目次

1. 上唇小帯とは?

上唇小帯の役割と構造

上唇小帯(じょうしんしょうたい)は、上唇の内側から上顎の前歯(中切歯)の間に伸びる筋状の軟組織です。赤ちゃんの頃から存在し、口の動きや発音、歯の位置に影響を与えます。
主な役割として、以下の点が挙げられます。

上唇小帯
上唇小帯
  • 唇の動きを補助する:食事や発話時に上唇の動きをサポート。
  • 歯並びに影響を与える:付着位置が異常な場合、すきっ歯(正中離開)の原因になることも。
  • 成長とともに変化する:乳児期には厚みがあり、成長とともに薄くなる。

一般的に上唇小帯は問題なく機能しますが、強い力が加わると切れてしまうことがあります。

上唇小帯が切れる原因とは?

上唇小帯が切れる原因には、日常生活の中で起こるさまざまな要因が関係します。特に以下のケースでよく見られます。

転倒・衝撃
転倒・衝撃
  • 転倒・衝撃(最も一般的な原因)
    • 乳幼児が転んだ際、顔面をぶつけて上唇小帯が損傷することが多い。
    • 遊具や家具の角に口をぶつけた際に発生。
    • スポーツ中の衝突やボールが口に当たることで切れることも。
  • 食事中の強い咬合
    • 硬い食べ物(せんべい、ナッツ、フランスパンなど)を強く噛んだ際に切れることがある。
    • 食事中にフォークや箸が口の中に強く当たった際の損傷。
  • 歯科治療中の偶発的損傷
    • 歯科器具が誤って上唇小帯に接触した際に損傷する可能性がある。
    • 乳歯や永久歯の生え変わり時に歯の動きによって引っ張られることが原因になることも。
  • 乳歯・永久歯の生え変わり
    • 上顎の前歯が生え変わる際に、小帯が引っ張られて裂けることがある。

乳幼児や子どもは特に転倒による上唇小帯の損傷が多く、日常生活の中で注意が必要です。

切れたらどんな症状が出る?

上唇小帯が切れた際には、次のような症状が現れます。

上唇小帯が切れた際の症状
上唇小帯が切れた際の症状
  • 出血
    • 上唇小帯は血流が豊富なため、切れると比較的多くの血が出ることがある。
    • ほとんどの場合、数分〜10分程度で自然に止血する。
  • 痛み
    • 軽度の痛みを伴うが、通常は数時間〜1日で軽減する。
    • 深い傷や歯茎に影響がある場合は、痛みが長引くことも。
  • 腫れ
    • 切れた直後は上唇や傷口周辺が腫れることがある。
    • 冷やすことで腫れを抑えることが可能。
  • 歯茎の露出
    • 上唇小帯が深く切れた場合、歯茎が広く露出して見えることがある。
    • 一時的なものが多いが、場合によっては歯科的な処置が必要になることも。
  • 発音や食事の違和感
    • 上唇小帯が切れることで、発音や食事の際に違和感を覚えることがある。
    • ほとんどの場合、数日以内に慣れる。

ほとんどのケースでは自然に回復しますが、傷が深い場合や歯への影響がある場合は、歯科医院や小児科を受診することが推奨されます。

2. 上唇小帯が切れた時の応急処置

上唇小帯が切れた際には、適切な応急処置を行うことで症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復につなげることができます。特に出血や痛みの程度を確認し、適切な処置を行うことが重要です。


まず確認すべきこと(出血量・痛みの程度)

上唇小帯が切れたら、まず以下のポイントを確認しましょう。

  • 出血量
    • 少量の出血:通常は問題なく、数分で自然に止血することが多い。
    • 多量の出血:5〜10分以上止まらない場合は、圧迫止血が必要。
    • 断続的な出血:少し止まっても再び出血する場合は、傷が深い可能性があるため注意が必要。
  • 痛みの程度
    • 軽い痛み:ほとんどのケースでは、数時間から1日で痛みが和らぐ。
    • 強い痛み:傷が深い場合や歯にダメージがある可能性があるため、慎重に経過を観察する。
  • 歯や歯茎への影響
    • 歯がぐらついていないか、折れていないかを確認する。
    • 歯茎が大きく損傷している場合は、歯科医院で診てもらうのが安全。

