はじめに

  • 差し歯や仮歯、ブリッジなどが取れた時の応急処置の方法は、ポリグリップやタフグリップなどの入れ歯安定剤の使用が有効です。
  • 瞬間接着剤(アロンアルフアなど)の使用は絶対NGです。
  • 差し歯がぐらつき出したら取れる前兆なので早めの歯科受診を。
差し歯が取れた時の急患対応ガイド

急に差し歯や詰め物が取れて困った時、 当院では 急患対応をしております。  日曜日、祝日も診療していますので緊急時には予約なしでも結構ですので、お電話の上ご来院ください!

差し歯が取れる原因

  1. 接着剤の劣化
    差し歯を固定する接着剤は、年月が経つと劣化して接着力が弱くなります。これにより、差し歯が取れることがあります。
  2. 虫歯
    差し歯の土台となる歯が虫歯になると、差し歯の安定性が失われます。特に差し歯の隙間から虫歯菌が入り込むケースが多いです。
  3. 外力
    硬いものを噛んだり、事故などで強い衝撃を受けると、差し歯が取れる可能性があります。
  4. 噛み合わせの問題
    差し歯と他の歯の噛み合わせが悪い場合、過剰な力が差し歯にかかり、取れる原因になります。
  5. 元々歯根が短い
    差し歯の治療時点で元々歯根が短く、取れやすい状態であった。この様な場合、差し歯が取れる前提で治療を行うことがあります。

差し歯が取れた直後の応急処置方法

歯医者で装着してもらうまでの応急処置として、入れ歯安定剤をセメント(接着剤)の代わりに使う方法があります。ドラッグストアで簡単に購入でき、接着剤として利用できるため、便利です。

ただし、ドラッグストアでは外れた歯を元に戻すための専用接着剤は販売されていません。

入れ歯安定剤は口内で使用することを前提に作られているため毒性はありませんが、本来の用途外の使用となるため、あくまでも自己責任で行ってください。

STEP

01

取れた差し歯のチェック

取れた差し歯に血が付いていないか、臭いがないか、セメント(接着剤)が付着していないかを確認してください。

※ 取れた差し歯に血が付いていたり、強い臭いがする場合には歯根が破折している可能性が考えられます。

取れた差し歯のチェック

STEP

02

歯根のチェック

鏡を使って、歯根が割れていないか、歯に虫歯ができていないか(歯が黒くなっていないか)を確認してみてください。自分で確認が難しい場合は、家族に手伝ってもらいましょう。

問題がなければ、以下の手順に従って差し歯を自分で戻してみてください。

歯根のチェック

STEP

03

取れた差し歯を歯ブラシで磨く

取れた差し歯には、唾液や歯垢、食べかすが多く付着していることがあります。また、セメント(接着剤)がこびり付いている場合もあります。

これらをきれいにせず、そのまま戻すと、土台が差し込まれる歯根が虫歯になる可能性があります。また、そもそも正しく装着できないこともあります。

取れた差し歯を戻す前には、歯ブラシを使ってしっかりと清掃してください。

取れた差し歯を歯ブラシで磨く

STEP

04

差し歯が取れた歯根を磨く

土台ごと取れた差し歯には、歯根に差し歯を入れるための穴が開いています。その中に食べかすが詰まっていると、差し歯を正しく戻すことができません。戻す前に、歯ブラシを使ってしっかりと清掃してください。

