目次
「自臭症」とは?原因・症状・治療法を徹底解説

1. 自臭症とは?

自臭症の定義

自臭症(自己臭症)は、実際には他人の嗅覚を刺激するほどの臭いが存在しないにもかかわらず、自分には口臭があると思い込んでしまうような症状で、この状態は本人にとって非常に大きなストレスとなり、日常生活や社会活動に支障をきたします。

症状が重くなると「本当に臭いんだ」と強く思っても周囲からは「臭くない」と否定されることで、「どうしてわかってもらえないのか」と深く悩み、最悪の場合、自殺を考えてしまうほど深刻に悩むこともあります。

2.自臭症の主な原因

心理的ストレス

心理的ストレスは、自臭症の大きな課題の一つです。仕事や人間関係、家庭内の問題など、日常生活におけるストレスが高まると、自己評価が過剰に敏感になり、自分の臭いに対して強い不安を感じるようになります。 特に、他人の態度や反応に対する恐怖心により、「自分の臭いで迷惑をかけているのではないか」と思い込むケースが多く見られます。

過去のトラウマやいじめ

過去のトラウマやいじめの経験も、自臭症を考える上で重要な課題です。 例えば、学校や職場で「臭い」などと指摘された経験がある場合、それが深く心に刻まれ、自分の臭いに対して過剰な意識が形成されることがあります。また、いじめや否定的な言葉の繰り返しによって、「自分には何か問題がある」という思い込みが固定化され、それが自臭症の発症につながることがあります。自己否定感を強め、症状を悪化させる原因となります。

身体的な弊害(胃腸の不調、口腔内疾患など)

自臭症の背景には、身体的な問題も影響する場合があります。過敏性腸症候群(IBS)や逆流性食道炎など、胃腸に関わる疾患を抱えている場合、実際には気に留める必要がない程度の臭いであっても、自分の臭いに敏感になることがあります。

さらに、口腔内の疾患も関連しています。これらの身体的課題が存在する場合、心理的な課題と不安があり、症状がより複雑化することが起こります。

3.自臭症の症状

身体や口臭を過剰に気にする行動

自臭症の患者は、自分の口臭が他人に不快感を与えているのではないかという不安に駆られ、過剰にその口臭を意識するようになります。

1. 頻繁な口腔ケア
頻繁な口腔ケア

口臭をあまりにも気にしすぎるため、日常的な口腔ケアの範囲を超えた行動があることがあります。

  • 一日に何度も歯を磨く(通常の回数を大きく超える)
  • マウスウォッシュや口臭スプレーを頻繁に使う
  • 口臭予防用のガムやタブレットを常に口にする
  • 舌苔を念入り取るため、舌ブラシを過剰に使う
2. 周囲に迷惑をかけない行動

体臭や口臭が他人に不快感を与えないよう、常に注意を払います。

  • 会話中に息を止める、あるいは小さな声で話す
  • マスクを常に着用し、他人との接触を気にする
  • 公共交通機関やエレベーターで人との距離を保とうとする
  • 外出中にこまめに口をすすぐ、あるいは歯磨きするため、トイレに頻繁に行く
3.香りや消臭製品の多用

臭いを隠すため、強い香りの製品を使いすぎる傾向があります。

  • 消臭スプレーや香水を大量に使用する
  • 衣類やバッグに消臭剤を入れる
  • 口臭を消す効果があるとされるハーブティーや健康食品を常用する
4. 自己チェックの過剰

口臭を自分で確認しようとする行動が頻繁に見られます。

  • 鏡で口や体を何度もチェックする
  • 手のひらや衣服の袖を嗅ぐ
  • 誰かに「私、臭い?」と繰り返し聞く(時には相手との関係が悪化することも)
5. 社会的回避行動

他人が不快感を抱くのではないかという不安から、社会的な接触を回避する行動も見られます。

  • 人との近距離で会話することを気にする
  • 会議やプレゼンテーションなど、人前で話す機会を回避する
  • 職場や学校での昼食時間に席を外す

これらの行動は、一見して「自己管理を徹底している」と思われることもありますが、実際には過剰な不安から来ている場合が多いです。そして、本人の精神的負荷が増大し、日常生活に悪影響を及ぼします。適切な治療やサポートをすることが、行動の改善には重要です。

