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親知らずの抜歯後、「なかなか血が止まらない」「ずっと口の中が鉄っぽい」と不安になっていませんか?
抜歯後の出血はある程度なら正常ですが、止血がうまくいかないと再出血やドライソケットの原因になることも。
この記事では、親知らずの抜歯後に血が止まらない原因、すぐにできる対処法、歯科を受診すべきタイミングをわかりやすく解説します。

親知らずを抜いた後、「なかなか血が止まらない」と不安になる方は少なくありません。通常は自然に止血されるものですが、いくつかの原因によって出血が長引くケースがあります。ここでは、一般的な止血時間と、注意すべき出血の原因について詳しく解説します。

🔍通常の止血時間と異常な出血の目安

親知らずの抜歯後、ガーゼを20〜30分ほどしっかり噛んでいれば、多くの場合は血が止まります。にじむ程度の出血が2〜3日続くのは正常範囲ですが、以下のような症状がある場合は「異常な出血」の可能性があります。

親知らず抜歯後2時間以上出血が続く場合は要注意
親知らず抜歯後2時間以上出血が続く場合は要注意
  • ガーゼを何度替えても血がにじみ続ける
  • 血がポタポタと垂れる
  • 血の味やにおいがずっと続く
  • 唾液がずっと赤く染まっている

このような場合は、速やかに歯科医院に相談しましょう。

⚠️出血が止まらない6つの原因

出血が止まらない背景には、以下のような原因が考えられます。

① 血餅(けっぺい)ができていない

抜歯後の穴には「血餅」と呼ばれる血のかたまりができて傷口を保護します。うがいや唾を頻繁に吐き出すことでこの血餅が流れてしまうと、止血がうまくいかず、出血が長引くことがあります。

② 歯ぐきの血管損傷

抜歯時に歯ぐきの深部にある血管が傷ついていると、血が止まりにくくなる場合があります。このような場合は歯科での縫合や追加の止血処置が必要になることもあります。

③ 高血圧・持病・薬の影響(ワーファリンなど)

高血圧や糖尿病などの持病、また血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を服用している方は、出血が長引く傾向があります。抜歯前に医師へ申告し、抜歯後も経過観察が必要です。

高血圧・持病・薬の影響(ワーファリンなど)
高血圧・持病・薬の影響(ワーファリンなど)

④ 過度なうがい・舌や指で触る癖

「血が気になって何度もうがいをした」ことで血餅が取れたり、無意識に舌や指で傷口を触ってしまうと、再出血の原因になります。抜歯当日はなるべく刺激を与えず、そっと過ごすことが大切です。

⑤ 喫煙や飲酒、過度な運動による血行促進

タバコやアルコール、過度な運動は血流を促進し、止まりかけた出血を再開させることがあります。少なくとも抜歯後24〜48時間は控えるようにしましょう。

喫煙や飲酒、過度な運動による血行促進
喫煙や飲酒、過度な運動による血行促進

⑥ 炎症性組織(不良肉芽組織)がある場合

親知らずの周囲に炎症(智歯周囲炎)がある状態で抜歯を行うと、炎症性組織(不良肉芽)が多く存在するため、術後にじわじわと出血が続くことがあります。
唾液に混じると大量に出ているように見えるかもしれませんが、ほとんどは自然に止まることが多く、翌朝にはおさまっているケースが大半です。

親知らずの抜歯後に血が止まらないと感じたとき、慌てずにできる対処法を知っておくことが大切です。ここでは自宅でも実践できる応急処置の方法を紹介します。

🧻清潔なガーゼでの正しい止血方法

✅ 1. ガーゼを準備する

  • 清潔なガーゼを用意(ない場合は厚めに折ったティッシュでも代用可)
  • 歯科医院から渡されている止血用ガーゼがあればそれを使用
止血用ガーゼ
止血用ガーゼ

✅ 2. 出血部位にしっかり当てる

  • ガーゼを出血している部分に正しく当てる
  • ガーゼの位置がずれると止血効果が弱まるため注意

✅ 3. しっかり噛んで圧迫止血

  • ガーゼを口に入れ、30分~1時間しっかり噛み続ける
  • 弱く噛むと圧迫が不十分で止血しにくい
  • 血がにじんでも、すぐにガーゼを交換しないことが重要

✅ 4. 途中で確認・うがいはしない

  • 止血途中でガーゼを確認したり吐き出したりするのはNG
  • うがいは血餅を流してしまうため控える
  • 唾液に血が混じっても、うがいせずそっと吐き出すだけにとどめる

