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高齢になると、筋力や体力の低下、外出機会の減少などが少しずつ生活の質に影響を及ぼします。こうした変化に早く気づき、適切な対策を行うことが「フレイル予防」の第一歩です。
江戸川区では、地域ぐるみでフレイル予防に取り組む体制が整っており、教室や相談窓口など、気軽に始められる支援が充実しています。この記事では、江戸川区で受けられるフレイル対策の具体的な取り組みをご紹介します。

🧠 フレイルの定義と3つの側面

「フレイル(Frailty)」とは、日本語で「虚弱」や「弱りやすさ」を意味し、加齢によって心身の活力が低下した状態を指します。特に要介護状態の一歩手前にあたる重要なステージであり、適切な介入により健康状態を回復できる可能性があります。

フレイルの定義と3つの側面
フレイルの定義と3つの側面

フレイルには主に以下の3つの側面があります:

  • 身体的フレイル:筋力や体力が低下し、転倒や移動困難を招きやすくなります。
  • 精神・心理的フレイル:うつ状態や意欲の低下により、活動意欲が失われます。
  • 社会的フレイル:人とのつながりが減り、外出や会話の機会が減少します。

これらは相互に関連し合い、進行すると生活機能全体の低下を招きます。

🔄 健康 ⇔ プレフレイル ⇔ フレイル ⇔ 要介護 の移行図解

高齢者は、完全な健康状態から「プレフレイル(前虚弱)」を経て、フレイル、そして要介護状態へと移行するリスクがあります。特にプレフレイル期での早期対応が、健康寿命の延伸に大きな影響を与えるため、日常的な自己チェックや地域のサポートを活用することが大切です。

健康⇔プレフレイル(前虚弱)⇔フレイル(虚弱)⇔要介護(身体機能障害)の模式図
健康⇔プレフレイル(前虚弱)⇔フレイル(虚弱)⇔要介護(身体機能障害)の模式図

👴 加齢による筋力低下と慢性疾患

フレイルの最大の原因は、加齢に伴う筋力や体力の低下です。特に「サルコペニア(加齢による筋肉量の減少)」は、身体的フレイルの中心的な要因とされており、転倒や歩行困難のリスクを高めます。

また、糖尿病・高血圧・心疾患などの慢性疾患を抱えている高齢者は、身体機能や免疫力の低下が進みやすく、フレイルへの移行が加速しやすい傾向にあります。

😔 生活環境や社会的孤立の影響

フレイルは身体の衰えだけでなく、社会的な要因によっても進行します。たとえば、配偶者との死別による喪失感や孤独、経済的な不安などが積み重なることで、心の健康を害し、外出や人との交流が減少します。

このような孤立状態は「社会的フレイル」を引き起こし、精神的フレイルや身体的フレイルへと連鎖的に悪化する「フレイル・スパイラル」に陥る原因となります。

🔍 フレイルチェックリスト(5項目)

自分がフレイルかどうかを簡単に確認できるチェックリストがあります。次の5つの項目に当てはまるか確認してみましょう。

  • 体重減少:6ヶ月で2~3kg以上減っている
  • 疲れやすさ:ここ2週間、理由なく疲れやすい
  • 握力の低下:ペットボトル(2L)が重く感じる(男性<26kg、女性<18kg)
  • 歩行速度の低下:青信号のうちに横断歩道を渡れない(<1.0m/秒)
  • 活動量の低下:運動や外出の頻度が減った

チェック数による判定:
✅ 0項目=健常
⚠️ 1~2項目=プレフレイル(要注意)
🚨 3項目以上=フレイル(要対応)

🦵 サルコペニアの指輪っかテスト

筋肉量の低下を調べる簡単な方法として「指わっかテスト」があります。

サルコペニアの指輪っかテスト
サルコペニアの指輪っかテスト
  1. 両手の親指と人差し指で輪を作ります
  2. 利き足のふくらはぎに輪をあててみましょう
  • 掴めない:筋肉がしっかりある → 低リスク
  • ちょうど掴める:筋肉が減ってきている → 中リスク
  • 隙間ができる:筋肉量が少ない → 高リスク

⚠️ フレイルサイクルに入ると…

フレイルを放置してしまうと、「フレイルサイクル」と呼ばれる悪循環に陥る危険があります。
まず栄養状態が悪化し、筋肉量が減少します。筋力が落ちると日常生活での移動や運動が減り、結果的に食欲も低下。さらに栄養が不足し、筋肉が減るという悪循環が続いていきます。

このサイクルが進むと、転倒・骨折・入院・要介護状態につながるリスクが一気に高まります。

転倒・骨折・入院・要介護状態につながるリスクが3倍に高まる
転倒・骨折・入院・要介護状態につながるリスクが3倍に高まる

🩺 見逃しがちな身体のサイン

フレイルは見た目には分かりにくいことが多く、以下のような小さな異変を見逃さないことが大切です。

  • 🔹 傷や褥瘡(床ずれ)が治りにくい
  • 🔹 髪の脱色や抜け毛が増える
  • 🔹 風邪などの感染症にかかりやすい
  • 🔹 足やお腹にむくみ(浮腫)が出る

