- 1. 【📹 31秒】根分岐部病変とは?重度歯周病による歯槽骨吸収とその治療法
- 2. 根分岐部病変は治る?
- 2.1. 根分岐部病変の進行度(リンデ分類)
- 2.1.1. 初期(リンデ1度)
- 2.1.2. 中等度(リンデ2度)
- 2.1.3. 重度(リンデ3度)
- 2.2. 大切なのは早期発見です
- 3. 根分岐部病変とは?
- 3.1. 根分岐部とは?
- 3.2. 根分岐部病変とは
- 3.3. なぜ奥歯だけ起こりやすいの?
- 4. 根分岐部病変の症状・放置するリスク・セルフチェック・原因
- 4.1. 根分岐部病変の症状
- 4.1.1. 初期症状
- 4.1.1.1. 歯ぐきから出血する
- 4.1.1.2. 歯ぐきが腫れる
- 4.1.1.3. 奥歯で噛むと違和感がある
- 4.1.1.4. 口臭が強くなる
- 4.1.2. 進行すると現れる症状
- 4.1.2.1. 歯がぐらつく
- 4.1.2.2. 噛むと痛い
- 4.1.2.3. 歯ぐきから膿が出る
- 4.1.2.4. 食べ物が詰まりやすくなる
- 4.1.2.5. 抜歯が必要になることもある
- 4.2. 放置するとどうなる?
- 4.2.1. STEP1
- 4.2.2. STEP2
- 4.2.3. STEP3
- 4.2.4. STEP4
- 4.2.5. STEP5
- 4.2.6. STEP6
- 4.3. セルフチェック
- 4.3.1. 2項目以上当てはまる方へ
- 4.4. 根分岐部病変の原因
- 4.4.1. 歯周病
- 4.4.2. 歯ブラシが届きにくい
- 4.4.3. 歯ぎしり・食いしばり
- 4.4.4. 喫煙
- 4.4.5. 糖尿病
- 4.4.6. 定期検診を受けていない
- 5. 根分岐部病変の診断方法・検査の流れ
- 5.1. 根分岐部病変はどのように診断するの?
- 5.2. 根分岐部病変の診断の流れ
- 5.2.1. ① 視診(お口の中を確認)
- 5.2.2. ② 歯周ポケット検査(プロービング検査)
- 5.2.2.1. 根分岐部病変を診断する最も重要な検査
- 5.2.2.2. プロービングで分かること
- 5.2.3. ③ 歯の動揺度検査
- 5.2.3.1. 動揺度0
- 5.2.3.2. 動揺度1
- 5.2.3.3. 動揺度2
- 5.2.3.4. 動揺度3
- 5.2.4. ④ レントゲン検査
- 5.2.4.1. 骨の吸収状態を確認
- 5.2.4.2. 根分岐部病変の特徴
- 5.2.5. ⑤ 歯科用CT検査
- 5.2.5.1. 最も正確に診断できる検査
- 5.2.5.2. CT検査が必要なケース
- 6. 根分岐部病変の治療法|歯を残すための治療と抜歯が必要になるケース
- 6.1. 根分岐部病変はどのように治療するの?
- 6.1.1. 治療の基本は歯周病のコントロール
- 6.2. 歯周基本治療
- 6.2.1. スケーリング(歯石除去)
- 6.2.2. ルートプレーニング(SRP)
- 6.2.3. ブラッシング指導
- 6.2.4. 再評価
- 6.3. 歯周外科治療
- 6.3.1. フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
- 6.3.1.1. 最も基本となる歯周外科治療
- 6.3.1.2. 適応
- 6.3.1.3. メリット
- 6.3.1.4. デメリット
- 6.4. 歯周組織再生療法
- 6.4.1. リグロス
- 6.4.1.1. 適応
- 6.4.1.2. メリット
- 6.4.2. GTR法
- 6.4.2.1. 適応
- 6.4.2.2. 特徴
- 6.4.3. エムドゲイン
- 6.4.3.1. 特徴
- 6.5. トンネリング
- 6.5.1. メリット
- 6.5.2. デメリット
- 6.6. ルートセパレーション(歯根分割)
- 6.6.1. 適応
- 6.6.2. メリット
- 6.6.3. デメリット
- 6.7. 抜歯が必要になるケース
- 6.8. 抜歯後の治療
- 6.9. 治療期間の目安
- 6.10. 根分岐部病変でも歯を残せる可能性があります
- 7. 根分岐部病変の予防・メインテナンス
- 7.1. 根分岐部病変を予防するには?
- 7.2. 毎日のセルフケア
- 7.2.1. 歯ブラシだけでは不十分です
- 7.2.2. ワンタフトブラシ
- 7.2.3. 歯間ブラシ
- 7.2.4. デンタルフロス
- 7.2.5. ウォーターフロッサー(口腔洗浄器)
- 7.3. 定期検診の重要性
- 7.3.1. 症状がなくても受診しましょう
- 7.4. メインテナンスの目安
- 7.5. 生活習慣の改善も大切です
- 7.5.1. 禁煙
- 7.5.2. 糖尿病のコントロール
- 7.5.3. 歯ぎしり・食いしばりへの対応
- 8. 根分岐部病変の治療費の目安
- 9. よくある質問(FAQ)
- 9.1. Q1. 根分岐部病変は自然に治りますか?
- 9.2. Q2. 必ず抜歯になりますか?
- 9.3. Q3. 根分岐部病変は痛いですか?
- 9.4. Q4. 保険で治療できますか?
- 9.5. Q5. 治療期間はどのくらいですか?
- 9.6. Q6. 治療後も再発しますか?
- 9.7. Q7. インプラントになれば歯周病になりませんか?
- 9.8. Q8. 歯間ブラシは毎日使った方が良いですか?
- 10. まとめ
- 11. 「抜歯しかない」と言われても、歯を残せる可能性があるかもしれません
- 12. 筆者・院長
- 12.1. 深沢 一
- 12.1.1. メッセージ

