- 1. 根管治療後も痛い・腫れるのはなぜ?
- 2. 根管治療後に治癒しない・再発するとは?
- 3. 根管治療後に注意したい主な症状
- 3.1. 治療後も痛みが続く
- 3.2. 歯ぐきが繰り返し腫れる
- 3.3. 歯ぐきから膿が出る
- 3.4. 噛むと痛い・違和感がある
- 3.5. レントゲンで根の先に黒い影がある
- 4. 根の先の感染を放置するとどうなる?
- 4.1. 病変が拡大することがある
- 4.2. 嚢胞性の病変を形成することがある
- 4.3. 周囲の骨が吸収されることがある
- 4.4. 歯の保存が難しくなることもある
- 5. 根管治療後に治癒しない・再発する主な原因
- 5.1. 複雑に湾曲した根管
- 5.2. 見つけにくい根管
- 5.3. 側枝など複雑な根管形態
- 5.4. 根管内の感染が十分にコントロールできていない
- 5.5. 被せ物などからの再感染
- 6. レントゲンで確認する根管治療後の病変
- 6.1. 根の先に病変が認められる症例
- 6.2. 側枝など複雑な根管形態が治癒に影響する場合
- 6.3. 湾曲した根管に感染が残る場合
- 7. 根管治療後に病変があっても歯は残せる?
- 7.1. 再根管治療(リトリートメント)
- 7.1.1. 再根管治療の症例
- 8. 再根管治療で改善しない場合の「歯根端切除術」
- 8.1. 歯根端切除術を行った症例
- 8.2. 歯根端切除術による治療
- 8.3. 術後の経過
- 9. 抜歯が必要になるケース
- 10. 根管治療とインプラントはどちらが良い?
- 11. 当院の根管治療
- 11.1. 拡大鏡を使用した治療
- 11.2. 根管長測定器による測定
- 11.3. ニッケルチタンファイルを使用
- 11.4. MTAセメントに対応
- 11.5. 歯根端切除術にも対応
- 12. 根管治療後は定期的な経過観察が大切
- 13. よくある質問
- 13.1. Q. 根管治療をやり直せば必ず治りますか?
- 13.2. Q. 根尖病巣は自然に治りますか?
- 13.3. Q. 痛みがなくても根の先に病変があることはありますか?
- 13.4. Q. 根管治療後の痛みは何日くらい続きますか?
- 13.5. Q. レントゲンの黒い影が残っていたら治療は失敗ですか?
- 13.6. Q. 抜歯と言われましたが、歯を残せる可能性はありますか?
- 13.7. 関連記事
- 14. 根管治療後の痛み・腫れでお困りではありませんか?
- 15. 【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法
- 16. 筆者・院長
- 16.1. 深沢 一
- 16.1.1. メッセージ
根管治療後も痛い・腫れるのはなぜ?

根管治療を受けたあと、このような症状はありませんか?
- 治療した歯の痛みがなかなか治まらない
- 歯ぐきが腫れる
- 歯ぐきから膿が出る
- 噛むと痛い・違和感がある
- レントゲンで「根の先に黒い影がある」と言われた
このような症状がある場合、根管内や根の周囲に感染・炎症が残っている、あるいは再感染している可能性があります。
ただし、根管治療後に症状や病変が残っているからといって、すぐに抜歯が必要になるとは限りません。
歯の状態によっては、再根管治療(根管治療のやり直し)や歯根端切除術によって、歯を保存できる可能性があります。
この記事では、根管治療後に症状が残る原因や注意すべき症状、再治療によって歯を残す方法について解説します。
根管治療後に治癒しない・再発するとは?


