ラミネートべニアとは

  • ラミネートベニアは前歯の表面を少しだけ削って爪の様な形状のセラミック製の歯を接着剤で貼り付ける治療法で、テトラサイクリン変色歯の治療に適しています。
  • ポーセレンラミネートベニアを略してラミネートベニアと呼ぶことが多いです。
  • 前歯のすきっ歯を治す方法としても優れています。
  • ラミネートベニヤでは出っ歯の治療は出来ません。
  • ラミネートベニアよりも薄く出来るルミネアーズは歯をほとんど削らないのが特徴ですが、デメリットは少し厚みが出るので、 盛り上がった感じになりがちです。

ラミネートベニア

 安いラミネートベニアは?

すきっ歯があるのでラミネートベニアで治したいと思っているんだけど費用を安く抑えての治療は受けられるのか?

 ダイレクトべニアやオールセラミッククラウンとの違いは?

ラミネートベニアとダイレクトべニア(ダイレクトボンディング)やオールセラミッククラウンとの違いは何?

すきっ歯を治したい思っているが「ネットで調べてみても、治療法が数多くあり、結局どれを選択すればいいか分からない。」と治療を躊躇する人が多いようです。

そこでこの記事では、ラミネートベニアの長所や欠点、寿命、治療に向いている症例、ダイレクトボンディングやオールセラミッククラウンなどとの違いを比較してながら解説します。

ラミネートベニアが向いている症例

  • すきっ歯を治す。
  • テトラサイクリンによる変色歯。
  • 少し引っ込んでいる歯を前に出す。(強く引っ込んでいる場合には、矯正治療の対象となります。)
  • 短めの歯を長くする。(ただし、症例を選ばないと外れやすいリスクがあります。)
  • エナメル質深部まで入ったホワイトスポット


前歯の隙間・すきっ歯(正中離開)の治療

前歯の隙間・すきっ歯(正中離開)を治療

前歯の真ん中の歯に隙間が開くことがあります。専門的には正中離開と言います。日本人で正中離開が起こる原因として正中過剰歯があります。白人や黒人では正中過剰歯がなくても正中離開が起こっているケースを芸能人などでもよく見かけます。

真ん中の二本の歯の表面を僅かに削りラミネートベニアを貼り付けます。やや歯の横幅を大きくする必要がありますが、正中離開の量が極端に大きくなければ、見た目的には問題ありません。

テトラサイクリン変色歯

テトラサイクリン変色歯
テトラサイクリン変色歯

ホワイトニングの限界

テトラサイクリンによる強い変色歯では、ホームホワイトニングを長期間続けても満足できる結果が得られないことがあります。

そんな時、ホームホワイトニングを行い、ある程度歯を白くした後で、歯の表面を薄く削り、ポーセレン(セラミック)製の薄片を張り付けるラミネートべニアで治療することで、よい結果を得られることがあります。※下記参照。

天然の歯として自然感のあるシェードA1やB1などの白さで仕上げることも可能です。

※ ポーセレンラミネートベニア治療には保険が適用されません。

テトラサイクリン変色歯のラミネートベニア治療例

ラミネートベニア装着時の咬合面観

ラミネートベニア装着時の咬合面観


咬合面観で見ると薄いラミネートベニアが張り付いているのが分かります。(治療中のため、右上の犬歯にはラミネートベニアの装着は完了していません。)

ラミネートベニア装着時の正面観

ラミネートベニア装着時の正面観


上顎の犬歯から犬歯の6本がラミネートベニア装着時の正面観(同症例)。

ラミネートベニアの治療ステップ

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ホームホワイトニング終了

  • テトラサイクリン変色歯のホームホワイトニング終了時点で、十分満足できる結果とはなりませんでした。
  • そこで上顎の前歯6本をラミネートベニアで治療します。
  • 歯の表面のエナメル質部分だけを薄く(0.5~0.7ミリほど)削ります。
  • ラミネートべニア成功のカギは、十分なプラークコントロールがなされていて、歯茎に炎症がないことです。
ホームホワイトニング終了

step

ラミネートべニア本体

  • 削った歯を印象(型を取る)し、ポーセレンラミネートべニアを技工士が作ります。ラミネートべニアをつけるまでは、仮の歯をつけておきます。
  • 写真の様にラミネートべニアの厚みは1mmほどしかなく、ラミネートべニアを付けても天然歯本体の色がわずかに透けてしまいます。その為、重度のテトラサイクリン変色歯では事前にホームホワイトニングを行い、少しでも白くしておくことが綺麗に仕上げるためには有効です。
ラミネートべニア本体

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ラミネートべニア装着

  • ラミネートベニアと歯の表面を薬品で処理します。歯とラミネートべニアの両方に接着剤を付けてはりつけます。光をあてて接着剤を固めます。
  • はみでた接着剤を除き、歯の表面とラミネートべニアの境界を磨いて適合させます。上下の咬み合わせを調整し、口腔内写真を撮影して終了です。
ラミネートべニア装着

