乳歯が抜けず永久歯の前歯が内側から生える

  • 永久歯が萌出を開始すると乳歯の歯根が吸収されて抜けやすくなります。本来なら、乳歯の歯根が完全に吸収されて自然脱落するのですが、稀に歯根の一部が吸収されずに残ってしまい、乳歯がなかなか抜けないことがあります。
  • 特に下顎の前歯で起こり易く、乳歯列に隙間がない場合に頻発します。
目次

1. 序論

1-1. 乳歯が抜けないとどうなる?

乳歯は一般的に6歳頃から徐々に抜け始め、12歳頃までに永久歯へと生え変わります。しかし、乳歯が抜けないまま残ると、以下のような問題が起こる可能性があります。

  • 永久歯の生え方に影響する
    永久歯が乳歯の下で待機しているにもかかわらず、乳歯が抜けない場合、永久歯が正常な位置に生えにくくなり、歯並びが乱れることがあります。
  • 噛み合わせの異常が起こる
    乳歯が抜けずに残ったままだと、上下の歯のかみ合わせが合わず、食事の際に噛みにくくなったり、顎の発達に影響を及ぼすことがあります。
  • 永久歯が埋まったまま(埋伏歯)になる
    乳歯が抜けずに残っていると、永久歯が適切な位置に生えてこられず、歯ぐきの中に埋まったままになるケースがあります。この状態を放置すると、後に矯正治療が必要になることもあります。
  • 乳歯が虫歯や歯周病の原因になる
    乳歯が長期間残ることで、周囲の歯と歯の間に汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

1-2. 乳歯の生え変わりの一般的な時期と流れ

乳歯は全部で20本あり、以下のような順番で永久歯に生え変わっていきます。

➀ 6~8歳:前歯(中切歯・側切歯)が生え変わる

  • 下の前歯(中切歯)が最初に抜けることが多い
  • 次に上の前歯が抜け、永久歯に生え変わる

➁ 8~10歳:犬歯・第一乳臼歯の生え変わり

  • 乳犬歯(糸切り歯)が抜け、永久歯の犬歯に置き換わる
  • 第一乳臼歯(奥歯の一部)が永久歯の小臼歯に生え変わる

➂ 10~12歳:第二乳臼歯が生え変わる

  • 乳歯列の最後の歯である第二乳臼歯が抜け、永久歯の第二小臼歯が生えてくる

➃ 12歳以降:親知らずの成長(個人差あり)

  • 12歳臼歯(第二大臼歯)が生え、最終的に親知らず(第三大臼歯)が生えてくる場合もある

生え変わりの時期には個人差がありますが、一般的には上記の流れで進行します。ただし、乳歯が抜ける時期が大きくずれる場合は、何らかの異常が考えられるため、小児歯科医に相談することが重要です。

1-3. 【動画】乳歯が抜ける順番と時期

2. 原因とリスク

2-1. 乳歯が抜けない原因とは?

乳歯が正常な時期に抜けない原因には、以下のようなものがあります。

① 乳歯の根がまだ吸収されていない

通常、乳歯の根は永久歯が生えてくるにつれて吸収され、自然に抜けるようになります。しかし、何らかの理由で根が完全に吸収されない場合、乳歯が抜けずに残ることがあります。この状態では、永久歯がうまく生えてこられない可能性があります。

② 永久歯が正しい位置に生えてこない

永久歯が正しい位置に生えず、乳歯の根を押し上げられない場合、乳歯が抜けにくくなります。これには以下のような要因が関係します。

  • 永久歯が正常な位置より後方や内側にずれている
  • 歯ぐきの下に埋まってしまっている(埋伏歯)
  • 永久歯の生えるスペースが不足している
③ 永久歯胚の先天欠損(永久歯がない)

高校生以上の大人になっても乳歯が抜けずに残っていることがあります。その多くが、先天的に永久歯の歯胚(永久歯になる元)が存在しないケース(先天性欠如)です。この場合、乳歯が自然に抜けずに長期間残ることになります。

高校生になっても乳歯が抜けない
高校生になっても乳歯が抜けない

永久歯胚が先天欠損している場合でも、乳歯の歯根は、徐々に吸収されていきます。そのため、大人になってから乳歯がグラグラになってきます。

通常は、乳歯を永久歯の代用として自然脱落するまで使用しますが、乳歯のグラグラが強く噛むときに痛みが出るようなら抜歯が必要です。また、最終的に抜けた際に隙間が生じたりするため、欠損した部分を人工歯(ブリッジ、インプラント、入れ歯など)などで治療します。

