「インレー」とは?

  • インレーとは、歯に対して部分的な補綴(つめ物)を施すことで、虫歯などの損傷を補修するための治療方法です。
  • 歯の形を正確に再現しながら、見た目や機能を回復させることができます。インレーは虫歯治療の一環として広く利用されており、歯を削った後にその欠損部分をカバーする役割を果たします。これにより、自然な噛み心地や口の中の快適さが保たれることから、多くの人々にとって重要な治療法となっています。
  • 特に奥歯などの目立たない部分に使用されることが多く、見た目の審美性も考慮されています。
目次

【動画 27秒】インレー治療で虫歯をしっかり修復!種類と特徴を解説

第1章:インレーの種類

素材別の種類

メタルインレー(特徴・メリット・デメリット)

メタルインレーは、金属を素材としたインレーで、一般的には保険が適用されるため費用が比較的安価です。保険適用インレーは12%パラジウム合金で作ります。その主な特徴として、強度が高く、奥歯のような噛む力が強くかかる部分でもしっかりと耐えられることが挙げられます。

メリットとしては、耐久性があり、長持ちすることが挙げられます。しかし、デメリットとして見た目が銀色で目立つため、審美性が低い点が考えられます。特に笑ったときに見える位置では敬遠されることが多いです。

レジンインレー(特徴・メリット・デメリット)

レジンインレーは、プラスチック系の素材で作られたインレーで、見た目が自然で歯の色に近いため、審美性が高いのが特徴です。メリットとして、保険適用の場合でも自然な見た目が得られる点が挙げられます。

ただし、デメリットとしては金属インレーに比べて強度が劣るため、奥歯など強い咬合力がかかる部位では欠けるリスクがあります。また、経年的に変色する可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。

セラミックインレー(特徴・メリット・デメリット)

セラミックインレーは、歯と同じような色合いと質感を持つセラミック素材を使用しており、審美性に優れています。メリットとしては、自然な仕上がりが得られ、耐久性もあり、変色しにくいことが挙げられます。

特に美しさを求める前歯や目立つ部位に適しています。ただし、自由診療となるため費用が高額になりがちな点がデメリットです。また、硬度が高いため、まれに対合歯(噛み合う歯)にダメージを与えることがあります。

インレーの見た目

保険適用インレー
保険適用インレー

上顎小臼歯2本と第一大臼歯に保険適用インレーの金パラインレーが入っています。

金合金インレー
金合金インレー

上顎小臼歯2本と第一大臼歯に保険適用外の金合金インレーが入っています。第二大臼歯には金合金クラウンが入っています。

セラミックインレー
セラミックインレー

下顎第一大臼歯と第二大臼歯にセラミックインレーが入っています。よく見ないと入っているのが分かりません。

保険適用と自由診療の違い

保険適用の条件と費用

インレー治療では、保険が適用される場合と自由診療となる場合があります。保険適用の場合、主に金属インレーや一部のレジンインレーが対象となります。費用も比較的抑えられ、患者の負担は少なくなります。しかし、素材の選択肢が限られており、審美性に劣ることが多いです。

自由診療の選択肢と価値

一方、自由診療ではセラミックやハイブリッドレジンなど、より審美性や機能性に優れた素材を選ぶことができます。費用は高額になりますが、見た目の美しさや長期的な耐久性を重視する方にはおすすめです。自由診療を選ぶことで、より自分のライフスタイルや美的感覚に合った治療を受けることが可能です。

クラウン

治療範囲の違い

インレーは、部分的な歯の欠損を補うための詰め物です。これに対してクラウンは、歯全体を覆う被せ物で、歯が大きく損傷している場合や強度を回復させたい場合に用いられます。治療範囲が異なるため、患者の歯の状態に応じてどちらが適切か判断されます。

適応症例の違い

インレーは虫歯などによる部分的な欠損を補う場合に使用され、歯がまだ十分に残っていることが条件となります。一方でクラウンは、歯の大部分が損傷している、あるいは大きな補修が必要な場合に用いられます。例えば、根管治療後の歯や、ひどく欠けた歯などにはクラウンが適しています。

審美性と耐久性の比較

インレーとクラウンは、それぞれ異なる特徴を持ちます。インレーは、部分的な治療で歯の自然な見た目を保ちやすく、審美性が高いのが特徴です。

クラウンは歯全体をカバーするため、審美的な自由度が高く、特に前歯の治療にはクラウンが好まれることが多いです。耐久性の面でも、クラウンは歯全体を保護することで強度を高めますが、インレーは元の歯の強度に依存する部分が大きいため、長期的な視点で選択することが重要です。

診断から治療までの手順

レントゲン診断とカウンセリング

インレー治療を始める前に、まず歯科医師がレントゲンを使って歯の状態を診断します。その後、患者とカウンセリングを行い、どの素材のインレーを使用するか、治療のスケジュールなどを相談します。このステップは、患者の不安を取り除き、治療の方向性を理解するために重要です。

インレーの製作過程

歯を削った後、その形に合わせたインレーを作成するために型取りを行います。この型を基に、歯科技工所でインレーが製作されます。素材に応じて製作期間が異なりますが、通常は1〜2週間ほどかかります。

治療後のメンテナンス方法

インレーが装着された後は、定期的なメンテナンスが必要です。歯の清掃やかみ合わせの確認を行うことで、インレーの寿命を延ばすことができます。特に、初期段階でのトラブルを早期発見するため、定期検診を欠かさないことが大切です。

