目次

下唇の内側に透明な膨らみができて、

  • 潰れたり膨らんだりを繰り返す
  • 痛みはほとんどない
  • 数週間たっても治らない

このような症状でお悩みではありませんか?

そのできものは、**「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」**かもしれません。

粘液嚢胞は、唇や頬などにある小さな唾液腺(小唾液腺)が傷つき、唾液が周囲の組織にたまることで生じる良性の病変です。特に下唇にできやすく、子どもから若い世代によくみられます。

一度小さくなっても、再び膨らむことがあります。繰り返す場合や長期間治らない場合には、歯科・口腔外科で診断を受けることが大切です。世代に多く発症します。自然に小さくなることもありますが、再発を繰り返すことが多く、根本的な改善には適切な診断と治療が必要です。

粘液嚢胞では、次のような特徴がみられることがあります。

  • 下唇の内側に半透明の膨らみがある
  • 水ぶくれのように見える
  • 痛みがほとんどない
  • 潰れると一時的に小さくなる
  • 数週間たっても治らない
  • 同じ場所に繰り返しできる

複数当てはまる場合は粘液嚢胞の可能性があります。

ただし、見た目だけで粘液嚢胞と診断することはできません。 似た症状を示す病変もあるため、治らない場合や繰り返す場合は歯科・口腔外科を受診してください。

粘液嚢胞は、唇や頬などに存在する小唾液腺やその導管が外傷などによって傷つき、唾液が周囲の組織に漏れ出してたまることで生じる病変です。

漏れ出した唾液が組織内にたまるため、水ぶくれのような膨らみとして現れます。

多くは良性ですが、見た目だけではほかの病変と区別しにくい場合があります。

粘液嚢胞の主な症状

  • 半透明〜青みがかった膨らみ
  • 水ぶくれのような見た目
  • 柔らかいことが多い
  • 痛みがほとんどない
  • 潰れたり膨らんだりを繰り返す

大きさは数mm程度のものが多いものの、1cmを超えることもあります。

子どもの下唇に出来た粘液嚢胞
子どもの下唇に出来た粘液嚢胞
大人の下唇に出来た粘液嚢胞
大人の下唇に出来た粘液嚢胞
直径4mm程の粘液嚢胞

直径4mm程の粘液嚢胞


下唇の裏側に出来た直径4mm程の粘液嚢胞です。

プチっとした透明の水ぶくれの様な腫れで痛みはありません。

下唇に直径1cm超の粘液嚢胞

下唇に直径1cm超の粘液嚢胞


直径1cmを超える粘液嚢胞は珍しいですが、ここまで大きくなると生活に不自由が出てきますので摘出手術が妥当でしょう。

粘液嚢胞は、小唾液腺や唾液の通り道である導管が傷つくことで発生します。

特に下唇では、唇を噛むことや外傷による刺激がきっかけになることがあります。

唇を噛む癖

無意識に下唇を噛む「咬唇癖」があると、繰り返し小唾液腺に刺激が加わることがあります。

転倒やスポーツによる外傷

転倒やスポーツなどで唇を強くぶつけたり噛んだりした後に発生することがあります。

矯正装置や歯による刺激

矯正装置や歯の尖った部分などが唇に繰り返し接触し、刺激となる場合があります。

唇や頬を吸う癖

唇や頬を吸ったり噛んだりする習慣が、粘膜や小唾液腺への刺激になることがあります。

なぜ子どもや若い人に多いの?

粘液嚢胞は幅広い年齢でみられますが、子どもや若い世代にも比較的多くみられます。

子どもでは転倒などによる外傷や、唇を噛む癖などがきっかけになることがあります。

小さな粘液嚢胞では、自然に破れて一時的に小さくなることがあります。

しかし、

膨らむ → 潰れる → 小さくなる → 再び膨らむ

という経過を繰り返すことも少なくありません。

自然に消失することもありますが、何度も繰り返す場合や長期間残っている場合には、歯科・口腔外科での診察をおすすめします。

粘液嚢胞は良性の病変ですが、そのままにしていると次のような状態になることがあります。

膨らんだり潰れたりを繰り返す

一度破れて小さくなっても、再び唾液がたまって膨らむことがあります。

大きくなることがある

経過によっては徐々に大きくなる場合があります。

食事や会話の邪魔になる

大きくなると歯に当たりやすくなり、食事や会話の際に違和感が生じることがあります。

また、繰り返し噛んでしまう原因になることもあります。

粘液嚢胞と口内炎は、見た目や症状に違いがあります。

粘液嚢胞一般的な口内炎
見た目水ぶくれ状潰瘍状
痛み少ないことが多い痛みを伴うことが多い
半透明〜青みがかることがある白〜黄白色
経過繰り返すことがある多くは1〜2週間程度で改善

