- 1. 子どもの前歯が生えてこない?それは過剰歯かもしれません
- 2. 子どもにこんな症状はありませんか?
- 3. 過剰歯とは?
- 4. 好発部位と代表例
- 4.1. 子供の正中過剰歯のレントゲン画像
- 4.1.1. 7歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画 像
- 4.1.2. 8歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画 像
- 5. 過剰歯を放置するとどうなる?
- 5.1. 前歯が生えてこない
- 5.2. すきっ歯が治らない
- 5.3. 歯並びが悪くなる
- 5.4. 将来の矯正治療が大掛かりになる
- 5.5. 抜歯が難しくなる
- 6. 正常なすきっ歯と過剰歯によるすきっ歯の違い
- 6.1. 正常なケース
- 6.1.1. みにくいアヒルの子時代の症例
- 6.1.2. 子供の正中離開(すきっ歯)
- 6.1.3. 同症例のレントゲン写真
- 6.2. 過剰歯が原因のケース
- 6.2.1. 6歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画像
- 6.2.2. 同症例8歳時のレントゲン画像
- 7. 過剰歯はいつ抜くの?
- 8. 過剰歯の診断方法
- 8.1. パノラマレントゲン
- 8.2. デンタルレントゲン
- 8.3. CT検査
- 9. 過剰歯の抜歯手術について
- 9.1. 手術の流れ
- 9.2. 手術時間
- 9.3. 術後の腫れ
- 9.4. 正中過剰歯の抜歯例
- 9.4.1. 完全埋伏した正中過剰歯の抜歯手術:手術の流れと注意点
- 9.4.1.1. 完全埋伏した正中過剰歯の抜歯手術
- 9.4.1.2. 手術時間
- 9.4.1.3. 正中埋伏過剰歯抜歯後の画像
- 10. 過剰歯の発生頻度
- 11. 過剰歯の原因
- 12. よくある質問
- 12.1. 過剰歯は自然に治りますか?
- 12.2. 過剰歯があれば必ず抜歯ですか?
- 12.3. 兄弟にもできますか?
- 12.4. 大人になって見つかることはありますか?
- 13. まとめ
- 14. 前歯が生えてこない・すきっ歯が気になるなら、一度レントゲン検査を受けてみませんか?
- 15. 筆者・院長
- 15.1. 深沢 一
- 15.1.1. メッセージ
子どもの前歯が生えてこない?それは過剰歯かもしれません

前歯がなかなか生えてこない、すきっ歯が閉じない、永久歯が変な方向から生えてきた――。
このような症状の原因として「過剰歯(かじょうし)」が隠れていることがあります。
過剰歯はレントゲン検査をしなければ発見できないことも多く、放置すると歯並びや将来の矯正治療に大きな影響を与える可能性があります。
この記事では、過剰歯の原因や症状、抜歯のタイミングについて分かりやすく解説します。

子どもにこんな症状はありませんか?

□ 前歯がなかなか生えてこない
□ 前歯の真ん中に大きなすき間がある
□ 左右の前歯の生える時期が大きく違う
□ 永久歯が変な方向から生えてきた
□ 学校検診で歯並びを指摘された
1つでも当てはまる場合は、顎の中に過剰歯が隠れている可能性があります。
過剰歯とは?

過剰歯とは、本来あるべき歯の本数より多くできてしまう歯のことです。
乳歯は20本、永久歯は親知らずを除くと28本が正常ですが、それ以外に余分な歯ができることがあります。
特に多いのが上の前歯の中央にできる**「正中過剰歯」**です。
過剰歯は歯ぐきの中に埋まったまま存在することが多く、見た目だけでは分からないケースも少なくありません。
好発部位と代表例
過剰歯は上顎前歯部(中切歯間)に最も多く、この部位に発生するものは「正中過剰歯」と呼ばれます。
一方、下顎小臼歯部に生じるケースは比較的まれです。
子供の正中過剰歯のレントゲン画像

7歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画 像
7歳児の逆性埋伏過剰歯です。両中切歯間の位置にあるため正中離開が顕著に起きています。

8歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画 像
8歳児の逆性埋伏過剰歯です。中切歯の歯根より高い位置にあるため正中離開は起きていません。
過剰歯を放置するとどうなる?

