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近年、著名人が口腔がんを公表したことをきっかけに、「口内炎がなかなか治らない」「舌に白い部分がある」と不安を感じる方も増えています。

口腔がんは、舌や歯ぐき、頬の粘膜、口底、口蓋など、口の中に発生するがんの総称です。なかでも舌に発生する舌がんは、口腔がんの中で比較的多くみられます。

口腔がんは早期には痛みが少なく、口内炎や歯周病などと見分けにくいことがあります。しかし、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、舌や顎などの機能をできるだけ温存できる可能性も高まります。

進行すると、発音・咀嚼・嚥下など、日常生活に欠かせない機能に影響することがあります。また、治療内容によっては唾液腺が影響を受け、口腔乾燥などが生じる場合もあります。

この記事では、口腔がんの中でも特に注意したい舌がんと歯肉がんの初期症状、口内炎との違い、セルフチェックの方法、受診の目安について解説します。

アフタ性口内炎は、一般的に「口内炎」と呼ばれるものの代表的なタイプです。

多くは数mm程度の円形または楕円形で、中央部分が白色〜黄白色の膜で覆われ、その周囲が赤くなります。食事や歯磨きなどで触れると痛みを感じることがあります。

通常は1〜2週間程度で自然に改善することが多いのが特徴です。

舌にできたアフタ性口内炎

舌にできたアフタ性口内炎
舌にできたアフタ性口内炎

舌にできた典型的なアフタ性口内炎です。白っぽい潰瘍の周囲に赤みがみられます。

歯ぐきにできたアフタ性口内炎

アフタ性口内炎|白くえぐれた痛みを伴う口内トラブル
アフタ性口内炎|白くえぐれた痛みを伴う口内トラブル

歯ぐきや口腔粘膜にも、同様の口内炎が生じることがあります。

口内炎はアフタ性口内炎だけではありません。

原因や症状によって、外傷による潰瘍、感染症に伴う口内炎、カタル性口内炎などさまざまな病変があります。

また、歯の尖った部分や合わない入れ歯などが繰り返し粘膜に当たり、治りにくい潰瘍をつくることもあります。

そのため、見た目だけで原因を判断することはできません。

口内炎の見た目

頬粘膜にできた口内炎

頬粘膜にできた口内炎


最後方の奥歯付近の頬粘膜にできた、長径約5mmの楕円形の潰瘍です。白っぽい膜に覆われ、周囲に赤みがみられます。

下顎の歯茎にできた口内炎

下顎の歯茎にできた口内炎


下顎前歯部の歯ぐきにできた、長径約4mmの楕円形の口内炎です。潰瘍の周囲に赤みがみられます。

下顎の可動粘膜部分にできた口内炎

下顎の可動粘膜部分にできた口内炎


下顎の可動粘膜にできた長径約3mmの口内炎です。口内炎でも、周囲の赤みが目立たないことがあります。

上顎口蓋部にできた口内炎

上顎口蓋部にできた口内炎


上顎口蓋部にできた長径5mmの楕円形の口内炎です。境界部がわずかに赤くなっているのが認められます。

口内炎の見た目には個人差があり、「白い」「赤い」という特徴だけで良性・悪性を判断することはできません。

舌がんは、舌の側面(舌縁)に発生することが多いとされています。

初期には、

  • 治りにくい潰瘍やただれ
  • 赤い部分や白い部分
  • 赤色と白色が混在した病変
  • 表面の盛り上がり
  • 硬い部分・しこり
  • 出血しやすい部分
  • 舌を動かしたときの違和感

