MFT(口腔筋機能療法)

  • MFT(口腔筋機能療法)は舌などの口腔周囲筋をトレーニングして舌癖(低位舌・舌突出癖)を除去する方法です。
  • 子供の出っ歯や開咬など歯科矯正を行う際に並行して指導されることが多く、トレーニングは毎日家庭で行います。
  • 顎骨の成長が終わった大人ではほとんど効果はありません。

MFT(口腔筋機能療法)

Oral myofunctional therapy

MFTとは

口腔筋機能療法(Oral Myofunctional Therapy、以下MFTという)は、 食べ物を取り込み噛む(咀嚼)、噛んだものを飲み込む(嚥下)、舌足らずの発音、口呼吸、低位舌、舌の突出(舌癖)、口唇の位置などの改善を目的とした各種トレーニングを行うことです。これにより、 口腔周囲筋群の適切な機能の獲得を目指します。

一般的にMFTは成長過程の子供に対して、歯科医院でやり方を継続的に指導し、徐々にステップアップしていきます。学習した内容を各自自宅で実践してもらいます。個人差はありますが最低半年くらいの期間実施します。

適応症例

開咬・オープンバイト
開咬・オープンバイト

上下の前歯が大きく開いている状態。その間に舌を突き出して隙間を埋めようとする傾向が強くなります。

上顎前突(出っ歯)
上顎前突(出っ歯)

上顎の歯が前に出ている。上顎の顎骨自体も前に出ている場合もある。

上顎前突+叢生
上顎前突+叢生

上顎前突と叢生が合併した状態。更には、過蓋咬合が合併する場合もある。

適応年齢

MFTスポットポジション
MFTスポットポジション

舌の先端をいつも付けておく位置(赤丸部分/切歯乳頭後方)を覚える練習です。※舌の先端を丸めないことが重要です。

10歳前後まで

MFTは、 成長過程の子供(10歳くらいまで)には大変有効です。例えば、オープンバイト(開咬)や出っ歯などを MFT のみで治療し成功することもあります。

大人は効果なし

大人になると顎骨や筋肉の成長が止まるため、低位舌、舌の突出癖などの舌癖をMFTで改善するのは限定的です。

とは言え、強い舌癖がある場合、矯正治療を行っても後戻りしやすいのも事実です。そのような場合、大人でもMFTを併用することがあります。

MFTの原理

バクシネーターメカニズム
バクシネーターメカニズム

バクシネーターメカニズム

口腔周囲筋の非生理的な不調和は、歯並びを悪くする原因となることがあります。 とくに、指しゃぶり口呼吸などに端を発し、舌突出癖に伴う低位舌などの口腔悪習癖は、口唇閉鎖不全を含め歯列に大きな悪影響を与えることが知られています。

これは、歯列がバクシネーターメカニズム(舌や口腔周囲筋の筋力の調和がとれた場所に位置する性質)を持つからです。

舌圧は外側に、頬筋の頬っぺたの力、オトガイ筋・口輪筋の口唇圧は内側に力を加え、その力のバランスの取れた所に歯が並びます。

口腔周囲筋の不調和を改善することで自然に歯列を正しい位置に移動させることがMFTの目的となります。

MFTのやり方

MFT を行うにあたりスポットポジションを覚えることから始めます。歯科医院で2週間に1回の間隔で1日30分ほどのトレーニングを行います。改善の状態を見ながら来院間隔を1ヶ月~3ヶ月程度に伸ばしていきます。

トレーニング期間は短いケースで6ヶ月、長いケースになると数年に及びます。

MFTの最初のステップはスポットポジションを覚えるところから始めます。

唾液は1日数千回飲み込んでいます。舌癖がある人は低位舌、舌突出癖があるため、嚥下する度に舌で前歯を押します。そのため開口や出っ歯が起こってしまうのです。正しい嚥下のやり方は、スポットポジションに舌の先端が付いた状態でごくんとします。

