歯肉退縮でブラックトライアングル

  • 歯肉退縮は歯周病の治癒後、歯列矯正後、歯ぎしりや食いしばりなど強い力が歯にかかり続けると起こります。
  • 歯茎下がりは前歯に三角形の黒い隙間・ブラックトライアングルを作ります。
  • 治療法はダイレクトボンディング法が向いています。
  • ブラックトライアングルは自然治癒せず、自分で治すことは不可能です。

ブラックトライアングル

歯肉退縮で起こるブラックトライアングル

ブラックトライアングル
ブラックトライアングル

歯肉退縮

歯肉の高さがセメントエナメルジャンクション(歯冠部と歯根部の境目)よりも低くなった状態を歯肉退縮といいます。歯肉退縮は自然には回復することは極めて稀です。

歯茎が下がると歯と歯の間に黒い三角形の隙間ができます。それが黒く見えるのでブラックトライアングルと呼んでいます。

原因

原因

 歯周病の治癒

歯周病の炎症がスケーリングやエアフロー、PMTCといった歯周病治療によって改善した時に歯茎が引き締まることで、歯茎が下がりブラックトライアングルが起こることがあります。

歯周外科手術は歯槽骨の破壊が進んだ症例に適応されますが、前述のスケーリングと同様、歯茎の改善治癒により、ブラックトライアングルの出現をしばしば経験します。

原因

 強すぎる矯正力

矯正治療の原理は弱い力を歯に持続的に加えることで、徐々に歯を動かすものです。歯に強い力を加えても歯は動かないばかりか歯茎の退縮を起こしてしまいます。

大人の矯正治療の場合、歯列不正のためプラークコントロールが不十分で、歯周病が起こっていることが多くあります。そのため、歯列矯正により歯並びが良くなることで、歯磨きが行き届き、歯周病が改善しブラックトライアングルが出現することがあります。

また、特に下の前歯で起こり易いのですが、強い矯正力が加わったことが原因でブラックトライアングルが出現する場合もあります。どちらが原因なのかを区別することはかなり困難です。

原因

 歯軋り

歯軋りや食いしばりなどの不正な強い力が歯に加わり続けると歯肉退縮が起こります。

原因

 不適切なブラッシング

ブラッシング時のブラッシング圧が強すぎたり、毛先の開いた歯ブラシを使用することにより角化歯肉を減少させてしまいます。そのため遊離歯肉(セメントエナメルジャンクション辺りの歯肉)は消失して歯肉が下がります。

ただし、極端に不適切なブラッシング時に起こる現象で、通常はめったにありません。

歯周病で歯列矯正すると歯茎は下がる?

初期歯周病で乱杭歯の症例
初期歯周病で乱杭歯の症例

大人で初期歯周病で乱杭歯の症例

写真の症例は、下顎前歯が乱杭歯でプラークコントロールが不十分です。大量の歯垢(プラーク)が付着して僅かに歯石の沈着も見られます。初期歯周病と診断します。

歯列矯正でブラックトライアングル出現

矯正治療の前に歯周治療が必要です。歯周治療が完了し、患者さん自身のプラークコントロールが十分に行われると、その時点で歯茎は少し下がり、小さなブラックトライアングルが出現するかもしれません。

矯正治療が完了し、歯並びが良くなると歯磨きもやりやすくなり、さらに歯周病の改善が見込まれます。

すると、さらに大きなブラックトライアングルが出現する可能性が高いと思われます。

よくある質問

Q&A

質問

 矯正治療後、下顎の歯茎が下がっているのがとても気になります。

現在26歳です。最近、下の歯の歯茎が下がっているのがとても気になります。4年程前より歯列矯正を行って(現在はリテーナーを使用中)いるため、矯正治療によりブラックトライアングルかと考えておりました。

しかし、リテーナー期間中になっても改善せず、むしろ悪化している感じがします。矯正歯科の先生やかかりつけの歯科医へ相談しても、「問題ない」「許容範囲内だと思う」といわれてしまいます。

回答

矯正歯科の先生やかかりつけの歯科医から「問題ない」「許容範囲内だと思う」ということから判断すると歯周病になっている状態ではなく、単に歯肉が僅かに下がっている状態と想像されます。 したがって、現時点においては病的な状態とは言えず、このままでよいのではと考えます。

しかし、あなたは審美的な事を問題としているのでしょうか?(下の歯としか記述がないので前歯なのか奥歯なのか分かりませんが) 以下に歯肉退縮(歯茎が下がる)理由や対処法について記述しますので参考にしてください。

結論から申し上げると、歯肉退縮した歯茎を元に戻す方法で、患者さん自身が行えることは何もないということになります。従って、ブラックトライアングルは自然治癒しないということになります。

歯茎が下がる原因や対処法について詳しく説明したページを用意しています。そちらを参照して下さい。

 補足 矯正治療後の歯茎下がり

元々歯並びに不正があったため歯周病があった可能性も考えられます。矯正治療により正常な歯並びになることで 歯周病が改善され歯肉退縮が起こったということも考えられます。 特に成人になってからの矯正治療は歯肉退縮が起こる事がよくありますが、それ以上に患者利益になるからこそ矯正治療を優先させたと言えるのではないでしょうか。

対処方法:一般的には何も出来ません。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、矯正装置の見た目が気になるという方でも、審美性に配慮した目立たないマウスピース矯正装置をご用意しております。患者さま一人ひとりの口腔内状況を拝見した上でご要望をしっかりと聞き、痛みの少ない無理のない治療計画をご提案いたします。江戸川区篠崎にて見た目を気にせずに出来る矯正治療をご希望の方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。

【動画】4~6mmの歯周ポケットのセルフケア法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
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メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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