ただし、口腔内のできものにはさまざまな種類があるため、見た目だけで判断することはできません。

口内炎

粘液嚢胞そのものは良性の病変です。

ただし、口の中には粘液嚢胞と似たように見える病変もあります。

粘液嚢胞でみられる特徴

  • 水ぶくれのような膨らみ
  • 柔らかいことが多い
  • 痛みが少ない
  • 大きくなったり小さくなったりする

一方で、

  • 硬いしこりがある
  • 潰瘍が長期間治らない
  • 出血を繰り返す
  • 徐々に大きくなっている

などの場合には、粘液嚢胞以外の病変も考える必要があります。

口の中のできものや潰瘍が2週間以上治らない場合は、自己判断せず歯科・口腔外科を受診してください。

口腔がん

血腫・血疱

粘液嚢胞の治療方法は、大きさや発生部位、症状、再発の有無などによって異なります。

経過観察

小さく、症状がなく、発症して間もない場合などには、経過をみることがあります。

自然に消失する場合もありますが、繰り返し再発する場合には治療を検討します。

外科的摘出

次のような場合には、外科的な摘出を検討します。

  • 何度も繰り返している
  • 長期間治らない
  • 徐々に大きくなっている
  • 食事や会話の邪魔になる
  • 繰り返し噛んでしまう

手術では病変だけではなく、原因と考えられる周囲の小唾液腺を含めて摘出することが、再発リスクを抑えるために重要です。

当院では、症状や大きさなどを確認し、必要と判断した場合に粘液嚢胞の摘出手術を行います。

通常は局所麻酔で行う日帰り手術です。

以下では、実際の症例をもとに手術の流れをご紹介します。

STEP1|初診・診察

写真は、小学校高学年のお子さんの下唇にできた直径約5mmの粘液嚢胞です。

痛みなどの自覚症状はありませんでしたが、膨らんだり小さくなったりする状態を繰り返していたため、診察のうえ摘出することになりました。

下唇にできた直径約5mmの粘液嚢胞

下唇に出来た直径5mm程の粘液嚢胞
下唇に出来た直径5mm程の粘液嚢胞

STEP2|手術当日

手術までの間に粘液嚢胞が破れ、初診時より小さくなっていました。

粘液嚢胞は大きくなったり小さくなったりすることがあります。

受診時に小さくなっていても診察は可能です。膨らんでいる状態をスマートフォンなどで撮影しておくと、診断の参考になることがあります。

潰れて小さくなった粘液嚢胞

潰れて小さくなった粘液嚢胞
潰れて小さくなった粘液嚢胞

STEP3|局所麻酔・粘膜切開

まず表面麻酔を行い、その後、局所麻酔を行います。

病変の位置を確認しながら粘膜を切開し、粘液嚢胞と原因となった可能性のある小唾液腺を摘出できるよう慎重に処置を進めます。

なお、年齢が低く局所麻酔での手術が難しい場合などには、専門医療機関で全身麻酔による処置が検討されることもあります。

局所麻酔後に粘膜を切開

浸潤麻酔下で粘膜切開
浸潤麻酔下で粘膜切開

STEP4|粘液嚢胞周囲を切開

粘液嚢胞を確認しながら、周囲の組織を慎重に切開します。

病変だけを取り除くのではなく、原因となった可能性のある周囲の小唾液腺を含めて摘出することで、再発リスクの低減を図ります。

粘液嚢胞周囲を切開

レモン形に粘液嚢胞周囲を切開
レモン形に粘液嚢胞周囲を切開

STEP5|小唾液腺を摘出

周囲の組織から小唾液腺を慎重に剥離し、粘液嚢胞とともに摘出します。

下唇には多数の小唾液腺が存在するため、病変との位置関係を確認しながら処置することが重要です。

外科用歯肉ハサミで深部の小唾液腺を切除
外科用歯肉ハサミで深部の小唾液腺を切除

周囲の小唾液腺を摘出

ブドウの房状になった小唾液腺
ブドウの房状になった小唾液腺

STEP6|縫合

摘出後は傷口を確認し、必要に応じて縫合します。

摘出後の縫合

縫合
縫合

手術時間は病変の大きさや位置によって異なりますが、この症例では約30分でした。

術後は唇の腫れや軽い痛み、突っ張るような違和感が生じることがあります。

縫合した場合は、通常1週間前後を目安に傷の状態を確認し、必要に応じて抜糸します。

※治療方法や術後の経過には個人差があります。

手術は通常、局所麻酔を十分に効かせてから行います。

そのため、手術中の痛みは抑えられますが、麻酔の注射時に刺激を感じることがあります。

術後には、

  • 唇の腫れ
  • 傷口の痛み
  • 唇が突っ張るような違和感
  • 食事のしにくさ

などが生じることがあります。

多くは時間とともに改善しますが、強い腫れや痛み、出血などが続く場合には歯科医院へご連絡ください。

