オーラルフレイルの重要性

  • 現代社会で健康寿命を延ばす鍵として注目される「オーラルフレイル」は、そのまま放置すると低栄養や全身の虚弱を促進し、最終的には寝たきりの要介護状態に入る可能性がある、非常に重要な課題です。本記事では、オーラルフレイルの定義や原因に加え、症状のチェック方法、予防や改善に役立つ舌や唇の体操・トレーニング方法を詳しく解説します。
目次

オーラルフレイルとは?

オーラルフレイルとは?

1.オーラルフレイルの定義と背景

健康寿命と口腔機能の関係

オーラルフレイルとは、口腔機能の低下による全身の健康への影響を指し、健康寿命を短縮する要因となる状態を指します。具体的には、噛む力や飲み込む力の低下、会話の不自由さ、滑舌の問題、口腔乾燥、咀嚼機能の低下といった症状が含まれます。これらの症状は、口腔健康への関心の低下や心身機能の予備能力の衰えと重なり、口腔の脆弱性を増加させます。その結果、食べる機能障害を引き起こし、さらに全身のフレイルや心身の機能低下にまで繋がる一連の現象を示します。

「オーラルフレイル」という用語は、国民への啓発活動の一環として使用されるキャッチフレーズであり、検査結果に基づく疾患名である「口腔機能低下症」とは区別されます(柏スタディーより引用)。口腔機能を維持することは、健康寿命を延ばし、生活の質を向上させるために極めて重要です。

高齢化社会における重要性

日本では高齢化が進む中、オーラルフレイルへの関心が高まっています。オーラルフレイルを予防することで、要介護状態を防ぎ、医療費削減にも繋がることが期待されています。


2.オーラルフレイルの初期症状

噛む力や飲み込む力の低下

初期段階では、硬いものを噛みにくくなったり、水分の少ない食品を飲み込むのが難しくなることがあります。このような変化は見過ごされがちですが、早期発見と対処が重要です。

発音や会話の不自由さ

口の筋肉や舌の動きが低下すると、言葉を正確に発音することが難しくなり、会話に支障をきたすことがあります。これがコミュニケーションの減少や孤立感を引き起こし、さらなる健康悪化に繋がる可能性があります。

3.オーラルフレイルの全身の健康へのリスク

  • 身体的フレイル:2.4倍
  • サルコペニヤ:2.1倍
  • 要介護認定:2.4倍
  • 総死亡リスク:2.1倍

1.身体的要因

歯の喪失や虫歯

歯の喪失や虫歯は、噛む力の低下や食事のバリエーションの制限に直結します。特に奥歯の欠損は、咀嚼能力の低下を引き起こし、栄養摂取の質が悪化する要因となります。

歯周病との関連性

歯周病は歯茎の炎症を引き起こし、歯を支える骨を破壊するため、歯の喪失を加速させます。これが口腔機能低下の原因となり、オーラルフレイルを進行させる大きな要因となります。


2.心理的要因

孤立感やストレス

高齢者が社会とのつながりを失うと、孤立感やストレスが増加し、それが食欲や会話への意欲の低下につながります。この心理的負担が口腔機能に悪影響を及ぼします。

食事の質や嗜好の変化

心理的要因により、栄養バランスの取れた食事を避け、軟らかい食べ物や甘いものに偏る傾向があります。これがさらに口腔健康を悪化させる要因になります。


3.社会的要因

外出頻度の低下

外出の機会が減ると、社会的活動や運動量が減少します。これにより口腔機能を使う頻度も低下し、口腔周囲の筋力や感覚が衰えてしまいます。

家族や社会との関係の希薄化

家族や友人との会話や食事の機会が減ると、コミュニケーション不足が口腔機能低下を加速させます。さらに孤立感が深まり、全身の健康状態にも悪影響を及ぼす可能性があります。


これらの原因を正しく理解し、それぞれに応じた対策を取ることが、オーラルフレイルの予防と改善において非常に重要です。

1.進行のプロセス

軽度から重度への変化

オーラルフレイルの初期段階では、噛む力や飲み込む力がわずかに低下し、硬い食べ物や乾いた食品を避けるようになります。このような食生活の変化は、栄養バランスの偏りを招き、さらに口腔機能を低下させる悪循環を生みます。進行すると、会話の不自由さや咀嚼困難が顕著になり、重度の口腔機能低下へと至ります。

