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「虫歯C4」とは、虫歯が大きく進行して歯冠が崩壊し、歯根だけが残ったような状態です。

「歯がボロボロに欠けてきた」「以前は痛かったのに最近は痛くない」「歯根だけが残っている」といった場合は、C4まで進行している可能性があります。

C4では歯の神経が壊死し、痛みを感じにくくなることがありますが、痛みがなくても治ったわけではありません。 放置すると、歯ぐきの腫れや膿、顎の骨への炎症につながることがあります。

ただし、C4でも必ず抜歯になるとは限りません。歯根や周囲の骨の状態によっては、根管治療やエクストルージョンなどで歯を保存できる場合があります。

この記事では、虫歯C4の症状や保存の判断基準、治療法、抜歯が必要になるケースについて解説します。

C4(う蝕症第4度)
C4(う蝕症第4度)

虫歯は一般的に、進行の程度によってCO(C0)〜C4に分類されます。

  • CO(C0): 初期のう蝕。歯の表面に脱灰がみられる段階
  • C1: エナメル質に限局した虫歯
  • C2: 象牙質まで進行した虫歯
  • C3: 歯髄まで虫歯が達した状態
  • C4: 歯冠が大きく崩壊し、歯根だけが残ったような状態
虫歯C4とは

C4まで進行すると、歯冠の大部分が失われ、いわゆる**「残根(ざんこん)」**と呼ばれる状態になることがあります。

歯髄が壊死している場合は、それまで感じていた強い痛みが弱くなったり、なくなったりすることがあります。しかし、歯の内部から細菌が消えたわけではなく、歯根の先端や周囲の組織へ感染が広がっていることもあります。

そのため、「痛くなくなったから治った」と判断して放置しないことが大切です。

歯の神経が壊死する

虫歯が歯髄まで進行すると、炎症を起こした後に歯髄が壊死することがあります。

神経が機能しなくなると痛みを感じにくくなるため、患者さん自身は症状が改善したように感じることがあります。

歯冠が大きく崩壊する

虫歯によって歯質が弱くなり、噛む力などによって歯が少しずつ欠けていきます。

進行すると歯ぐきより上の歯質がほとんどなくなり、歯根だけが残ることがあります。

歯ぐきが腫れる・膿が出る

根管内の感染が歯根の先端まで広がると、根の周囲に炎症が起こることがあります。

その結果、

  • 歯ぐきが腫れる
  • 歯ぐきから膿が出る
  • 噛むと違和感や痛みがある
  • 口臭が気になる
  • 顔が腫れる

などの症状が現れる場合があります。

顎の骨まで炎症が広がることがある

感染を長期間放置すると、炎症が周囲の顎骨へ広がることがあります。

頻度は高くありませんが、感染が重症化すると顎骨骨髄炎などにつながる可能性もあるため、強い腫れや発熱、口が開きにくいなどの症状がある場合は早めの受診が必要です。

C4だから必ず抜歯になるわけではありません。

歯を保存できるかどうかは、見た目だけではなく、レントゲン検査や実際に虫歯を除去した後の状態などを含めて総合的に判断します。

主な判断材料は次のとおりです。

  • 健全な歯根がどの程度残っているか
  • 虫歯が歯根のどこまで進んでいるか
  • 歯根に破折や亀裂がないか
  • 歯を支える歯槽骨が十分に残っているか
  • 歯周病が進行していないか
  • 根管治療によって感染をコントロールできるか
  • 被せ物を安定して装着できるだけの歯質を確保できるか
  • 治療後に長期的な機能が期待できるか

「抜けてしまいそうに見える歯」でも保存できることがある一方、外見上は残せそうでも、内部の虫歯や破折によって抜歯が必要になることがあります。

虫歯C4症例1|各歯の診断結果
虫歯C4症例1|各歯の診断結果

この症例では、視診とレントゲン検査などを行い、それぞれの歯について保存できる可能性を検討しました。

保存可能と判断した歯

  • 右上1番(上顎中切歯)
  • 左上1番(上顎中切歯)
  • 右上7番(上顎第二大臼歯)