粘液嚢胞の診察や摘出手術は、症状や治療内容によって健康保険が適用されます。

自己負担額は、次のような条件によって異なります。

  • 病変の大きさや発生部位
  • 診察・検査の内容
  • 手術方法
  • 病理組織検査の有無
  • 処方される薬の内容
  • 健康保険の自己負担割合

そのため、実際の費用は患者さんごとに異なります。

また、初診料や再診料、検査費用、手術後の診察や抜糸などの費用が別途かかる場合があります。

詳しい費用については、診察で粘液嚢胞の状態を確認し、必要な治療内容が決まった段階でご案内します。

費用についてご不安な点がある場合は、治療前にお気軽にご相談ください。

手術後は、傷口を安静に保つことが大切です。

  • 当日の激しい運動や長時間の入浴は避ける
  • 熱いものや刺激の強い食べ物を控える
  • 傷口を舌や指で触らない
  • 強いうがいを避ける
  • 処方された薬がある場合は指示通り使用する
  • 口腔内を清潔に保つ

出血が止まらない、腫れや痛みが強くなるなど気になる症状がある場合は、早めに歯科医院へご連絡ください。

粘液嚢胞の原因として、唇への慢性的な刺激が関係していることがあります。

治療後は、

  • 唇を噛む癖をできるだけ避ける
  • 頬や唇を吸う癖を見直す
  • 尖った歯や矯正装置が当たっていないか確認する
  • 同じ場所を繰り返し傷つけない

といった点も大切です。

ただし、これらの習慣を改善すれば必ず再発を防げるわけではありません。

再び同じような膨らみができた場合は、自己判断せず再診してください。

Q. 粘液嚢胞はがんになりますか?

粘液嚢胞は良性の病変で、通常、粘液嚢胞そのものががんに変化するものではありません。

ただし、口の中には似た見た目の病変もあります。

「粘液嚢胞だろう」と自己判断せず、長期間治らない場合や徐々に大きくなる場合には診察を受けることが大切です。

Q. 自分で潰しても大丈夫ですか?

自分で潰したり、針を刺したりすることはおすすめできません。

一時的に小さくなっても原因が残っていれば再び膨らむことがあります。また、傷をつけることで出血や炎症を起こす可能性もあります。

Q. 手術をしても再発しますか?

適切に摘出しても、再発する可能性がまったくないわけではありません。

粘液嚢胞だけでなく、原因となった可能性のある周囲の小唾液腺を含めて処置することで、再発リスクを抑えることが期待できます。

Q. 子どもでも手術できますか?

子どもでも治療は可能です。

年齢や病変の大きさ、治療への協力度などを確認しながら治療方法を検討します。

局所麻酔で対応できる場合もありますが、低年齢で治療が難しい場合などには、専門医療機関で全身麻酔による治療が検討されることもあります。

Q. 膨らみが潰れてしまった後でも受診できますか?

受診できます。

粘液嚢胞は潰れると一時的に小さくなるため、診察時には目立たなくなっていることがあります。

膨らんでいるときにスマートフォンで写真を撮っておくと、診断の参考になる場合があります。

粘液嚢胞は、主に唇などにある小唾液腺が傷つき、唾液が周囲の組織にたまることで生じる良性の病変です。

特に、

  • 下唇の内側に水ぶくれのような膨らみがある
  • 痛みはほとんどない
  • 潰れたり膨らんだりを繰り返す
  • 数週間たっても治らない
  • 徐々に大きくなっている

といった場合には、粘液嚢胞の可能性があります。

自然に小さくなることもありますが、同じ場所に繰り返しできる場合には治療が必要になることがあります。

また、口の中のできものには粘液嚢胞以外の病変もあるため、「痛くないから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。

長期間治らない、繰り返す、大きくなってきたなど気になる症状がある場合は、歯科・口腔外科でご相談ください。

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潰れて小さくなっても、同じ場所に何度もできる場合は粘液嚢胞の可能性があります。痛みがなくても、長く治らない・繰り返す・大きくなってきた場合は、自己判断せず当歯科・口腔外科へご相談ください。

【動画】粘液嚢胞の症状や原因と摘出手術の手順と費用

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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