全身疾患への波及

オーラルフレイルが進行すると、栄養不良や誤嚥(飲み込み時の食べ物や液体が気道に入ること)による誤嚥性肺炎のリスクが高まります。また、栄養不足は免疫機能の低下を招き、糖尿病や循環器疾患など全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。


2.フレイルとの関連性

フレイル、サルコペニアとの複合的な関係

オーラルフレイルは、全身の虚弱状態であるフレイルと密接に関連しています。特に、筋肉量や筋力の低下を特徴とするサルコペニア(筋肉減弱症)は、オーラルフレイルと共に進行することが多く見られます。口腔機能が低下すると、食事の摂取量が減少し、全身の筋肉維持に必要な栄養が不足するため、サルコペニアが進行します。

また、フレイルの進行に伴い、社会的な孤立や運動不足も重なることで、心身機能全体の低下を引き起こし、要介護状態に至るリスクが高まります。これらの状態は相互に影響を及ぼし合い、オーラルフレイルを一層悪化させる結果となります。


オーラルフレイルの進行を早期に発見し、適切な介入を行うことで、全身疾患や要介護状態のリスクを軽減し、健康寿命の延伸に繋げることが可能です。

1.予防の基本

毎日の歯磨きと定期検診

オーラルフレイルを予防するためには、日々の歯磨きで口腔内を清潔に保つことが不可欠です。特に歯周病や虫歯を防ぐために、適切なブラッシング方法を実践しましょう。また、歯科医院での定期検診を受けることで、口腔内の健康状態を早期に把握し、問題があれば迅速に対処することが可能です。

バランスの取れた食事

栄養バランスの取れた食事は、口腔機能を維持する鍵です。硬い食べ物を避けず、適切に噛む習慣をつけることで、咀嚼機能や顎の筋肉を鍛えることができます。また、ビタミンやミネラルが豊富な食品を積極的に摂取することで、歯や口腔粘膜の健康を支えることができます。


2.自宅でできるトレーニング

食べる事は次の三段階で行われます。オーラルフレイルの進行とともに、これらの機能が低下し、食物を正しく飲み込めず誤嚥性肺炎や窒息事故を起こします。そこで、舌や唇の筋肉の運動や体操を行うと嚥下機能、咀嚼機能を向上させることが出来ます。

  • ステップ 捕食
  • ステップ 咀嚼
  • ステップ 嚥下

舌や頬の筋肉を鍛えるエクササイズ

舌や頬の筋肉を鍛えるエクササイズは、口腔機能を維持する効果があります。例えば、「ペコぱんだ」を使用して舌のトレーニング、「あいうべ体操」による発声練習は、口の周りの筋肉を活性化させ、滑舌を改善するのに効果的です。「あ・い・う・え・お」を意識して大きく口を開けて発音することで、口腔内の筋肉が鍛えられ、口腔機能の低下を予防できます。これらの簡単なトレーニングを日々の生活に取り入れることで、噛む力や飲み込む力を強化することができます。

ペコぱんだ

ペコぱんだ
ペコぱんだ
舌のトレーニング

左からSS(ブルーぱんだ)=5kPa、S(ピンクぱんだ)=10kPa、MS(ムラサキぱんだ)=15kPa、M(グリーンぱんだ)=20kPa、H(イエローぱんだ)=30kPa。やわらかめから初めて筋力アップを目指しましょう。

通常はS(ピンクぱんだ)から初めてH(イエローぱんだ)まで使えるよう舌のトレーニングをしましょう。

S(ピンクぱんだ)が、最初からは難しい方には SS(ブルーぱんだ)から始めます。

食べ物が口腔内に残る方に

口腔から咽頭へ食塊を送る動作は、舌の力が弱くなると適切に行えません。そのため、口蓋部や舌根部に食べ物が残ってしまいます。

機能は多少落ちますがスプーンで代用出来ます。

ペコぱんだの使い方

ペコぱんだの使い方
ペコぱんだの使い方
構成

トレーニング部・位置決め部・持ち手部。

くわえ方

図の様な向きでくわえます。

使い方
  • ペコぱんだのトレーニング部を舌の上に乗せて位置決め部を歯でくわえます。
  • 舌でトレーニング部を繰り返し押し潰します。

1日3回、週3回以上がお薦め

目標

舌の筋力アップ
  • ペコぱんだの固さの目安:頑張って押しつぶせる硬さ。
  • しっかり押しつぶしを5回×3セット×3回/1日。
舌の筋力アップ
舌の筋力アップ