残っている歯質や歯根、周囲組織などを確認し、治療によって機能を回復できる可能性があると判断しました。

抜歯が妥当と判断した歯

  • 左上2番(上顎側切歯)
  • 左上6番(上顎第一大臼歯)
  • 右上6番(上顎第一大臼歯)

虫歯の進行度、歯根や周囲組織の状態などを総合的に評価し、長期的な保存が難しいと判断しました。

※歯の保存可否は症例ごとに異なります。同じように見える歯でも、診断結果や治療方法が異なることがあります。

保存できる可能性がある場合は、感染した部分を取り除き、必要に応じて根管治療を行います。

しかし、虫歯が歯ぐきの深い位置まで及んでいると、そのままでは被せ物を安定して装着するための歯質が不足することがあります。

そのような場合に検討される方法が、エクストルージョン法(矯正的挺出)や外科的挺出法です。

エクストルージョン法(矯正的挺出)

エクストルージョンとは、弱い矯正力を利用して歯根を少しずつ歯ぐきの上へ引き上げる治療方法です。

虫歯や歯の破折が歯ぐきより深い位置にある場合、そのままでは被せ物を安定して装着することが難しいことがあります。

そこで歯を挺出させ、健全な歯質を歯ぐきの上に露出させることで、支台築造やクラウン治療を行える環境を整えます。

下顎第2小臼歯のエクストルージョン症例

下顎第2小臼歯(5番)のエクストルージョン症例
下顎第2小臼歯(5番)のエクストルージョン症例

この症例では、下顎第2小臼歯(5番)をエクストルージョンしています。

隣接する歯を固定源としてワイヤーを設置し、エラスティック(ゴム)の力を利用して対象となる歯を徐々に引き上げています。

エクストルージョンの目的は、歯ぐきの下にある健全な歯質を露出させ、被せ物を安定して装着できる状態をつくることです。

適応できる症例は限られますが、条件が整えば抜歯を回避して天然歯を残せる可能性があります。

外科的挺出法

外科的挺出法は、歯を一度脱臼させるなどして位置を調整し、歯ぐきの上に健全な歯質を確保する方法です。

矯正的挺出とは治療方法や適応条件が異なるため、歯根の長さや形、歯周組織の状態などを確認したうえで判断します。

当院では、エクストルージョン法・外科的挺出法はいずれも自費診療となります。

できるだけ歯を残すことは大切ですが、無理に保存することが必ずしも患者さんにとって良い結果につながるとは限りません。

次のような場合は、抜歯を検討することがあります。

  • 歯根が大きく破折している
  • 虫歯が歯根の深い部分まで広がっている
  • 健全な歯質を十分に確保できない
  • 重度の歯周病などにより歯槽骨が大きく失われている
  • 根管治療を行っても感染のコントロールが困難と考えられる
  • 修復しても長期的に安定した機能が期待しにくい