「歯ぐきが腫れる」「奥歯で噛みにくい」「歯がぐらつく」「抜歯が必要と言われた」――このような症状がある方は、根分岐部病変が進行している可能性があります。根分岐部病変は、奥歯の歯周病が歯根の分かれ目まで進行し、歯を支える骨が失われる重度の歯周病です。しかし、早期に適切な治療を行えば、大切な歯を残せる可能性があります。
この記事では、原因・症状・診断・治療法・予防法までをわかりやすく解説します。
【📹 31秒】根分岐部病変とは?重度歯周病による歯槽骨吸収とその治療法
根分岐部病変は治る?

患者さんから最も多くいただく質問が、
「根分岐部病変は治りますか?」
というものです。
結論からお伝えすると、
完全に元の状態へ戻すことは難しいものの、適切な治療によって進行を止め、歯を長期間保存できる可能性があります。
歯周病によって一度失われた歯槽骨は自然に元へ戻ることはありません。しかし、炎症を取り除くことで骨の吸収を止め、病状を安定させることは十分可能です。
さらに、症例によっては歯周組織再生療法(リグロス・GTR法・エムドゲインなど)を行うことで、失われた歯周組織の一部が再生し、歯を保存できる可能性もあります。
つまり、
根分岐部病変の進行度(リンデ分類)
初期(リンデ1度)

プローブは歯の幅の1/3以内までしか入りません。
骨の吸収は比較的少なく、保存しやすい状態です。
- 歯石除去
- ルートプレーニング
- ブラッシング改善
で十分改善できることがあります。
中等度(リンデ2度)

骨の吸収が進み、プローブは歯の幅の1/3以上入ります。ただし完全には貫通しません。
歯周病がかなり進行しています。
この段階では歯周外科治療を併用することが多くなります。
- フラップ手術
- リグロス
- GTR法
- エムドゲイン
などを組み合わせることで、歯を保存できる可能性があります。
重度(リンデ3度)

根分岐部が完全に貫通していて、プローブが完全に貫通します。分岐部の骨がほとんど失われている状態です。
歯ブラシでは清掃できません。食べ物も詰まりやすくなり、プラークが溜まりやすくなります。
この場合でも
- トンネリング
- ルートセパレーション(歯根分割)
- 歯周外科治療
などによって保存できるケースがあります。
一方で、
- 歯の揺れが非常に大きい
- 歯根破折がある
- 骨の吸収が著しい
場合には、抜歯を選択した方が長期的な予後が良いケースもあります。
大切なのは早期発見です
根分岐部病変は、進行するほど治療が難しくなります。
「少し歯ぐきが腫れるだけだから」
「痛くないから様子を見よう」
と放置している間にも歯槽骨の吸収は進んでしまいます。
そのため、歯を残せる可能性を高めるには、違和感を覚えた時点で歯科医院を受診することが何より重要です。
根分岐部病変とは?
根分岐部とは?

