血管迷走神経反射とは?歯科治療中に起こる理由を解説
血管迷走神経反射が起こるメカニズム
歯科で起こる偶発症の血管迷走神経反射は、局所麻酔時の痛みや親知らずの抜歯で長時間に渡る時など、歯科治療時の痛みなどがストレッサーとなり迷走神経(副交感神経)が緊張して起こる循環抑制(徐脈から血圧低下)です。簡単に言うと脳への血流量が低下して起こる様々な症状を指します。
ストレスのかかり方は、同一刺激であっても、個人によって異なるため、個人の持つキャパシティーを超えた時に血管迷走神経反射は起こります。
従って、歯科治療時に限らず腹痛や採血、注射時など不安や痛みが誘因となり、血管迷走神経反射が起こることがあります。
※ 以前は、三叉迷走神経反射、デンタルショック 、疼痛性ショックなどと呼ばれていたものが血管迷走神経反射に統一されました。
当院では歯科麻酔時の痛みを軽減するために表面麻酔や針の無い麻酔器を使用しています。また、治療時には出来るだけ不安を和らげるために頻繁な声掛けを心がけています。
症状
- 「気分が悪い」
- 「意識が遠のく感じ」
- 「目の前が徐々に白くなる」
- 「意識消失(失神)」
- 「顔面蒼白」
- 「発汗」
- 「悪心」など。
循環抑制
心拍数が60回/分以下になることを徐脈と言います。徐脈になると共に血圧が低下し、脳への血流量が不足するため上記の様な症状が現れます。
アナフィラキシーショックとの鑑別
アナフィラキシーショックと血管迷走神経反射は、血圧が下がる等、症状が似ている部分もあるため、鑑別が必要です。
歯科治療中の血管迷走神経反射への迅速な対応法
水平位 + 下肢を上げる
歯科治療中に血管迷走神経反射が起きたら治療を中断し、写真の様に水平位のまま下肢を枕などを支えにして30センチほど上げます。
この体位を摂ることで、足から心臓に戻る血流が増え、脳への血流量を増やすことが出来ます。
バイタルサイン(血圧・脈拍・酸素飽和度)を計測しながら観察しますが、通常はこの対応で徐々に改善します。
アトロピン硫酸塩注0.5mgの静脈注射または筋肉内注射
意識消失(失神)した様な重症の場合には、以下の様な処置を行うことがあります。
- 酸素投与。
- 副交感神経を遮断する薬であるアトロピン硫酸塩注0.5mgの静脈注射または筋肉内注射。(徐脈を伴う血圧低下に有効)
予防とセルフチェック
血管迷走神経反射の予兆が現れたら直ぐに横になるのがベストです。前述した様に足を高く上げることで起こりにくくなります。
普段からストレスを強く感じやすい人は血管迷走神経反射が起こりやすいかもしれません。 血管迷走神経反射の症状がどのようなものなのかを知っておくだけでも安心できるかもしれません。
血管迷走神経反射は精神的ストレスが原因で副交感神経のバランスが崩れて起こる症状なので、それ自体は特に問題はありません。発症前の有効な治療方法も薬もありません。あくまでも発症した時の対処療法のみとなります。
江戸川区篠崎で血管迷走神経反射の対応をご希望の方へ
当院では歯科口腔外科分野の処置を、適切な検査・診断の元に実施しております。できる限り痛みやリスクを抑えた施術を心がけ、術後のケアまでしっかり実施致します。江戸川区篠崎にて、血管迷走神経反射が起きやすい方の歯科口腔外科治療をご希望の方は、ふかさわ歯科クリニック篠崎までお気軽にご相談ください。
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。