目標

舌の持久力を付ける

  • ペコぱんだの固さの目安:簡単に押しつぶせる硬さ。
  • ゆっくり押しつぶしを10回×3セット×3回/1日。
舌の持久力を付ける
舌の持久力を付ける

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ペコぱんだ

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ペコぱんだ

パタカラ

パタカラ
パタカラ
口輪筋のトレーニング

パタカラを唇と歯列の間に装着し口輪筋を使って唇を閉じる動作をします。これを繰り返すことで唇周辺の表情筋が鍛えられ口唇閉鎖の力がアップします。

表情筋は、副交感神経と関係があり、刺激を与えることで自律神経系を刺激して認知症の予防・改善や、各種身体機能の改善、寝たきりの予防などが期待出来ます。

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パタカラ

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パタカラ

あいうべ体操

あいうべ体操
あいうべ体操
舌機能・嚥下機能の改善と強化

「あいうべ体操」は、口呼吸を鼻呼吸に改善していく事を目的に考案された口の体操のことですが、口の周りの筋肉をしっかり動かすことや、舌を動かすことで、食事をする為の筋肉の体操に大変有効です。

考案者は、福岡のみらいクリニック院長今井一彰先生です。

①~④を1日10セットX3回を目安に毎日続ける。

  • 【あ】「あー」と口を大きく開く。
  • 【い】「いー」と口を大きく横に広げる。(口角を上方、後にしっかり引く)
  • 【う】「うー」と口を強く前に突き出す。(口をすぼめ、口の周りの筋肉をギュッと力を入れる。)
  • 【べ】「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす。

あいうべ体操の動画

喉のアイスマッサージ

喉のアイスマッサージ
喉のアイスマッサージ
経鼻経管栄養や胃瘻の方向け訓練

口から食べられないために経鼻経管栄養を行っている人や胃瘻の方に一番最初にやる訓練です。

冷たい刺激、触る刺激で嚥下反射を誘発するトレーニング方法です。

やり方

氷水に浸した大きめの綿棒で喉の奥の方(軟口蓋や舌の付け根)を刺激します。綿棒を抜いてから患者さんに飲み込みを促します。


3.地域の専門機関を活用する

通いの場やサロンでの予防活動

地域で開催されている「通いの場」やサロンでは、高齢者が集まり、口腔体操や健康講座を通じてオーラルフレイルを予防する活動が行われています。これらの場を活用することで、楽しく継続的に予防対策を実施できます。

専門家による指導

歯科医師や歯科衛生士、栄養士、理学療法士などの専門家から直接指導を受けることで、より効果的な予防対策を学ぶことができます。また、必要に応じて口腔内のリハビリテーションを行うことで、口腔機能を回復させることも可能です。


オーラルフレイルの予防は日常生活の中で取り組めることが多く、早期の対策によって健康寿命を延ばし、生活の質を向上させることができます。

1.最新の研究成果

オーラルフレイルに関する国際的な研究

近年、オーラルフレイルに関する研究が世界的に進んでいます。特に高齢者の健康寿命を延ばすための口腔機能維持の重要性が強調されており、オーラルフレイルが全身の健康に与える影響についてのエビデンスが増加しています。また、フレイルやサルコペニアとの相互作用を解明する研究も進行中で、包括的な予防策が提案されています。

先進的な診断技術の導入

最新の診断技術により、オーラルフレイルを早期に発見することが可能になりました。具体的には、口腔内の筋力測定や咀嚼機能を評価するデバイスが開発されています。また、AIを活用した診断支援システムにより、患者の状態を迅速かつ正確に把握し、個別化された治療計画を立てることが可能となっています。