根管治療は、虫歯などによって歯髄(神経や血管を含む組織)が感染・壊死した場合に、根管内の感染源を取り除き、洗浄・消毒したうえで封鎖する治療です。
しかし、歯の根の内部にある根管は非常に細く、湾曲や分岐など複雑な形態をしています。
そのため、適切に治療を行っても細菌を完全に除去することが難しい場合があります。また、治療後に被せ物などから細菌が侵入し、再感染することもあります。
感染や炎症が残ると、根の先の組織に炎症が生じ、痛み・腫れ・膿などの症状につながることがあります。
根管治療後に注意したい主な症状

治療後も痛みが続く
根管治療の直後は、歯の周囲組織への刺激によって、一時的に痛みや違和感が生じることがあります。
しかし、痛みが長期間続く、いったん治まった痛みが再び現れる、徐々に強くなるといった場合には、根の先に炎症が残っている可能性があります。
症状が続く場合は、早めに歯科医院で診査を受けることが大切です。
歯ぐきが繰り返し腫れる
根管内や根の先で感染が続いていると、歯ぐきが腫れることがあります。
一度腫れが引いても、何度も同じ場所が腫れる場合には注意が必要です。
歯ぐきから膿が出る
歯ぐきにニキビのような小さなできものができ、そこから膿が出ることがあります。
これは「サイナストラクト」と呼ばれ、歯の根の周囲に慢性的な感染が存在している場合にみられる症状の一つです。
噛むと痛い・違和感がある
普段は痛くなくても、噛んだときや歯を軽く叩いたときに痛みを感じることがあります。
根の先や歯根膜など、歯を支える周囲組織に炎症が残っている可能性があります。
レントゲンで根の先に黒い影がある
レントゲン写真で根の先の骨が黒く見える場合、根尖性歯周炎などによって周囲の骨に変化が生じている可能性があります。
ただし、レントゲン上の黒い影だけで根管治療の成否を判断することはできません。
治療からの経過期間や症状、病変の大きさの変化などを総合的に評価することが重要です。
根の先の感染を放置するとどうなる?
病変が拡大することがある
根の先に炎症があっても、初期にはほとんど症状がないことがあります。
しかし、感染が続くと周囲の骨に炎症が広がり、病変が大きくなる場合があります。
嚢胞性の病変を形成することがある
慢性的な炎症が長期間続いた根尖部の病変の中には、嚢胞性の変化を伴うものもあります。
ただし、レントゲン画像だけで歯根嚢胞かどうかを確定することはできません。
周囲の骨が吸収されることがある
慢性的な炎症が続くと、根の周囲の歯槽骨に吸収が生じることがあります。
歯の保存が難しくなることもある
感染の範囲や歯根の状態によっては、再治療を行っても歯を保存することが難しく、抜歯が必要になる場合があります。
そのため、症状がなくても経過観察を続けることが重要です。
根管治療後に治癒しない・再発する主な原因

複雑に湾曲した根管
根管の形は歯によって異なり、非常に細いものや大きく湾曲しているものがあります。
特に奥歯では根管形態が複雑なことがあり、器具が届きにくい部分に細菌が残ることがあります。
見つけにくい根管
1本の歯の中に複数の根管が存在することがあります。
非常に細い根管や通常とは異なる位置にある根管が処置されていない場合、感染が残る原因になることがあります。
側枝など複雑な根管形態
根管には、主となる根管から細く枝分かれした「側枝」などが存在する場合があります。
側枝には治療器具を直接入れることが困難なため、根管内の洗浄・消毒や感染のコントロールが重要になります。
根管内の感染が十分にコントロールできていない
根管内に細菌や感染した組織が残っていると、根の先の炎症が改善しないことがあります。
根管の複雑な形態などが影響するため、根管充填のレントゲン所見だけで治療結果を判断することはできません。
被せ物などからの再感染
根管治療後の詰め物や被せ物に隙間が生じたり、虫歯が再発したりすると、口腔内の細菌が再び根管内へ侵入することがあります。
根管治療だけでなく、その後の土台や被せ物によって適切に封鎖することも重要です。
レントゲンで確認する根管治療後の病変
根の先に病変が認められる症例
根の先にレントゲン透過像(黒く見える部分)が認められる場合、根尖性歯周炎などが疑われます。

これは根の先の炎症によって周囲の骨に変化が生じている可能性を示す所見です。
ただし、画像だけで判断するのではなく、症状や治療歴、時間経過などを含めて診断します。
側枝など複雑な根管形態が治癒に影響する場合
主根管が治療されていても、側枝などの複雑な根管形態が感染のコントロールを難しくすることがあります。