周囲の反応に敏感になる傾向

自臭症の患者は、周囲のちょっとした反応にも過敏に反応する傾向があります。

  • 他人が鼻に触れたり咳をするのを自分の臭いのせいだと思う
  • 他人が離れた場所に移動するのを自分の口臭のせいだと解釈する
  • 話している相手が微妙な表情をしただけで「臭いと思われたのでは」と感じることで、さらに自分を責める悪循環に陥る可能性があります。

日常生活や社会活動への影響

自臭症の症状が重くなると、次第に日常生活や社会活動に深刻な影響を及ぼします。

1. 対人関係の悪化

自臭の患者は、自分の体臭や口臭が他人に不快感を与えていると思い込み、人との接触を恐れるようになります。

  • 会話やコミュニケーションの減少
    友人や家族との会話を避け、孤立しがちになります。
  • 職場や学校での人間関係の断絶
    口臭の過剰な不安から、職場や学校で積極的に交流しなくなり、孤立する場合があります。
  • 「臭い」に対する過剰な確認行動
    他人に「臭いませんか?」と頻繁に聞くことで、人間関係が悪化することもあります。

2. 社会活動の制限

自臭症は患者の行動範囲を狭くし、社会参加を困難にすることになります。

  • 公共交通機関の利用を恐れる
    電車やバスなどの公共交通機関で他人と接触することを恐れるため、移動手段が制限され、外出を控えることがあります。
  • 集団行動の回避
    食事会や会議、イベントなど、人の集まる場を嫌がり、出席を拒否する傾向があります。
  • 職業選択の制限
    他人と密接に関わる職種や、人前で話す必要がある仕事を回避することで、キャリアの選択肢が狭くなることがあります。

3. 精神的健康への悪影響

自臭による心理的負担は、さらに深刻な精神的健康問題に発展する可能性があります。

  • 慢性的なストレスと不安感
    口臭に対して過剰な意識が慢性的なストレスとなり、精神的な負荷が増加します。
  • 自己評価の低下
    「自分は迷惑をかけている」という思い込みが強くなり、自己否定感や自尊心の低下につながります。
  • うつ病や不安障害の発症
    自臭症の症状が続くことで、うつ病や社交不安障害(SAD)などの精神疾患が併発することがあります。

4. 健康や生活リズムの乱れ

自臭症に伴う過剰な行動や不安感は、生活全般に影響を及ぼします。

  • 過剰な口腔ケアによる身体の問題
    頻繁な歯磨きや舌ブラシの使用により、歯茎や舌が傷つき、口腔内に炎症が起こる場合があります。
  • 不規則な生活習慣
    臭いことに関して不安で眠れなかったり、人との接触を避けるために食事や外出が減ることがあります。
  • 体力の低下
    ストレスや孤独感から体力や免疫力が低下し、健康を損なう事があります。

自臭症は、対人関係の悪化、社会活動の制限、精神​​的な健康の悪化、さらには健康問題にまで影響を及ぼします。これらの影響が複合的に絡み合うことで、患者の日常生活の質が著しく低下します。早期に専門的なサポートを受け、適切な治療を行うことが、これらの影響を極力抑え、健康的な生活を取り戻す鍵となります。


口臭を自覚するメカニズム

口臭が発生するメカニズムは、他臭症と同じで、酸素が嫌いな細菌(嫌気性菌)が出すガス(揮発性硫黄化合物)と、口腔内の自浄作用をつかさどる唾液の分泌量に関係しています。

自臭症の方の細菌量は他臭症と比べると、格段に少ないのが特徴です。それでも口臭を自覚します。

STEP

緊張で唾液分泌低下

自臭症の患者では、他人の行動がストレスになり、口臭が出ているのではないかと緊張し唾液の分泌が低下します。自分の口臭を意識しだすとさらに緊張して唾液分泌がさらに低下します。そのため自浄作用が低下し、一時的に細菌が出すガスが増えます。