2.専門家のアプローチ

歯科医師、栄養士、理学療法士の役割

オーラルフレイルの予防と治療には、複数の専門家が連携することが重要です。歯科医師は、口腔内の健康管理や治療を担当し、咀嚼機能の回復に努めます。一方、栄養士は栄養バランスの取れた食事の提案を行い、必要に応じて食事形態の調整をサポートします。理学療法士は、顎や口周りの筋力トレーニングを通じて、口腔機能の改善を目指します。

チーム医療の重要性

オーラルフレイルの予防と治療には、チーム医療のアプローチが不可欠です。歯科医療従事者だけでなく、医師や看護師、介護福祉士などの多職種が協力し、患者の全身状態や生活環境を考慮した総合的なケアを提供します。これにより、オーラルフレイルの進行を抑えるだけでなく、患者のQOL(生活の質)の向上も実現できます。


最新の研究と専門家の協力を活かした先進医療は、オーラルフレイルの予防と改善において新たな可能性を切り開いています。科学的根拠に基づいたケアを受けることで、高齢者がより健やかで豊かな生活を送ることが期待されます。

舌の運動機能とオーラルフレイルは密接な関係があります。『食べること』は、舌、唇、頬などの筋肉を複雑に働かせることが必要です。 中でも舌は、重要な働きを持っています。そこで舌の運動機能を測定することでオーラルフレイルの診断が出来ます。

舌圧測定器

舌圧測定器
舌圧測定器

舌の運動機能レベルを測定

舌圧測定器は舌の運動機能を最大舌圧として測定する機器です。

口腔機能低下症の診断基準として30kPaを下回ると咽頭部に食物留渣が起こりやすくなり、20kPa以下では誤嚥を生じやすくなります。

舌圧は60歳を超えた辺りから減少し、80歳代では25kPa前後となります。

舌は食べ物を口の中で受け止めたり、喉の奥に送り込んだり様々な働きをします。そういった働きには舌の力(舌圧)が必要です。

オーラルディアドコキネシス

健康君ハンディ
健康君ハンディ

「パ」「タ」「カ」を測定

健康君ハンディの開始スイッチを押すとブザー音とともに測定を開始して「パ・タ・カ」発音の回数を自動的にカウントします。

パパパパ・・・、タタタタ・・・、カカカカ・・・とそれぞれ続けて5秒間できるだけ早く発音します。1秒間あたりの数を図り、6.0以上なら問題ありません。6.0未満でも、もともと滑舌の悪い場合なのは、問題なしとします。

「パ」「タ」「カ」を測る理由

「パ」

唇をしっかり閉じることは咀嚼・食べる為に重要です。同様に唇をしっかり閉じることで発音される「パ」の発声によりその機能を評価します。

「タ」

上手に飲み込む為には、舌の前方の動きが重要です。舌の前方が口蓋に触れることで発音される「タ」の発声によりその機能を評価します。

「カ」

飲み込む際には、舌の奥の部分の機能が重要です。舌の奥の方が軟口蓋に触れることで発音される「カ」の発声によりその機能を評価します。

診断基準

7項目の内3項目以上が該当した場合、オーラルフレイルと診断。

  • 口腔衛生状態不良
  • 口腔乾燥
  • 咬合力低下
  • 舌口唇運動機能低下
  • 低舌圧
  • 咀嚼機能低下
  • 嚥下機能低下

チェックリスト

□ 滑舌低下思い通りにしゃべることが困難になった。
□ 嚥下機能の低下物を飲み込む嚥下運動がうまくいかず「むせる」ようになった。食べたものが気管を通して肺に入ってしまい誤嚥性肺炎を起こすようになった。

食事を喉に詰まらせてしまうことがよくある。

食事量が減った気がする。
□ 口腔の乾燥唾液分泌の減少により口腔乾燥症状が出て食事中に水やお茶を飲みながら流し込むようにしないと食事が出来なくなった。
□ 咀嚼機能の低下歯や入れ歯の調子は悪くないのに噛むのが困難になった。