などがみられることがあります。

ただし、これらの症状があるからといって舌がんとは限りません。

反対に、初期の舌がんは口内炎のように見えることもあるため、見た目だけで判断することもできません。

最終的にがんかどうかを確定するには、必要に応じて病変の組織を採取して顕微鏡で調べる**病理組織検査(生検)**が行われます。

初期舌癌が疑われる粘膜病変の見た目

舌癌を見た目や触診だけで鑑別診断することはできません。たとえ大学病院の口腔外科専門医であってもです。

確定診断のためには組織を一部取り顕微鏡で細胞の変化を観察する生検が必要です。下記写真は舌癌が疑われる粘膜病変です。

舌の裏に出来たびらん状のできもの

舌の裏に出来たびらん状のできもの


火傷したようにも見えます。もし接触痛がないのであれば口内炎ではありません。

びらん状の出来物の周りを指で触って、しこりがあるようなら歯医者さんをすぐに受診する必要があります。

舌の側面のびらん状の粘膜病変

舌の側面のびらん状の粘膜病変


舌の側面にできた直径2mm程のびらん状の粘膜病変です。

見た目は口内炎のようにも見えますが、境界の赤変は認められません。このような変化でも舌癌の可能性は否定できません。

舌の側面に出来た3cm~4cmの潰瘍

舌の側面に出来た3cm~4cmの潰瘍


赤色と白色の混在が認められ、部分的に陥没している所が認められる。

潰瘍の周りを指で触診し、しこりがあるようなら舌癌の可能性が高まります。

舌の側面に出来たできもの

舌の側面に出来たできもの


舌の側面にできたできもので、全体が白っぽく変化し、部分的に赤く陥没した場所も認められます。

白い部分を擦っても取れない、 触っても痛くない、 周りにしこりがあるなどの症状があれば舌癌の可能性があります。

こすっても取れない白色病変が長く続く場合には、白板症などの口腔潜在的悪性疾患を含め、専門的な診断が必要になることがあります。

口内炎と舌がんを、患者さん自身が見た目だけで完全に見分けることは困難です。

目安として、次のような違いがあります。

一般的なアフタ性口内炎舌がんでみられることがある症状
痛み接触すると痛むことが多い初期には痛みが少ないこともある
経過多くは1〜2週間程度で改善2週間以上続き、改善しないことがある
硬さ通常は強い硬結を伴わない硬さ・しこりを伴うことがある
色白〜黄白色で周囲が赤いことが多い赤・白、または赤白が混在することがある
出血通常は目立たない出血しやすくなる場合がある
部位口腔内のさまざまな場所舌の側面に多い

ただし、この表はあくまでも目安です。

「痛くないからがん」「痛いから口内炎」と判断することはできません。

舌がんには、潰瘍状、白斑状、びらん状、盛り上がった腫瘤状など、さまざまな見た目があります。

潰瘍型

舌の表面が陥凹し、潰瘍を形成しています。赤色と白色が混在する場合があります。

初期舌癌-潰瘍型
初期舌癌-潰瘍型

白板型

舌粘膜が白っぽく変化しているタイプです。白板症など他の病変との鑑別が必要です。

初期舌癌-白板型
初期舌癌-白板型

腫瘤・肉芽型

舌粘膜の一部が盛り上がってみえるタイプです。

初期舌癌-肉芽型
初期舌癌-肉芽型

びらん型

舌粘膜の表面がただれたようにみえるタイプです。一般的な口内炎と似てみえることもあります。

初期舌癌-びらん型
初期舌癌-びらん型

舌がんの進行速度には個人差があり、見た目や大きさだけでステージを判断することはできません。

「小さいから大丈夫」と自己判断せず、治りにくい病変は早めに診察を受けることが重要です。

口腔がんの早期発見には、普段から自分の口の中の状態を知っておくことも役立ちます。

月に1回程度、明るい場所で鏡を使って確認してみましょう。

鏡で舌をチェック

舌を前に出し、表面だけでなく左右の側面や裏側も確認します。

次のような変化がないかチェックしてください。

  • 赤い部分
  • 白い部分
  • 赤色と白色が混在した部分
  • 潰瘍やただれ
  • 盛り上がった部分
  • 出血しやすい部分
  • 左右差のある腫れ

特に、2週間以上治らない変化がある場合には歯科医院や歯科口腔外科を受診しましょう。

舌のしこり・硬さをチェック

舌に明らかな硬さやしこりを感じる場合にも注意が必要です。

表面の見た目に大きな変化がなくても、内部に硬い部分を感じることがあります。

ただし、強くつまんだり何度も触ったりする必要はありません。気になる硬さや左右差があれば、歯科医院で確認してもらいましょう。

歯肉がんは歯ぐきに発生する口腔がんです。

初期には歯周病や歯肉炎、抜歯後の治りにくい傷などに似てみえる場合があります。

主な症状として、

  • 歯ぐきの腫れ
  • 赤色または白色の変化
  • 治りにくい潰瘍
  • 出血
  • 歯ぐきのしこり
  • 原因がはっきりしない歯のぐらつき
  • 抜歯した場所がなかなか治らない
  • 入れ歯が急に合わなくなる