これらの症状がいくつか重なるようであれば、身体の防御力や再生力が落ちているサインかもしれません。

フレイルの進行を防ぐためには、バランスの取れた生活習慣が不可欠です。中でも「食事」「運動」「社会参加」の3つは、予防と回復の柱となります。

フレイル予防の基本は「食事・運動・社会参加」
フレイル予防の基本は「食事・運動・社会参加」

🥦 栄養面からのアプローチ

高齢になると食が細くなりがちですが、たんぱく質・ビタミン・ミネラルの摂取は、筋肉や免疫機能の維持に欠かせません。
魚・肉・卵・豆製品などを意識的に取り入れましょう。必要に応じてサプリメントや栄養補助食品を使うのも有効です。

🤸 運動習慣の定着

フレイル予防には継続的な運動が効果的です。自宅でできるストレッチや筋トレ、毎日のウォーキングでも十分な効果があります。
無理のない範囲で、地域の体操教室やスポーツクラブ、デイサービスなども積極的に活用しましょう。

🤝 地域とのつながり・社会参加

外出や人との交流を避けがちになると、社会的フレイルが進行します。
サークル活動や地域ボランティア、見守りネットワークなどに参加することで、心身の活性化にもつながります。

🏛️ フレイル対策事業の事例紹介

多くの自治体では、フレイル予防のための健康教室やサロン活動を展開しています。たとえば、大阪府では市町村の特定健診や健康教室を活用し、フレイルチェックや健康サポート薬局での取り組みを実施しています 。

また、岡山県美咲町では、住民主体で運営される「ふれあいサロン」が地域の交流の場として機能し、体操や手芸、料理教室など多彩な活動が行われています 。

💊 医療の視点からの介入

医療機関では、フレイルの早期発見と対応が重要視されています。特に、複数の薬を服用する「ポリファーマシー」による副作用リスクが指摘されており、薬剤師や医師が連携して薬物療法の見直しを行うケースが増えています 。

また、定期的な健康診断やフレイルチェックを通じて、個々の健康状態を把握し、必要に応じて栄養指導や運動プログラムの提案が行われています。

フレイルは、要介護になる前の重要なサインであり、早期に気づき、適切な対応を取ることで回復も可能な状態です。特に「プレフレイル」の段階は健康な状態へ戻る分岐点であり、この時期に対策を講じることが、将来の生活の質(QOL)を大きく左右します。

食事・運動・社会参加といった基本的な生活習慣の見直しを、今日からでも始めてみましょう。

🔄 プレフレイルの段階での対応がカギ

  • フレイルは突然進むのではなく、徐々に進行します
  • 小さな異変に気づいたら、早めに行動することが大切です
  • **「気づける仕組み」と「気づいた後の選択肢」**が重要です

💬 よくある質問(Q&A形式)

Q:何歳から気をつければいい?
A:65歳以上が目安ですが、50代からの予防が効果的です。

Q:どの診療科を受診すればいい?
A:内科や geriatrics(老年内科)、地域包括支援センターに相談するのが一般的です。

Q:サプリメントは効果がありますか?
A:不足している栄養素を補う点では有効ですが、食事や運動と組み合わせて使うのが基本です。

江戸川区では、高齢者の健康寿命を延ばすために、さまざまなフレイル予防の取り組みが行われています。地域に根ざした活動やサポート窓口を活用して、日常生活の中で無理なくフレイル対策を始めてみましょう。

地域のフレイル予防教室やサポート窓口
地域のフレイル予防教室やサポート窓口

🏃 地域のフレイル予防教室や健康チェック

区内では、健康サポートセンターや地域の施設で、フレイル予防に関する教室や健康チェックが実施されています。たとえば、「介護予防教室」では、老年学に関する講義や、片足立ちや膝伸ばし運動などのセルフチェックが行われ、参加者同士の交流も深まっています 。医療・介護・福祉の総合コンシェルジュ | 総合リハビリ研究所

また、「健康ウォーキング大会」などのイベントも開催され、地域の方々が楽しく健康づくりに取り組める機会が提供されています。

🏢 江戸川区内のサポート窓口・無料相談情報

フレイルに関する相談や情報提供を行っている窓口も充実しています。江戸川区内の各健康サポートセンターでは、フレイルチェックや健康相談を受け付けています 。

江戸川区公式ウェブサイト

  • 中央健康サポートセンター:03-5661-2467
  • 小岩健康サポートセンター:03-3658-3171
  • 東部健康サポートセンター:03-3678-6441
  • 清新町健康サポートセンター:03-3878-1221
  • 葛西健康サポートセンター:03-3688-0154
  • 鹿骨健康サポートセンター:03-3678-8711
  • 小松川健康サポートセンター:03-3683-5531
  • なぎさ健康サポートセンター:03-5675-2515

これらのセンターでは、地域の健康づくりや介護予防に関する情報提供や相談対応を行っています。また、フレイル予防に関するパンフレットやチェックリストの配布も行われています 。


江戸川区では、地域全体でフレイル予防に取り組む体制が整っています。日常生活の中で気軽に参加できる教室やイベント、相談窓口を活用して、健康寿命の延伸を目指しましょう。

江戸川区篠崎で、フレイル予防もサポートする歯科医院です

「噛める力」は健康寿命と深く関わっていることをご存知ですか?
当院では、地域の皆さまがいつまでも元気で過ごせるよう、お口から始めるフレイル予防に力を入れています。
「最近噛みにくくなった」「食事の量が減った」など、ささいな変化もお気軽にご相談ください。
江戸川区篠崎の皆さまの健康を、歯科から全力でサポートいたします。

【動画】なかなか取れない舌苔の完全除去方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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