取れた差し歯を戻した際には、軽く噛んでしっかりと装着されているかどうかを確認してください。少しでも違和感がある場合は、正しい位置に戻っていない可能性があります。

その場合は、違和感がない位置になるよう、もう一度はめ直してください。

差し歯が取れた歯根を磨く

STEP

05

歯根の中を歯間ブラシで清掃

歯ブラシの毛先が歯根の中に上手く入らずに綺麗に磨けない場合は歯間ブラシを使って下さい。

イラストの様に歯間ブラシの先端を歯根の中に差し込んで中の汚れを取ります。

太い歯間ブラシなら効率よく汚れを除去出来ます。

歯根の中を歯間ブラシで清掃

STEP

06

差し歯を戻

可能な限り歯根を乾燥させた後、新ポリグリップクリームタイプを接着剤代わりに使用して差し歯を戻します。

新ポリグリップクリームタイプを接着剤代わりに差し歯を戻す

取れた差し歯を自分で戻すリスク

Risk

 差し歯を飲み込むリスク

一時的に差し歯を戻せたとしても、新ポリグリップクリームタイプによる接着は外れやすく、飲み込んでしまうリスクがあります。

Risk

 差し歯が気管に入るリスク

土台の歯にしっかりと装着されていない差し歯は、寝ている時など、ふとした弾みで気管に落ち込んでしまうリスクがあります。

Risk

 歯根が割れるリスク

土台の歯にしっかりと装着されていない差し歯で硬いものを噛むと、歯根が割れるリスクがあります。そのため、自分で装着した差し歯の部分で強く噛まないことが重要です。

市販の接着剤の選択:入れ歯安定剤を推奨

新ポリグリップクリームタイプ
新ポリグリップクリームタイプ

新ポリグリップクリームタイプ

クリームタイプは流動性があるため、接着面の材料を薄くでき、ほぼ正しい位置に戻すことが可能です。

新ポリグリップクリームタイプは、唾液などの水分によって徐々に粘着性が高まるため、土台の歯の部分の水分を完全に拭き取る必要はありません。

タフグリップクションタイプはNG
タフグリップクションタイプはNG

タフグリップクションタイプはNG

入れ歯安定剤の中には、クッションタイプというものがあります。これは、流動性が低く、差し歯を戻した時に浮いてしまいます。接着剤としての役割をはたせないのでNGです。

入れ歯安定剤の使用量の目安

入れ歯安定剤の使用量は少な目にして下さい。入れ歯安定剤は新ポリグリップクリームタイプであっても歯医者で使うセメントよりもはるかに流動性が落ちます。そのため、沢山の量を使うと差し歯が浮いてしまいます。

Amount

 インレーや仮歯

インレー(金属の詰め物)や仮歯を付ける時は米粒の半分の量を満遍なく塗って装着して下さい。

注意 セラミックインレーを自分で仮付けするのはNGです。セラミックインレーが破折してしまう危険性があるからです。

Amount

 土台ごと取れた差し歯

米粒の半分~1個分の入れ歯安定剤を、外れた差し歯の金属のポスト部(金属の土台部分)に満遍なく塗って装着して下さい。※もし少し浮いてしまったら、入れ歯安定剤の量を少なめにして最初からやり直して下さい。

差し歯が取れる前兆

差し歯が取れるまでの数日間、差し歯と歯根との間にわずかな隙間ができてきます。差し歯が少しぐらついたり動いたり、噛んだ時に違和感を覚える場合は、取れる前兆といえます。

そのわずかな隙間に口腔内細菌が入り込み、繁殖します。差し歯が外れた際には、口腔内細菌が発する臭いを、差し歯とともに感じることがあるでしょう。

また、前述したように歯根が割れると、歯茎の深部で細菌感染が起こり、臭いが発生することがあります。

差し歯が取れそうな前兆を感じたら、直ちに歯医者を受診してください。

差し歯が取れた時にしてはいけない行動

自分で接着剤を使って装着する

瞬間接着剤アロンアルファ
瞬間接着剤アロンアルファ

Reason

 差し歯を正しい位置に戻せない

患者さん自身で強力なアロンアルファなどの瞬間接着剤を使い差し歯を戻した場合、差し歯が浮いたりねじれたりして付けられていることが多いです。

差し歯をセメントでつけるのは、歯科医にとっても熟練を要することです。

歯根の中に瞬間接着剤が残り、二度とその差し歯は、再利用出来なくなってしまいます。

Reason

口腔内での使用は禁止

アロンアルファAという血管や皮膚を接着させる医療用接着剤がありますが、これは処方せんが必要です。一般に販売されているアロンアルファとは別物です。

また、アマゾン等で歯科技工用瞬間接着剤が売られていますが、理由1で説明した通りです。

差し歯が取れたまま放置する

歯根が口腔内に露出すると極めて虫歯になりやすい状態になります。食べカスが残りやすい状態で歯ブラシが難しいだけでなく、露出した象牙質は、歯の表層を覆うエナメル質に比べ格段に虫歯になり易いからです。