✅ 5. 再出血時も同様に対応

  • 一度止まっても再出血することがある
  • 同じ手順で再度ガーゼを噛んで対応する

✅ 6. 2時間以上止まらない場合は受診を

速やかに歯科医院へ連絡・相談

2時間以上しっかり噛んでも出血が続く場合は、異常出血の可能性

🪥うがいはNG?正しいケアのポイント

抜歯当日は、強いうがいは厳禁です。血餅が流れてしまい、出血が再発する原因になります。

  • どうしても口の中が気持ち悪い場合は、軽く口をゆすぐ程度に留める
  • 歯磨きも当日は控えめにし、翌日以降は抜歯部位を避けて優しく行ってください。
  • うがい薬の使用は刺激が強すぎるため、医師の指示がない限り避けた方が安全です。

🧊冷やすタイミングと場所

抜歯当日は、出血や腫れを抑えるために外側から冷やすことが効果的です。

  • 保冷剤や冷えピタをタオルで包んで、頬の外側を15〜20分程度冷やしましょう
  • 内側(口の中)を氷で冷やすのは避け、あくまで外側からが基本です。
  • 冷やしすぎは血流が悪くなり逆効果になるため、30分以上の連続冷却は控えてください

※24時間以上経過したあとは、冷やすのをやめ、温めた方が回復が早くなるケースもあります。

🚭喫煙・飲酒はいつからOK?

タバコやアルコールは出血を長引かせる最大のリスク要因のひとつです。

  • 喫煙は最低48時間(2日間)以上控えましょう。
  • 飲酒も同様に48時間は禁止が基本。血行を促進して再出血を招くおそれがあります。

特に血餅が安定するまでは、これらの習慣を避けることが傷の治癒を早め、ドライソケット予防にもつながります。

親知らずの抜歯後、出血が止まらない状態が続くと「これって普通?」「病院に行くべき?」と迷ってしまうことがあります。以下のポイントを参考に、適切なタイミングで受診を検討しましょう。

⏱️2時間以上続くなら要注意

出血の目安としては、「ガーゼを30分噛んでも止まらない」もしくは「2時間以上断続的に血が出ている」場合は要注意です。

以下のような症状がある場合は、早めの受診が推奨されます:

  • 血がポタポタ垂れるような出血が2時間以上続く
  • ガーゼを何度替えても止まらない
  • 血の塊が繰り返し出てくる
  • 血の味・においがいつまでも口に残る

「なんとなく不安だな」と感じた段階で、迷わずかかりつけの歯科医院へ連絡しましょう。

📆土日・夜間の対処法と相談先

抜歯後のトラブルは、休日や診療時間外に起こることも少なくありません。そのようなときのために、あらかじめ以下の対処法を知っておくと安心です。

土日・夜間の対応策:

  • 診療後にもらった「注意事項」や「緊急連絡先」を確認
  • 地域の「休日歯科診療所」や「夜間急患センター」に相談
  • 江戸川区篠崎周辺にお住まいの方は、江戸川区歯科医師会の当番医制度を活用

止血できず不安が強いときは、我慢せず速やかに医療機関に相談を。

🦷歯科医院での止血処置(縫合・止血剤)

自宅での対処で止まらない場合は、歯科医院で専門的な処置を受ける必要があります。代表的な治療方法は以下の通りです。

  • 止血剤の使用:出血部位に血液凝固を助ける薬剤を詰める
  • 縫合処置:傷口を縫って閉じることで出血を抑える
  • 電気メスなどによる凝固処置:歯肉の出血点を熱凝固する場合も

適切な処置を受けることで、多くのケースで速やかに止血が可能です。

「親知らず 抜歯後 血が止まらない」と悩む方の中には、体質や健康状態が影響しているケースもあります。以下のような特徴を持つ方は、抜歯前後の管理により注意が必要です。

🩺持病(糖尿病・高血圧・血友病など)

慢性的な疾患を持つ方は、抜歯後の出血や治癒に時間がかかることがあります。

  • 糖尿病:血管の損傷が治りにくく、感染や出血のリスクが高まる
  • 高血圧:血管への圧力が高いため、止血しても再出血を起こしやすい
  • 血友病などの血液疾患:血液の凝固がうまく働かず、出血が長引く

こうした持病をお持ちの方は、抜歯前に必ず主治医と連携したうえで処置を行う必要があります

💊服用中の薬(抗凝固薬・アスピリンなど)

以下のような薬を服用している場合も、出血が止まりにくくなることがあります。

  • ワーファリン、プラザキサなどの抗凝固薬
  • バイアスピリンなどの抗血小板薬
  • 一部のサプリメント(ビタミンEや魚油)

これらは血液を固まりにくくする作用があり、抜歯前後で調整が必要になるケースもあります。服用している薬は、自己判断で中止せず必ず歯科医師に申告しましょう。

🧓年齢や免疫力の影響

高齢者や体力が落ちている方も、抜歯後の出血が長引く傾向があります。

  • 加齢により血管や粘膜が弱くなっている
  • 回復力や免疫力が低下している
  • 複数の薬を常用しているケースが多い

こうした背景があると、「小さな出血」でも長引きやすくなります。術後の安静と定期的な経過観察がとても重要です。

親知らずの抜歯後、いったん止まったはずの出血が「また再開してしまった」というケースは少なくありません。これは日常生活の中にある“ちょっとした刺激”が原因になることが多いため、術後の過ごし方が非常に重要です。