歯には1本だけ根を持つ歯と、複数の根を持つ歯があります。
前歯や犬歯は通常1本の歯根ですが、奥歯(大臼歯)は2本または3本の歯根を持っています。
- 上顎の大臼歯:通常3根
- 下顎の大臼歯:通常2根(まれに3根)
これらの歯根が分かれる部分を根分岐部と呼びます。
根分岐部病変とは

根分岐部病変とは、歯周病が進行し、炎症が歯根の分かれ目まで達してしまった状態をいいます。
通常の歯周病では歯の周囲だけに炎症がありますが、病気が進行すると歯槽骨が失われ、根分岐部まで細菌が侵入します。
すると、
- 歯ブラシが届きにくくなる
- 歯石が残りやすい
- 細菌が繁殖しやすい
という悪循環に陥ります。
このため、一度根分岐部病変になると通常の歯周病よりも治療が難しくなるのです。
なぜ奥歯だけ起こりやすいの?
奥歯は前歯に比べて構造が複雑です。
根分岐部には
- 深いくぼみ
- 狭い隙間
- 凹凸
が多く存在します。
そのため、
歯ブラシだけでは十分に清掃できず、
プラーク(歯垢)
↓
歯石
↓
歯周病
↓
歯槽骨吸収
↓
根分岐部病変
という流れで病気が進行していきます。
さらに奥歯は食事の際に最も大きな力が加わるため、歯ぎしりや食いしばりがある方では骨への負担も加わり、病変が進みやすくなります。
根分岐部病変の症状・放置するリスク・セルフチェック・原因
根分岐部病変の症状
根分岐部病変は、初期には自覚症状がほとんどないことが特徴です。
そのため、気付かないまま歯周病が進行し、症状が現れた頃にはすでに重症化しているケースも少なくありません。
症状は進行とともに変化していきます。
初期症状
初期の根分岐部病変では、一般的な歯周病とほぼ同じ症状がみられます。
歯ぐきから出血する
歯みがきや歯間ブラシを使用した際に出血することがあります。
これは歯肉に炎症が起きているサインです。
「少し血が出るだけだから」と放置する方も少なくありませんが、この段階で適切な治療を受ければ、病気の進行を抑えられる可能性があります。
歯ぐきが腫れる
細菌による炎症が続くと歯ぐきが赤く腫れます。
特に奥歯の内側は鏡でも見えにくいため、腫れていても気付きにくい場所です。
奥歯で噛むと違和感がある
「何となく噛みにくい」
「少し浮いた感じがする」
このような違和感が最初のサインになることもあります。
炎症によって歯根膜に負担がかかることで生じます。
口臭が強くなる
歯周病菌が増殖すると、細菌が産生するガスによって口臭が強くなります。
周囲から指摘されて初めて気付く方も少なくありません。
進行すると現れる症状

歯周病が根分岐部まで進行すると、症状はさらに悪化します。
歯がぐらつく
歯を支える歯槽骨が失われるため、歯の動揺が目立つようになります。
最初は軽度でも、進行すると食事中にも揺れを感じることがあります。
噛むと痛い
噛むたびに
- 鈍い痛み
- 強い痛み
- 噛めない
などの症状が現れることがあります。
炎症が深部まで及び、歯を支える組織に大きな負担がかかっている状態です。
歯ぐきから膿が出る
炎症が慢性化すると、歯ぐきから膿が排出されることがあります。
特徴は
- 白い膿
- 嫌な臭い
- 繰り返す腫れ
です。
膿が出る頃には、かなり進行している可能性があります。
食べ物が詰まりやすくなる
歯周病で歯ぐきが下がると、
根分岐部が露出し始めます。
すると、
- 食べ物が詰まる
- 歯間ブラシが通しにくい
- 磨き残しが増える
という悪循環になります。
抜歯が必要になることもある
重度まで進行すると、
歯を支える骨がほとんど残らなくなり、
保存が困難と判断される場合があります。
しかし、必ずしも抜歯になるわけではありません。
進行度によっては
- 歯周外科治療
- 歯周組織再生療法
- トンネリング
- ルートセパレーション
などによって歯を保存できる可能性があります。
放置するとどうなる?