STEP

断続的に臭いが発生

こういったことが断続的に起こるため臭いを自覚します。臭覚は連続した臭いに対しては麻痺してしまいますが、断続的に臭いが発生した場合には、逆にいつも臭いがあると感じてしまいます。

つまり、口腔内の僅かなガスの変化でも、本人は連続して口臭があると錯覚してしまっています。(ただしその臭いの自覚には強弱があります。)


STEP

唾液分泌量の変化に細菌活性が敏感に影響を受ける

生理的に起こる「起床時口臭」「空腹時口臭」「緊張時口臭」は、通常だれでも起こりうるものですが、自臭症の方の口腔内の細菌量は少ないため、唾液の分泌量の変化に対して、細菌の活動が敏感に影響を受けるものと考えられます。


ウェバー・ヘッヒナーの法則

口腔内は綺麗なのに口臭を自覚する理由

ウェバー・ヘッヒナーの法則は、口臭の原因(口腔細菌)を90%除去しても、本人は10%程しか除去できていないと感じてしまう生理的現象です。

実際に口臭の原因が無くなっている(他人が感じられないくらいに低下)にもかかわらず、本人は、ほとんど改善していないと思い込んでしまうのが自臭症です。

口臭を感じるタイミング

緊張時
緊張時

現代社会においては人と接する機会が多く、仕事や人前でのプレゼンなど緊張時に臭いが発生します。
緊張すると唾液の分泌が低下するために自浄作用(細菌を洗い流す)が低下するためです。

起床時
起床時

睡眠中は唾液の分泌が低下するため、口腔内の細菌が増殖します。そのため、朝起きると同時に口臭や口のねばつきを感じます。
起床時口臭は正常な人でも起こりうる生理的口臭です。

空腹時
空腹時

午前11時頃、空腹が原因で起こる空腹時口臭があります。 食事中は唾液の分泌が活発になり、自浄作用(食事をすることで臭いの元である細菌の数が減少する)により臭いを感じにくくなるものです。

緊張時口臭

通常、誰でも緊張すると声を発することが少なくなります。このことにより、舌の動きが停止し唾液分泌を抑制します。同時に 唾液腺は自律神経の支配下に置かれているため、緊張すると交感神経優位になり唾液分泌を抑制します。すると唾液の自浄作用が低下し嫌気性菌の活動が活発になり、口の中が臭いで充満してきます。これが「緊張時口臭」です。

そして、会話した瞬間に臭いニオイの息が出ることになります。その際、他人も臭いと感じる場合もありまが、その臭いの程度は他臭症のそれとは格段に低いものです。

ニオイの起こらない健康な口腔内を作るためには、自律神経(交感神経と副交感神経)の働きを正常にしていくことが大変重要です。

唾液分泌は、自律神経によってコントロールされています。自律神経は生活のリズムの影響を強く受けるため、生活習慣を規則正しくする必要があります。

  •  睡眠を適切にとる。
  •  運動をする。

口臭はどんなに臭い?

ドブ臭い
ドブ臭い

ドブ川の臭いは、硫化水素の腐った卵の臭いとメチルメルカプタンの腐ったキャベツの臭いの混じった臭いです。 自臭症の臭いは硫化水素が主成分です。少しですがメチルメルカプタンの匂いも混じっているようです。

酸っぱい臭い
酸っぱい臭い

アセトンからは甘酸っぱい匂いがします。糖尿病の方に多く見られます。

生臭い
生臭い

ジメチルアミン・トリメチルアミンからは魚の腐ったような生臭いにおいが出ます。口臭から生臭いにおいがあった場合、腎機能障害が起きている可能性も否定出来ません。

4.自臭症の診断方法

自臭症の診断方法の詳細を解説します。


1. 医師や歯科医による問診

自臭症の初期診断では、患者の具体的な症状や背景を把握するために、医師や歯科医が問診を行います。

  • 症状の確認
    患者がどのような場面で臭いを意識するのか、どの程度の頻度で気になるのかを聞きます。
  • これまでの歴史や生活環境の確認
    過去の病歴や心理的ストレスの存在、生活習慣などを確認し、自臭症の原因を特定することをします。
  • 口腔内や身体の検査
    口臭や体臭について、可能性のある身体の疾患(歯周病、胃腸の不調など)がないかを調べます。