ただし、子供の年齢により永久歯が成熟していないため治療が出来ないことがあります。この場合は、欠損部に歯が移動しないように仮の入れ歯で対応することもあります。矯正治療の対応が必要になることもあります。

上顎第二小臼歯胚の先天欠損

上顎第二小臼歯胚が先天欠損しているため第二乳臼歯が抜けずに残存しています。

下顎第二小臼歯胚の先天欠損
下顎第二小臼歯胚の先天欠損

下顎第二小臼歯胚が先天欠損しているため第二乳臼歯が抜けずに残存しています。

歯根吸収がだいぶ進んでいます。

④ 乳歯が癒合歯
乳歯が癒合歯
乳歯が癒合歯
乳歯の抜歯は要注意

レントゲン写真の矢印の様に乳歯が癒合歯である場合、歯根の吸収が健全に行われずなかなか抜けないことがあります。隣の歯と比べると一目瞭然です。

癒合歯に続く永久歯が先天的に欠損している場合もあるので、歯科でレントゲンを撮り十分相談した上で抜歯をしてください。

⑤ 虫歯や歯周病による影響

虫歯や歯周病によって乳歯の根が溶けると、本来の生え変わりのプロセスが乱れることがあります。重度の虫歯の場合、乳歯が抜けずに黒ずんで残ってしまうことがあり、永久歯の発育にも影響を与える可能性があります。

➅ 噛み合わせの問題

噛み合わせに異常があると、乳歯に十分な刺激が伝わらず、抜けるタイミングが遅れることがあります。例えば、受け口(反対咬合)や開咬(上下の歯が噛み合わない状態)では、歯の自然な生え変わりがスムーズに進まないことがあります。

虫歯や歯周病によって乳歯の根が溶けると、本来の生え変わりのプロセスが乱れることがあります。重度の虫歯の場合、乳歯が抜けずに黒ずんで残ってしまうことがあり、永久歯の発育にも影響を与える可能性があります。

⑦ 個人差

乳歯が抜けて永久歯に交換する時期には個人差があります。最も顕著なのが上顎の第二乳臼歯(乳歯)が抜けて第二小臼歯(永久歯)に交換する場合です。男性だと高校二年生(17歳頃)まで乳歯が抜けずに残ることがあります。

交換時期の個人差は各歯によって異なりますが、概ね2年から10年の開きがあると思ってください。

2-2. 乳歯が抜けないことで起こるリスク

① 永久歯の歯並びに悪影響

乳歯が抜けないと、永久歯が本来の位置に生えてこられず、歯並びが乱れる原因になります。特に、永久歯が乳歯の裏側や横から生えてくる「二重歯列」になることがあり、見た目の問題だけでなく、清掃が難しくなり虫歯や歯周病のリスクが高まります。

乳歯の内側から永久歯が生えた症例

乳歯の歯根が正常に吸収されないと、その後に生える永久歯が内側から生えてくることがしばしばあります。特に起こりやすいのは、下の乳歯の前歯4本です。

一般的に乳中切歯(A)は6歳~7歳頃に永久歯に抜け変わります。この症例では、乳歯がグラグラしても、なかなか抜けなくて中切歯(永久歯)が内側から生えてきました。

また、永久歯の萌出スペースが不足してガタガタになっています。

乳歯では、すきっ歯の方が乳歯の歯根吸収がスムーズに起こり、永久歯の歯列は綺麗に並びます。

一方、乳歯列に隙間が無いと永久歯の萌出スペースが不足し、永久歯の歯胚は内側に寄り、乳歯根の健全な吸収を妨げます。

1本の下顎中切歯が内側から生える
1本の下顎中切歯が内側から生える

6歳児の歯列です。矢印の2本が永久歯の中切歯です。その内一本がかなり内側から生えています。まだ、当該乳歯は抜けずに残ったままです。

2本の下顎中切歯が内側から生える
2本の下顎中切歯が内側から生える

乳歯がグラグラしても、なかなか抜けなくて2本の中切歯(永久歯)が内側から生えてきました。

一本の乳歯は残存しています。

② 噛み合わせの異常(咬合異常)

乳歯が適切な時期に抜けないと、上下の歯のかみ合わせが不安定になり、食事の際にしっかり噛めないことがあります。さらに、長期的には顎の成長に影響を及ぼし、顎関節症や咀嚼(そしゃく)機能の低下につながる可能性があります。