などがあります。

歯肉がんのセルフチェック

鏡の前で口を大きく開け、上下の歯ぐきを確認します。

左右を比較しながら、

  • 腫れ
  • 赤み
  • 白い部分
  • 潰瘍
  • しこり
  • 出血

などがないか確認しましょう。

歯周病でも歯ぐきは赤く腫れるため、見た目だけで歯肉がんと歯周病を区別することは困難です。

腫れが続く、徐々に大きくなる、治療しても改善しないなどの場合には、早めに歯科医院を受診してください。

特に注意したいのは、次のような症状です。

  • 口内炎や潰瘍が2週間以上治らない
  • 舌や歯ぐきに硬い部分・しこりがある
  • 赤い部分や白い部分が消えない
  • 病変が徐々に大きくなっている
  • 原因不明の出血がある
  • 舌を動かしにくい
  • 飲み込みにくさがある
  • 原因不明の歯のぐらつきがある
  • 抜歯した場所がなかなか治らない
  • 首にしこりを感じる

これらの症状があっても、必ずしも口腔がんというわけではありません。

しかし、口腔がんは早期発見が重要です。

「痛くないから大丈夫」と考えず、気になる変化が続く場合には歯科医院や歯科口腔外科へ相談してください。

Q. 舌がんは気づきにくい病気ですか?

初期の舌がんは口内炎や傷などに似てみえることがあり、気づきにくい場合があります。

また、初期には強い痛みを伴わないケースもあります。

一般的な口内炎の多くは1〜2週間程度で改善します。そのため、2週間以上治らない潰瘍や赤み・白斑・しこりなどがある場合には、一度診察を受けることをおすすめします。

Q. 舌の側面がヒリヒリして赤くなっています。舌がんでしょうか?

舌の赤みやヒリヒリ感だけで舌がんと判断することはできません。

舌炎、口内炎、やけど、歯による刺激、食べ物による刺激などでも同様の症状が起こります。

ただし、

  • 2週間以上改善しない
  • 徐々に広がっている
  • 硬い部分がある
  • 赤色や白色の変化が消えない
  • 出血する

などの症状があれば、歯科医院を受診してください。

Q. 舌がんの検査は口腔外科でなければできませんか?

まずは一般の歯科医院でも、視診・触診によって口腔粘膜の異常を確認することができます。

口腔がんが疑われる場合には、歯科口腔外科や大学病院などの専門医療機関へ紹介し、必要に応じて生検などの詳しい検査を行います。

がんと診断された場合には、CT・MRIなどを用いて病変の広がりやリンパ節転移などを詳しく調べます。

一般的な口内炎の多くは、1〜2週間程度で改善します。

一方、舌がんや歯肉がんなどの口腔がんでは、初期に口内炎や歯周病とよく似た症状が現れることがあります。

特に、

  • 2週間以上治らない
  • 硬い部分やしこりがある
  • 赤い部分や白い部分が消えない
  • 潰瘍やただれが徐々に大きくなっている
  • 原因がわからない出血がある
  • 舌を動かしにくい、飲み込みにくい
  • 原因不明の歯のぐらつきがある
  • 抜歯した場所がなかなか治らない
  • 首にしこりを感じる

といった症状がある場合には、自己判断で長期間様子を見ず、歯科医院や歯科口腔外科を受診してください。

これらの症状があっても、必ずしも口腔がんとは限りません。口内炎や歯周病、歯による慢性的な刺激など、良性の病気が原因となっていることもあります。

しかし、口腔がんは早期に発見することが非常に重要です。

早期であれば治療の選択肢が広がり、舌や顎などの組織をできるだけ温存できる可能性も高まります。発音・咀嚼・嚥下といった口腔機能への影響を抑えるためにも、早めの診断につなげることが大切です。

また、口腔がんの早期発見には、毎日の歯磨きの際に口の中を観察することに加え、歯科医院で定期的に口腔粘膜をチェックしてもらうことも役立ちます。

「いつもの口内炎だろう」と思っていたものが長く治らない場合や、舌・歯ぐきにこれまでなかった変化を感じた場合には、痛みの有無だけで判断せず、一度歯科医院で確認してもらいましょう。

「2週間以上治らない口内炎や粘膜の変化」は、歯科を受診するひとつの目安です。

気になる症状を放置せず、早めに確認することが口腔がんの早期発見につながります。

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口腔がんは早期発見が大切です。2週間以上治らない口内炎や舌・歯ぐきの変化を放置せず、早めに歯科で確認しましょう。口腔がん検診をご希望の方は当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】舌癌や歯肉癌の初期症状を口内炎などと比較

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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