無理に残した歯が感染源となれば、腫れや痛みを繰り返したり、周囲の骨に影響を及ぼしたりすることがあります。

そのため、「残せるか」だけでなく、「治療後に安定して使えるか」まで考えて判断することが重要です。

1.歯冠が大きく崩壊する

虫歯が進行すると歯冠の大部分が失われ、歯根だけが残った状態になることがあります。

2.根管内に細菌感染が広がる

虫歯が歯髄まで達すると、歯髄が壊死し、根管内で細菌感染が進行することがあります。

3.歯根の先端に炎症が起こる

根管内の感染が歯根の先端まで広がると、根尖性歯周炎を起こし、周囲の骨が吸収されることがあります。

病変の状態によっては歯根嚢胞が形成される場合もありますが、レントゲン画像だけで根尖病変が歯根嚢胞であると確定できるわけではありません。

虫歯の進行度C4の症例

この症例では、根管治療が途中で中断され、その後、虫歯と歯の崩壊がさらに進行していました。

虫歯を完全に除去すると歯質がほとんど残らず、歯根に穿孔が生じる可能性も高い状態でした。

被せ物を安定して支えるだけの健全な歯質を確保することが難しく、治療後の予後も考慮して抜歯が妥当と判断しました。

根管治療は途中で中断すると、仮の詰め物が外れたり、再感染したりする可能性があります。治療開始後は最後まで継続して通院することが大切です。

虫歯C4では、歯冠の崩壊が著しく、診察時点で保存が非常に難しいと考えられる症例もあります。

ただし、最終的な抜歯の判断は視診だけで決めるのではなく、必要に応じてレントゲン検査などを行い、歯根や周囲の骨の状態を確認します。

症例1|上顎6番の著しい崩壊

上顎6番に肉芽形成
上顎6番に肉芽形成

上顎第一大臼歯の歯冠が大きく崩壊し、内部に炎症性の組織がみられる症例です。

残存歯質や歯根の状態などを総合的に評価し、保存が難しいと判断しました。

症例2|上顎6番の歯根分離

上顎6番は、頬側根と舌側根が分離。上顎7番、5番は歯根の深部のみが露出
上顎6番は、頬側根と舌側根が分離。上顎7番、5番は歯根の深部のみが露出

上顎6番では歯冠が失われ、複数の歯根が分離して残っている状態です。隣接する歯にも深い位置まで歯質の崩壊がみられます。

このように残存歯質が極端に少ない場合は、被せ物による機能回復が難しく、抜歯が必要になることがあります。

虫歯C4では、診察やレントゲン検査だけでは保存の可否を確定できないケースもあります。

レントゲンは歯根や骨の状態を確認するうえで重要ですが、細かな亀裂や虫歯の広がり方など、すべてを確認できるわけではありません。

そのため、実際に虫歯を除去して残っている歯質を確認した後に、最終的な治療方針を決定することがあります。

症例1|上顎2番

上顎2番(上顎側切歯)の虫歯C4
上顎2番(上顎側切歯)の虫歯C4

外見だけでは保存できる可能性があるように見えても、内部で虫歯が深く広がっていることがあります。

虫歯を除去したうえで、

  • 健全な歯質がどの程度残るか
  • 歯根に亀裂や破折がないか
  • 被せ物を安定して装着できるか

などを確認し、保存できるかを判断します。

症例2|前歯部のC4

左上2番、左上1番、右上1番(前歯部)の虫歯C4
左上2番、左上1番、右上1番(前歯部)の虫歯C4

レントゲンだけでは判断が難しい場合には、虫歯を除去しながら残存歯質の量や歯根の状態を確認します。

C4では、治療を開始して初めて保存の可否が明確になるケースがあることも知っておく必要があります。

虫歯はC4になる前に治療することが何より重要です。

初期段階で発見できれば、治療範囲を小さくできる可能性が高く、歯の神経や天然歯質を残しやすくなります。

虫歯を進行させないためのポイント

  • 定期的に歯科検診を受ける
  • フッ化物配合歯磨剤を使用する
  • 歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシも活用する
  • 痛みがなくても虫歯を放置しない
  • 詰め物や被せ物の周囲を定期的にチェックする
  • 根管治療を途中で中断しない

特に注意したいのが、「痛みがなくなった=治った」ではないという点です。

虫歯が深く進行すると、歯髄が壊死して痛みを感じなくなることがあります。

痛みの有無だけで自己判断せず、欠けた歯や黒くなった歯、歯根だけが残っている歯があれば早めに歯科医院で診てもらいましょう。

エクストルージョン法・外科的挺出法

当院では、エクストルージョン法と外科的挺出法は自費診療となります。

治療方法費用
エクストルージョン法66,000円(税込)
外科的挺出法66,000円(税込)