③ 乳歯の根が残り炎症を引き起こすリスク

乳歯が抜けずに長期間残ると、根の一部が歯ぐきに埋まったままとなり、炎症を引き起こすことがあります。これにより、腫れや痛みが発生し、場合によっては膿が溜まることもあります。

④ 矯正治療が必要になるケース

乳歯が抜けないことで歯並びや噛み合わせが乱れた場合、矯正治療が必要になることがあります。特に、永久歯の生えるスペースが不足している場合や、歯並び全体が乱れてしまった場合は、早期の矯正治療が推奨されることがあります。


乳歯が抜けない原因やリスクを知ることで、適切な対応ができるようになります。次のセクションでは、乳歯が抜けない場合の具体的な対処法について詳しく解説します。

3. 対処法と自宅でのケア

3-1. 自宅でできる対応策

① 自然に抜けるのを待つべきケース

乳歯は通常、永久歯が成長するにつれて根が吸収され、自然に抜けます。以下のような場合は、焦らずに様子を見ましょう。

  • 乳歯が少しずつ揺れ始めたばかりの場合
    まだ永久歯が歯ぐきの下で成長中の可能性があり、しばらくすると自然に抜けることが多いです。
  • 乳歯の下に永久歯が確認できるが、少しずつ押し上げている状態
    グラグラし始めているなら、自然に抜けるまで待って問題ありません。
② グラグラしている乳歯を抜くタイミング

乳歯がグラグラし始めたら、次のようなタイミングで抜けることが多いです。

  • 指や舌で軽く触れたときに90度以上傾く場合
    ここまで動くようになれば、自然に抜けるのも間近です。
  • 食事の際に違和感があり、痛みがほとんどない場合
    食事中に引っかかることが増えたら、抜けやすくなっている証拠です。
③ 抜けそうな乳歯を安全に抜く方法

自然に抜けるのを待つのが基本ですが、すでにほとんど外れかかっている場合、以下の方法で抜くことができます。

  1. 手を清潔にする(石鹸で洗い、清潔なガーゼを用意)
  2. 乳歯を優しく前後に動かしてみる(痛みがある場合は無理をしない)
  3. ガーゼで乳歯を包み、軽く引く(抵抗があれば無理に引っ張らない)
  4. 抜けた後は清潔なガーゼで軽く押さえる(出血が止まるまで圧迫する)
  5. うがいは控えめに(強くゆすぐと血が止まりにくくなる)
④ 無理に抜いてはいけない場合

以下のような場合は、自宅で抜こうとせず、歯科医院に相談しましょう。

  • 乳歯が全く揺れていない → 永久歯がまだ準備できていない可能性があります。
  • 抜けかかっているのに強く痛む → 根が完全に吸収されていない可能性があります。
  • 歯ぐきが腫れている、出血が続く → 炎症が起きている可能性があり、歯科医院での診察が必要です。

3-2. グラグラの乳歯を自分で抜く時の注意点

歯根破折に注意

強引に抜くと歯根が折れて一部が歯茎の中に残ってしまうことがあります。

歯根の一部が歯茎の中に残っても自然と歯茎の外に排出される場合がほとんどですから余り心配は要りません。ただ、残根によって永久歯の萌出に支障が出るようなら歯医者で診てもらいましょう。

自分で抜く際には、舌の先で押すくらいの力が妥当です。汚れた指で強引に引っ張ると感染のリスクを伴います。

3-3. 歯科医院での対応が必要なケース

① 乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきた場合

乳歯が残ったまま永久歯が生えてしまうと、「二重歯列(シャークトゥース)」と呼ばれる状態になります。これは歯並びに悪影響を及ぼすため、以下のような場合は歯科医院での診察が必要です。

  • 永久歯が乳歯の後ろや横から生えてきた場合
  • 乳歯がグラグラしていないのに永久歯が生えている場合
  • 永久歯が変な方向に傾いて生えている場合

歯科医は、永久歯の位置を確認し、抜歯の必要性を判断します。

② 歯科で行う乳歯の抜歯処置とは?