オーラルフレイルの人の食事

食事が美味しくない
食事が美味しくない

食事が美味しくない

オーラルフレイルの人は食事を「とてもおいしい,おいしい」「楽しい」と感じる人が少なく、食事量を「多い,やや多い」「ふつう」と感じる人が多いことが統計的に分かっています。

これは、口腔機能の低下が原因です。要介護状態に至る前にオーラルフレイル予防グッツなどを使い、口腔機能の改善に努めることが求められます。

普段の食事で噛み切れる硬さの食材の品目により咀嚼能力を判定し、オーラルフレイルの程度を推測します。

摂食嚥下障害の基礎疾患

Disease

 脳血管障害

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など。

Disease

 神経変性疾患

筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症など。

Disease

  認知症

脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症など。

オーラルフレイルで窒息事故

Food

 原因食品

圧倒的に餅が多いですが、普段食べているパン・ご飯・おにぎり・魚介類・肉類・果物類・飴・団子類・ミニカップゼリー・こんにゃくゼリーなどでも窒息事故が発生しています。

High risk

 窒息リスクの高い人

  • 認知機能の低下がある人。
  • 奥歯が無くても入れ歯を使用せず、臼歯部で噛めない人。※ 義歯を使用すると窒息リスクが低下します。
  • 自食している人。

お母様のご状況について心配されるお気持ち、よくわかります。食べ物が歯と頬の間に挟まれることや、食事内容が軟らかいものに偏ることは、口腔機能の低下やオーラルフレイルの初期症状としてよく見られますされるものです。ただし、適切なケアや対処によって改善や予防が期待できます。


1. 歯科での相談を再検討する

歯や歯周病に問題がない場合でも、口腔内の筋力や噛み合わせに問題がある可能性があります。歯科では、以下のような検査や対応を受けることができます。

  • 噛み合わせのチェック: 噛み合わせが悪いと食べ物がうまく処理できず、挟まりやすくなることがあります。
  • 義歯や補綴の調整: 必要に応じて被せ物などを再作成することで咀嚼の効率が向上します。

2. 舌や口周りの筋力トレーニングを行う

口腔周囲の筋肉を鍛えることで、食べ物を正しく噛み、飲み込む力を向上させることができます。以下のような簡単なエクササイズを毎日続けることをおすすめします。

  • あいうべ体操: 大きく「あ・い・う・べ」と口を動かしながら発音します。これにより、舌や頬の筋肉が鍛えられます。
  • 口の開閉運動: ゆっくりと大きく口を開いたり閉じたりする動作を繰り返します。

3. 食事内容の工夫

食べ物の偏りが続くと栄養不足になったり、さらに口腔機​​能が低下する可能性があります。以下の方法で少しずつ食事内容を調整してみてください。

  • 柔らかい肉料理: 煮込み料理や蒸した鶏肉、魚など、食べやすい栄養価の高いものを取り入れましょう。
  • 白ご飯の工夫:おかゆや雑炊にすることで食べやすくなります。
  • 野菜の利用:スープやペースト状の野菜を追加して、ビタミンやミネラルを補給します。

4. 地域や専門機関を活用する

地域の「通いの場」やリハビリ施設で、口腔機能を高めるプログラムを受けると効果的です。 歯科医院や地域の保健センターにお問い合わせして、お母様に合った支援を探してみてください。


5. 心理的なサポートも大切

食事が負担に感じられると、さらに口腔機​​能が低下する可能性があります。 家族と一緒に楽しく食べる時間を増やし、「食べる楽しみ」を取り戻すことも重要です。


これらの対策を取り入れることで、お母様の口腔機能を維持・向上させ、栄養バランスの良い食生活を取り戻す手助けになるはずです。

お父様が食事の量を減らし、「美味しくない」と感じているのは、口腔機能や全身の変化が原因として考えられます。それで改善が期待できます。以下に、考えられる原因と対策をご紹介します。


1. 味覚や嗅覚の低下

高齢になると味覚や嗅覚がなくなり、特に塩味や甘味を感じやすくなることがあります。これが食事の楽しみを減少させ、食欲低下につながります。

対策:

