目次

長年の虫歯と噛み合わせの崩れにより、歯がほとんど残っていない状態で来院された患者さまの症例です。
「もう噛めない」「見た目も気になる」とお悩みでしたが、残せる歯をできるだけ保存し、仮義歯・仮歯を使って少しずつ噛み合わせと見た目を整えました。
最終的には、保険のデンチャーと硬質レジン前装冠による補綴で、しっかり噛める口元と自然な見た目を回復しました。
ここでは、その治療の流れを写真とともにご紹介します。🪥✨

この写真は初診時の口腔内を示しています。

噛み合わせが崩壊した初診時の口腔内所見
噛み合わせが崩壊した初診時の口腔内所見

🦷 全体的な所見

上顎・下顎ともに多数の歯が重度に崩壊しており、歯冠がほとんど残っていない部位も多く見られます。残存歯は虫歯(う蝕)と歯石、着色が強く、咬合(かみ合わせ)の高さが失われている状態=咬合崩壊が明らかです。

🩸 詳細な観察ポイント

① 重度虫歯(う蝕)

  • 上顎・下顎の前歯・臼歯ともに、歯質が大きく欠損
  • 黒褐色の変色や崩壊部が多く、感染歯質が深部まで進行していると推察されます。
  • 一部歯冠はほとんど消失し、根だけが残る「残根状態」になっています。

② 咬合崩壊

  • 奥歯の喪失により、上下の咬み合わせが大幅に低下
  • 前歯に過剰な咬合圧が集中し、歯の傾斜や移動、隙間が見られます。
  • 咀嚼機能が著しく低下しており、発音や審美にも影響している可能性があります。

③ 歯肉・粘膜の状態

  • 歯肉は発赤し、炎症性の腫脹が疑われます。
  • プラークコントロール不良による慢性歯周炎の併発が考えられます。

🩺 診断の方向性

  • 多発性う蝕および重度歯周病を伴う咬合崩壊
  • まずは感染源除去(抜歯・仮義歯による安定化)を行い、口腔内環境を整えた上で、**再建治療(義歯・インプラント・ブリッジなど)**を検討する必要があります。

💡 治療計画の一般的な流れ

  1. 感染歯・残根の除去
  2. 歯周治療・プラークコントロール指導
  3. 仮義歯で咬合再構成
  4. 最終補綴(入れ歯・インプラントなど)
  5. メンテナンスで再発防止

この画像は、**上顎の咬合面観(上から見た状態)**です。上顎歯列全体にわたり重度のう蝕が進行しており、歯冠崩壊が顕著です。以下に詳細な観察と、保存可能歯の判定を示します。

上顎咬合面観による詳細評価と保存可能歯の判定
上顎咬合面観による詳細評価と保存可能歯の判定

🦷 全体所見

  • 全歯にう蝕が見られ、広範囲に黒褐色化・崩壊しています。
  • 歯冠が大部分失われ、残根状態の歯が多く存在。
  • 歯列弓は不完全で、咬合支持がほぼ喪失しています。
  • 歯肉は炎症性変化を伴い、一部では歯肉退縮も確認できます。

🦷 各部の詳細評価(保存可否の目安)

部位現状所見診断・処置内容保存可否
右上3番(犬歯)歯冠崩壊は中等度。根の長さ十分で歯周支持も残存。再根管治療により感染除去し、支台歯として利用可能。保存可
右上2番(側切歯)歯冠欠損大だが、根尖病変軽度。再根管治療により保存可能。支台築造後、前装冠修復予定。保存可
右上1番(中切歯)う蝕が深部まで進行しているが、歯根は健全。**抜髄処置(根管治療)**を行えば支台歯として機能可能。保存可
左上1番(中切歯)既存根管治療あり。感染再発あり。再根管治療により感染源除去し、修復可能。保存可
左上2番(側切歯)生活歯で深いう蝕。根尖病変なし。**抜髄処置(根管治療)**により支台歯として再利用可。保存可
左上3番(犬歯)歯冠・根ともに崩壊進行。歯槽骨吸収も高度。残存根長不足のため支台歯として不適。保存不可(抜歯)
左上7番(第二大臼歯)根管充填不良、二次カリエスあり。再根管治療により感染除去後、クラウン修復で保存可能。保存可

この画像は、**上顎の咬合面観(上から見た状態)**で、仮義歯が装着された治療途中の状態を示しています。
「仮義歯」の文字が示すように、最終補綴に先立ち、オーバーデンチャー型の仮義歯によって咬合・審美・発音の回復を図っている段階です。

オーバーデンチャー型仮義歯の装着と咬合再構成
オーバーデンチャー型仮義歯の装着と咬合再構成

🦷 全体的な構成

  • 義歯の種類:オーバーデンチャータイプの仮義歯(暫間義歯)
  • 維持装置:右上1番・左上2番に金属クラスプ
  • 目的:咬合・審美・発音の回復および支台歯保護

🔍 各部の詳細解説

① 右上1番・左上2番(クラスプ付き義歯の維持歯)

  • 義歯の維持源として利用。
  • 金属クラスプが歯頸部を把持し、義歯の安定性と脱離防止を確保。

② 仮義歯(オーバーデンチャー)