2.知覚臭気や専門的な検査

患者が感じている臭いが客観的に存在するのか、あるいは心理的な影響によるものなのかを評価するために、専門的な検査が行われることがあります。

  • センサー臭気の使用
    患者の口臭や体臭を数値化するための装置を用いて、臭いの存在や強さを客観的に評価します。
  • 第三者による評価
    医療従事者や訓練を受けた専門家が、患者の臭いを嗅ぎ取って評価する方法もあります。
  • 口腔内検査
    舌苔や歯周病、虫歯の有無を確認し、臭いの原因が口腔内にあるかどうか判断します。

3. 精神科や心療内科での評価

身体的な問題が特定されない場合、精神科や心療内科で心理的評価を行います。

  • 心理テストやインタビュー
    自臭症に関連する心理的背景(過去のトラウマ、不安感など)を探るため、心理テストや詳細なインタビューを実施します。
  • 認知行動パターンの分析
    患者が自分の臭いにどのように反応し、どのような行動をとるのかを分析し、思い込みや過剰な不安の程度を評価します。
  • 関連疾患の確認
    自臭症は、自己臭恐怖症やうつ病、社交不安障害(SAD)などの精神疾患と関連している場合が多いため、これらの併存疾患の有無を確認します。

自臭症の正確な診断には、身体的な検査と心理的な評価を行うことで、患者にとって最適な治療方法を選択することが可能になります。多角的なアプローチで原因を特定することが、症状の改善につながります。

5.自臭症のセルフチェック

自臭症のセルフチェック

自臭症のチェックリスト

□ いつも口の臭いを感じている。

他人に聞いても臭くないと言われるけど、本当に臭いと感じる。
□ 以前に他人から口臭を指摘され、それ以降気になりだした。
□  よく歯磨きをしている方だと思う。
□  他人のしぐさが気になる。

他人が鼻を触ったしぐさを見て、自分の口臭が原因ではないかと思ってしまうなど。
□  他人の言葉が気になる。

部屋に入ってきた人が「この部屋臭くない?」と言うと、自分の口臭が原因ではないかと考えてしまうなど。
2つ以上にチェックが付けば、あなたも自臭症かも?

6.自臭症の治療法

自臭症の治療は、身体的課題と心理的課題の両面にアプローチすることが重要です。以下、医療的な方法と日常生活での改善策を詳しく解説します。


1. 医療的アプローチ

自臭症の治療には、心療内科や精神科での専門的な治療が中心となります。

心療内科や精神科での治療
  • 診断とカウンセリング
    医師が患者の症状や背景を丁寧に聞き取り、心理的な原因を突き止めます。その上で、正しい治療方針を立てます。
  • 精神科でのサポート
    自臭症がうつ病や社交不安障害(SAD)などを併発している場合、これらの疾患も同時に治療します。
認知行動療法(CBT)
  • 認知の歪みを修正する
    認知行動療法は、自臭症の患者が抱く「自分は臭っている」という思い込みを修正するのに非常に効果的です。
  • 行動の改善
    患者が臭いを気にするのでやめてしまう回避行動(例:人混みを気にする、過剰な口腔ケア)を少しずつ減らし、正常な行動パターンを増やします。
薬物療法
  • 抗うつ薬
    セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質を調整する薬剤を使用し、患者の不安や抑うつ症状を軽減します。
  • 抗不安薬
    過剰な不安や緊張を緩和し、リラクゼーション効果のある薬が処方されることがあります。
  • 注意点
    薬物療法は、医師の指導の下で適切に行われる必要があり、長期使用における副作用も考慮する必要があります。

2. 日常生活での改善策

医療的治療と併用して、日常生活の中で取り入れられる改善策も効果的です。

リラクゼーション法
  • ストレスの軽減
    瞑想、深呼吸、ヨガなどを活用して心身をリラックスさせ、ストレスを軽減します。
  • マッサージやアロマセラピー
    身体的な緊張をほぐし、気分を穏やかにする手段として有効です。
規則正しい生活習慣
  • 睡眠の質を向上させる
    十分な睡眠をとることで心身のリズムを整え、ストレスに対する耐性を高めます。
  • バランスの良い食事
    栄養バランスの取れた食事を心がけることで、身体の調子を整え、精神安定を獲得します。
  • 適度な運動
    ウォーキングやジョギングなどの軽い運動を日常に取り入れることで、ストレス解消や気分転換を図ります。

