目次

「乳歯は、いずれ永久歯に生え変わるから、虫歯になっても大丈夫」

このように考えていませんか?

乳歯は一時的な歯ですが、食べ物を噛むだけでなく、発音や顎の成長を助け、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースを保つ重要な役割があります。

乳歯の虫歯を放置すると、痛みや腫れが生じるだけでなく、永久歯の歯並びや発育に影響することがあります。虫歯が重症化し、乳歯を予定より早く失った場合には、永久歯が生えるスペースを保つための装置が必要になることもあります。

また、乳歯は永久歯よりも虫歯が進行しやすいため、「小さな黒い点だから」「痛がっていないから」と自己判断するのは禁物です。

本記事では、乳歯の虫歯ができる原因、見分け方、永久歯への影響、進行度に応じた治療法、ご家庭でできる予防方法について詳しく解説します。

次のような変化が見られる場合は、乳歯の虫歯が始まっている可能性があります。

  • 歯の表面が白く濁っている
  • 茶色や黒い点がある
  • 歯に小さな穴が開いている
  • 歯と歯の間が黒く見える
  • 食べ物が同じ場所に詰まりやすい
  • 冷たいものや甘いものを嫌がる
  • 片側だけで噛んでいる
  • 食事に時間がかかるようになった
  • 歯磨きの際に特定の場所を嫌がる
  • 歯ぐきが腫れている
  • 歯ぐきに白いできものがある
  • 口臭が強くなった

乳歯の虫歯は、痛みがないまま進行することがあります。見た目だけでは判断しにくい歯と歯の間の虫歯もあるため、気になる変化があれば早めに歯科医院を受診しましょう。

乳歯の虫歯は、口の中の細菌が糖を利用して酸を作り、その酸によって歯の表面からカルシウムやリンが溶け出すことで発生します。

食事をすると、一時的に口の中が酸性に傾き、歯の表面が溶ける「脱灰」が起こります。一方、唾液には酸を中和し、溶け出した成分を歯に戻す「再石灰化」の働きがあります。

通常は脱灰と再石灰化のバランスが保たれていますが、甘いものを頻繁に食べたり、歯に汚れが残ったりすると、再石灰化が追いつかなくなります。その状態が続くと、やがて歯の表面に穴が開き、虫歯になります。

乳歯の虫歯
乳歯の虫歯

虫歯は、単に「甘いものを食べたからできる」のではありません。

  • 歯の質
  • 虫歯の原因となる細菌
  • 糖を含む飲食物
  • 飲食の回数や時間
  • 唾液の量や働き
  • 歯磨きやフロスの状態
  • フッ化物の使用状況

これらの要因が重なることで発生します。

「乳歯は生え変わるから大丈夫」が間違いである理由

乳歯には、永久歯が生えるまでの仮の歯というだけではない、大切な役割があります。

食べ物をしっかり噛む

乳歯が健康であれば、左右の歯を使って食べ物を噛み、さまざまな食品を食べられます。

虫歯の痛みがあると、子どもは痛い歯を避けて反対側だけで噛んだり、硬いものを嫌がったりするようになります。食事の内容が偏る原因になることもあります。

正しい発音を助ける

前歯や舌は、言葉を発音する際に重要な役割を果たします。

前歯を早い時期に失うと、空気が漏れやすくなり、一部の音が発音しにくくなる場合があります。

顎や顔の成長を支える

子どもの顎は、食べ物を噛む刺激を受けながら成長します。

乳歯を使ってしっかり噛むことは、顎や口の周囲の筋肉の発達にも関係しています。

永久歯が生える場所を確保する

乳歯は、次に生えてくる永久歯のためのスペースを保つ役割を担っています。

虫歯によって乳歯を予定より早く失うと、隣の歯が空いた場所へ倒れたり移動したりすることがあります。その結果、永久歯が生えるスペースが不足し、歯並びや噛み合わせが乱れる原因になります。