メリット

  • 天然歯に近い色合いに仕上げることができるので、隣接する天然歯との調和が取れ、見た目が自然です。
  • 歯を削る量が少ないので、麻酔をかける必要が無く、痛みもほとんど無く安全です。歯の切削量が少ないことは、歯の寿命にも大きく影響します。
  • 歯に強く接着させれば丈夫です。しかも摩耗しにくく半永久的に変色しません。

ラミネートべニアのデメリット

  • 上下の噛み合わせの条件が悪いと外れやすいため、寿命が短いと言えます。
  • 歯並びを綺麗にするには限界がある。⇒歯並びを綺麗にするには基本的に矯正治療か行われる。
  • ラミネートベニアをした歯には矯正用のブラケットが接着しない。⇒矯正治療後にラミネートベニアを行うとよい。
  • ラミネートベニアセット後にホワイトニングすると色が合わない。⇒ホワイトニング後にラミネートベニアを行うとよい。
  • ラミネートベニアは仮歯がうまく作れません。そのため、分厚くなったり外れやすかったりとトラブルが起こりやすいです。

ラミネートべニアでは出っ歯や乱杭歯は治らない

テトラサイクリン変色歯

出っ歯(上顎前突)

ラミネートベニアは歯の表面を薄く削ってポーセレンを貼り付ける治療法です。従って、出っ歯の治療には適しません。

重度の出っ歯は上顎骨自体が前方に出ています。そのため、上顎骨を後方に移動させる矯正治療が必要です。

出っ歯の度合いが少しの場合、オールセラミッククラウンなどを被せることで治療が可能になる場合があります。

ただし、神経を取らないと審美的に満足する結果が出られない場合もあります。

ガタガタの歯並び乱杭歯

ガタガタの歯並びの治療にはラミネートベニアは不向きです。僅かな乱杭歯の場合には、歯の表面の削る量を多めにすると治療可能な場合もあります。

ダイレクトべニア(ダイレクトボンディング)


前歯の隙間・すきっ歯(正中離開)の治療

ダイレクトべニア(ダイレクトボンディング)とは、歯の表面を僅かに削った上にコンポジットレジンを乗せ、形態に整えて光照射し固めます。綺麗に研磨して仕上げます。

※ コンポジットレジンとは虫歯の穴に詰めるプラスチックの様なものです。

メリット

  • 口腔内で歯医者が直接出来るので、その日の内に治療が完了します。
  • 一般的にラミネートベニアより値段が安いことが多いです。
  • 歯の隙間を埋めるのに歯を余り削らずに出来ます。
  • 矮小歯を余り削らずに大きく出来ます。

デメリット

  • 術者の治療技術にかなり左右されます。特に隣接面(歯と歯の間)の形態作成が難しいです。
  • 経年的に色の変色が起こりやすく、充填した辺縁部分が欠けることがあります。
  • 審美目的の治療には保険が適用されません。

オールセラミッククラウン

すきっ歯をオールセラミッククラウンで治療
すきっ歯をオールセラミッククラウンで治療

オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンは、金属を全く使わないすべてポーセレンで作られた被せものです。

メリット

  • 模型上で、技工士が作るので色や形態を天然歯に限りなく似せた審美的に美しい歯を作れます。
  • 経年的に色の変色が起こりません。
  • 多少の歯並びの悪さがあっても対応出来ます。

デメリット

  • 歯を大きく削らなければならず、ケースによっては抜髄処置(神経を抜く)が必要になることもあります。⇒神経を取ると歯の寿命が短くなるリスクを伴います。
  • 強い力が加わると、割れる危険性があります。⇒ジルコニアクラウンではその危険性が下がります。
  • 一般的にラミネートベニアに比べ、治療費が高くなります。

歯を削らないラミネートべニア

メリット

歯を削らずにラミネートベニヤを行う方法は、歯に全くダメージを与えないというメリットがあります。

デメリット

  • セラミックの厚みの量だけもっこり感が出てしまいます。つまり、出っ歯傾向になるということです。
  • 少し引っ込んでいる歯を前に出す場合には、もっこり感が出にくいので適応症例となりますが、歯茎の部分が見えたり、やや出っ歯傾向の症例においては後悔するかもしれませんね。
    特に歯茎の部分もっこり感があると、専門家である歯科医師からするとすぐにラミネートベニアであることが分かってしまいます。
  • ラミネートベニアの色はセラミックの厚みが厚いほどより自然感が出ます。削らないラミネートベニアは、セラミックの厚みが薄い分だけ透明感が下がってしまいます。

ラミネートべニアの費用

自費治療

保険適用外です。

項目価格(税抜き)
ラミネートベニア¥82,000
歯の削る費用、型を取る費用、接着する費用などすべて含みます。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、金属アレルギーの原因ともなる金属の使用を極力抑えたメタルフリー審美治療に努めております。見た目はもちろんですが、機能性や適合性にも留意した審美修復治療を実施しております。天然歯を出来るだけ削らない低侵襲処置(ミニマルインターベーション)を基本とし、長期維持を追求したつめ物・かぶせ物治療に努めております。江戸川区篠崎で、ラミネートべニアをご希望の方はぜひ、精度の高い審美歯科治療をご提案いたしますので、当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】ホームホワイトニングの効果的なやり方

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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