まずは冷静に症状を確認し、適切な処置を行いましょう。

出血を止める方法(ガーゼやティッシュで圧迫)

上唇小帯が切れた際の最も重要な初期対応は「出血を止めること」です。以下の手順で圧迫止血を行いましょう。

ガーゼやティッシュで圧迫止血
ガーゼやティッシュで圧迫止血

1. 清潔なガーゼまたはティッシュを用意する

  • 手を洗い、清潔な状態でガーゼまたはティッシュを使用する。
  • ガーゼがなければ、ティッシュやハンカチでも代用可能。

2. 出血している部分を軽く押さえる

  • 上唇を持ち上げ、切れた部分にガーゼを当てる。
  • 強く押しすぎず、やさしく圧迫する。

3. 5〜10分程度そのまま圧迫する

  • 出血が完全に止まるまで圧迫を続ける。
  • 途中でガーゼを外すと再出血する可能性があるので、5分はしっかり押さえる。

4. 出血が止まったらガーゼを外す

  • ゆっくりとガーゼを外し、再び出血しないか確認する。
  • もし再び出血する場合は、再度圧迫を行う。

ほとんどの場合、この方法で出血は止まりますが、止まらない場合は医療機関を受診しましょう。

冷やすべき?温めるべき?(アイスパックの適切な使用)

上唇小帯が切れた後、適切な温度管理を行うことで、腫れや痛みを軽減できます。

▶ 冷やすべき場合

  • 出血が止まった後、腫れを抑えるために冷やすのが効果的。
  • 氷をタオルで包み、頬の外側から当てる。(直接傷口に当てない)
  • 1回あたり5〜10分、30分おきに数回繰り返すと腫れが軽減される。

冷えピタ

親知らずに痛みや腫れ(智歯周囲炎)が出てきた時には冷えピタなどの冷湿布を頬に貼ると痛みや腫れが軽減します。

冷やすことで親知らず周囲の歯茎の炎症が抑えられます。

一旦症状が治まっても、智歯周囲炎は繰り返します。できるだけ早く歯科医院を受診してください。

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▶ 温めるべき場合

  • 急性期(24時間以内)は冷やすのが基本で、温める必要はない。
  • 48時間以上経過し、腫れが残っている場合は、軽く温めて血流を促進することで回復を早めることができる。

間違って温めてしまうと、腫れが悪化することがあるため、基本的には冷却処置を優先しましょう。

消毒は必要?適切な方法と注意点

消毒の有無については、傷の深さや出血状況によって異なります。

▶ 軽い傷の場合(消毒不要)

  • 口の中は唾液の自浄作用があるため、通常は消毒の必要なし。
  • うがいをする程度で問題ない(強いうがいはNG)。

▶ 消毒が推奨される場合

  • 傷口が汚れている場合(砂や異物が付着している)
  • 再出血しやすい場合

▶ 消毒の方法

  • 塩水うがい(コップ1杯のぬるま湯に塩小さじ1を溶かす)
  • 市販のうがい薬(イソジンなどの消毒液は薄めて使用)
  • アルコールや強い消毒液はNG(粘膜を傷つけて回復が遅れる)

適切な処置を行い、無理に消毒しすぎないことが大切です。

放置しても大丈夫なケースと医療機関を受診すべきケース

ほとんどの上唇小帯裂傷は自然に治癒しますが、場合によっては歯科医院や小児科を受診する必要があります。

医療機関を受診
医療機関を受診

▶ 放置しても大丈夫なケース

  • 出血がすぐに止まり、痛みが軽度な場合。
  • 1〜2日で痛みが軽減し、腫れも少ない場合。
  • 口を開け閉めしても問題なく食事や会話ができる場合。

▶ 受診が必要なケース
出血が10分以上続く場合
傷が深く、歯茎まで裂けている場合
歯がぐらついたり、抜けそうになっている場合
強い腫れや痛みが長引く場合
感染の疑い(膿が出る・赤く腫れる・発熱)がある場合
歯並びに影響しそうな場合(歯科医の相談が必要)