第二乳臼歯に大きな虫歯
第二乳臼歯に大きな虫歯
永久歯の歯並びが乱れる
永久歯の歯並びが乱れる

痛みが強くなる

虫歯が浅い段階では、ほとんど症状がないことがあります。

しかし、象牙質や神経に近づくと、冷たいものや甘いものがしみたり、食事中に痛みが出たりします。さらに進行すると、何もしていなくてもズキズキ痛むことがあります。

小さな子どもは痛みをうまく説明できないため、次のような行動として現れることもあります。

  • 食事を嫌がる
  • 食べるのが遅くなる
  • 片側だけで噛む
  • 夜中に泣く
  • 機嫌が悪くなる
  • 口元を触る
  • 歯磨きを強く嫌がる

歯ぐきが腫れたり、膿がたまったりする

虫歯が神経まで達して感染が根の先へ広がると、歯ぐきが腫れたり、膿がたまったりすることがあります。

歯ぐきに白いニキビのようなできものが繰り返し現れる場合は、歯の根の先に感染がある可能性があります。

強い腫れや発熱を伴う場合は、早急な対応が必要です。

永久歯の発育に影響することがある

乳歯の下では、永久歯が少しずつ成長しています。

乳歯の根の先に強い炎症が起こると、その近くにある永久歯の発育に影響し、永久歯が生えた際に表面の一部が白色や黄褐色に変色したり、エナメル質が弱くなったりすることがあります。

すべての虫歯が永久歯に影響するわけではありませんが、根の先まで感染が進んだ乳歯は注意が必要です。

永久歯の歯並びが乱れることがある

虫歯によって乳歯が大きく崩れたり、予定より早く抜歯したりすると、隣の歯が移動して永久歯の生えるスペースが狭くなることがあります。

特に乳歯の奥歯を早期に失った場合は、将来の歯並びへの影響を慎重に確認する必要があります。

必要に応じて、永久歯のスペースを保つ「保隙装置」を使用することがあります。

乳歯の虫歯は小さく見えても要注意
乳歯の虫歯は小さく見えても要注意
短期間で進行する乳歯の虫歯
短期間で進行する乳歯の虫歯

乳歯は永久歯と比べて、歯の表面を覆うエナメル質や、その内側にある象牙質が薄いという特徴があります。

そのため、いったん穴が開くと、虫歯が歯の内部へ進みやすくなります。

また、乳歯では歯の大きさに対して神経が占める割合が大きいため、見た目には小さな虫歯でも、内部では神経の近くまで進んでいる場合があります。

さらに、小さな子どもには次のような特徴があります。

  • 痛みの場所や程度を説明しにくい
  • 痛みがあっても遊びや食事を優先することがある
  • 口の中を長時間見せることが難しい
  • 歯と歯の間の虫歯は外から見えにくい

そのため、保護者が気づいた時点ですでに虫歯が大きくなっていることも珍しくありません。

ダラダラ食べ・ダラダラ飲み

虫歯のリスクは、糖分の量だけでなく、口の中に糖が入る回数や時間にも大きく左右されます。

甘いものを一度に食べる場合よりも、少量ずつ何度も食べたり飲んだりする方が、口の中が酸性になる時間が長くなります。

注意したい習慣には、次のようなものがあります。

  • お菓子を少しずつ長時間食べる
  • ジュースを水分補給代わりに飲む
  • スポーツドリンクや乳酸菌飲料を頻繁に飲む
  • 飴やグミを長時間口にする
  • 寝る前に甘い飲み物を飲む
  • 夜間にミルクや甘い飲料を何度も飲む

おやつは完全に禁止するのではなく、時間と回数を決めることが大切です。

甘い飲み物を日常的に飲んでいる

ジュース、乳酸菌飲料、炭酸飲料、スポーツドリンクなどには糖分が含まれています。

少しずつ長時間飲む習慣があると、歯が酸にさらされる時間が長くなります。

普段の水分補給は、水や無糖のお茶を基本にしましょう。スポーツドリンクは、日常的な水分補給として常に必要な飲み物ではありません。

仕上げ磨きが十分にできていない

小さな子どもは、自分だけで口の中全体をきれいに磨くことができません。

特に次の場所は磨き残しやすいため、保護者による確認が必要です。

  • 上の前歯の表側と裏側
  • 歯と歯ぐきの境目
  • 奥歯の噛み合わせの溝
  • 一番奥に生えた歯
  • 歯と歯が接している部分

子どもが自分で歯を磨くことは大切ですが、自分磨きだけで終わらせず、保護者が仕上げ磨きを行いましょう。

フロスを使用していない

歯ブラシだけでは、歯と歯が接している部分の汚れを十分に落とせないことがあります。

乳歯の奥歯は面で接していることが多く、歯と歯の間に虫歯ができても外から見えにくいのが特徴です。

歯と歯が接するようになったら、年齢だけで判断せず、保護者がフロスを使用することが大切です。

フッ化物を十分に活用できていない

フッ化物には、歯から溶け出した成分が戻る再石灰化を促し、歯を酸に溶けにくくする働きがあります。毎日のフッ化物配合歯磨剤と、必要に応じた歯科医院でのフッ化物塗布を組み合わせることが虫歯予防につながります。