3. 社会的支援の活用

  • 家族や友人の支援
    周囲のサポートは、患者が安心して治療に取り組むための大きな助けになります。
  • 専門機関やサポートグループ
    同じ悩みを驚く人々と情報を共有する場に参加することで、孤独感をなくすことができます。

自臭症の治療には、医療的アプローチと日常生活の改善策を講じることが重要です。患者の症状や背景に合わせた多角的な治療が、症状の改善や生活の質の向上につながります。初期に専門医を受診し、適切な支援を受けることが成功への鍵となります。

7.自臭症における家族や周囲の役割

自臭症における家族や周囲の役割

自臭症の患者にとって、家族や周囲の人々のサポートは、症状の改善や精神の安定において非常に重要な要素です。以下、家族や友人ができる具体的なサポート方法と、早期発見や相談の重要性について詳しく解説します。


1. 家族や友人ができるサポート方法

患者の感情に寄り添う
  • 否定せず共感するい
    自臭症の患者が「自分は臭い」と言う点では、ただ「そんなことないよ」と否定するだけでは逆効果になることがある。 「感じるのはつらいよね」と共感する姿勢を持つことが大切です。
  • 安心感を与える
    「一緒に解決してこう」と伝え、患者が一人ではないことを示すことで、安心感を与えられます。
日常生活でのサポート
  • 規則正しい生活をサポートする
    生活リズムが乱れがちな患者に対して、規則正しい食事や睡眠、適度な運動を一緒に実践することで、症状の改善を促します。
  • ストレス軽減に協力する
    趣味やリラクゼーション法を一緒に取り組むことで、ストレスを軽減する手助けができます。
医療機関への受診を促す
  • 患者を否定せずに治療を提案する
    「専門の先生に相談してみませんか?」と穏やかに提案することで、患者が医療機関に行くことへの抵抗感を軽減します。
  • 受診のサポート
    診療の予約をしたり、受診に付き添うなど、実際にサポートします。

2. 早期発見と相談の重要性

症状を早期に発見
  • 行動の変化に注意する
    患者が頻繁にマスクを着用したり、他人との距離を気にしたりなど、日常生活での異変に気づくことが早期発見につながります。
  • 孤立傾向を促進させない
    社会活動や対人関係を気にした場合は、症状が進行している可能性があります。
相談の場を提供する
  • 安心できる環境を整える
    患者が自分の気持ちを話しやすい雰囲気を作ることが重要です。批判や非難をせず、リラックスできる場所で話を聞きます。
  • 相談先を共有する
    心療内科や精神科、カウンセリングサービスなどの情報を伝え、患者が適切な支援を受けられるようサポートします。

家族や友人の役割は、患者に安心感を与えつつ、専門的な治療へとつなぐ架橋となることです。 共感と支援の姿勢を持ちながら、早期発見と正しい相談先を勧めることで、自臭症状の改善と患者の生活の質の向上を助けることができます。

8.自臭症の予防策

自臭症の予防策

自臭症の予防には、心の健康に努め、不安やストレスを軽減することが重要です。以下に、具体的な予防策を詳しく解説します。


1. ストレス管理

ストレスは自臭症の大きな原因の一つであり、その管理が予防の鍵となります。

日常生活でのストレス軽減
  • リラクゼーション法実践
    瞑想や深呼吸、ヨガなど、心をリラックスさせる方法を日常に取り入れることで、ストレスを軽減できます。
  • 趣味やリフレッシュの時間を作る
    好きな音楽を聞いたり、自然の中で過ごすなど、自分にとって心地よい時間を作ること大切です。
  • 過剰な自己責任感の緩和
    他人の反応に対して過剰に責任を感じず、「自分を尊重する思考」を意識することが必要です。
環境を整える
  • 睡眠の質を向上させる
    十分な睡眠をとることで、心身のリズムを整え、ストレスに対する耐性を高めます。
  • 仕事や生活のペースを見直す
    適切なペースで生活することが予防につながります。

