歯根破折の治療法:口腔外接着再植法とその課題
口腔外接着再植法とは
歯根破折歯を抜歯して口腔外で接着し再植
抜歯を行わずにひびが入った部分に直接、接着剤を流す方法も考えられますが、浸出液が少しでもあったり、接着面がプラーク(歯垢)などで汚染されていると接着が不十分で予後不良となることが多いです。
そこで、歯根破折した歯を一旦抜歯して口腔外で接着して植え戻す方法が口腔外接着再植法です。
治療手順
STEP
抜歯
浸潤麻酔を行い歯根破折した歯を出来るだけ歯根膜を傷付けないように抜歯します。
STEP
口腔外で歯根を接着
破折した歯根の接着面を綺麗に清拭して、接着剤で接着します。この時外れた差し歯のメタルコアも同時に接着します。
STEP
再植し暫間固定
抜歯窩に再植します。再植した差し歯が動かないように歯茎を縫合したり、両隣の歯にワイヤーで暫間固定します。
STEP
暫間固定を外す
2~3か月後に暫間固定を外します。
口腔外接着再植法が出来る条件
Situation
歯根破折後3日以内
歯根破折をして時間が経過すると、周りの歯槽骨が破壊され吸収されてしまいます。治療は、歯根破折してから3日以内が目安です。
Situation
歯根破折歯の強度
割れた歯根が厚く強度があること。破断面が広けれ接着強度が上がります。
Situation
咬合関係が良好
片側の奥歯が欠損していて、反対側だけで噛んでるような場合では、 噛んでる側に応力が集中しやすく、歯根破折を治しても再び歯根破折が起こり易いと考えられます。
上記の様な条件が揃えば、歯根破折した歯を抜歯しないで保存することが可能です。
Situation
歯ぎしり、食いしばり、TCHが無い
夜間の歯ぎしりや日中の食いしばり、TCHなどがないことです。
上記の様な条件が揃えば、歯根破折した歯を抜歯しないで保存することが可能です。
予後は?
条件がよければ、数年から10年ほどの予後が期待出来ますが、確証はありません。当院では10年持った症例が最長です。
デメリット
口腔外接着再植法自体が保険適用外となるだけでなく、土台や被せ物も自費診療となります。十分な予後が期待できない上に全額自費ということになるとなかなか治療する側も患者さん側も難しい側面があります。
ただし、割れてしまった歯根に元々付いている差し歯やコアをそのまま使う場合には下記の治療費になります。絶対的な治療法ではないので1年以内で駄目になってしまう場合もあります。その事を理解した上で治療の選択を行ってください。
口腔外接着再植法の費用
自費診療
保険適用外です。
治療内容 | 費用 |
---|---|
口腔外接着再植法 | 39,000円 (消費税別) 42,900円(消費税込み) |
※ 治療費には、接着再植治療代、薬代、レントゲン診断料などが含まれます。
歯根破折からの迅速な対応:即日インプラントの手順
STEP
01
上顎2番が歯根破折
歯根破折した部分がはっきりと分かります。このような割れ方では保存は不可能なので抜歯となりました。
STEP
02
抜歯した上顎2番の歯根
もう少し高い位置で破折したら保存可能だったと思われます。また、歯根がもう少し長ければエクストルージョン法の適応になったと思われます。
STEP
03
即日インプラント埋入
抜歯窩に即日インプラントを埋入しました。
STEP
04
GBRでインプラント周囲の骨造成
十分な骨の量がなかったためにフィクスチャーのネジ部が露出してしまいました。そこで、人工骨とCGFを填入し、 骨の誘導を図ります。
STEP
05
縫合
人工骨とCGFが流出しないようにしっかりと縫合します。
STEP
06
インプラント術後レントゲン写真
インプラント埋入3ヶ月後のレントゲン写真です。骨が十分にできたのでアバットメントを結合した状態です。その後、上部構造の作成に入ります。
歯根破折に対するヘミセクション治療法
大臼歯の歯根破折
ヘミセクション
レントゲン写真は下顎6番の近心根が破折したものです。大臼歯の歯根は2本~4本で構成されています。大臼歯が歯根破折した場合、問題となっている歯根のみを抜歯するヘミセクションを行います。
ブリッジ
レントゲン写真は残った歯根の根管治療を行ない、5番とブリッジにすることにした症例です。また、条件が合えば抜歯した所はインプラントにし、残った歯根は単冠することも考えられます。
江戸川区篠崎で歯根破折の治療をご検討の方へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、歯科治療は保険診療を主体に診療を行っております。江戸川区篠崎にて、歯根破折の治療をご検討の方は当院までお気軽にご相談下さい。
保険証の期限切れにご注意ください。保険証の確認が取れない場合は保険診療として取り扱うことができません。
また、マイナンバーカードによるマイナ保険証での受診にも対応しています。
【動画】奥歯を抜歯したまま放置すると?
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。