口の中が乾燥している

唾液には、食べかすを洗い流す、酸を中和する、歯の再石灰化を助けるといった働きがあります。

口呼吸などによって口の中が乾燥すると、唾液の働きが十分に発揮されにくくなることがあります。

いつも口が開いている、いびきをかく、鼻が詰まりやすいといった症状がある場合は、歯科医院だけでなく、必要に応じて耳鼻咽喉科での確認も検討します。

虫歯に関係する細菌は、家族など身近な人との生活の中で子どもの口に入ることがあります。

ただし、虫歯は一度細菌が入っただけで必ず発症するものではありません。歯磨き、フッ化物の使用、飲食習慣、唾液など、複数の条件が重なって発症します。

食器を厳密に分けることだけに神経質になるよりも、次のような対策を家族全体で行う方が重要です。

  • 保護者自身の虫歯や歯周病を治療する
  • 家族も定期的に歯科健診を受ける
  • 子どもの仕上げ磨きを続ける
  • フッ化物配合歯磨剤を適切に使用する
  • 甘い飲食物の回数を整える

家族全員で口の中を健康に保つことが、お子さんの虫歯予防にもつながります。

0~2歳頃|上の前歯

乳歯が生え始めると、上の前歯の表側や裏側、歯と歯ぐきの境目に虫歯ができることがあります。

特に注意が必要なのは、就寝時や夜間に哺乳瓶でミルクや甘い飲み物を飲む習慣です。

睡眠中は唾液の分泌が減るため、糖分が歯の表面に長時間残りやすくなります。

母乳やミルクの与え方だけで虫歯が決まるわけではありませんが、歯が生えた後は、授乳や飲食の回数、歯磨き、フッ化物の使用状況を総合的に見直すことが大切です。厚生労働省も、1歳6か月以降の就寝時授乳などの習慣や、保護者による仕上げ磨きを虫歯予防上の重要な要素として挙げています。

3~5歳頃|乳歯の奥歯

乳歯の奥歯には複雑な溝があり、食べかすや歯垢が残りやすい傾向があります。

また、歯と歯が接してくると、奥歯の間にも虫歯ができやすくなります。

歯ブラシだけでなく、フロスを併用しましょう。

5~7歳頃|乳歯の奥歯と6歳臼歯

乳歯の一番奥から永久歯の6歳臼歯が生えてきます。

6歳臼歯は乳歯が抜けずに生えてくるため、保護者が乳歯だと思って見落とすことがあります。

生え始めは歯ぐきに一部が覆われ、歯ブラシが当たりにくいため、虫歯になりやすい時期です。

歯ブラシを横から入れ、6歳臼歯の噛み合わせ面に毛先を当てて磨きましょう。

奥歯の噛み合わせ面

奥歯(乳臼歯)の噛み合わせ部分(Eにシーラントをしてある)
奥歯(乳臼歯)の噛み合わせ部分(Eにシーラントがされています)

乳歯の奥歯には深く複雑な溝があります。

溝の中には歯ブラシの毛先が届きにくいため、歯垢が残りやすくなります。

歯科医院では、虫歯になる前の深い溝を樹脂で埋める「シーラント」を検討することがあります。

歯と歯の間

乳歯の歯と歯の間(隣接面)に出来た虫歯
乳歯の歯と歯の間(隣接面) に出来た虫歯

乳歯の歯と歯の間は、虫歯になっても外側から見えにくい場所です。

左右の歯で同時に虫歯が進行し、歯の表面が崩れて初めて気づくこともあります。

診察だけでは判断しにくい場合には、必要に応じてレントゲン撮影を行います。

上の前歯の歯ぐき付近

上の前歯の表側や歯ぐきとの境目は、低年齢の子どもに虫歯ができやすい場所です。

白く濁った帯状の変化が初期のサインになることがあります。

奥歯の頬側・舌側

奥歯の頬側や舌側にある小さなくぼみも、汚れが残りやすい場所です。

仕上げ磨きでは、噛み合わせ面だけでなく、歯の側面も確認しましょう。

初期虫歯|歯が白く濁る

初期虫歯(白濁・薄茶)
初期虫歯(白濁・薄茶)