2. 健康的な食生活と適度な運動

心のバランスを保つためには、健康的な生活習慣が欠かせません。

健康的な食生活
  • 栄養バランスを意識する
    野菜や果物、タンパク質、炭水化物のバランスをよく摂取し、ビタミンやミネラルを補給することで、身体の調子を整えます。
  • 腸内環境の改善
    ヨーグルトや発酵食品を摂取することで腸内環境を整え、胃腸の不調を防ぎます。これにより、臭いの元となる原因を軽減できます。
  • 刺激物を控える
    アルコールや過剰なカフェイン、辛い食べ物など、体臭や口臭の原因となり得る食品を控えることも効果的です。
適度な運動
  • ストレス解消
    軽いジョギングウォーキングや、ストレッチなど、適度な運動はストレスを低減する効果があります。
  • 代謝の向上
    汗をかくことで体内の老廃物を排出し、健康的な体を維持することができます。

3. 正しい口腔ケア

口腔内の清潔に保つことは、自臭症の予防においても重要です。

基本的な口腔ケア
  • 毎日の歯磨き
    2回の歯磨きを徹底的に、歯垢や食べかすを取り除きます。歯間ブラシやデンタルフロスも活用すると効果的です。
  • 舌苔の除去
    舌ブラシを使用して、舌の表面に溜まる舌苔を適度に取り除きます。
歯科受診
  • 専門家によるチェック
    虫歯や歯周病、その他の口腔内トラブルを早期に発見・治療するために、歯科医院での定期検診を受けることを推奨します。
口腔ケア製品の使用
  • 口臭予防アイテムの活用
    マウスウォッシュや口臭予防タブレットなど、補助的な製品を適度に使用することで、口臭を低減できます。

4.自臭症の不安を解消する5つの基本対策

口臭専門外来を受診する患者さんの大多数が自臭症の患者さんで、その中で約10%が統合失調症と診断され精神科医の治療が必要なケースです。

残りの90%以上の人は、自分の口臭がひどいと思い続けているだけなので、実際には自分の口臭は殆ど無いのだと自覚出来れば、冷静になり徐々に改善されます。

従って、口臭専門医の治療を受けなくても自分自身で克服する事は可能です。まず、口の中から口臭の原因となる細菌を可能な限り少なくすることを実施します。

対策1 水によるPHコントロール

飲食後など水以外が口に入った時は、水によるPHコントロールを行います。

STEP

水を口に含んでブクブク


STEP

水を口に含んで舌を口蓋に付けてごしごし


STEP

水を口に含んでガラガラ

ポイントは、味や臭気がなくなるまで行うこと(その水は飲んでもよい)。 飲まずに吐き出す場合には、その分の水を飲むこと。

(何度もうがいをすると、唾液を失うことになりますので、その分の水分の補給は絶対に行ってください。)

対策2 ポイックウォーター
ポイックウォーター
ポイックウォーター
次亜塩素酸

ポイックウォーターは脱落した粘膜上皮細胞、白血球、食べかすなどのタンパク汚れを次亜塩素酸イオン(OCl–)により分解洗浄し、次いで細菌に対して次亜塩素酸(HOCL)により殺菌力を発揮する様に設計された治療水です。

使い方

温めたポイックウォーターで20秒間うがいをします。

口臭の最大の原因は、酸素が嫌いな嫌気性菌が出す揮発性硫黄化合物(VSC)です。 嫌気性菌は酸素が届きにくい歯周ポケット内や舌の後方に棲みついています。

そのためブラッシングだけでは嫌気性菌の除去は難しく、舌クリーナーで清掃しても、うがいをしても、舌乳頭の間の深い部分に存在する嫌気性菌がすぐにまた揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させてしまうのです。

口臭の原因である口内の嫌気性菌に次亜塩素酸(HOCL)が働き、同時に次亜塩素酸イオン(OCl–)で硫化水素やメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物を分解、消滅させてしまいます。