根分岐部病変は自然に治ることはありません。
放置すると次のような流れで進行します。
STEP1
歯ぐきに炎症が起こる
↓
歯ぐきが腫れる
↓
出血する
STEP2
歯周ポケットが深くなる
細菌が深部まで侵入します。
歯石が歯根面に付着し、
セルフケアだけでは除去できなくなります。
STEP3
歯槽骨が溶け始める
歯を支える骨が少しずつ吸収されます。
レントゲンでは骨が低くなって見えるようになります。
STEP4
根分岐部まで病変が到達
ここで初めて
根分岐部病変
となります。
通常の歯周病よりも治療が難しくなります。
STEP5
歯が揺れる
骨が減るため、
歯がしっかり支えられなくなります。
STEP6
抜歯が必要になる
保存が困難になると、
最終的に抜歯が選択されることがあります。
セルフチェック

次の項目に当てはまるものはありませんか?
□ 歯ぐきから血が出る
□ 奥歯が腫れやすい
□ 奥歯で噛みにくい
□ 歯が少し揺れる
□ 食べ物が詰まりやすい
□ 歯ぐきから膿が出る
□ 強い口臭がある
□ 「抜歯が必要」と言われたことがある
2項目以上当てはまる方へ
根分岐部病変を含む重度歯周病が進行している可能性があります。
早めに歯科医院で検査を受けることをおすすめします。
根分岐部病変の原因
根分岐部病変は一つの原因だけではなく、複数の要因が重なって発症します。
歯周病
最大の原因は歯周病です。
歯垢(プラーク)に含まれる細菌が歯ぐきに炎症を起こし、進行すると歯槽骨が吸収されて根分岐部まで病変が及びます。
歯ブラシが届きにくい
根分岐部は複雑な形をしているため、
歯ブラシの毛先が届きにくく、
汚れが残りやすい場所です。
歯ぎしり・食いしばり
過度な咬合力は歯槽骨に負担をかけ、
病変を進行させる原因になります。
ナイトガードが必要になることもあります。
喫煙
喫煙は
- 血流を悪くする
- 免疫力を低下させる
- 治癒を遅らせる
ため、歯周病を悪化させる代表的な危険因子です。
糖尿病
糖尿病では免疫機能が低下するため、
歯周病が進行しやすくなります。
また、歯周病の炎症は血糖コントロールにも悪影響を及ぼすことが知られており、両者は密接に関係しています。
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定期検診を受けていない
歯周病は初期には自覚症状が少ないため、
定期検診を受けていないと発見が遅れやすくなります。
歯石除去や歯周検査を継続的に受けることで、重症化を防ぐことができます。
根分岐部病変の診断方法・検査の流れ
根分岐部病変はどのように診断するの?
根分岐部病変は、見た目だけでは正確に診断することが難しい病気です。
歯ぐきの奥で病気が進行するため、「痛みがない」「少し腫れているだけ」と思っていても、実際には歯を支える骨が大きく失われていることがあります。
そのため歯科医院では、
- 歯周組織検査
- プロービング検査
- レントゲン検査
- 歯科用CT検査
などを組み合わせて総合的に診断します。
根分岐部病変の診断の流れ
① 視診(お口の中を確認)
最初に歯ぐきの状態を確認します。
次のような所見がないかを診査します。
- 歯ぐきの腫れ
- 出血
- 排膿(膿)
- 歯ぐきが下がっている
- 歯石の付着
- 歯の動揺
見た目だけでは根分岐部病変と診断できないことも多いため、この後の検査が重要になります。
② 歯周ポケット検査(プロービング検査)