過剰歯は症状がないこともありますが、放置すると様々な問題を引き起こします。
前歯が生えてこない
正中過剰歯が永久歯の進路を塞ぎ、本来生えてくるはずの前歯が萌出できなくなることがあります。
「片方だけ前歯が生えてこない」というケースでは、過剰歯が原因となっていることがあります。
すきっ歯が治らない
過剰歯が前歯の間に存在すると、前歯の中央に大きなすき間(正中離開)ができます。
本来、成長とともに閉じるはずのすき間が閉じない場合には注意が必要です。
歯並びが悪くなる
過剰歯の影響で永久歯が正常な位置からずれて生えたり、ねじれたりすることがあります。
その結果、
- 八重歯
- ガタガタの歯並び
- 噛み合わせの異常
につながることがあります。
将来の矯正治療が大掛かりになる
早期に発見できれば過剰歯の抜歯だけで済むケースでも、放置すると
- 矯正治療
- 萌出牽引
- 外科処置
が必要になることがあります。
治療期間や費用の負担も大きくなるため、早期発見が重要です。
抜歯が難しくなる
逆向きに埋まった「逆性過剰歯」は、成長とともに鼻の方向へ移動することがあります。
位置が高くなるほど手術の難易度が上がり、抜歯時の負担も大きくなるため注意が必要です。
正常なすきっ歯と過剰歯によるすきっ歯の違い
正常なケース
永久歯への交換時期には前歯の間にすき間ができることがあります。
これは「みにくいアヒルの子の時代」と呼ばれ、側切歯や犬歯が生える力によって自然に閉じることがほとんどです。

みにくいアヒルの子時代の症例
上顎中切歯間に少し隙間を空けて萌出することは正常です。この時期を”みにくいアヒルの子の時代”と呼びます。側切歯が萌出する力で次第に正中離開は閉じてきます。
しかし、正中過剰歯があると正中離開はそのままで閉じることはありません。

子供の正中離開(すきっ歯)
子供の上顎中切歯間が大きく開いています。この様な状態の時期をみにくいアヒルの子時代と呼びます。
※ 歯垢染め出し液を使った状態です。

同症例のレントゲン写真
レントゲン写真を取ると正中過剰歯は認められません。放置しても自然と閉じてくると思われます。
過剰歯が原因のケース

6歳児の完全埋伏逆性過剰歯レントゲン画像
6歳の子供の上顎前歯がなかなか萌出せず、歯の間に隙間が出来ていることを主訴として来院しました。
レントゲンを撮ると鼻腔に向いて埋伏している正中過剰歯が確認出来ます。過剰歯に接した中切歯の歯根は未完成の状態です。
歯根の完成を待って抜歯する予定となりました。

同症例8歳時のレントゲン画像
8歳の時点で、正中過剰歯に隣接する中切歯の歯根がほぼ完成したので抜歯をすることになりました。
このまま逆性埋伏過剰歯を放置すると鼻の近くまで移動してしまい、抜歯が極めて困難になることがあります。
8歳の時点でも正中離開は少し残っています。
過剰歯が前歯の間に存在すると、自然にすき間が閉じないことがあります。
この場合はレントゲン検査で過剰歯の有無を確認する必要があります。
| 正常なすき間 | 過剰歯が原因 |
|---|---|
| 成長とともに閉じる | 閉じない |
| レントゲン異常なし | 過剰歯を認める |
| 経過観察 | 抜歯を検討 |
過剰歯はいつ抜くの?
「見つかったらすぐ抜いた方が良いですか?」
と質問されることがありますが、必ずしもそうではありません。
正中過剰歯の抜歯時期は、
- 永久歯の位置
- 歯根の発育状態
- 萌出状況
を確認して判断します。
一般的には永久歯の歯根形成が進む7~9歳頃が一つの目安になります。
ただし症例によって適切な時期は異なるため、レントゲンによる経過観察が重要です。
過剰歯の診断方法
パノラマレントゲン
顎全体を撮影し、過剰歯の有無や位置を確認します。
デンタルレントゲン
前歯部を詳細に撮影し、周囲の永久歯との位置関係を確認します。
CT検査
過剰歯が深く埋伏している場合にはCT検査を行うことがあります。
CTでは
- 永久歯との距離
- 鼻腔との位置関係
- 抜歯の難易度
を立体的に把握できます。
過剰歯の抜歯手術について
埋伏した過剰歯は外科的に摘出します。
手術の流れ
- 局所麻酔
- 歯ぐきの切開
- 必要に応じて骨を削除
- 過剰歯の摘出
- 縫合
多くの場合は日帰り手術で対応可能です。
手術時間
過剰歯の位置や深さによって異なりますが、30~60分程度が目安です。
術後の腫れ
親知らずの抜歯ほど大きく腫れることは多くありませんが、数日間軽度の腫れや痛みが出ることがあります。
正中過剰歯の抜歯例