対策3 舌苔除去
舌磨きブラシ
舌磨きブラシ
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舌磨きブラシで最も安全性が高いと考えられるのはスワン社オラブラシクリアブルーです。
極細でソフトなプラスチックブラシが多数植毛された舌ブラシです。

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対策4 歯垢除去
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磨き残しが起きやすい方は電動歯ブラシを使うことをお薦めします。

音波技術によって生みだされる液体流動力によって歯ブラシの毛先が歯垢から2mm以内であれば(歯垢に毛先が直接接触しなくても)歯垢を除去します。

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対策5 口臭チェッカー
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市販の口臭チェッカーを使って口臭の度合いを定期的に判定します。キャップを引き上げ真ん中の通気口に息を吹きかけます。自分の口臭を6段階で判定します。

音が出ないので周りの目を気にせずに簡単に使用することが出来ます。普段から持ち歩いて気になった時に使って下さい。

口臭チェッカーを使うことで自覚するほどの口臭がないことが確認でき、安心感へと繋がり、自臭症は自然治癒していくでしょう。

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自臭症の予防には、心身の健康を保つためのストレス管理、バランスの取れた食生活、適度な運動、そして正しい口腔ケアが重要です。これらを日常生活に取り入れることで、自臭症の発症リスクを大幅に減らし、自信を持った生活を送ることができます。

自臭症は、自分の臭いを過剰に意識してしまう精神的な症状ですが、似たような症状を持つ疾患がいくつかあります。それぞれの疾患との違いを明確に理解することで、正確な診断と適切な対応が可能になります。


1.自己臭気恐怖症との違い

自己臭恐怖症は、自臭症と非常に似た症状を持つ疾患ですが、次の点では異なります。

  • 自臭症
    実際には他人が感じるほどの臭いが存在しないのに、自分には強い臭いがあると思い込む精神的な症状です。
  • 自己臭気恐怖症
    自分の臭いが周囲の人に不快感を与えていると強く恐れる症状です。 実際に臭いが存在する場合もありますが、患者は他人の反応を過剰に気にします。
  • 共通点
    どちらも過度な不安感から日常生活に支障がでることがあります。

2. 過敏性腸症候群と自己臭症の関連

過敏性腸症候群(IBS)は、消化器官の機能異常による腹痛や下痢、便秘などの症状を伴う疾患であり、自臭症と関連するケースがあります。

  • 関連の背景
    IBS患者の中には、「おならが多い」などの悩みを恐れる人がいます。これにより、自臭症が起こります。
  • 違いのポイント
    IBSは消化器官の疾患であり、物理的な原因が存在します。一方、自臭症は心理的な不安が主な原因であり、実際には臭いがない場合が多いです。

3. ワキガや多汗症との混合を防ぐ

ワキガや多汗症は、実際に身体から臭いが発生する疾患ですが、自臭症とは異なります。

  • ワキガ(腋臭症)
    アポクリン汗腺から分泌される汗が細菌によって分解されることで臭いが発生します。これは物理的な原因に基づくもので、正しい治療(手術や制汗剤の使用)によって改善が可能です。
  • 多汗症
    手足や腋などに過剰な汗をかく症状で、汗は無臭ですが、雑菌と混ざることで臭いが発生する場合があります。
  • 自臭症との違い
    ワキガや多汗症は実際に臭いが存在することが確認できますが、自臭症では臭いが存在しない場合がほとんどです。

自臭症は、他の疾患(自己臭恐怖症、過敏性腸症候群、ワキガ、多汗症)と似た症状を持つため、混合されやすい疾患です。正確に区別するためには、身体的な検査と心理的な評価を組み合わせた診断が必要です。

自臭症と口臭の違いについて

自臭症と口臭は似ているようで、実際には異なるものです。それぞれの特徴をわかりやすく説明します。


口臭とは?

口臭は、実際に口腔内や身体の状態に原因があり、他人にも感じられる臭いです。

  • 口腔内の問題
    歯の問題、歯周病、虫歯、舌苔、乾燥した口腔(ドライマウス)など。
  • 食生活や習慣
    ニンニクやアルコールなど臭いが強い食品の摂取、喫煙など。
  • 身体の疾患
    胃腸の不調や糖尿病、副鼻腔炎など、体内から臭いが発生する場合もあります。

口臭は、原因となる問題を治療したり改善することで軽減または解消できることがほとんどです。


自臭症とは?