湾曲した根管に感染が残る場合
湾曲が強い根管では、根管の先端付近まで器具を安全かつ適切に到達させることが難しい場合があります。

このような複雑な根管形態は、根管治療の難易度を高める要因の一つです。
根管治療後に病変があっても歯は残せる?
根管治療後に痛みや根尖部の病変が認められても、すぐに抜歯になるとは限りません。
歯根破折などの保存困難な問題がなければ、まず再根管治療を検討します。
再根管治療(リトリートメント)
再根管治療とは、一度治療した根管を再び治療する方法です。
被せ物や土台、既存の根管充填材などを必要に応じて除去し、根管内を再度清掃・洗浄・消毒して封鎖します。
感染源を適切にコントロールできれば、根の先の炎症が改善し、歯を保存できる可能性があります。
再根管治療の症例
治療前のレントゲンでは、根の先に大きな透過像が認められました。


再根管治療を行い感染源の除去を図ったところ、経過観察時には根尖部の透過像が縮小し、周囲骨の治癒傾向が確認されました。
このように、一度根管治療を受けた歯でも、再治療によって保存できる場合があります。
再根管治療で改善しない場合の「歯根端切除術」
再根管治療だけでは改善が難しい場合や、根管内からの再治療が困難な場合には、歯根端切除術を検討することがあります。
歯根端切除術とは、歯ぐき側から根の先へアプローチし、根尖部と周囲の病変を外科的に取り除く治療です。
必要に応じて根の先からMTAセメントなどで封鎖する「逆根管充填」を行います。
歯根端切除術を行った症例
上顎前歯の根尖部に大きな病変が認められた症例です。
根尖部周囲に広い透過像が認められ、通常の根管内からの治療だけでは改善が難しいと判断されたため、外科的治療を行いました。

歯根端切除術による治療
感染源となっている根尖部を切除し、周囲の病変を除去します。
その後、必要に応じて根の先端側からMTAセメントなどで封鎖します。
これにより、根管内からの治療では対応が難しい根尖部へ直接アプローチできます。

術後の経過
術後3か月のレントゲンでは、根尖部の透過像が縮小し、周囲骨に治癒傾向が認められました。

歯根端切除術はすべての歯に適応できるわけではありませんが、条件が合えば抜歯を回避して歯を保存するための選択肢となります。
抜歯が必要になるケース
できるだけ歯を残すことを検討しますが、すべての歯を保存できるわけではありません。
例えば、次のような状態では保存が難しい場合があります。
- 保存困難な歯根破折がある
- 重度の歯周病によって歯を支える組織が大きく失われている
- 虫歯などによる歯質の欠損が大きく、修復が困難
- 再根管治療や外科的治療を行っても感染の改善が見込めない
- 歯根や周囲骨の状態から長期的な維持が困難と判断される
抜歯するかどうかは、レントゲンや必要に応じたCT検査、歯周組織、歯根の状態、残っている歯質などを総合的に評価して判断します。
根管治療とインプラントはどちらが良い?
根管治療とインプラントは、単純に優劣を比較する治療ではありません。
**根管治療は「自分の歯を保存するための治療」、インプラントは「失った歯を補うための治療」**だからです。
歯を保存できる可能性があり、長期的な維持が期待できる場合には、まず天然歯を残す治療を検討します。
一方、歯根破折や大きな歯質欠損などによって保存が困難と判断された場合には、抜歯後の選択肢の一つとしてインプラントがあります。



インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。周囲の歯を大きく削らずに欠損を補えることがメリットですが、外科手術が必要であり、治療期間や費用、全身状態なども考慮する必要があります。
そのため、
「根管治療を続けるべきか、それとも抜歯してインプラントにするべきか」
という判断は、歯の状態だけでなく、残っている歯質、歯根の状態、周囲骨、歯周病、噛み合わせなどを総合的に診査して行うことが大切です。
天然歯を残せる可能性がある場合には、まず保存治療が可能かを十分に検討します。
当院の根管治療
根管治療では、肉眼では確認しにくい細い根管の内部を処置する必要があります。
当院では、症例に応じてさまざまな機器や材料を活用し、できる限り感染源の除去と歯の保存を目指しています。