歯の表面からカルシウムなどが溶け始めると、歯が白く濁って見えることがあります。

この段階では、まだ穴が開いていないことが多く、痛みもほとんどありません。

適切な歯磨き、フッ化物の使用、飲食習慣の改善によって、進行を抑えたり再石灰化を促したりできる可能性があります。

ただし、白い部分が元どおりの見た目に完全に戻るとは限りません。初期虫歯か、歯の形成上の変化かを見分ける必要があるため、自己判断せず歯科医院で確認しましょう。

エナメル質の虫歯|小さな穴や変色が見られる

虫歯が歯の表面にとどまっている段階では、茶色や黒っぽい変色、小さな穴が見られることがあります。

痛みはまだないことが多いものの、乳歯では短期間に内部へ進むことがあるため、経過観察でよいか治療が必要かを診断します。

象牙質の虫歯|食べ物が詰まる・しみる

中等度虫歯(エナメル質・象牙質の破壊)
中等度虫歯(エナメル質・象牙質の破壊)

虫歯がエナメル質の内側にある象牙質まで進むと、穴が大きくなり、食べ物が詰まりやすくなります。

冷たいものや甘いものを嫌がることもあります。

一般的には、虫歯部分を取り除き、コンポジットレジンなどで修復します。

神経まで進んだ虫歯|強い痛みが出る

重度虫歯(象牙質・神経への影響)
重度虫歯(象牙質・神経への影響)

虫歯が神経まで達すると、食事中の痛みや夜間の強い痛みが出ることがあります。

神経の一部または全部を処置する治療が必要になる場合があります。

乳歯を保存できるかどうかは、虫歯の範囲、感染の程度、歯根の状態、永久歯が生えるまでの期間などを考慮して判断します。

根の先まで感染した虫歯|腫れや膿が出る

乳歯Eの根管治療中のX線画像。根の中の感染を除去し、薬剤を充填している様子です。矢印は根管内の充填材を示しています。
乳歯Eの根管治療中のX線画像。根の中の感染を除去し、薬剤を充填している様子です。矢印は根管内の充填材を示しています。

神経が壊死し、感染が根の先まで広がると、歯ぐきの腫れや膿、発熱などが現れる場合があります。

痛みが一時的に消えることもありますが、治ったわけではありません。神経が機能しなくなったために、痛みを感じにくくなっている可能性があります。

根の治療を行うか、保存が難しければ抜歯を検討します。

乳歯の虫歯治療は、虫歯の大きさだけで決まるわけではありません。

  • お子さんの年齢
  • 虫歯の進行度
  • 痛みや腫れの有無
  • 永久歯が生えるまでの期間
  • 歯根の吸収状態
  • 治療への協力度
  • 虫歯のなりやすさ
  • ご家庭でのケア状況

これらを総合的に判断して治療方針を決めます。

初期虫歯の管理

まだ穴が開いていない初期虫歯では、すぐに削らず、進行を抑える管理を行うことがあります。

主な内容は次のとおりです。

  • フッ化物塗布
  • フッ化物配合歯磨剤の使用
  • 歯磨き指導
  • フロス指導
  • 飲食回数の見直し
  • 定期的な経過観察

初期虫歯は「何もしなくても自然に治る」のではありません。進行させないための継続的な管理が必要です。

コンポジットレジンによる修復

虫歯を削る
虫歯を削る
コンポジットレジン充填
コンポジットレジン充填

比較的小さな虫歯では、虫歯部分を取り除き、歯科用の白い樹脂で修復します。

治療を1回で終えられる場合もありますが、虫歯の範囲やお子さんの協力度によって異なります。

乳歯用の被せ物による治療

虫歯の範囲が広い場合や、歯の強度が大きく低下している場合には、詰め物だけでなく被せ物を使用することがあります。

どの材料を使用するかは、歯の位置、残っている歯質、噛み合わせなどによって判断します。

神経の治療

重度虫歯:神経治療 or 抜歯
重度虫歯:神経治療 or 抜歯

虫歯が神経近くまで進んだ場合には、感染した神経の一部または全部を取り除く治療を行うことがあります。

乳歯の根は、永久歯への生え変わりに伴って自然に吸収されます。そのため、永久歯の根管治療とは異なる材料や方法で処置します。

抜歯

次のような場合には、乳歯を残すことが難しく、抜歯を検討することがあります。

  • 歯が大きく崩れて修復できない
  • 根の周囲に強い感染がある
  • 根の吸収が進んでいる
  • 永久歯への影響が懸念される
  • 治療をしても感染を抑えられない