➡ 受診の目安

  • 軽い傷なら 様子を見ながら2〜3日 で回復を確認。
  • 気になる症状がある場合は、早めに歯科や小児科へ。

まとめ

上唇小帯が切れた場合の応急処置は、

  1. 出血を確認し、圧迫止血
  2. 止血後に冷やして腫れを抑える
  3. 消毒は基本不要、傷が汚れている場合のみ軽くうがい
  4. 症状に応じて医療機関を受診するか判断

これらを適切に実施することで、早期回復につながります。

3. 医療機関を受診するタイミング

上唇小帯が切れた場合、多くは自然治癒しますが、場合によっては歯科や小児科を受診する必要があります。以下のポイントを確認し、適切な判断を行いましょう。

出血が止まらない場合

通常、上唇小帯が切れても5〜10分の圧迫止血で出血は止まります。しかし、以下のような場合は医療機関での診察が必要です。

10分以上圧迫しても出血が続く
血が止まっても、すぐに再出血する
出血量が多く、ティッシュやガーゼがすぐに血で染まる
貧血症状(顔が青白くなる、ふらつく)が出る

▶ 受診すべき診療科

  • 小児科(子どもで全身症状がある場合)
  • 歯科(歯や歯茎に影響がある場合)
  • 口腔外科(傷が深く、縫合が必要なケース)

出血が続く場合、適切な処置が必要な可能性があるため、早めに受診しましょう。

傷が深い場合、縫合や抗生剤の処方が必要になることがあります。

歯や歯茎に影響が出る可能性(歯の動揺・歯肉の損傷)

上唇小帯が切れる際に、歯や歯茎にダメージが加わることがあります。以下のような症状がある場合は、歯科を受診しましょう。

歯がぐらついている(動揺している)
歯が欠けたり折れたりしている
歯茎が大きく裂けている
歯並びに影響が出そう(すきっ歯になった、歯が押された感じがする)
噛み合わせに違和感がある

▶ 受診すべき診療科

  • 歯科(小児歯科)(子どもの場合、今後の成長を考慮した診察が必要)
  • 矯正歯科(歯並びに影響がある場合)

特に子どもの場合、乳歯や生えかけの永久歯にダメージがあると、今後の歯並びに影響を与えることがあるため、慎重にチェックする必要があります。

感染リスクとその対処法

口の中は常に細菌が存在するため、傷が深い場合や適切な処置を行わないと感染のリスクがあります。以下のような症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

傷口が赤く腫れ上がり、痛みが悪化している
膿が出ている、または白っぽい膜ができている
発熱(37.5℃以上)を伴う
リンパ節(顎下や首)が腫れている

▶ 感染リスクを下げるための対処法

  • 傷口は 清潔に保つ(強いうがいは避け、軽く水を含んで流す程度)
  • 刺激の少ない食事 を心がける(辛いもの、酸っぱいものは避ける)
  • 清潔なガーゼで保護 し、触らないようにする

▶ 受診すべき診療科

  • 歯科(口腔内の感染症の診断)
  • 口腔外科(膿や腫れがひどい場合)

感染が進行すると、抗生剤の処方が必要になる場合もあるため、早めの受診をおすすめします。

まとめ

上唇小帯が切れた場合、以下のような症状があれば速やかに医療機関を受診しましょう。

🩸 出血が止まらない(10分以上続く、再出血を繰り返す)
🔪 傷が深い・痛みが長引く(歯茎まで達している、2〜3日経っても痛みが続く)
🦷 歯や歯茎に影響がある(歯がぐらつく、折れる、歯並びに変化)
🤒 感染の疑いがある(腫れ、膿、発熱、リンパの腫れ)

