前歯の差し歯として長年使用されているメタルボンドクラウンは、強度と審美性を兼ね備えた優れた補綴装置です。しかし、装着後に歯周病が進行したり、歯周病治療を受けたりすると、歯ぐきが下がって見た目に変化が現れることがあります。

今回の症例では、前歯部のメタルボンド装着後に歯周病治療を行った結果、歯肉退縮が生じ、歯頚部の金属色が露出したケースをご紹介します。

メタルボンドの歯ぐき下がり
メタルボンドの歯ぐき下がり

上顎前歯部にメタルボンドが装着されています。

赤矢印で示した部分では、歯ぐきが大きく下がり、クラウンと歯肉の境目が露出しています。

特に以下のような変化が認められます。

  • 歯肉退縮による歯根面の露出
  • メタルボンド内部の金属色の透過
  • 歯頚部の黒いライン(ブラックマージン)
  • 歯と歯の間の隙間(ブラックトライアングル)

炎症が改善すると腫れていた歯肉が引き締まる

歯周病が進行している状態では、歯ぐきは炎症によって腫れています。

歯周病治療によって炎症が改善すると、腫れていた歯肉が健康な状態へ戻るため、見た目としては歯ぐきが下がったように感じられます。

実際には治療によって歯周組織が改善した結果であり、必ずしも悪い変化ではありません。

歯槽骨の吸収が原因

歯周病が進行すると歯を支える歯槽骨が吸収されます。

歯肉は骨の高さに沿って存在するため、骨が失われると歯肉も下がります。

そのため、重度歯周病の治療後には歯肉退縮が目立つことがあります。

1. 金属フレームの露出

メタルボンドクラウンは内側に金属フレームを持っています。

歯肉退縮によってクラウンの根元部分が露出すると、内部の金属色が透けて見えることがあります。

2. メタルタトゥー

長期間装着された金属補綴物では、微細な金属粒子が歯肉内に沈着することがあります。

これを「メタルタトゥー」と呼び、歯ぐきが青黒く見える原因になります。

3. 支台歯の変色

神経を取った歯では歯質そのものが暗く変色することがあります。

その色が歯頚部から透けて見える場合もあります。

ブラックマージン

クラウンと歯肉の境目に黒い線が見える状態です。

前歯では特に目立ちやすく、笑った時に気になる方が少なくありません。

ブラックトライアングル

歯と歯の間の歯肉が失われることで三角形の隙間が生じます。

食べ物が詰まりやすくなるだけでなく、見た目の老化印象にもつながります。

治療方法
治療方法

メタルボンドの再製作

現在の補綴物を除去し、新しいクラウンへ交換します。

特に前歯では金属を使用しないオールセラミックやジルコニアセラミックが有効です。

歯周形成外科

歯肉移植術や結合組織移植術によって歯肉の厚みを増やし、退縮した歯肉の改善を図ることがあります。

ただし、適応症には制限があります。

ダイレクトボンディング

軽度のブラックトライアングルであれば、コンポジットレジンを追加して隙間を目立たなくできる場合があります。

一度失われた歯槽骨や歯肉を完全に元へ戻すことは容易ではありません。

そのため、

  • 毎日の丁寧な歯磨き
  • 歯間ブラシやフロスの使用
  • 定期的な歯科メインテナンス
  • 歯周病の早期発見・早期治療

が非常に重要です。

前歯のメタルボンドブリッジや差し歯は、歯周病治療後の歯肉退縮によって歯頚部の黒変やブラックマージンが目立つことがあります。

これは歯周病による骨吸収や、治療後に炎症が改善したことによって生じる変化です。審美的な改善を希望される場合には、オールセラミックやジルコニアへの再治療、歯周形成外科などの選択肢があります。

前歯の差し歯の根元が黒く見える、歯ぐきが下がって気になるという方は、まず歯周病の状態を詳しく診査し、原因を明確にすることが大切です。

江戸川区篠崎|前歯のメタルボンド治療後に歯ぐきが下がった・黒く見える方へ

歯周病治療後、「前歯の歯ぐきが下がった」「差し歯の根元が黒く見えるようになった」とお悩みではありませんか?

実は、歯周病の改善に伴って歯肉が引き締まり、これまで隠れていたメタルボンドの金属部分や歯根面が露出することがあります。

江戸川区篠崎の当院では、歯周病の状態や補綴物の適合性を詳しく診査し、メタルボンドの再製作、ジルコニアへの交換、歯周形成外科など、お一人おひとりに適した治療法をご提案しています。

見た目の改善と歯の長期保存を両立した治療をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

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筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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