「歯の数が多い気がする」「前歯の間に小さな歯がある」——それはもしかすると過剰歯かもしれません。過剰歯とは、通常の本数より多く生えてくる余分な歯のことで、特にお子さんの上の前歯に見られることが多い異常です。

自覚症状がないまま放置されることもありますが、永久歯の生え方や歯並びに影響を及ぼす可能性があります。この記事では、過剰歯の原因・リスク・治療方法までを詳しく解説します。

🧩 過剰歯の定義と特徴

過剰歯とは、通常の歯数(乳歯20本・永久歯28〜32本)を超えて形成される余剰歯を指します。
形態は正常歯に類似する「副歯型」と、円錐状など異常形態を示す「異形歯型」に分類されます。

多くは顎骨内に埋伏した状態で存在し、無症状のまま経過することも少なくありませんが、歯列や咬合に影響を及ぼす可能性があります。

過剰歯のレントゲン画像
過剰歯のレントゲン画像

📍 好発部位と代表例

過剰歯は上顎前歯部(中切歯間)に最も多く、この部位に発生するものは「正中過剰歯」と呼ばれます。
一方、下顎小臼歯部に生じるケースは比較的まれです。

子供の正中過剰歯のレントゲン画像

6歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画像

6歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画像


6歳の子供の上顎前歯がなかなか萌出せず、歯の間に隙間が出来ていることを主訴として来院しました。

レントゲンを撮ると鼻腔に向いて埋伏している正中過剰歯が確認出来ます。過剰歯に接した中切歯の歯根は未完成の状態です。

歯根の完成を待って抜歯する予定となりました。

同症例8歳時のレントゲン画像


8歳の時点で、正中過剰歯に隣接する中切歯の歯根がほぼ完成したので抜歯をすることになりました。

このまま逆性埋伏過剰歯を放置すると鼻の近くまで移動してしまい、抜歯が極めて困難になることがあります。

8歳の時点でも正中離開は少し残っています。

7歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画 像


7歳児の逆性埋伏過剰歯です。両中切歯間の位置にあるため正中離開が顕著に起きています。

8歳児のレントゲン画像

8歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画 像


8歳児の逆性埋伏過剰歯です。中切歯の歯根より高い位置にあるため正中離開は起きていません。

🧒 小児と成人での違い

  • 小児:永久歯の萌出異常や歯数不一致を契機に発見されることが多い
  • 成人:完全埋伏のまま無症状で経過し、レントゲン検査で偶然発見されることが多い

⚠️ 臨床的リスク

過剰歯は以下のような問題を引き起こす可能性があります👇

  • 永久歯の萌出障害
  • 歯列不正(叢生・正中離開など)
  • 隣在歯の歯根吸収
  • 嚢胞形成(濾胞性嚢胞など)
  • 咬合異常

特に前歯部では審美障害につながるため注意が必要です😬

正中離開
正中離開

🧒 みにくいアヒルの子時代

上顎中切歯間に少し隙間を空けて萌出することは正常です。この時期を”みにくいアヒルの子の時代”と呼びます。側切歯が萌出する力で次第に正中離開は閉じてきます。

しかし、正中過剰歯があると正中離開はそのままで閉じることはありません。

子供の正中離開(すきっ歯)

子供の正中離開(すきっ歯


子供の上顎中切歯間が大きく開いています。この様な状態の時期をみにくいアヒルの子時代と呼びます。

※ 歯垢染め出し液を使った状態です。

同症例のレントゲン写真


レントゲン写真を取ると正中過剰歯は認められません。放置しても自然と閉じてくると思われます。

🔍 診断方法

過剰歯の診断には画像検査が不可欠です。

  • 🩻 パノラマX線:全体的な位置・本数の把握
  • 📸 デンタルX線:局所の詳細確認
  • 🧠 CT:神経や周囲構造との立体的位置関係の評価

⏱ 抜歯の判断基準

すべての過剰歯が抜歯対象ではありません。

抜歯適応となる主なケース👇

  • 萌出障害を引き起こしている
  • 歯列不正の原因となっている
  • 歯根吸収や嚢胞形成のリスクがある
  • 異常方向(逆性・水平)に埋伏している

経過観察となるケース👇

  • 完全埋伏で無症状
  • 周囲組織への影響がない

🧒 抜歯のタイミング

特に正中過剰歯では、前歯の歯根形成が完了する7歳前後が一つの目安となります。
早期に抜歯を行うことで、正中離開が自然閉鎖する可能性があります✨

🔪 治療の概要

埋伏過剰歯の場合、外科的摘出が必要となります。

基本的な流れ👇

  1. 局所麻酔
  2. 粘膜切開・剥離
  3. 骨削除による露出
  4. 抜歯
  5. 縫合

多くは日帰り手術で対応可能です🏥

正中過剰歯の抜歯例

正中過剰歯の存在を確認:将来の歯並びを守るための抜歯が必要なケース
正中過剰歯の存在を確認:将来の歯並びを守るための抜歯が必要なケース
正中過剰歯の抜歯:頬側から骨を開削して行う埋伏歯の摘出
正中過剰歯の抜歯:頬側から骨を開削して行う埋伏歯の摘出