旅先、休日や夜間診療に対応している歯科医院の見つけ方

インターネット検索を活用する

  • 「〇〇(地域名) 夜間診療 歯科医院」や「〇〇(地域名) 休日 歯医者」などのキーワードで検索します。Googleマップや地域の情報サイトが便利です。

自治体のホームページを確認する

  • 地方自治体のホームページには、夜間や休日に対応している歯科医院のリストが掲載されていることがあります。「救急歯科診療所」などの情報も探してみてください。

ホテルのコンシェルジュに相談する

  • 旅行中の場合は、宿泊先のホテルスタッフやコンシェルジュに相談すると、近隣の歯科医院を紹介してもらえることがあります。

歯科医師会の情報を確認する

  • 各都道府県や市町村の歯科医師会の公式サイトでは、休日や夜間診療に対応している歯科医院を検索できる場合があります。

24時間対応の医療相談窓口を利用する

  • 厚生労働省が提供する「救急安心センター(#7119)」に電話すると、緊急時に対応可能な歯科医院を案内してもらえることがあります。

歯科医院の公式ホームページを確認する

一部の歯科医院では、公式サイトで診療時間や休日診療の有無を案内しています。事前に確認するのがおすすめです。

土台の長さが短い

土台の長さが短い
土台の長さが短い

歯根が短い

コア(土台)を歯根の中に差し込む部分をポストと呼びます。このポストが短いと頻繁に取れやすい差し歯になってしまいます。この場合は土台ごと外れやすいです。

ポストの長さは歯根長の2/3を目安に作ります。短いポストになってしまう理由として、もともと歯根が短いことが原因です。

土台の高さが低い

土台の高さが低い
土台の高さが低い

対合歯とのスペースが無い

差し歯やブリッジを被せるための土台の高さが低いほど取れる頻度が上がります。

噛み合わせがきつく土台部分に対合歯(反対側の歯)が強く噛み込んでいる場合などです。

元々、天然歯の高さが低い患者さんに多く見られます。

歯根破折

差し歯の構造
差し歯の構造

差し歯(セラミック)の歯を作る場合は、ほとんどのケースで神経が取られています。まず土台を立ててその上にセラミックの歯をかぶせます。

歯根の破折
歯根の破折

神経のない歯は枯れ木のようにもろくなっています。金属の土台が中に入ると、歯根の先端部に応力が集中し歯根が割れることがあります。歯根破折の場合は、取れた差し歯をはめ直すことはできません。歯根を抜歯するしか方法が無いからです。

左:金属の土台、右:歯根が割れて抜歯
左:金属の土台、右:歯根が割れて抜歯

左側が金属製の土台です。土台の先端部に応力が集中する傾向があります。右側は真っ二つにナタで割ったようになった歯根を抜歯した所です。

差し歯の歯根が大きな虫歯

差し歯の歯根が大きな虫歯
差し歯の歯根が大きな虫歯

歯根の虫歯が原因で差し歯が外れる

差し歯をしている歯根の中に大きな虫歯が発生した場合には差し歯を戻せないことがあります。

この場合には虫歯を全部削って新しく差し歯を作り直す必要があります。その間は、抜けた差し歯を修理して仮歯として使います。

ただし、虫歯が大きくなりすぎた場合には抜歯するしかないこともあります。

取れた差し歯を戻す費用

保険診療

保険適用です。

内容保険点数
1本の差し歯の再装着再装着費用、接着材料などが含まれる。約80点
ブリッジの再装着(5歯以下)再装着費用、接着材料などが含まれる。※本数により異なる約250点
ブリッジの再装着(6歯以上)再装着費用、接着材料などが含まれる。※本数により異なる約450点
※ 1本の差し歯が外れた時の付け直しの費用は、240円ほどです。ブリッジの場合には費用が増します。さらに、初診料や必要な場合にはエックス線撮影費用などがかかります。