乳歯を予定より早く抜歯した場合は、永久歯の生えるスペースを保つ必要があるか確認します。

保隙装置

保隙装置は、乳歯を早く失った場所に隣の歯が移動するのを防ぎ、永久歯の生えるスペースを保つための装置です。

すべての抜歯後に必要になるわけではありません。

  • 抜いた乳歯の種類
  • お子さんの年齢
  • 永久歯の位置
  • 歯並び
  • 萌出までの期間

などを確認して判断します。

歯科医院を怖がる子どもに対して、最初から無理に治療を進めると、歯科治療への恐怖心が強くなることがあります。

緊急性が低い場合は、次のような段階を踏みながら診療環境に慣れてもらいます。

  1. 診療室に入る
  2. 診療台に座る
  3. 口を開ける
  4. 鏡で口の中を見る
  5. 歯ブラシや器具に触れる
  6. 短時間の処置を受ける

ただし、強い痛みや腫れがある場合は、感染を放置できません。お子さんの状態に応じて、応急処置や痛みを抑える処置を優先します。

保護者の方は、受診前に「痛くないよ」「何もしないよ」と断言するのではなく、「先生に歯を見てもらおうね」と事実に沿って伝えることが大切です。

「悪いことをしたら歯医者に連れて行く」など、歯科医院を罰として使う表現は避けましょう。

1.毎日、保護者が仕上げ磨きをする

乳歯の虫歯予防では、保護者による仕上げ磨きが欠かせません。

特に就寝中は唾液の分泌が減るため、夜の歯磨きを丁寧に行いましょう。

仕上げ磨きのポイントは次のとおりです。

  • 子どもの頭を安定させる
  • 明るい場所で口の中を見る
  • 小さめの歯ブラシを使う
  • 鉛筆を持つように軽く握る
  • 毛先を歯に直角に当てる
  • 小刻みに動かす
  • 力を入れすぎない
  • 上唇小帯に歯ブラシを当てない
  • 奥歯の溝と歯ぐきの境目を確認する

仕上げ磨きは6歳頃で終了するのではなく、小学校低学年以降も、お子さんが十分に磨けるようになるまで確認を続けることが大切です。

2.フッ化物配合歯磨剤を適量使う

日本小児歯科学会など4学会の合同提言では、年齢に応じて次の使用方法が推奨されています。

歯が生えてから2歳まで

  • フッ化物濃度:900~1000ppmF
  • 使用量:米粒程度(1~2mm)
  • 使用回数:就寝前を含めて1日2回
  • 歯磨き後は、必要に応じてティッシュなどで軽く拭き取ってもよい

3~5歳

  • フッ化物濃度:900~1000ppmF
  • 使用量:グリーンピース程度(約5mm)
  • 使用回数:就寝前を含めて1日2回
  • 歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回

6歳以上

  • フッ化物濃度:1400~1500ppmF
  • 使用量:歯ブラシ全体(約1.5~2cm)
  • 歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回

子どもが適量をつけられない場合は、保護者が歯磨剤を歯ブラシにつけてください。

歯磨剤は、子どもの手の届かない場所に保管しましょう。

3.歯と歯が接したらフロスを使う

フロスを始める時期は、一律に何歳からと決まっているわけではありません。

歯と歯が接し、歯ブラシの毛先が入らなくなったら使用を始めます。

小さな子どもには、保護者が持ち手付きのフロスを使用すると扱いやすいでしょう。

歯ぐきに勢いよく押し込まず、歯の側面に沿わせてゆっくり動かします。

すべての歯に毎日使用するのが難しい場合でも、まずは奥歯の接している部分から始めましょう。

4.おやつは時間と回数を決める

虫歯予防で大切なのは、甘いものを完全に禁止することではなく、飲食の回数を増やしすぎないことです。

  • おやつは時間を決める
  • 食べ終わる時間を決める
  • テレビや遊びをしながら長時間食べない
  • 食後は水やお茶を飲む
  • 甘い飲み物を水分補給に使わない
  • 就寝前の飲食を避ける