  • 調味料や香りの工夫: レモンや香草(バジルやパセリ)などの香りを加えて、より風味豊かにしてみましょう。
  • 見た目の工夫: 彩り豊かな盛り付けにすると、視覚的に食欲が刺激されます。

2. 口腔機能の低下

咀嚼や嚥下が上手くできない場合、食事が負担に感じるようになり、結果的に食事量が減ることがあります。 特に、口の乾燥や歯の不調が原因の場合があります。

対策:

  • 口腔内のチェック:歯科医院で噛み合わせや歯周病の有無を確認しましょう。口腔内の清潔さを守ることも重要です。
  • 食事の形状を調整:柔らかく調理したものやスープ状の食品を取り入れ、食べやすさを工夫しましょう。

3. 社会的・心理的取り組み

一人では食べると楽しさが減り、食欲が低下することがあります。また、ストレスやうつうつが影響している可能性もあります。

対策:

  • 家族での食事: 家族や友人と一緒に食べる機会を増やし、会話を楽しみながら食べることで食欲が向上します。
  • 地域活動への参加: 地域の「通いの場」や高齢者向けの食事イベントなどに参加することで、社交性を高めながら食事を楽しむことができます。

4. 全身の健康状態の変化

全身疾患(糖尿病、腎臓病など)や服用している薬の副作用が原因で、食欲が低下している可能性があります。

対策:

  • 医師への相談: 全身の健康状態を確認し、薬の影響や他の疾患が原因かどうか医師に相談しましょう。
  • 栄養補助食品の活用: 必要に応じて、栄養補助食品を取り入れることも検討してください。

5. 「美味しい」と感じるための工夫

高齢者の味覚や嗅覚に合わせた食品選びや調理法を取り入れて、食事の楽しみが戻ってくることがあります。

具体例:

  • 出汁を活用: 日本の伝統的な出汁(昆布や鰹節)は、減塩でも旨味を最大限に活用する効果があります。
  • 食べ慣れた味:子供の頃から慣れ親しんだ料理を取り入れることで、安心感と満足感が得られます。

お父様の状況に合った方法を少しずつ試し、変化を観察してください。必要に応じて、歯科医師や医師に相談することで、より正しいアドバイスやケアを受けられるはずです。

オーラルフレイルは主に高齢者に多いとされていますが、若年層でも特定の条件下で発生する可能性があります。以下にその背景や原因について詳しく説明します。


若年層でオーラルフレイルが起こる可能性

オーラルフレイルは、噛む力や飲み込む力、発音などの口腔機能の低下を主症状とします。

1. 日常的な食習慣

  • 柔らかい食べ物ばかりを好むと、咀嚼筋が弱まる可能性があります。
  • ファストフードや糖分が多い食品の摂取量が多いと、虫歯や歯周病が進行することがあります。

2. 口腔ケアの不足

  • 雑な歯磨きや定期的な歯科受験の欠如は、虫歯や歯周病を発症させて、口腔機能に悪影響を心配します。

3. ストレスや生活習慣の乱れ

  • ストレスや睡眠不足は、口腔内の乾燥(ドライマウス)や歯ぎしりなどが起こり、口腔機能を低下させることがあります。

4. 歯列不正や噛み合わせ問題

  • 歯並びや噛み合わせの問題があると、十分に噛むことができず、嚼機能が低下する可能性があります。

5. 特定の疾患や治療の影響

  • 口腔がんの治療や矯正治療中の噛み合わせの変化など、一時的に口腔機能の低下が起こることがあります。

若年層における予防策

若い世代でも、以下の対策で口腔機能を維持し、オーラルフレイルを防ぐことができます。

  1. バランスの取れた食事を意識する
    • 硬いものや食感のある食材を積極的に取り入れ、咀嚼筋を鍛えます。
  2. 正しい口腔ケアを行う
    • 正しい歯磨きの習慣を心がけ、定期的に歯科検診を受けてください。
  3. 口腔機能を鍛えるエクササイズ
    • 「あいうべ体操」などの口腔周囲筋を鍛える運動を取り入れます。
  4. ストレスや生活習慣の改善
    • 規則正しい生活リズムを心がけ、ストレスを管理する。
  5. 専門家への相談
    • 口腔内の違和感や機能低下を感じた場合は、歯科医や口腔外科医に早めに相談する。