自費の歯の再装着費用

他院で作った自費で作られたメタルボンド等の差し歯を付け直すのは、保険適用外です。

差し歯がすぐに取れてしまう理由はいくつか考えられます。以下が主な原因です。


1. 接着力の問題

差し歯を固定する接着剤が、土台となる歯や差し歯自体に十分に密着していない可能性があります。また、接着剤が劣化していたり、表面が十分に清掃されていないと、取れやすくなることがあります。


2. 土台の状態の問題

差し歯を支える土台(コア)が十分な高さが無い場合、差し歯が取れやすくなります。また、土台にひび割れがあったり、虫歯や歯周病で土台自体が弱っていることも原因です。


3. 噛み合わせの問題

噛み合わせが適切でないと、差し歯に過剰な力がかかり、取れやすくなります。特に硬いものを噛んだ際に、差し歯に負担が集中することがあります。


4. 差し歯の形状や作りの問題

差し歯自体の形状や設計が土台に合っていない場合、固定が不十分になることがあります。特に古い差し歯を再利用した場合、歯根との間に僅かな隙間がある差し歯だと取れやすくなる可能性があります。


5. 日常生活での使い方

硬いものや粘着性のある食べ物を頻繁に食べると、差し歯に負担がかかりやすくなります。また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合も取れやすい原因となります。


対策と次のステップ

  1. 原因の特定
     再度診察を行い、取れやすくなっている具体的な原因を特定します。レントゲン検査などで土台や歯根の状態を確認することが重要です。
  2. 適切な治療
     原因に応じて、土台や差し歯の再作成や、噛み合わせの調整などの治療を行います。
  3. 日常ケアの見直し
     硬いものを避ける、歯ぎしり防止用のマウスピースを使用するなど、日常生活での対策も大切です。

何度も取れる場合は、単なる再装着ではなく、根本的な原因を見つけて治療する必要があります。一度ご相談ください。

初診料や再装着にかかる費用は、以下のような要因によって異なりますが、大まかな目安をお伝えします。


1. 初診料

  • 初めて受診する歯科医院では、保険診療の場合、初診料として 約2,000~3,000円(保険適用・3割負担の場合)がかかります。
  • これは、口腔内の全体的な状態を確認する診察やレントゲン撮影の費用を含むことが一般的です。

2. 再装着費用

  • 差し歯を再装着する場合、保険診療で行われると 約1,000~2,500円(3割負担の場合)が目安です。
  • 土台の状態によっては、土台を再作成する必要があり、その場合は追加費用がかかります。
    • 土台(コア)の作成費用:保険適用の場合 約1,000~2,000円
    • 新しい差し歯の作成(必要な場合):保険適用で 約5,000~10,000円(素材による)

3. 保険外診療の場合

再装着費用:保険外の場合は歯科医院によって異なりますが、5,000~20,000円程度かかることがあります。

差し歯の素材や治療法が保険外診療の場合、費用は大きく変動します。

セラミック製の差し歯:1本あたり 50,000~150,000円が一般的です。

江戸川区篠崎で差し歯が取れてしまったら、まずは当院にご相談ください!

突然、差し歯が取れてしまうと驚きや不安を感じるかもしれません。当院では、差し歯が取れた際の迅速で適切な対応を行っています。患者様一人ひとりの状況に応じた最善の治療を提供いたします。江戸川区篠崎にて詰め物・被せ物・差し歯が取れてお困りの方は、お電話を頂けると、出来るだけ空いている時間帯をご案内できると思います。まずはお気軽にご相談ください。皆様のお口の健康をしっかりサポートいたします!

【動画】差し歯やブリッジが取れた時の応急処置

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!