💡 軽傷なら様子見、上記のような症状があれば受診!
特に子どもは傷の回復が早いですが、歯や歯茎への影響を考慮し、必要に応じて歯科医院で診察を受けましょう。

4. 上唇小帯切断後の治癒過程とケア

上唇小帯が切れた後は、適切なケアを行うことで早い回復が期待できます。ここでは、治癒の経過や日常生活での注意点について詳しく解説します。

回復までの期間と経過観察

上唇小帯が切れた場合、多くのケースでは自然に治癒します。回復までの期間は個人差がありますが、以下の目安を参考にしてください。

軽度の損傷(表面的な傷)

  • 出血は数分〜10分程度で止まる
  • 1〜3日で痛みが軽減
  • 1週間ほどでほぼ完治

中程度の損傷(深めの裂傷)

  • 出血は5〜10分の圧迫で止血可能
  • 3〜5日で痛みが軽減
  • 1〜2週間で傷がふさがる

重度の損傷(歯茎まで達する、縫合が必要)

  • 出血が長引く場合があり、医療機関での処置が必要
  • 1週間程度で痛みが落ち着くが、完全回復には2〜3週間かかることも

💡 経過観察のポイント
🔹 出血が続かないか:止血後に再出血する場合は受診を検討
🔹 腫れがひどくならないか:48時間以上腫れが続く場合は医療機関へ
🔹 感染の兆候がないか:膿や発熱がある場合は受診が必要

日常生活で気をつけること(食事・歯磨き・口腔ケア)

上唇小帯が切れた後の適切なケアを行うことで、回復を早めることができます。

食事の注意点

  • 避けるべき食べ物
    • 辛いもの(唐辛子・カレー)
    • 酸っぱいもの(柑橘類・酢の物)
    • 硬い食べ物(せんべい・ナッツ・フランスパン)
    • 熱すぎる食べ物(スープ・ラーメン)
    • 炭酸飲料(刺激が強い)
  • おすすめの食べ物
    • 柔らかいもの(おかゆ・豆腐・ヨーグルト)
    • ぬるめのスープや味噌汁
    • よく冷ました煮物やうどん

歯磨き・口腔ケア

  • 傷口に歯ブラシが直接当たらないように注意
  • できるだけ柔らかめの歯ブラシを使用
  • 傷の周囲は優しく磨く(歯茎が傷つかないように)
  • うがいは強くせず、軽く口をすすぐ程度に

💡ポイント

  • 食後はぬるま湯や薄めたうがい薬で口をすすぐと細菌感染を防げる
  • 刺激を避けるために、アルコール含有のうがい薬は避ける

傷跡は残る?傷跡のケア方法

上唇小帯の傷は自然に治ることがほとんどですが、傷の深さによっては若干の傷跡が残ることがあります。

傷跡が残りにくいケース

  • 浅い傷で自然に治癒した場合
  • 幼児期の損傷(成長とともに回復しやすい)

傷跡が残る可能性があるケース

  • 深く切れて縫合が必要だった場合
  • 傷口に強い力が加わり、治癒途中で裂けた場合
  • すでに上唇小帯が短かったり異常付着があった場合

傷跡を最小限に抑えるケア

  • 不要な刺激を避ける(唇を過度に引っ張らない)
  • 乾燥を防ぐ(ワセリンなどで唇を保湿)
  • 適度なビタミン摂取(ビタミンC・Eを含む食事)
  • 傷口を触らない(治癒途中でむやみに気にしない)

💡重要ポイント

  • 子どもの場合は成長とともに傷跡が目立たなくなることが多い
  • 気になる場合は、歯科や皮膚科で相談可能

子どもと大人の回復の違い

上唇小帯の回復スピードは、年齢によって異なります。

子どもの場合(回復が早い)

  • 成長過程のため、治癒力が高く、1週間程度でほぼ完治
  • 転倒などの衝撃による損傷が多く、再発することも
  • すきっ歯や歯並びに影響が出る可能性があるため、経過観察が重要

大人の場合(回復が遅いことも)

