歯周病でも矯正治療は可能?—治療のポイントと注意点
歯周病でも矯正治療は可能
歯周組織の破壊が進んだ重度の歯周病であっても矯正治療は可能です。ただし歯周病の治療が完了して、本人のプラークコントロールが完全な状態になってからでないとできません。
歯周病の上顎咬合面観
歯列不正が強く起こっている症例です。そのため特に矢印部分の歯茎の炎症が強く腫れています。
同症例の下顎咬合面観
特に下顎の前歯がガタガタになっています。 矢印部分の歯茎が大きく腫れて歯周病が進行しています。
矯正治療中に歯周病は悪化する?
プラークスコアPCRを10%以下
写真は初期歯周病でプラークコントロールが不良です。乱杭歯なので、歯列矯正が必要なケースです。
磨き残しがかなりあるため、この状態のまま矯正治療を始めると歯周病が悪化する可能性があります。矯正を始めるにはまず、きちっと歯磨きのトレーニングを行いプラークスコアPCRを10%以下にしてからが条件です。
よくある質問
Q&A
質問
矯正装置を外してから歯周病が悪化。
① こんにちは。33歳女性です。 矯正装置をはずした2年ほど前から、急激に歯周病が悪化したような気がします。
② 1ヶ月に1度、歯茎全体が痛くなり炎症を起こしているのか、指で少し押さえただけでも真っ赤になるほど歯茎から血が出ます。ゴールデンウィークに診察して頂いたのですが、歯周ポケットは総て3ミリ(1箇所は4ミリ)でした。骨の吸収に関しては何も言われませんでした。ブラッシング指導の通り歯磨きしているのですが・・
歯周病を専門に掲げてる医院のほうがいいのかしら。 体調が悪くなると弱いところに出るといいますが、そういう類のものなのでしょうか(一過性?)それとも確実に歯周病が進行しているということなのでしょうか?それを食い止めるにはどうしたら…。
③ 外科手術を併用した矯正方法(上下あごとも)だったのですが、それも何か影響しているのでしょうか。 お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答お待ちしています。
回答
①の回答
歯列矯正を行って歯並びが良くなったのですから歯磨きもきちんと出来るようになっているはずです。ですから矯正装置を外した事と歯周病になっている事は全く因果関係はないと思われます。
②の回答
歯周ポケットという視点から言えば、3mm程度ですので歯周病ではなく正常の範囲ということもできます。 しかし、歯肉からの出血がありますので、あきらかに歯周病になっています。歯槽骨の吸収がないのであれば、 歯周病の初期状態、つまり歯肉炎ということになります。
歯肉炎の程度でしたら、的確なブラッシングで治癒することがほとんどです。歯肉炎の状態が続いているようですから十分なプラークコントロールが出来ていないのではないでしょうか。
自宅で染め出し液を使って磨き残しのチェックを行ってみると良いでしょう。
ただ、歯石が付着している場合には歯科医院で取ってもらわなくてはなりません。歯石は1度取ってもまたついてしまうものです。 個人差がありますが、早い人で3か月もするともう付いている人もいます。
また、ブラッシングだけでは的確に口腔内を綺麗にする事が出来ない人もかなりいるようです。そこで、歯科医院においてPMTCやエアーフローを定期的(3か月に一度)受けることを お勧めします。PMTCやエアーフローを定期的に受けることで、歯石の付着もかなり防ぐことが出来、歯周ポケット内の細菌量のコントロールが出来ますから非常に重要な処置と思います。
③の回答
外科手術を併用した矯正治療と歯周病との因果関係はないと思います。
補足 歯科医院の選択基準
- 1歯科衛生士を雇用していて、歯ブラシのやり方の指導をしっかり行っている。
- エアフローやPMTCを行っている。
- 定期的にメインテナンス(歯石取り、エアフロー、PMTC)を行っている。
以上をしっかり実施している歯科医院であることが望ましいです。
質問
歯周病ですが歯列矯正中です。あごの骨は折れやすくなりますか?
① 現在歯列矯正中です。歯周病も手遅れで骨が溶けていると言われました。顔色はあごの付近が赤黒く、小鼻の横が赤くなっています。 夜、生ごみのにおいを感じ、鼻が押されるような感じです。
あごの骨は折れやすくなりますか? そのような時は何処に診てもらうのでしょうか?
回答
①の回答
現在、歯列矯正中ということですので、歯に力がかかっていますから、鼻が押されるような感覚が起こっているのかもしれません。
矯正治療には、骨が折れるということありませんのでご心配はいりません。また、過去にそのような症例があったという報告は、一切ありません。
歯周病であっても重度歯周病でなければ、あるいは歯周病がある程度コントロールされていれば、矯正治療を行っても差し支えないと思います。
生ごみの臭いを感じるということについては、口腔内に何らかの問題があるのかもしれません。歯周病が進行しているということですから、歯周病菌による臭いなのかもしれません。または、口臭は自臭症と他臭症とに分類されますが、全く臭いの原因がなく、においだけを感じる自臭症なのかもしれません。直接診断していないので、明確な回答が出来ないのが残念です。
いずれにしても、歯科医師に症状を明確に話して診断を仰いでください。
江戸川区篠崎で歯周病で歯列矯正をご検討の方へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、矯正装置の見た目が気になるという方でも、審美性に配慮した目立たないマウスピース矯正装置をご用意しております。患者さま一人ひとりの口腔内状況を拝見した上でご要望をしっかりと聞き、痛みの少ない無理のない治療計画をご提案いたします。江戸川区篠崎にて歯周病で歯列矯正をご検討の方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。
【動画】自宅で実践|歯肉炎の治し方
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。