※被せ物を装着するための支台築造や、メタルボンド・ジルコニアクラウンなどの費用は別途必要です。

残根の抜歯は、原則として保険診療の対象となります。

実際の自己負担額は、抜歯する歯の位置や処置の難易度、保険負担割合などによって異なります。

また、初診料・再診料・レントゲン撮影・投薬などの費用が別途必要になる場合があります。

保険診療の点数や自己負担額は改定されることがあるため、具体的な費用については受診時にご確認ください。

C4の歯を抜歯した場合、そのままにしてよいとは限りません。

歯を失った位置や噛み合わせによっては、周囲の歯が傾いたり、反対側の歯が伸びたりして、噛み合わせのバランスが崩れることがあります。

抜歯後の主な治療方法には、ブリッジ、インプラント、部分入れ歯があります。

ブリッジ

右上1番・左上1番・2番のブリッジ:保険適用
右上1番・左上1番・2番のブリッジ:保険適用

ブリッジは、失った歯の両隣などを支えとして人工歯を固定する治療方法です。

固定式のため違和感が比較的少なく、治療期間もインプラントより短い傾向があります。

一方で、支えとなる歯を削る必要があることや、支台歯に負担がかかることがあります。

インプラント

左上1番のインプラント
左上1番のインプラント

インプラントは、歯を失った部分の顎骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療方法です。

隣の歯を削る必要がなく、単独で歯を補えることが大きな特徴です。

一方で、外科処置が必要であり、顎骨や全身状態によっては適応できない場合があります。また、原則として自費診療です。

部分入れ歯

部分入れ歯は、残っている歯などを利用して人工歯を支える取り外し式の治療方法です。

保険診療で作製できる場合があり、ブリッジのように歯を大きく削ったり、インプラントのような外科手術を行ったりせずに歯を補えることが特徴です。

一方で、慣れるまで異物感があることや、取り外して清掃する必要があります。

どの治療方法が適しているかは、失った歯の位置や本数、残っている歯、顎の骨、噛み合わせ、治療に対する希望などによって異なります。

虫歯C4は必ず抜歯になりますか?

必ず抜歯になるわけではありません。

歯根が十分に残っており、破折がなく、治療後に被せ物を安定して装着できると判断されれば、根管治療やエクストルージョンなどによって保存できる場合があります。

C4なのに痛くないのはなぜですか?

虫歯が歯髄まで進行し、神経が壊死している場合は痛みを感じにくくなることがあります。

ただし、感染そのものがなくなったわけではありません。根の先に炎症が広がると、再び腫れや痛みが出ることがあります。

歯根だけ残った歯を放置しても大丈夫ですか?

おすすめできません。

感染が残っている場合は、歯ぐきの腫れや膿、口臭、周囲の骨への炎症などを起こすことがあります。

症状がなくても歯科医院で状態を確認しましょう。

虫歯C4でも差し歯にできますか?

残っている歯根や歯質の状態によっては可能です。

ただし、歯ぐきより上に被せ物を支えられるだけの健全な歯質が必要です。歯質が不足している場合は、エクストルージョンや外科的挺出などを検討することがあります。

抜歯した後は必ずインプラントが必要ですか?

必ずしもインプラントである必要はありません。

抜歯後の治療には、ブリッジ、インプラント、部分入れ歯などがあります。歯の位置や残っている歯の状態、噛み合わせなどを確認して選択します。

虫歯C4は、歯冠が大きく崩壊し、歯根だけが残ったような進行した虫歯です。

神経が壊死すると痛みがなくなる場合がありますが、これは治ったことを意味するものではありません。歯根内部の感染が続き、歯ぐきや顎の骨に炎症が広がることがあります。

一方で、C4だからといって必ず抜歯になるわけではありません。

歯根の状態、残っている歯質、周囲の骨などを詳しく調べ、根管治療やエクストルージョン、外科的挺出などによって歯を保存できるケースもあります。

大切なのは、単に「抜く・抜かない」で判断するのではなく、その歯を治療した後に長期的に使える可能性があるかを見極めることです。

「歯根しか残っていないから抜歯しかない」と自己判断せず、まずは歯科医院で詳しい検査を受けることをおすすめします。

また、虫歯はC4まで進行する前に治療するほど、天然歯を残せる可能性が高くなります。歯が欠けた、黒くなった、以前痛かった歯の痛みが突然なくなったなどの変化があれば、できるだけ早めにご相談ください。

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虫歯C4でも、歯根や周囲の骨の状態によっては歯を残せる場合があります。根管治療やエクストルージョンなど、抜歯を避ける治療が適応できることもあります。

まずは詳しく検査し、大切な歯を保存できる可能性があるか確認しましょう。「虫歯C4」と診断され、不安を感じている方も、ぜひ一度ご相談ください。

【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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