  • 傷の治りがやや遅く、1〜2週間かかることが多い
  • 傷跡が残るリスクが子どもより高い
  • 口内環境(喫煙・飲酒・ストレス)が回復に影響を与える

💡 大人が回復を早めるポイント

  • 禁煙・節酒(タバコやアルコールは傷の回復を遅らせる)
  • 栄養バランスを意識する(ビタミンCやたんぱく質を積極的に摂取)
  • 適度な口腔ケア(過度なうがいを控え、口内の衛生を保つ)

まとめ

回復期間は1〜2週間が目安(軽傷なら数日で回復)
食事や歯磨きは刺激を避け、適切なケアを行う
基本的には傷跡は残らないが、深い傷の場合は経過観察が必要
子どもは回復が早いが、大人は傷跡が残りやすいため注意が必要

上唇小帯の損傷は日常的に起こりやすいですが、適切なケアを行うことでスムーズに回復します。特に感染を防ぐための衛生管理と、傷を無理に触らないことが重要です。

5. 上唇小帯の異常と関連する問題

上唇小帯は通常、上唇と歯茎をつなぐ役割を果たしていますが、一部の人では異常な付着や成長がみられることがあります。これが原因で歯並びや発音に影響を及ぼすことがあり、場合によっては手術が必要になることもあります。

上唇小帯付着異常とは?(すきっ歯・発音への影響)

▶ 上唇小帯付着異常とは?
通常、上唇小帯は上顎の前歯(中切歯)の間から少し上の位置に付着しています。しかし、以下のような異常があると、様々な問題が生じることがあります。

上唇小帯付着異常
上唇小帯付着異常

💡 主なタイプ
上唇小帯が厚く短い → 上唇の可動域が狭まり、発音や食事に影響
前歯の間にまで付着 → すきっ歯(正中離開)を引き起こす
過剰に伸びている → 唇の動きを妨げる

▶ 上唇小帯付着異常がもたらす影響
1️⃣ すきっ歯(正中離開)

  • 上唇小帯が前歯の間に強く付着していると、前歯が広がりすきっ歯になる
  • 特に乳歯から永久歯への生え変わり時に影響が出やすい

2️⃣ 発音への影響

  • 上唇の動きが制限されることで、「パ」「マ」「バ」などの発音がしにくくなる
  • 特に幼児期の言葉の発達に影響を与えることがある

3️⃣ 口腔衛生の問題

  • すきっ歯の隙間に食べ物が詰まりやすく、虫歯や歯肉炎のリスクが上がる

4️⃣ 口元の見た目に影響

  • すきっ歯や歯並びの乱れによって、笑ったときの見た目に違和感を感じることがある

上唇小帯の手術が必要なケース

上唇小帯付着異常があるすべての人が手術を受ける必要があるわけではありません。自然に改善するケースもありますが、以下の条件に当てはまる場合は手術を検討することがあります。

✅ 手術が必要なケース
1️⃣ すきっ歯が永久歯になっても改善しない場合

  • 乳歯の段階では自然に改善することもあるが、永久歯になっても正中離開が続く場合は手術を検討

2️⃣ 発音に明らかな影響がある場合

  • 専門医(歯科医や言語聴覚士)と相談し、発音矯正だけでは改善が難しい場合に手術を考える

3️⃣ 矯正治療の妨げになる場合

  • 歯科矯正で歯を動かしても、上唇小帯が原因で歯並びが整わない場合に手術を行うことがある

4️⃣ 歯肉や歯への影響がある場合

  • 上唇小帯の異常によって歯肉が引っ張られ、歯茎が下がる(歯肉退縮)リスクがある場合

5️⃣ 頻繁に上唇小帯が切れる場合

  • 転倒や衝撃で上唇小帯が繰り返し切れる場合は、将来的な問題を防ぐために手術を検討

💡 何歳で手術をするべき?