まとめ

オーラルフレイルは年齢に関係なく発生する可能性がありますが、若年層での発症はライフスタイルや口腔ケアの不足などが主な原因です。早期の対策と予防を行うことで、口腔機能を長期的に維持し、健康な生活ができます。若いうちからの口腔ケアが、将来の健康寿命を大きく左右します。

オーラルフレイルを早期に発見することは、口腔機能の低下を防ぎ、全身の健康を維持するために非常に重要です。以下に、早期発見のための具体的な方法を挙げます。


1. 自己チェック

自宅で簡単に特定チェックを定期的に行うことで、オーラルフレイルを見つけることができます。

  • 噛む力の確認
    硬い食品(例、煎餅やニンジン)を食べる際に、以前よりも噛みにくいと感じる場合は、咀嚼力の低下が疑われます。
  • 飲み込む力の確認
    水やお茶を飲む際にむせることが増えた場合、舌の機能が低下している可能性があります。
  • 口の乾燥の確認
    ドライマウス(口の乾燥)が続く場合、唾液分泌の低下による口腔機能の低下が考えられます。
  • 発音の変化
    「パ行」や「ラ行」の発音が不明瞭になる場合、舌や口周りの筋力が弱まっている可能性があります。

2. 歯科医院での検査

歯科医院で行われる以下のような検査を利用することで、より正確にオーラルフレイルを発見できます。

  • 咀嚼力測定
    噛む力を専用のガムや機器を使って測定します。基準値と比較することで、咀嚼力の状態を把握できます。
  • 唾液分泌量の測定
    唾液の量を測ることで、口腔乾燥の程度を確認します。唾液量が基準値を下回る場合、口腔機能低下のサインと考えられます。
  • 舌圧測定
    舌の筋力を測定し、嚥下や発音機能の低下を確認します。
  • 嚥下内視鏡検査
    飲み込み動作を内視鏡で観察し、嚥下機能に異常がないかを確認します。

3. 日常生活での当面の観察

オーラルフレイルの初期症状として現れる日常生活での変化にも注意が必要です。

  • 食事の傾向
    硬い食品や繊維質の多い食材を避けるようになった場合は、咀嚼機能の低下が疑われます。
  • 食べ物が口の中で溜まる
    食事中に食べ物が頬と歯の間に挟まる場合、噛む力や口腔内の筋力が低下している可能性があります。
  • 体重の減少
    食事量の減少や栄養の偏りによる体重減少も、オーラルフレイルの初期症状として考えられます。

4. 家族や介護者からの観察

周囲の人が気づく変化も早期発見のヒントになります。

  • 食事中咀嚼回数が少なくなり、すぐに飲み込んでしまう。
  • 会話が少なくなり、発音が不明瞭になっている。

5. 歯科検診

最も効果的な早期発見方法は、歯科医院での定期検診です。プロフェッショナルによる診察で、以下のことが確認できます:

  • 虫歯や歯周病の有無
  • 噛み合わせや咬合力の状態
  • 唾液分泌や口腔内の健康状態

まとめ

オーラルフレイルを早期に発見するには、自己チェックや日常の観察を習慣化し、必要に応じて歯科検診を受けることが重要です。早期受診で、健康寿命を延ばすことが可能です。

江戸川区篠崎のオーラルフレイル治療で健康寿命を延ばしましょう!

「オーラルフレイル」は、口腔機能の低下により、食べる、話す、笑うといった日常の行動が正常に行えない状態を指します。この悪影響で、健康寿命の短縮に直結する可能性があります。

当院では、オーラルフレイルの予防と治療に力を入れています。具体的には以下のようなサポートを提供しています。

  • 口腔機能の評価:嚥下機能と咀嚼力
  • 個別トレーニングプランの提案:口の筋力を鍛える
  • 必要に応じた治療:義歯
  • 生活習慣の見直しサポート:食事と歯磨き習慣

オーラルフレイルの早期対応は、健康な日々を取り戻し始めます。「食べる喜び」「話す楽しさ」を一緒に守りましょう。ご相談ください!

【動画】なかなか取れない舌苔の完全除去方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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