根分岐部病変を診断する最も重要な検査
専用の細い器具(歯周プローブ)を使って、
歯周ポケットの深さを測定します。
さらに、
根分岐部専用プローブ(Nabersプローブ)
を使用し、
根分岐部にどの程度器具が入るかを確認します。
これによって
- 初期なのか
- 中等度なのか
- 重度なのか
を判断できます。
プロービングで分かること
- 歯周ポケットの深さ
- 出血の有無
- 根分岐部への到達
- 歯根面の状態
- 歯石の有無
③ 歯の動揺度検査
歯がどの程度揺れているかを確認します。
揺れが大きいほど、
歯槽骨が失われている可能性があります。
一般的には
動揺度0
揺れなし
動揺度1
わずかに揺れる
動揺度2
前後左右へ揺れる
動揺度3
上下にも揺れる
噛めないほど動く状態です。
④ レントゲン検査
骨の吸収状態を確認
レントゲンでは
歯槽骨がどの程度失われているか
を確認できます。
正常では
骨の高さが一定ですが、
歯周病が進行すると
骨が低く映ります。
根分岐部病変の特徴
初期では
レントゲンだけでは分からないこともあります。
一方、
進行すると
根分岐部が黒く透けて見えるようになります。
⑤ 歯科用CT検査
最も正確に診断できる検査
CTでは
立体的(3D)に骨の状態を確認できます。
レントゲンでは分からない
- 骨欠損の深さ
- 根分岐部の広がり
- 骨の残存量
まで確認できます。
CT検査が必要なケース
- 重度歯周病
- 外科治療予定
- 再生療法予定
- 抜歯するか迷う場合
- インプラント予定
根分岐部病変の治療法|歯を残すための治療と抜歯が必要になるケース
根分岐部病変はどのように治療するの?
根分岐部病変の治療は、病変の進行度(リンデ分類)や歯の保存可能性によって異なります。
初期であれば歯石除去やブラッシングの改善で進行を抑えられることがありますが、中等度以上では歯周外科治療や歯周組織再生療法が必要になることもあります。
重度まで進行した場合でも、すぐに抜歯になるとは限りません。
患者さんのお口の状態を詳しく診査し、できるだけ歯を残せる治療方法を検討します。
治療の基本は歯周病のコントロール
根分岐部病変の原因は歯周病です。
そのため、どのような治療を行う場合でも、まずは細菌感染をコントロールすることが重要です。
治療は一般的に次の順番で進めます。
① 歯周基本治療
↓
② 再評価
↓
③ 歯周外科治療(必要な場合)
↓
④ メインテナンス
歯周基本治療
スケーリング(歯石除去)

歯の表面や歯ぐきの周囲に付着した歯石・プラークを除去します。
歯石は細菌の温床となるため、炎症を改善する第一歩です。
ルートプレーニング(SRP)
歯周ポケットの深い部分に付着した歯石や感染した歯根面を滑沢にします。
歯ぐきが再び歯根に付着しやすい環境を整える治療です。
特にリンデ分類1度では、この治療だけで改善することもあります。
ブラッシング指導
根分岐部病変は再発しやすいため、セルフケアが非常に重要です。
患者さん一人ひとりに合わせて
- 歯ブラシ
- ワンタフトブラシ
- 歯間ブラシ
- デンタルフロス
の使い方を指導します。
再評価
基本治療終了後、
約1〜2か月後に再検査を行います。
ここで確認する項目は
- 出血
- 歯周ポケット
- 歯の動揺
- 根分岐部病変の改善
です。
改善していればメインテナンスへ移行します。
改善が不十分な場合は歯周外科治療を検討します。
歯周外科治療
フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
最も基本となる歯周外科治療