赤矢印が示す部位には、前歯の中央に本来ない“正中過剰歯”が確認されます。過剰歯は永久歯の萌出を妨げたり、歯並びの乱れ・正中離開の原因となるため、多くの場合は早期の抜歯が必要です。歯列矯正の成功にも関わるため、適切なタイミングでの診断と抜歯が重要となります。

正中部に埋伏している過剰歯を摘出するため、このケースでは頬側から骨を開削し、抜歯したところです。過剰歯が深く埋まっている場合は、このように骨を慎重に削って露出させ、周囲組織を傷つけないように摘出を進めます。永久歯の正常萌出や前歯の正中位置を整えるために重要な処置です。

🔪完全埋伏した正中過剰歯の抜歯手術:手術の流れと注意点

子供の過剰歯の日帰り抜歯手術
子供の過剰歯の日帰り抜歯手術

完全埋伏した正中過剰歯の抜歯手術

写真は内側の歯茎を切開剥離した状態です。過剰歯の抜歯は日帰り手術が一般的です。

手術時間

骨に完全埋伏した正中過剰歯抜歯の手術時間は約1時間を想定しています。

 矮小歯の形をした過剰歯
 矮小歯の形をした過剰歯

正中埋伏過剰歯抜歯後の画像

歯冠部は犬歯の様な形をしています。まだ十分に歯根は形成されていません。過剰歯は正常の歯の形に近いものから委縮して小さくなったものまで様々な形があります。

📊 発生頻度と特徴

  • 発生率:約1〜5%
  • 男女比:男性に多い(約2〜3倍)
  • 部位:上顎前歯部が80〜90%

過剰歯の治療を考える際に、**「いくらかかるのか?」「保険は使えるのか?」**という点はとても気になりますよね。
ここでは、小児・成人それぞれのケースに分けて、治療費の目安や保険適用の条件を詳しくご紹介します💡

🧒👨‍🦳 小児・成人それぞれの治療費目安

過剰歯の治療費は、以下のように年齢や治療方法によって異なります。

【小児の場合】
  • 局所麻酔での抜歯(1本):おおよそ3,000〜5,000円(保険適用後)
  • 全身麻酔が必要な場合10,000〜30,000円程度(3割負担)
  • 矯正を併用する場合:別途自費(数十万円)の可能性あり
【成人の場合】
  • 通常の抜歯(局所麻酔)3,000〜6,000円前後
  • 難抜歯(骨の切開など)8,000〜15,000円程度

※金額はあくまで目安であり、治療内容・使用する機材・施設によって変動します。

🧬 発生要因

明確な原因は不明ですが、以下が関与すると考えられています。

  • 遺伝的要因
  • 歯胚の分裂異常
  • 発育過程の異常
  • 先天性疾患との関連

🏡 家庭でのチェックポイント

日常生活でも早期発見のヒントがあります👇

  • 前歯のすき間が大きい
  • 歯の本数が多いように見える
  • 永久歯がなかなか生えない
  • 歯の位置が左右非対称

気になる場合は、早めの受診が重要です🦷✨

📝 まとめ

過剰歯は無症状で経過することもありますが、将来的に歯列や咬合へ大きな影響を及ぼす可能性があります。

重要なのは👇

  • 早期発見
  • 適切な診断
  • 成長段階に応じた治療判断

歯並びの将来を守るためにも、違和感があれば早めの検査をおすすめします😊

過剰歯については、初めて聞く方にとって分からないことだらけ。
ここでは、保護者の方や患者さんからよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました💬

❓過剰歯は何本まで生えるの?

🅰️ 一般的には1〜2本程度の発生が多いですが、まれに3本以上の過剰歯が見つかることもあります。
記録上では、10本以上の過剰歯が確認された例もありますが、これは極めてまれです。

📌 特に上顎前歯部に1本だけ現れる「正中過剰歯」がもっとも一般的です。

❓兄弟もなるの?

🅰️ 過剰歯には遺伝的な要因が関与していると考えられています。
そのため、兄弟や両親に過剰歯の既往がある場合、家族内でも発生する可能性が高くなります

🧬 特に双子や兄弟での発症例が報告されていることから、家族に1人でも過剰歯が見つかった場合は、他の兄弟も念のためチェックするのが安心です。


どの質問にも共通して言えるのは、「自己判断で放置しないこと」。
気になることがあれば、まずは歯科医に相談することで、不安を解消しながら最適な対応ができます✨

江戸川区篠崎で過剰歯のご相談なら当院へ

お子さまの前歯の生え方が気になる方、歯が多いと指摘された方へ──。
江戸川区篠崎にある当院では、過剰歯の診断から治療・矯正のご相談まで一貫対応しております。
レントゲンによる精密な検査で、永久歯や歯並びへの影響を早期に発見
小児歯科・矯正歯科の経験豊富な歯科医が丁寧にサポートいたします。
地域密着だからこそできる、安心でわかりやすい治療プランをご提案します。
「もしかして過剰歯かも?」と思ったら、お気軽にご相談ください!

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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