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「根管充填(こんかんじゅうてん)」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、根管治療で歯の神経を取り除いた後に、空洞になった根管を専用の薬剤で密閉する大切な処置です。根管充填を正確に行うことで、🦠 細菌の再感染を防ぎ、🦷 歯を長く残すことができます。

この記事では、根管充填の流れ・使われる材料・費用の目安・失敗や再治療のリスクまで詳しく解説します。治療を受ける前に知っておくと安心できるポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

根管充填(こんかんじゅうてん)とは

根管充填とは、根管治療で感染した歯の神経を取り除いた後に、空洞になった根管の中を専用の薬剤(ガッタパーチャやシーラー)でしっかり密閉する処置のことです。
🔒細菌の再感染を防ぎ、歯を長持ちさせるために欠かせないステップです。

根管充填とは?歯を長持ちさせるための大切な処置
根管充填とは?歯を長持ちさせるための大切な処置

❓ なぜ根管充填が必要なのか

根管は非常に細く、枝分かれした複雑な構造をしています。空洞のまま放置すると、以下のリスクがあります。

🦠 細菌が再び繁殖する → 治療のやり直しや再感染の原因に

🔒 密閉することで再感染や炎症を防ぐ → 歯を守る重要な役割


1️⃣ 感染部の除去

虫歯や細菌に感染した歯の神経や組織を取り除き、根管内を丁寧に清掃・消毒します。
🧼 ここでしっかり汚れを取り除くことが、再発防止の第一歩です。

📸 画像の解説(根尖病巣/歯根嚢胞)

このX線写真では、**上顎前歯の1番(中切歯)と2番(側切歯)を原因とする根尖病巣(歯根嚢胞)**が確認できます。

根尖病巣/歯根嚢胞
根尖病巣/歯根嚢胞

■ 病変部の特徴

赤い矢印で示されている部分に、黒く透過した範囲の広い陰影が認められます。これは通常の骨の白っぽい像と比較して明らかに濃度が低く、以下の状態を示唆します。

  • 歯根の先端(根尖)周囲の骨が溶かされている
  • 感染によって周囲の組織に炎症が広がり、嚢胞状に拡大している
  • 1番・2番の根尖から連続した広範な病変で、二つの歯が同時に原因となっている可能性が高い

■ 疾患として考えられるもの

  • 根尖性歯周炎(根尖病巣)
  • 歯根嚢胞(根尖性嚢胞)

特に今回のように黒い領域が大きく境界が比較的明瞭な場合、慢性化した歯根嚢胞が疑われます。

■ 原因として考えられること

1番・2番の歯に過去の

  • 深いむし歯
  • 失活歯(神経が死んだ歯)
  • 古い根管治療の不具合
    などがあると、このような病変が形成されます。

2️⃣ 根管長測定と根管の形成

充填材を入れやすいように、根管の形を整えます
📏 複雑で細い管を整えることで、薬剤をすみずみまで行き渡らせることができます。

📸 画像の解説(根管治療:根管長測定とファイル試適)

このX線写真は、上顎前歯の根尖病巣(歯根嚢胞)治療中の根管治療手順を示したものです。
写真内には 根管内に挿入されたファイル(根管治療器具) が写っています。

根管治療:根管長測定とファイル試適
根管治療:根管長測定とファイル試適

■ ファイル試適と根管長確認

矢印で示された金属の細長い器具が、根管内に挿入されたファイルです。

この段階では、

  • 根管の長さ(根管長)を正確に把握する
  • 根尖付近までファイルが到達しているかを確認する

ために、X線撮影を行っています。

さらに実際の臨床では、
根管長測定器(電気的根管長測定器:EAL)も併用し、
X線と合わせてより精度の高い測定を行います。

■ 画像が示す治療の流れ

  1. ファイルを根管に挿入して長さを試適
    └ 根尖に対して適切な位置かを画像で確認
  2. 根管長測定器(EAL)で電気的に根管長を確認
    └ X線との併用で誤差を最小化
  3. 確定した根管長に基づき、後に根管拡大・清掃を実施
    └ 感染源を除去し、薬剤充填ができる形に整える

3️⃣ 根管充填

ガッタパーチャポイントとシーラーという専用の薬剤を使って、根管を隙間なく封鎖します。
🔒 これにより細菌が入り込む余地をなくし、歯の内部をしっかり守ります。

📸 画像の解説(根管治療後6か月の経過:根尖病巣の治癒)

このX線写真は、適切な根管充填を行った後、約6か月経過した時点の治癒状況を示しています。

根管治療後6か月の経過:根尖病巣の治癒
根管治療後6か月の経過:根尖病巣の治癒

■ 根管充填の状態

中央の2本の歯には、白く細い線状の材料が根の先端(根尖)までしっかり入っています。
これは ガッタパーチャを用いた適切な根管充填が完了している状態 を示します。

  • 根の先端まで密に詰められている
  • 余剰なく、均一で理想的な充填像

根管治療の成功に必要な「清掃・消毒・密封」が適切に行われたことを表しています。

■ 赤矢印:根尖病巣の変化(治癒のサイン)

赤矢印で示された部位は、治療前には黒く広範囲に透過像(骨の欠損)が見られた部分です。

現在は、

  • 黒い透過像がほとんど消失
  • 骨が再生し、均一な白い像に戻りつつある
  • 炎症の縮小や嚢胞の消失を示す明確な治癒傾向

が認められます。

■ 6か月後の評価:治癒

この画像から判断できること:

  • 根尖病巣(根尖性歯周炎・歯根嚢胞)は ほぼ完全に治癒
  • 骨の再生が進み、歯の周囲環境が健康な状態へ改善
  • 根管治療の予後はきわめて良好

治療が成功し、感染源が除去されたことで、体が自然に骨を再生した結果です。

4️⃣ 仮詰め・最終的な被せ物

充填が完了したら仮の詰め物をして密閉。後日、クラウンやインレーで補強し、歯の機能を回復させます。
🏗️ 最終的な被せ物でしっかりカバーすることで、噛む力にも耐えられるようになります。

🟠 ガッタパーチャ

ゴムのような弾性を持つ生体親和性の高い素材です。
根管内をしっかり埋めて、細菌の侵入を防ぎます。

⚪ シーラー

ペースト状の薬剤で、ガッタパーチャだけでは埋めきれない細かな隙間を封鎖します。
🛡️ 隙間なく充填することで、再感染のリスクを最小限に抑えます。

🟢 MTAセメント(最新の材料)

近年ではMTAセメントなど、生体親和性と封鎖性に優れた新しい材料も活用されています。
💡 特に難症例や再治療では、従来の材料よりも効果を発揮することがあります。


👉 こうした材料を組み合わせることで、根管充填の精度を高め、歯を長く守ることが可能になります。

🏥 保険診療

  • 数千円程度(歯の本数や治療部位によって変動)
  • 基本的な根管治療+根管充填は健康保険が適用されるため、比較的安価に受けられます。

⭐ 自費診療

  • 数万円〜十数万円
  • マイクロスコープやCTなどを用いた精密治療では、自費診療になるケースもあります。
  • 再発リスクを下げたい方や、より高精度な治療を希望される方に選ばれることが多いです。

👉 治療の内容や選択する方法によって費用は変わるため、事前に歯科医院で見積もりを確認することが安心につながります。

🦠 再感染のリスク

充填材が隙間なく詰められていない場合、細菌が入り込みやすくなり、再び感染を起こす可能性があります。

😣 違和感や痛みが残る

治療後に噛んだときの違和感や痛みが続く場合は要注意。
炎症が残っていたり、充填が不十分なことが原因となることがあります。

🌀 根管の形が複雑なケース

歯の根の形が曲がっていたり枝分かれしている場合、完全に充填できず再治療が必要になることもあります。


👉 治療後に症状が改善しない、あるいは再び痛みが出てきた場合は、早めに歯科医院で再確認することが大切です。

🔬 精密治療が可能な歯科医院を選ぶ

マイクロスコープやCTを活用した精密な根管治療を行える歯科医院を選ぶと、成功率が高まります。

👨‍⚕️ 経験豊富な歯科医師に相談する

根管治療は技術と経験が大きく関わります。
症例数が多い歯科医師に相談することで、再発リスクを減らすことができます。下記に当院で適切な治療が行われた症例を示します。

📸 画像の解説(4番・6番の適切な根管充填/4–5–6ブリッジ)

このX線写真では、4番(第一小臼歯)と6番(第一大臼歯)に根管治療後の根管充填が適切に行われている状態が確認できます。
また、4番・5番・6番の3本を連結したブリッジが装着されています。

適切な根管充填
適切な根管充填

■ 4番・6番の根管充填(赤矢印部分)

赤い矢印で示された歯根の内部には、白く細長い線状の材料(ガッタパーチャ)が写っています。これは根管充填材で、次のような理想的な状態を示します:

  • 根尖(歯根の先端)までしっかり到達している
  • 空隙がなく均一な密封状態
  • 清掃・消毒された根管が再感染しないように適切に封鎖されている

特にマルチルートの歯(6番)でも各根管がそれぞれ確実に充填されていることが確認できます。

■ 4番・5番・6番のブリッジ

下部に白く大きく写っている連結物は、
4番・5番・6番をつないで補綴したブリッジです。

  • 4番と6番が支台歯(土台の歯)として使用されている
  • 5番部は欠損しているため、**ダミーの人工歯(ポンティック)**として機能
  • 適切に適合しており、噛む機能を回復させる構造になっている

根管治療後の歯を土台として利用しているため、
内部からの感染リスクを排除した上で補綴治療が行われたことが分かります。

■ 全体の評価

  • 根管治療 → 適切
  • 根充の緊密性 → 良好
  • ブリッジの適合 → 問題なし
  • 支台歯の根尖部 → 明らかな炎症像なし

補綴(ブリッジ)が長く安定して機能できる状態に仕上がっています。

📅 定期検診で経過を確認する

治療後も定期的なチェックを受けることで、再感染や不具合を早期に発見できます。
メンテナンスを怠らないことが、歯を長持ちさせるカギです。


👉 根管充填は「一度やって終わり」ではなく、その後のケアがとても大切です。

根管充填は、歯を抜かずに残すための大切な治療です。
🔒 正確な充填によって再感染を防ぎ、🦷 被せ物を長持ちさせることができます。

もし治療後に 😣 痛みや違和感 がある場合は、早めに歯科医院へ相談することが再発防止につながります。

👉 見えない部分の治療だからこそ、丁寧な処置とその後のケアが、歯を長く守るためのポイントです。

江戸川区篠崎で「虫歯を自力で治す」ための正しいケアをサポート!

根管充填は、歯を守るために欠かせない大切な治療です。
当歯科クリニックでは、精密な根管治療を行い、再発リスクを抑えながら歯を長持ちさせるサポートをしています。

江戸川区篠崎駅南口から徒歩1分で通いやすく、🦷 根管充填から被せ物まで一貫して対応可能です。
「なるべく歯を抜かずに残したい」「治療後の痛みが不安」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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