歯ぐきを切開して、
歯根や根分岐部を直接確認しながら
- 歯石
- 感染組織
- 不良肉芽
を徹底的に除去します。
肉眼では見えない部分まで清掃できるため、通常の歯石除去では改善しない症例に有効です。
適応
- リンデ分類1度~2度
- 深い歯周ポケット
- 歯石が多い
- 根分岐部病変
メリット
- 根分岐部を直接清掃できる
- 炎症を改善しやすい
- 再生療法を併用できる
デメリット
- 手術が必要
- 術後に腫れることがある
- 歯ぐきが少し下がることがある
歯周組織再生療法
リグロス
現在、日本で保険適用となる歯周組織再生薬です。
歯槽骨が失われた部分へ填入し、
骨や歯周組織の再生を促します。
適応
- 垂直性骨欠損
- 一部のリンデ1度~2度
メリット
- 保険適用
- 骨の再生を期待できる
GTR法
特殊な吸収性膜(メンブレン)を使用して、
歯周組織の再生を促す治療です。
歯槽骨が再生するスペースを確保し、
歯根膜や骨の再生を期待します。
適応
- 骨欠損が比較的大きい症例
特徴
自費診療
エムドゲイン
歯根面へエムドゲインゲルを塗布し、
歯周組織の再生を促す治療です。
特徴
- 自費診療
- 歯周組織再生療法として広く行われている
トンネリング
リンデ分類3度では、
根分岐部が完全に貫通していることがあります。
その場合、
あえて根分岐部を露出させ、
歯間ブラシが通るようにする治療が
トンネリングです。
メリット
- 清掃しやすい
- 炎症を抑えやすい
デメリット
- 食べ物が詰まりやすい
- セルフケアが重要
ルートセパレーション(歯根分割)
歯根が十分離れている場合、
歯を2本に分割して保存する方法です。
重度でも抜歯を回避できることがあります。
適応
- 神経を取ってある歯
- 歯根が十分離れている
- 保存可能
メリット
- 抜歯を回避できる
- 清掃性が改善する
デメリット
- 被せ物の再製作が必要
- 適応症例が限られる
抜歯が必要になるケース

次のような場合には
抜歯を選択することがあります。
- 歯槽骨がほとんどない
- 歯が大きく揺れる
- 歯根破折
- 保存しても予後不良
- 重度感染
抜歯は最終手段です。
まずは保存できる可能性を十分検討します。
抜歯後の治療

抜歯後には
- インプラント
- ブリッジ
- 入れ歯
などから選択します。
それぞれ
- 噛みやすさ
- 見た目
- 費用
- 周囲の歯への負担
が異なるため、
患者さんに適した治療方法をご提案します。
治療期間の目安
| 治療内容 | 期間の目安 |
|---|---|
| 歯周基本治療 | 約1〜2か月 |
| 再評価 | 約1か月 |
| フラップ手術 | 約60〜90分 |
| 抜糸 | 約1〜2週間 |
| 再生療法 | 約3〜6か月 |
| メインテナンス | 3〜4か月ごと |
根分岐部病変でも歯を残せる可能性があります
以前は抜歯しか選択肢がないと考えられていた症例でも、
現在では
- 歯周外科治療
- 歯周組織再生療法
- トンネリング
- ルートセパレーション
などを組み合わせることで、歯を長期間保存できるケースが増えています。
大切なのは、できるだけ早い段階で適切な診断と治療を受けることです。
根分岐部病変の予防・メインテナンス
根分岐部病変を予防するには?
根分岐部病変は、一度進行すると治療が難しくなる歯周病です。
しかし、毎日のセルフケアと定期的な歯科医院でのメインテナンスを継続することで、発症や再発のリスクを大きく減らすことができます。
特に根分岐部は歯ブラシが届きにくいため、「磨いているつもり」では汚れが残りやすい部位です。毎日のケア方法を見直すことが、歯を長く守る第一歩になります。
毎日のセルフケア
歯ブラシだけでは不十分です
根分岐部病変は、奥歯の歯根の分かれ目に汚れがたまりやすいことが原因で発症します。
通常の歯ブラシだけでは根分岐部まで十分に清掃できないため、補助清掃用具を併用することが重要です。
ワンタフトブラシ