  • 4〜6歳:発音の問題がある場合は、言語発達に影響が出る前に手術を検討
  • 10〜12歳:永久歯が生えそろい、すきっ歯が改善しない場合に手術を検討
  • 大人:歯並びや歯茎への影響が大きい場合に実施

矯正歯科との関係(すきっ歯・歯並びへの影響)

上唇小帯付着異常は、歯並びや矯正治療に大きく関係します。

▶ すきっ歯(正中離開)の原因になる

  • 上唇小帯が厚く、歯茎の深い位置まで付着していると、前歯が広がる原因になる
  • 矯正治療で歯を寄せても、上唇小帯が邪魔をして正中離開が閉じないことがある

▶ 矯正治療がうまくいかないことも

  • 矯正装置で歯を動かしても、上唇小帯が引っ張る力が強いと歯並びが戻ってしまう(後戻り)
  • その場合、矯正治療前または治療途中に上唇小帯の切除手術を行うことがある

💡 矯正治療と手術のタイミング

  • すきっ歯を閉じる矯正を始める前に手術を検討
  • 矯正後にすきっ歯の再発を防ぐために手術を行うことも

上唇小帯切除手術の流れと費用

▶ 手術の流れ
1️⃣ 事前診察(歯科・矯正歯科)

  • 上唇小帯の状態を確認し、手術の必要性を判断
  • レントゲンや口腔内写真を撮影することも

2️⃣ 局所麻酔

  • ほとんどのケースで局所麻酔(注射または表面麻酔)を使用
  • 小児の場合、怖がることがあるため、事前にしっかり説明が必要

3️⃣ 上唇小帯の切除

  • メスやレーザーで上唇小帯を切開し、適切な位置に修正
  • 必要に応じて縫合(レーザーなら縫わない場合も)

4️⃣ 術後の経過観察

  • 術後1〜2週間で傷が治る
  • 軽い違和感はあるが、大きな痛みは少ない

▶ 費用
上唇小帯切除手術は、健康保険が適用されるケースが多い。

💰 手術費用の目安(保険適用時)

  • 3,000円〜5,000円程度(3割負担の場合)
  • レーザー治療を用いた場合、自由診療で 10,000円〜30,000円 になることも

まとめ

上唇小帯付着異常は、すきっ歯・発音・歯茎の問題を引き起こすことがある
手術はすきっ歯が改善しない、発音に影響がある、矯正治療が難しい場合に検討
矯正治療の成功には、上唇小帯の状態が影響するため、矯正歯科と相談が必要
手術は局所麻酔で短時間、費用も比較的安価で受けられる

上唇小帯の異常が疑われる場合は、歯科医院や矯正歯科での診察を受けるのがおすすめです。

上唇小帯が切れた際によくある疑問について、詳しく解説します。

Q1. 上唇小帯が切れたら縫う必要はある?

基本的に縫合の必要はない

  • 上唇小帯は粘膜組織のため、通常は自然に治癒する。
  • ほとんどの場合、止血後に特別な処置は不要。

縫合が必要なケース
以下のような場合は、歯科や口腔外科で縫合が必要になることがある。
🔹 傷が深く、歯茎まで裂けている場合
🔹 出血が止まらない(10分以上続く)
🔹 裂けた部分が大きく、傷口が開いたままになっている

💡 ポイント

  • 縫合する場合でも、局所麻酔を使用し、短時間で終わる。
  • 縫合後は1週間程度で抜糸するか、自然に溶ける糸を使用することが多い。

Q2. 放置するとどうなる?

軽度の損傷なら問題なし

  • ほとんどのケースでは、特別な治療をしなくても1〜2週間で自然に治る。
  • 傷跡が残ることは少なく、後遺症もない。

放置すると問題が出る可能性があるケース
🔹 繰り返し上唇小帯が切れる場合 → 小帯が長い・厚い可能性があり、手術が必要になることも。
🔹 すきっ歯が生じる場合 → 上唇小帯が強く前歯に付着していると、正中離開(すきっ歯)の原因になる。
🔹 傷が深く、感染のリスクがある場合 → 適切なケアをしないと、腫れや膿がたまり炎症を起こす可能性あり。

💡 ポイント

  • 痛みや腫れがひどい場合は医療機関へ相談
  • 歯並びに影響が出る場合は歯科矯正の相談も検討

Q3. 大人も上唇小帯が切れることはある?