治療の手順

STEP

虫歯C2

下顎第二小臼歯と第一大臼歯の隣接面に虫歯C2が出来ています。一見すると小さな虫歯に見えますが、象牙質内部で大きく広がっています。

虫歯C2

STEP

窩洞形成

浸潤麻酔を行い虫歯を削ります。インレーが脱離しないように歯に中央部分まで拡大して形成します。印象採得(歯型取り)を行うのでアンダーカットが無いように削ります。

窩洞形成

STEP

セメント合着

技工所で作られたインレーを試適し、コンタクトのきつさや高さの調整を行います。インレーを研磨し防水下でセメント合着します。

セメント合着

治療に要する期間

インレー治療は通常、初診から装着までに2〜3回の通院が必要です。最初の診察で診断と型取りを行い、その後、インレーの装着を行います。治療全体にはおおよそ2〜3週間程度がかかりますが、素材によってはさらに短縮することも可能です。

痛みや不安への対応策

インレー治療中に感じる痛みは通常軽微ですが、麻酔を使用して痛みを抑えることが可能です。また、治療に対する不安を感じる患者には、歯科医師が丁寧に説明し、安心して治療を受けられるように配慮します。患者のリラックスを促すため、治療の各ステップでの声掛けも大切にしています。

費用の目安

素材ごとの費用比較

インレーの費用は素材によって異なります。メタルインレーは保険適用が可能で、比較的安価です。一方、セラミックインレーは自由診療となるため高額になりますが、見た目や耐久性に優れています。

患者のニーズや予算に応じて、最適な素材を選ぶことが求められます。

コストパフォーマンスを考えた選択肢

長期的に考えた場合、初期費用が高くてもセラミックインレーのような耐久性の高い素材を選ぶことで、再治療のリスクを減らし、結果的にコストを抑えることが可能です。歯科医師と相談しながら、自分のライフスタイルに合った選択をすることが重要です。

寿命を延ばすためのポイント

日常のケア方法

インレーの寿命を延ばすためには、日常のケアが欠かせません。特に、歯ブラシやフロスを使った丁寧な歯磨きが重要です。インレー部分に歯垢がたまりやすいため、しっかりとしたケアを行うことで、虫歯の再発を防ぎます。

定期的なメンテナンスの重要性

また、定期的な歯科検診を受けることで、インレーの状態をチェックし、必要に応じてメンテナンスを行うことができます。歯科医師が適切なタイミングで調整やクリーニングを行うことで、インレーの寿命を延ばし、快適な口腔内環境を保つことができます。

どの素材を選ぶべきか

インレーの素材選びは、患者のライフスタイルや価値観に大きく影響されます。審美性を重視する方にはセラミックインレーが適していますが、費用を抑えたい場合はメタルインレーが選ばれることが多いです。歯科医師とよく相談し、自分に合った選択をすることが大切です。

歯科医院選びのポイント

評判の良いクリニックの見極め方

インレー治療を受ける際には、初診のカウンセリングで歯科医師の対応や説明が丁寧かどうかも重要なポイントです。

技術と審美性の両立を重視

技術力だけでなく、審美的な仕上がりにもこだわる歯科医院を選ぶことで、より満足度の高い治療を受けることができます。最新の設備を持つ医院や、経験豊富な歯科医師が在籍するクリニックを選ぶと良いでしょう。

新しい素材と技術の進化

CAD/CAMインレーの登場

近年、CAD/CAM技術を用いたインレーの制作が普及してきています。この技術により、患者の歯にぴったりと適合するインレーを短時間で作ることが可能となり、治療の効率が大幅に向上しました。また、精度の高い仕上がりが期待できるため、より快適な噛み心地を提供します。

デジタル技術による正確な適合

デジタルスキャナーを使用することで、従来の型取りの煩わしさを軽減し、精密なインレーの製作が可能となりました。これにより、治療時間が短縮されるだけでなく、患者にとっての快適性も向上しています。

未来のインレー治療

持続可能な素材の活用

インレー治療においても、環境に配慮した持続可能な素材の活用が進んでいます。例えば、生分解性のある新しい樹脂材料が開発されており、これにより環境負荷を軽減しながらも高い性能を提供できる可能性があります。今後、より多くの選択肢が提供されることで、患者にとってより良い治療が受けられるようになるでしょう。

患者のニーズや予算によります。審美性を重視するならセラミックインレー、費用を抑えたいならメタルインレーが適しています。歯科医師と相談しながら、自分に合った素材を選ぶことが大切です。

インレー治療中の痛みは麻酔で抑えることができます。また、治療後に痛みが続く場合は、すぐに歯科医師に相談してください。適切なケアと早期の対処が、快適な治療結果につながります。

インレー治療を検討している方は、まず自身の歯の状態を理解し、どの素材が最適かを歯科医師としっかり相談してください。初めての治療で不安を感じる方も多いと思いますが、事前に十分なカウンセリングを受け、納得のいく選択をすることで安心して治療を受けられます。

患者様一人ひとりの虫歯の進行程度をしっかり診査・診断し、症状にあった適切な治療法をご提案いたします。江戸川区篠崎でインレー・奥歯の詰め物治療をご希望の方はぜひ、お気軽に当院までご相談下さい。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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