動提案する技術が進化。
  • スマートフォンアプリと連携し、患者が自宅で簡単にシェードを確認できる仕組みが開発される可能性も。
4. 新素材・新色の開発
  • 人工歯やセラミックの材料開発が進み、より自然で長持ちする色調の補綴物が登場する。
  • 個々の患者の歯の特徴に合わせたカスタムシェードの提供が可能になる。

まとめ

シェードガイドは、補綴治療やホワイトニングの成功に欠かせないツールであり、適切な環境で正しく使用することが重要です。
デジタル技術の進化により、より正確な色調診断が可能になり、AIや3Dスキャナーとの統合が進むことで、さらなる精度向上が期待されます。
今後の歯科医療では、従来のシェードガイドとデジタル技術を組み合わせることで、より自然で美しい歯の仕上がりを実現できるでしょう。

江戸川区篠崎で自然な仕上がりの歯科治療をお探しの方へ

当院では、シェードガイドを使用した精密な色調診断を行い、患者さまの歯に最適な補綴物(クラウン・ブリッジ・インプラント)やホワイトニングのプランをご提案いたします。

「白すぎる」「周囲の歯と色が合わない」といったお悩みを防ぐため、患者さまの歯の色にぴったり合う自然な仕上がりを追求。特に江戸川区篠崎エリアで審美歯科を検討されている方に、精度の高い治療を提供いたします。

美しい笑顔を手に入れたい方は、ぜひ当院にご相談ください!

【動画】ホームホワイトニングの効果的なやり方

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!