🛁入浴・運動・睡眠の注意点

術後24時間以内は、血流を促進する行動は避けましょう

  • 長風呂・熱いお風呂はNG:湯船につかると体温が上がり、再出血の原因になります。シャワー程度で済ませましょう。
  • 激しい運動は控える:ランニングやジムなどの運動は、術後2~3日はお休みしてください。
  • 睡眠時の姿勢も重要:頭をやや高くして寝ると、出血しにくくなります。枕を一枚追加するのがおすすめです。

🍽️食事の工夫とおすすめメニュー

抜歯後の食事は、傷口に負担をかけず、栄養をしっかり摂ることが大切です。

  • NG食品:硬いもの(せんべい、フランスパン)、熱いもの、スパイスの強いもの(カレー、キムチ)は刺激となり、出血を再発させる恐れがあります。
  • おすすめメニュー
    • 冷ましたおかゆ
    • 冷製うどん・豆腐
    • ヨーグルトやプリンなどのやわらかいデザート
    • 卵スープ(冷ましてから)

栄養バランスを意識しつつ、「冷たくてやわらかいもの」を選びましょう。

🧃トローや熱い飲み物はNG?

術後にストローを使って飲み物を飲むのは絶対に避けてください

  • 吸う力で血餅が剥がれ落ちる可能性があり、ドライソケットのリスクも高まります。
  • 熱い飲み物(熱いお茶・スープなど)も、出血や痛みを悪化させる原因になります。

飲み物は常温〜冷たいものを、コップでゆっくり飲むようにしましょう。

親知らずの抜歯後に出血があると、誰でも不安になりますよね。ここでは、患者さまからよくいただく質問をQ&A形式でまとめました。

❓血がにじむ程度でも問題ない?

▶︎ A:基本的には問題ありません。

抜歯後1〜2日は、ガーゼを噛んだあとでも「唾液が赤く染まる程度の出血」はよくあることです。これは完全な出血ではなく、血がにじんでいる状態であり、自然な経過の一部と考えてください。

ただし、

  • ポタポタ垂れるような出血
  • ガーゼを何枚も交換しても止まらない
  • 強い痛みや腫れを伴う

といった症状がある場合は、歯科医院への相談をおすすめします。

❓血餅が取れてしまったらどうなる?

▶︎ A:傷の治りが遅れたり、強い痛みが出ることがあります。

血餅(けっぺい)は、抜歯後の穴をふさぐ天然のかさぶたのような役割を持ちます。うがいやストローの使用、指や舌での刺激などで血餅が取れると、傷口がむき出しになり、再出血や感染のリスクが高まります。

さらに、血餅が剥がれたまま放置すると、次に説明する「ドライソケット」になる可能性もあるため注意が必要です。

❓ドライソケットとの違いは?

▶︎ A:ドライソケットは血餅が失われたことで、骨がむき出しになってしまう状態です。

出血が長引いているだけの状態と異なり、ドライソケットでは激しい痛みが数日後から突然出現し、通常の痛み止めが効きにくいのが特徴です。

ドライソケットの症状:

  • 抜歯後2〜3日してから強い痛みが出る
  • 患部が空洞のように見える
  • 口臭や不快なにおいを感じる

このような場合は自己判断せず、すぐに歯科医院を受診してください。

親知らずを抜いた後、「血が止まらない」と感じたときは誰でも不安になります。しかし、多くの場合は落ち着いた対応で止血が可能です。

✅ 血が止まらない場合の判断基準

以下のような状態が続く場合は、自己判断せず歯科医院へ連絡しましょう:

  • ガーゼを30分以上噛んでも止まらない
  • 2時間以上、出血が断続的に続く
  • 唾液が真っ赤なままで変化がない
  • 強い痛みや腫れを伴っている

🏠 自宅での対処と受診のバランス

軽度のにじみ出るような出血であれば、自宅での圧迫止血・安静・冷却で落ち着くことがほとんどです。一方、出血量が多い、痛みが強いなどの症状がある場合は、自己判断せず早めの受診が大切です。

特に高血圧や糖尿病などの持病をお持ちの方は、出血が長引きやすいため注意しましょう。

🦷 江戸川区篠崎で親知らずの抜歯・出血対応なら当院へ

当院では、親知らずの抜歯に精通した歯科医師が在籍しており、安全かつ適切な術後フォローを行っています。

  • 出血が止まらないときの緊急対応
  • 持病や薬の服用を考慮した抜歯プラン
  • 術後の不安に寄り添う丁寧な説明とサポート

江戸川区篠崎周辺で「親知らず 抜歯後 血が止まらない」とお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。患者さまの安心と回復を第一に、スタッフ一同サポートいたします。

【動画】親知らず抜歯後ドライソケットに!

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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