普段の飲み物は水や無糖のお茶を基本にしましょう。WHOも、虫歯予防のために糖類の摂取を抑え、主な飲み物として水を選ぶことを勧めています。

5.歯科医院でフッ化物塗布を受ける

歯科医院では、家庭用の歯磨剤よりも高濃度のフッ化物を歯の表面に塗布できます。

フッ化物塗布は、歯科医師や歯科衛生士が適量を管理して行う専門的な予防処置です。

塗布する間隔は一律ではなく、虫歯のなりやすさ、年齢、歯の状態によって決めます。

「フッ化物を塗れば虫歯にならない」というものではないため、毎日の歯磨きや食生活の管理も続けましょう。

6.必要に応じてシーラントを行う

シーラント
シーラント

シーラントは、奥歯の深い溝を歯科用材料で埋め、汚れが入り込みにくくする予防処置です。

歯を大きく削る処置ではありません。

乳歯の奥歯や、生えたばかりの6歳臼歯など、溝が深く虫歯リスクの高い歯に行うことがあります。

シーラントは欠けたり外れたりすることがあるため、定期健診で状態を確認する必要があります。

7.定期的に歯科健診を受ける

― 染め出しで分かる磨き残し ―

染め出しで分かる磨き残し
染め出しで分かる磨き残し

乳歯の虫歯は、目で見える部分だけを確認しても見つけられないことがあります。

定期健診では、次のような確認や処置を行います。

  • 初期虫歯の確認
  • 歯と歯の間の虫歯の確認
  • 磨き残しの確認
  • 仕上げ磨きの指導
  • フロスの使い方の指導
  • フッ化物塗布
  • シーラントの確認
  • 歯の生え変わりの確認
  • 歯並びや噛み合わせの確認

受診間隔は、お子さんの虫歯リスクに合わせて決めます。一般的には3~4か月程度が一つの目安ですが、虫歯ができやすい場合や治療後は、より短い間隔で確認することがあります。

できるだけ早い受診が必要な症状

  • 歯や歯ぐきが強く痛む
  • 顔や歯ぐきが腫れている
  • 膿が出ている
  • 発熱を伴っている
  • 痛くて食事や水分がとれない
  • 夜眠れないほど痛がる
  • 転倒や外傷で歯が欠けた
  • 歯ぐきに白いできものがある

顔の腫れが広がっている、口が開きにくい、飲み込みにくい、呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、緊急性が高い可能性があります。

数日以内の受診をおすすめする症状

  • 歯が白く濁っている
  • 茶色や黒い点がある
  • 小さな穴が見える
  • 食べ物が同じ場所に詰まる
  • 冷たいものや甘いものを嫌がる
  • 片側だけで噛む
  • 口臭が気になる

痛みがなくても、虫歯が進行していることがあります。

乳歯の虫歯は自然に治りますか?

歯の表面が白く濁っただけで、まだ穴が開いていない初期段階であれば、フッ化物や唾液の働きによって再石灰化が進み、虫歯の進行を抑えられる可能性があります。

ただし、すでに穴が開いた虫歯が自然に元の形へ戻ることはありません。

初期虫歯であっても、飲食習慣や歯磨きを改善し、歯科医院で定期的に経過を確認する必要があります。

黒い点があれば虫歯ですか?

黒い点がすべて虫歯とは限りません。

歯の溝に付いた着色や、進行が止まって硬くなった虫歯の場合もあります。一方で、表面は小さな黒い点でも、内部で虫歯が広がっていることがあります。

見た目だけでは判断できないため、歯科医院で確認しましょう。

白い斑点は虫歯ですか?

白く濁った部分は、初期虫歯の可能性があります。

ただし、生まれつきの歯質の変化や、歯が作られる過程で生じた形成不全の場合もあります。

初期虫歯と歯質の異常では対応が異なるため、診察を受けることが大切です。

痛がっていなくても治療は必要ですか?

乳歯の虫歯は、神経に近づくまで痛みが出ないことがあります。

痛みの有無だけでは、治療が必要かどうかを判断できません。虫歯の深さ、進行速度、永久歯との位置関係などを確認して治療方針を決めます。

乳歯でも神経の治療をしますか?

乳歯であっても、虫歯が神経まで進んでいる場合には神経の処置を行うことがあります。

乳歯を適切な時期まで残すことで、噛む機能や永久歯のスペースを守れる可能性があるためです。

ただし、感染の程度や永久歯が生える時期によっては、抜歯を選択することもあります。

乳歯を抜いても永久歯が生えるので問題ありませんか?