一方、自臭症は実際には臭いが存在しない、あるいはほとんど感じられないが、「自分には強い口臭がある」と思い込むような症状です。

  • 心理的関与が主な原因である
    自己臭に対する過剰な不安やストレスが背景にあります。
  • 他人には臭いを感じない
    実際には他人が臭いを感じない場合がほとんどです。
  • 患者自身の強い思い込み
    自分の臭いが周囲に迷惑をかけているという確信があり、これが日常生活や社会活動に大きな影響を与えます。

違いを簡単に考えると

  • 口臭:実際に臭いがあり、物理的な原因が存在する。
  • 自臭症:実際には臭わない、または他人に感じられないが、本人が強く思い込んでいる精神的な症状。

アドバイス

口臭か自臭症か正確に判断するには、歯科医や心療内科医に相談することが重要です。 臭気測定器を用いた客観的な検査や、心理的な評価による適切な診断が可能です。どちらの場合でも、専門的なサポートを受けることで症状の改善が期待できます。

自臭症が疑われる場合には、以下のような専門機関で相談することをおすすめします。


1. 歯科医院

自臭症と思っていても、実際には口臭が存在する場合もありますので、まずは歯科医師にご相談ください。

  • 歯科医師の診断治療
    虫歯や歯周病、舌苔、ドライマウスなど、口臭の原因となる口腔内を問題を診断し、正しい治療を行います。
  • 臭気測定の活用
    臭気センサーを使って、口臭の有無や強さを客観的に測定する歯科医院もあります。
  • 初期相談に最適
    「本当に臭いがあるのか​​わからない」といった場合に、まず相談する場所として最適です。

2. 心療内科・精神科

口腔内に特別な問題がない場合、自臭症は心理的な関与が関係していることが多いため、心療内科や精神科の受診をおすすめします。

  • 自臭症に関連するストレス、不安、過去のトラウマなどを診断し、必要に応じて行動療法や薬物療法を行います
  • 他人に臭いを感じないと言われても、「臭いがある」という思い込みが消えない場合や、日常生活や人間関係に出ている場合に適しています。


4.サポート窓口やオンライン相談

たまたま直接医療機関に行けない場合や、まずは気軽に話を聞いてもらいたい場合、以下のような方法もあります:

  • オンライン診療
    一部の歯科医院や心療内科ではオンラインでの診療や相談が可能です。
  • 電話やカウンセリング窓口
    地域の医療相談窓口や、カウンセリングサービスを利用して、どの診療科に行けばよいかアドバイスを受けることもできます。

おすすめの手順

  1. 歯科医院で口腔内の問題を確認。
  2. 問題がない場合は、心療内科や精神科で心理的な課題を相談してください。
  3. 必要に応じて、一般の専門外来を検討します。

終わり

どこに相談すればわからなかったり、不安を抱えている場合でも、一歩を踏み出すことが改善への始まりです。信頼できる歯科医や医療機関に相談し、適切なサポートを受けましょう。

江戸川区篠崎で自臭症でお悩みの方へ|歯科医師からのメッセージ

「自分の口臭や身体が気になって、人と接するのが怖い…」そんな不安を抱いていませんか?
自臭症は、実際には臭くない、あるいはほとんど感じられないにもかかわらず、「臭いがある」と思ってしまう精神的な症状です。この思い込みが日常生活や対人関係に支障が生じることもあります。

当院では、自臭症のお悩みを真摯に受け止め、歯科の視点からサポートいたします。
口腔内の健康状態を丁寧にチェックし、必要に応じて心療内科や精神科と連携しながら、「本当に臭うのかわからない」「どこに相談したらいいのかわからない」 そういう方も、まずはお気軽にご相談ください。 安心して生活を送れるよう、一緒に解決への道を探りましょう。

あなたの健康と笑顔を、全力でサポートします。

【動画】なかなか取れない舌苔の完全除去方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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