赤矢印が示す部位には、前歯の中央に本来ない“正中過剰歯”が確認されます。過剰歯は永久歯の萌出を妨げたり、歯並びの乱れ・正中離開の原因となるため、多くの場合は早期の抜歯が必要です。歯列矯正の成功にも関わるため、適切なタイミングでの診断と抜歯が重要となります。
正中部に埋伏している過剰歯を摘出するため、このケースでは頬側から骨を開削し、抜歯したところです。過剰歯が深く埋まっている場合は、このように骨を慎重に削って露出させ、周囲組織を傷つけないように摘出を進めます。永久歯の正常萌出や前歯の正中位置を整えるために重要な処置です。
完全埋伏した正中過剰歯の抜歯手術:手術の流れと注意点

完全埋伏した正中過剰歯の抜歯手術
写真は内側の歯茎を切開剥離した状態です。過剰歯の抜歯は日帰り手術が一般的です。
手術時間
骨に完全埋伏した正中過剰歯抜歯の手術時間は約1時間を想定しています。

正中埋伏過剰歯抜歯後の画像
歯冠部は犬歯の様な形をしています。まだ十分に歯根は形成されていません。過剰歯は正常の歯の形に近いものから委縮して小さくなったものまで様々な形があります。
過剰歯の発生頻度
- 発生率:約1〜5%
- 男児にやや多い
- 約80〜90%が上顎前歯部
決して珍しい疾患ではありません。
過剰歯の原因
現在のところ明確な原因は分かっていませんが、
- 遺伝的要因
- 歯胚の分裂異常
- 発育過程の異常
などが関与すると考えられています。
兄弟や親子で発生することもあります。
よくある質問
過剰歯は自然に治りますか?
自然になくなることはありません。
必要に応じて抜歯や経過観察を行います。
過剰歯があれば必ず抜歯ですか?
必ずしも抜歯が必要とは限りません。
周囲への影響がない場合は経過観察となることもあります。
兄弟にもできますか?
遺伝的要因が関与すると考えられているため、兄弟にも発生する可能性があります。
大人になって見つかることはありますか?
あります。
成人のレントゲン検査で偶然発見されるケースも少なくありません。
まとめ
過剰歯は見た目では分からないことが多く、レントゲン検査で初めて発見されるケースが少なくありません。
放置すると、
- 前歯が生えてこない
- すきっ歯が閉じない
- 歯並びが悪くなる
- 矯正治療が必要になる
などの問題につながる可能性があります。
お子さまの前歯の生え方や歯並びが気になる場合は、早めに歯科医院で検査を受けることをおすすめします。
前歯が生えてこない・すきっ歯が気になるなら、一度レントゲン検査を受けてみませんか?

過剰歯は早期発見によって、将来の歯並びや矯正治療への影響を最小限にできる可能性があります。
お子さまの歯並びが気になる方は、お気軽にご相談ください。
✓ パノラマレントゲンによる診断
✓ デンタルレントゲンによる診断
✓ 小児の埋伏過剰歯抜歯に対応
✓ 江戸川区篠崎駅南口徒歩1分
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。