  • 義歯床の内面が支台歯に適合するよう設計され、
    支台歯上に被覆して装着するオーバーデンチャー形式。
  • 義歯には人工歯列が再構築され、
    欠損部の咬合・審美・発音を一時的に回復
  • 最終義歯製作に先立ち、咬合高径・発音・適合状態の確認を目的として使用。

③ 義歯床の適合状態

  • 床縁は滑らかで、歯肉粘膜への圧迫は少なく、
    粘膜適合も良好
  • 口蓋部にレジンを使用しており、
    調整・適合確認が容易に行える設計。

🩺 臨床的評価

  • 右上1番・左上2番の保存歯を活用し、
    機能性・安定性の高い暫間補綴設計がなされている。
  • オーバーデンチャー構造により、
    残存歯の根管治療を行う。
  • 仮義歯として、咬合高径・審美・発音・舌感などの臨床的評価段階にある。

この画像は上顎咬合面観で、治療中の口腔内を示しています。中央の前歯部には「仮歯」と記されており、矢印の箇所に**暫間補綴(仮歯:プロビジョナルクラウン)**が装着されています。

. 前歯部仮歯(プロビジョナルクラウン)による審美・機能評価
. 前歯部仮歯(プロビジョナルクラウン)による審美・機能評価

🦷 全体の状況

  • **前歯部(右上3番〜左上2番)**に仮歯が装着され、審美性と発音機能の回復を図っています。
  • 仮歯はレジン製で、咬合・形態・位置を確認するための治療中の暫定補綴物です。
  • 右上7番には**金属冠(メタルクラウン)**が装着されており、咬合支持および義歯の支台として機能しています。

🔍 各部の詳細評価

① 前歯部(仮歯部)

  • 根管治療および支台築造を行った保存歯に、仮歯を装着。
  • 形態的に整っており、審美・発音・咬合の確認段階にある。
  • 清潔に管理されており、歯肉との適合も良好で炎症は軽度。

② 右上7番(金属冠)

  • 最後方臼歯に金属冠が装着され、強固な咬合支持を提供。
  • 義歯設計時の**後方支点(後方咬合支持)**として重要な役割を果たす。
  • 咬合面・マージンともに良好な適合を示す。

🩺 臨床的評価と治療意図

  • 本症例は、全顎的咬合再建の途中段階。
  • 初期段階での感染歯除去・根管治療を経て、保存歯を活用した仮歯による咬合調整が行われています。
  • 仮歯により、
     ・咬合高径の安定化
     ・審美と機能の確認
     ・歯肉・支台歯の治癒経過の観察
    が可能となります。

💡 今後の治療ステップ

  1. 仮歯で咬合・発音・見た目を評価
  2. 問題がなければ最終補綴設計へ移行
  3. 支台歯の安定と清掃性を確認後、**最終補綴(硬質レジン前装冠、メタルボンドやジルコニア冠など)**で仕上げ

この画像は、**上顎咬合面観(最終補綴後)であり、保険適用の義歯(レジン床+パラタルバー)**が装着された状態を示しています。
前歯部・臼歯部ともに機能的・審美的に回復しており、治療の最終段階を反映しています。

🦷 全体的な構成

  • 前歯部:硬質レジン前装冠(保険)
  • 義歯構造:パラタルバー(口蓋バー)
  • 維持装置:保険の金属クラスプ(ワイヤークラスプ)

🔍 各部の詳細解説

① 前歯部(硬質レジン前装冠)

  • 前歯部(右上3番〜左上2番)にかけて硬質レジン前装冠が装着。
  • 金属裏打ちの上にレジンを築盛しており、自然な色調と形態を再現。
  • 保険適用範囲内でありながら、審美性と咬合強度のバランスが良い。
  • 仮歯の段階で確立した咬合・発音・見た目をそのまま最終補綴に反映。

② パラタルバー(口蓋バー)

  • 義歯の中央部に金属製のパラタルバーが設けられており、左右を連結。
  • 構造的強度を高め、咬合力を均等に分散
  • 発音障害や違和感を最小限にするため、厚み・位置ともに適切に設計されている。

③ クラスプ(維持装置)

  • 残存歯に金属クラスプが設けられ、義歯の維持と安定を確保。
  • 保険診療で一般的な**ワイヤークラスプ**を使用。
  • クラスプの形状は歯面に沿って滑らかで、審美性と清掃性に配慮されている。

🩺 臨床的評価

  • 前歯部の審美回復、臼歯部の咬合支持、義歯の安定性が良好。
  • 残存歯の支台構造を活かしつつ、全顎的な咬合再構成が達成されている。
  • 金属構造(パラタルバー)により、変形の少ない強固な補綴設計
  • 義歯床の辺縁適合も良好で、舌感・発音・咀嚼効率に優れた状態。
📍江戸川区篠崎で「もう噛めない」「見た目も気になる」とお悩み方へ

江戸川区篠崎の当歯科クリニックでは、
重度の虫歯や歯周病で噛み合わせが崩れた方に対しても、
段階的な治療で「しっかり噛める」口元を取り戻すサポートを行っています。

本症例では、崩壊した噛み合わせをオーバーデンチャー仮義歯・最終補綴を通じて再構成。
残せる歯を最大限に活かしながら、機能性と審美性の両立を実現しました。
篠崎駅近くで「噛めない」「歯がボロボロ」とお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。😊🪥。

【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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