永久歯が生える直前であれば、抜歯後の影響が少ないこともあります。

一方、予定よりかなり早く乳歯を失うと、隣の歯が移動して永久歯のスペースが不足することがあります。

抜歯後に保隙装置が必要かどうかは、年齢やレントゲン画像などをもとに判断します。

フッ化物は何歳から使えますか?

最初の乳歯が生えた時点から、年齢に合った濃度と量のフッ化物配合歯磨剤を使用できます。

歯が生えてから2歳までは、900~1000ppmFの歯磨剤を米粒程度使用する方法が推奨されています。

フロスは何歳から必要ですか?

年齢ではなく、歯と歯が接しているかどうかが目安です。

歯と歯が接して歯ブラシが入らなくなったら、保護者がフロスを使用しましょう。

シーラントをすれば虫歯になりませんか?

シーラントは奥歯の溝の虫歯予防に有効ですが、歯と歯の間や歯ぐき付近の虫歯までは防げません。

また、シーラントが欠けたり外れたりすることもあります。

シーラント後も歯磨き、フロス、フッ化物の使用、定期健診を続けることが大切です。

仕上げ磨きは何歳まで必要ですか?

6歳になったから終了するのではなく、お子さんが口の中全体を十分に磨けるようになるまで必要です。

少なくとも小学校低学年頃までは毎日仕上げ磨きを行い、その後もしばらくは磨き残しを確認することをおすすめします。

特に生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすいため、乳歯から永久歯へ生え変わる時期こそ保護者の確認が重要です。

子どもが仕上げ磨きを嫌がる場合はどうすればよいですか?

次のような工夫を試してみましょう。

  • 短時間で終える
  • 毎日同じ時間に行う
  • 好きな音楽や歌を使う
  • 子どもに歯ブラシを選ばせる
  • 磨く順番を決める
  • 終わったら具体的に褒める
  • 毛先が硬すぎない歯ブラシを使う
  • 上唇小帯に歯ブラシが当たっていないか確認する

強く押さえつけることが続くと、歯磨きへの抵抗が強くなることがあります。ただし、嫌がるからといって毎日のケアを中断するのではなく、歯科医院で姿勢や磨き方の指導を受けましょう。

定期健診はどのくらいの間隔で受ければよいですか?

虫歯リスクによって異なります。

虫歯のないお子さんでも3~4か月程度を目安に確認し、初期虫歯がある、虫歯治療を繰り返している、歯磨きが難しいといった場合は、より短い間隔で受診することがあります。

乳歯は、永久歯に生え変わるまで食事や発音を支え、永久歯が生えるスペースを守る大切な歯です。

乳歯の虫歯を放置すると、痛みや腫れが生じるだけでなく、永久歯の発育や歯並びに影響することがあります。

また、乳歯は虫歯が内部へ進みやすいため、見た目が小さくても安心はできません。

虫歯予防のポイントは、次のとおりです。

  • 保護者が仕上げ磨きをする
  • 年齢に合ったフッ化物配合歯磨剤を使う
  • 歯と歯が接したらフロスを使う
  • 甘い飲食物の時間と回数を決める
  • 普段の飲み物は水や無糖のお茶にする
  • 必要に応じてフッ化物塗布やシーラントを受ける
  • 痛みがなくても定期健診を受ける

「白いところがある」「黒い点が気になる」「食べ物が詰まる」といった小さな変化が、虫歯の初期症状である可能性もあります。

乳歯だから大丈夫と考えず、気になる症状があれば早めに歯科医院で確認してもらいましょう。

乳歯の虫歯は、早い段階で発見できれば、歯を削らずに進行を管理できる可能性があります。

一方、痛みや腫れが出るまで放置すると、神経の治療や抜歯が必要になることもあります。

「虫歯かどうか分からない」

「歯が白く濁っている」

「歯と歯の間が黒く見える」

「仕上げ磨きを嫌がって、きれいに磨けない」

このようなお悩みがある場合は、お子さん一人ひとりの年齢や成長、お口の状態に合わせて、必要な治療と予防方法をご案内します。

お子さんの将来の永久歯を守るためにも、気になる変化をそのままにせず、早めにご相談ください。

【動画】子供の虫歯の見分け方

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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