拡大鏡を使用した治療
根管の入口や歯の内部を拡大して確認することで、細かな部分を把握しながら治療を行います。
複雑な根管や見つけにくい根管を確認する際にも有用です。
根管長測定器による測定
根管治療では、根の先端付近まで適切に処置することが重要です。
根管長測定器を使用し、根管の長さを確認しながら治療を進めます。
ニッケルチタンファイルを使用
ニッケルチタンファイルは柔軟性に優れているため、湾曲した根管にも追従しやすい特徴があります。
症例に応じて使用し、根管内の形成・清掃を行います。
MTAセメントに対応
MTAセメントは封鎖性や生体親和性に優れた歯科材料で、症例に応じて根管治療や歯根端切除術などに使用します。
歯根端切除術にも対応
通常の再根管治療だけでは改善が難しい場合には、歯根端切除術を検討できる場合があります。
歯の状態を診査し、保存できる可能性があるかを慎重に判断します。
根管治療後は定期的な経過観察が大切
根管治療は、治療が終了した時点ですべてが完了するわけではありません。
根の先にあった病変が改善するまでには時間がかかることがあり、症状がなくてもレントゲンで経過を確認する必要があります。
特に、
- 根尖部に大きな病変があった
- 再根管治療を受けた
- 歯根端切除術を受けた
- 過去に腫れや膿が繰り返していた
といった場合には、定期的な経過観察が重要です。
症状がなくなっていても、自己判断で受診を中断せず、歯科医師が必要と判断した時期に検査を受けましょう。
よくある質問
Q. 根管治療をやり直せば必ず治りますか?
必ず治るとは限りません。
根管の形態、感染の程度、歯根破折の有無、残っている歯質、過去の治療内容などによって治療結果は異なります。
ただし、歯を保存できる条件が整っている場合には、再根管治療によって症状や根尖部の病変の改善が期待できることがあります。
Q. 根尖病巣は自然に治りますか?
根管内に感染源が残っている場合、自然に改善することは一般的には期待できません。
一時的に痛みや腫れがなくなっても、感染が残っていることがあります。
必要に応じて根管治療や再根管治療などによって原因に対する治療を行います。
Q. 痛みがなくても根の先に病変があることはありますか?
あります。
慢性的な根尖性歯周炎では、自覚症状がほとんどないこともあります。
歯科検診や別の歯の治療で撮影したレントゲンによって、偶然発見されるケースもあります。
Q. 根管治療後の痛みは何日くらい続きますか?
治療直後は、歯の周囲組織への刺激によって軽い痛みや噛んだときの違和感が生じることがあります。
通常は徐々に落ち着いていきますが、痛みが強くなる、腫れが出る、長期間改善しない場合には、治療を受けた歯科医院へ相談してください。
Q. レントゲンの黒い影が残っていたら治療は失敗ですか?
必ずしもそうではありません。
根の先の骨が回復するには時間がかかるため、治療後しばらくはレントゲン上の透過像が残る場合があります。
重要なのは、時間の経過とともに病変が縮小しているか、症状が改善しているかを確認することです。
Q. 抜歯と言われましたが、歯を残せる可能性はありますか?
歯の状態によっては、再根管治療や歯根端切除術などによって保存できる可能性があります。
一方、歯根破折や重度の歯周病、歯質の大きな欠損などがある場合には保存が困難なこともあります。
抜歯を決める前に、歯根や周囲骨、残存歯質などを詳しく診査することが大切です。
関連記事
根管治療後の痛み・腫れでお困りではありませんか?

根管治療をした歯の痛みが続く、歯ぐきが腫れる、膿が出る、噛むと違和感がある――。このような症状があっても、すぐに抜歯が必要とは限りません。
歯の状態によっては、再根管治療や歯根端切除術によって歯を残せる可能性があります。
「治療したのになかなか治らない」「抜歯が必要と言われたけれど、できれば自分の歯を残したい」という方は、まずは歯の状態を詳しく調べることが大切です。
大切な歯を残せる可能性を、一緒に検討しましょう。
【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