毛先が小さいため、
- 奥歯の奥
- 歯と歯ぐきの境目
- 根分岐部付近
の清掃に適しています。
歯間ブラシ
歯ぐきが下がり根分岐部が露出している場合は、
歯間ブラシが最も重要な清掃器具になります。
サイズが合っていないと歯ぐきを傷付けるため、歯科医院で適切なサイズを確認してもらいましょう。
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デンタルフロス
歯間ブラシが入らない狭い隙間では、
デンタルフロスを使用します。
ウォーターフロッサー(口腔洗浄器)
根分岐部病変の患者さんでは、
歯間ブラシと併用することで、
細かな汚れを洗い流す効果が期待できます。
※ウォーターフロッサーだけではプラークは除去できないため、歯ブラシや歯間ブラシとの併用が大切です。
定期検診の重要性
症状がなくても受診しましょう
根分岐部病変は、初期には自覚症状がほとんどありません。
そのため、「痛くないから大丈夫」と思っていても、歯周病が進行していることがあります。
歯科医院では、
- 歯周ポケット検査
- 出血の確認
- 歯石除去
- レントゲン検査(必要に応じて)
を行い、早期発見・早期治療につなげます。
メインテナンスの目安
歯周病の進行度によって異なりますが、
一般的には
- 軽度:6か月ごと
- 中等度:3〜4か月ごと
- 重度:2〜3か月ごと
の受診が推奨されます。
歯科医師・歯科衛生士が、お口の状態に合わせて適切な間隔をご提案します。
生活習慣の改善も大切です
禁煙
喫煙は歯周病を悪化させる最大の危険因子の一つです。
禁煙することで、
- 歯ぐきの血流改善
- 治療効果の向上
- 再発リスクの低下
が期待できます。
糖尿病のコントロール
糖尿病と歯周病は密接に関係しています。
血糖値を良好に管理することは、歯周病の進行予防にもつながります。
歯ぎしり・食いしばりへの対応
過度な咬合力は歯槽骨への負担を増やし、根分岐部病変を悪化させることがあります。
必要に応じてナイトガード(マウスピース)を使用し、歯への負担を軽減します。
根分岐部病変の治療費の目安
治療内容や進行度によって費用は異なります。
| 治療内容 | 保険適用 | 費用の目安(3割負担) |
|---|---|---|
| 歯周基本治療(スケーリング・SRP) | ○ | 数千円程度 |
| フラップ手術 | ○ | 数千〜1万円程度 |
| リグロスを用いた再生療法 | ○(適応あり) | 約1〜2万円程度 |
| GTR法 | × | 自費 |
| エムドゲイン | × | 自費 |
| トンネリング | ○(症例による) | 保険診療 |
| ルートセパレーション | ○(条件あり) | 保険診療 |
| インプラント | × | 自費 |
※治療方法や適応条件によって異なりますので、詳しくは診査・診断後にご説明いたします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 根分岐部病変は自然に治りますか?
いいえ。自然に治ることはありません。
進行すると歯槽骨がさらに失われるため、早めの治療が重要です。
Q2. 必ず抜歯になりますか?
いいえ。
進行度によっては、歯周外科治療や歯周組織再生療法などにより歯を残せる可能性があります。
Q3. 根分岐部病変は痛いですか?
初期にはほとんど痛みがありません。
進行すると、噛んだ時の痛みや腫れ、膿などの症状が現れることがあります。
Q4. 保険で治療できますか?
歯周基本治療やフラップ手術、適応症例のリグロスなどは保険診療で受けられます。
一部の再生療法やインプラントは自費診療となります。
Q5. 治療期間はどのくらいですか?
軽症では1〜2か月程度で安定することもあります。
重症例では、歯周外科治療や再生療法を含め、数か月かかる場合があります。
Q6. 治療後も再発しますか?
セルフケアや定期メインテナンスを怠ると再発する可能性があります。
治療後も継続した管理が大切です。
Q7. インプラントになれば歯周病になりませんか?
インプラントにもインプラント周囲炎という病気があります。
天然歯と同様に、毎日のセルフケアと定期メインテナンスが必要です。
Q8. 歯間ブラシは毎日使った方が良いですか?
はい。
特に根分岐部病変がある方は、歯ブラシだけでは汚れを十分に除去できないため、毎日の使用をおすすめします。
まとめ
根分岐部病変は、奥歯の歯周病が歯根の分かれ目まで進行した状態であり、歯を支える骨が失われることで、歯の保存が難しくなることがあります。
しかし、
- 早期発見
- 適切な歯周基本治療
- 歯周外科治療
- 歯周組織再生療法
- 継続的なメインテナンス
を行うことで、歯を長く残せる可能性があります。
「抜歯しかない」と言われた場合でも、保存できるケースがありますので、まずは歯科医院で詳しい診査・診断を受けることをおすすめします。
「抜歯しかない」と言われても、歯を残せる可能性があるかもしれません

根分岐部病変は、進行度や歯の状態によって治療方法が異なります。適切な診断と歯周外科治療・歯周組織再生療法により、抜歯を避けられるケースも少なくありません。
- 奥歯がぐらつく
- 歯ぐきから膿が出る
- 抜歯と言われたが歯を残したい
- セカンドオピニオンを受けたい
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
一人ひとりのお口の状態を詳しく診査し、できるだけ歯を残せる治療方法をご提案いたします。
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。