大人でも上唇小帯が切れることはある

  • 転倒やスポーツ中の衝撃で損傷することがある。
  • 硬い食べ物を噛んだ際や、歯科治療中の器具の接触で切れることも。

子どもと異なる点

  • 傷の治りが遅い(子どもより組織の再生能力が低いため)
  • 出血が長引くことがある(血管が太く発達しているため)
  • 傷跡が残るリスクが高い

💡 ポイント

  • 大人の場合も軽傷なら自然治癒するが、深い傷や歯茎への影響がある場合は受診が必要
  • 喫煙・飲酒は傷の回復を遅らせるため、注意が必要。

Q4. 子どもの場合、何歳までに治療すべき?

自然治癒することが多いため、必ずしも治療は必要ない

  • 乳幼児期に切れても、ほとんどのケースで問題なく治る。
  • 成長とともに小帯の形が変化し、影響が少なくなることもある。

治療が必要なケース
🔹 すきっ歯が生じ、自然に閉じない場合(永久歯が生えそろう7〜12歳頃までに判断)
🔹 発音に影響がある場合(言葉の発達に関わるため、4〜6歳頃までに検討)
🔹 矯正治療を予定している場合(矯正の妨げになる場合は、矯正開始前に処置を検討)

💡 ポイント

  • 歯科医と相談し、必要に応じて 4〜12歳の間 に治療を考える。
  • 軽度の付着異常は、矯正治療と合わせて様子を見ることが多い。

Q5. 保険適用される?費用はどれくらい?

上唇小帯の治療は保険適用になることが多い

  • 上唇小帯切除手術は、医学的な必要性が認められれば健康保険の適用範囲内。
  • ただし、審美目的(見た目の改善のみ)の場合は自由診療になることがある。

保険適用時の費用(3割負担の場合)

治療内容費用(目安)
診察のみ1,000円前後
上唇小帯切除手術(メス)3,000〜5,000円
上唇小帯切除手術(レーザー)5,000〜10,000円
縫合処置2,000〜4,000円

自由診療の場合の費用(保険適用外)

治療内容費用(目安)
レーザー手術(審美目的)10,000〜30,000円
矯正治療との併用50,000円以上(矯正費用含む)

💡 ポイント

  • 手術の必要性が認められれば、基本的に保険適用
  • レーザー治療は自由診療になることが多い
  • 矯正歯科と併用する場合は、保険適用外の費用が発生することもある

まとめ

上唇小帯が切れても、ほとんどの場合は自然治癒し、縫合は不要
放置しても問題ないことが多いが、すきっ歯や発音に影響がある場合は治療を検討
大人も上唇小帯が切れることはあるが、治りが遅く傷跡が残ることがある
子どもの場合、4〜12歳の間に治療を検討し、矯正や発音の問題と合わせて判断
手術は保険適用されることが多く、費用は3,000〜5,000円程度(自由診療では最大30,000円ほど)

上唇小帯の損傷や異常が気になる場合は、歯科医や矯正歯科に相談することをおすすめします!く相談し、最適な治療計画を立てることが大切です。

江戸川区篠崎で上唇小帯が切れたら、すぐにご相談ください!

お子様が転んで上唇小帯が切れた場合、出血や痛みで不安になることも多いでしょう。江戸川区篠崎の当歯科医院では、上唇小帯のケガに迅速に対応し、正しい処置とアフターケアを行います。 ほとんどの場合は自然治癒しますが、出血が止まらない・傷が深い・歯がぐらつくなどの症状がある場合は、早めの受診が大切です。

お子様の成長に合わせた適切な治療を提供し、歯並びや発音への影響も考慮した診療を行います。江戸川区篠崎で上唇小帯が気になる方は、当院へお気軽にご相談ください!

【動画】すきっ歯とは?原因から治療まで徹底解説

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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