段階的により難易度の高い舌や口輪筋の使い方を学習していきます。下記にその一部を紹介いたします。

STEP

01

スポットポジション

舌の先端をいつも付けておく位置(赤丸部分/切歯乳頭後方)を覚える練習です。※舌の先端を丸めないことが重要です。

スポットポジション

STEP

02

ティップ&スティック

スティックを口の前で持ち、舌の先を真直ぐに尖らせ強く押す。舌機能が不十分だと舌先が尖がらずに丸くなり、強く押せないこともあります。

ティップ&スティック

STEP

03

ポッピング

舌尖をスポットに付け、舌全体を上あごに吸い上げ、舌小帯を伸ばし、離す時に”ポン”と音を立てる。舌を上に持ち上げる力を養います。

ポッピング

STEP

04

ポスチャー

スポットポジションに舌尖を置き、上顎乳犬歯後方でストローを噛み保持する。最初は5分くらいから初めて、20分間噛んでいることを目標とします。

ポスチャー

初診時の口腔機能評価

評価

 舌機能

  • ファットタング・スキニータング(舌を平らにしたり尖らせたりすることが出来るか。)
  • テップ&スティック(スティックを口の前で持ち、舌の先を真直ぐに尖らせ強く押すことが出来るか。)
  • リップトレーサー(口を開けて舌の先でゆっくりと上唇をなぞることが出来るか。)
  • スポットボジション(スポットポジションに舌の先端はあるか。)
  • ホッピング(舌全体を上あごに吸い上げることが出来るか。)

評価

 舌小帯

  • 舌小帯の状態は良い、短い。 

評価

 呼吸

  • 口呼吸、 鼻口呼吸、 両方 。
  • ガーグルストップ(上を向き口を大きく開けて、ガラガラうがいをして、止めることが出来るか。)
  • 就寝時息が苦しそうなことはあるか。

評価

 咀嚼嚥下

  • 口唇を閉じて左右両方でかんで食べているか。
  • 奥歯を噛み合わせて唾をゴックンと飲み込めるか。

MFT の費用

自費治療

保険適用外です。

種類金額 ※単位:円
プレオルソ相談料 3,000円、精密検査料 30,000円、1年毎に80,000円。
※ 2年目以降は、更に治療を続けるか、その都度ご相談します。

初年度は、合計で11,3000円(税別)、124,300円(税込み)
MFT66,000円 (税別)、72,600円(税込み)
舌小帯切除手術10,000円(税別)、11,000円(税込み) ※舌小帯の付着が強く舌の動きを阻害している場合。

自力で出来る舌癖トレーニング法

唇のマッサージ

力を入れすぎている唇は、「凝っている肩」と同じで、血行が悪く、筋肉も固まっています。下あごの先端に梅干の様なシワが寄っていれば、歯並びを悪くする兆候です。

上下の唇やその周りの筋肉をほぐすことで、健全な口腔機能の成長を促すことに繋がります。

Method

01

上下の唇をつまむ

上下の唇をつまむ

上下の唇をつまんでマッサージします。つまんで引っ張る動作も加えます。

Method

02

親指と人差し指でもみほぐす

親指と人差し指でもみほぐす

親指と人差し指で上下の唇をもみほぐし、引っ張ったりしてマッサージします。

Method

03

口腔内に指を入れ引っ張る

口腔内に指を入れ、頬粘膜を上下左右に引っ張ります。

ブクブクうがい・ガラガラうがい

ブクブクうがい・ガラガラうがいが上手に出来ない子供がいます。本来獲得すべき筋肉の機能が身についていないことになります。この状態のまま小学生になると歯列不正の原因ともなります。

ブクブクうがいは、上下左右そして真ん中で出来るようにしてください。

あいうべ体操

「あ」「い」「う」「べ」と言いながら唇や舌の筋肉をトレーニングする方法「あいうべ体操」を実践して下さい。

ふかさわ歯科クリニック篠崎ではお子様の現状の歯並びや咬み合わせだけに限らず、健全な成長を見据えた治療や予防に取り組んでおります。患者さまのご要望を大切にし、一人ひとりに合った小児矯正をご提案いたします。成長過程にあるお子様の口腔環境は、刻々と変化しますのでご家庭でのセルフケアをはじめ、歯科医院での定期健診も含め当院をご利用いただければと思います。江戸川区篠崎で小児矯正をお探しの方はぜひ、当院までお気軽にご相談ください。

【動画】指しゃぶりや指吸いを止めさせる方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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