歯科医院では、以下の手順で乳歯を安全に抜歯します。

  1. レントゲン撮影で永久歯の位置を確認
  2. 局所麻酔を使用(痛みを抑える)
  3. 専用の器具を使って慎重に乳歯を抜く
  4. 出血を抑え、傷口の確認

乳歯の根がまだしっかりしている場合、簡単には抜けないこともあります。この場合は、経過観察を行い、適切な時期を判断します。

③ 小児歯科での診察が必要なサイン

次のような症状がある場合は、すぐに小児歯科を受診しましょう。

  • 乳歯が抜けずに歯ぐきが腫れている
  • 永久歯が生えているのに、乳歯が全くグラグラしていない
  • 乳歯の下に永久歯が確認できない(永久歯の先天性欠如の可能性)
  • 乳歯が欠けたり、黒ずんだりしている

適切なタイミングで歯科を受診することで、永久歯の健康を守ることができます。

4. 永久歯が内側から生えたときの治療手順

スライスカット
スライスカット

永久歯の萌出を邪魔をしている乳歯を抜歯します。次いで隣接している乳歯の側面をスライスカットして永久歯前4本が萌出出来るスペースを確保します。

側方歯群(犬歯、小臼歯)の萌出を待ちます。この間、顎骨の成長が起こり側方歯群の萌出スペースが確保できていれば、このままで大丈夫です。

顎骨の成長が不十分であれば、治療で関与します。

STEP

乳中切歯(A)を抜歯

乳中切歯(A)に麻酔をかけて抜歯します。

しかし、歯列の内側にガタガタに生えた2本の永久歯(中切歯)は、スペース不足のためこのままでは正しい位置に並びません。


STEP

赤線4箇所をスライスカット

赤線で示した4箇所(2本の乳側切歯(B))をスライスカットします。スライスカットとは歯の側面部分を1ミリほど削り落とすことです。

すると、2本の乳側切歯(B)は、それぞれ僅かに奥側に移動し、内側に生えた2本の中切歯(永久歯)が並ぶスペースが獲得できます。中切歯は舌の押す力で適正な位置に移動し、ガタガタが改善します。


STEP

乳犬歯(C)の隣接面をスライスカット

1年ほどすると両隣のBが自然脱落し、そこに側切歯(永久歯)が生えてきます。しかし、同様にスペース不足に陥り、再び内側から生えてきます。

そこで、青線で示した乳犬歯(C)の隣接面4箇所をスライスカットします。

こうすることで下顎永久前歯4本は綺麗に並ぶか僅かのガタガタを残した状態で並びます。この状態は概ね8歳頃です。


STEP

プレオルソ

9歳~12歳頃にかけて側方歯郡(犬歯から第二小臼歯)が生え変わります。

この時期に側方への顎骨成長が著しく起これば問題ないのですが、成長が少ないケースでは同様のスペース不足が生じやすく、犬歯が八重歯になったり、小臼歯が内側から生えてきたりします。

顎骨を側方に成長させる装置としてプレオルソがあります。プレオルソは6歳頃から使用することが望ましく、12歳頃で、その効果はほとんど期待出来なくなります。

また、 MFTという舌やほっぺたの筋肉をトレーニングすることで改善する場合もあります。


次のセクションでは、年齢別の対応や永久歯が生えてこない場合の対策について詳しく解説します。

5. 年齢別の対応

5-1. 乳歯が抜けない年齢ごとの対策

5~6歳:生え変わりの初期段階

この時期は、最初の乳歯が抜け始めるタイミング です。通常、下の前歯(中切歯)が最初に抜け、次に上の前歯が抜けます。

🔹 対策ポイント

  • 乳歯がグラグラし始めても、基本的には自然に抜けるのを待つ
  • 無理に抜こうとせず、指や舌で優しく動かす程度にとどめる
  • 硬い食べ物(りんご、せんべいなど)を食べることで自然に抜けやすくなる

🔹 注意点

  • 乳歯が全くグラグラしていない場合は、経過観察が必要
  • 歯ぐきが腫れていたり、痛みがある場合は早めに歯科医院で診てもらう

7~9歳:永久歯の生え変わりが進む時期

この時期には、前歯(中切歯・側切歯)の生え変わりが終わり、奥歯(第一乳臼歯)や犬歯が抜け始めることが多いです。

🔹 対策ポイント

  • 乳歯が抜けるタイミングがバラつくこともあるが、特に問題はない
  • 乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきた場合は、歯科医に相談(シャークトゥースのリスク)
  • 乳歯の根がまだしっかり残っている場合、レントゲンで確認することが望ましい

🔹 注意点

  • 乳歯が抜けないまま永久歯が生えてしまうと、歯並びに影響する可能性がある
  • 7歳以上になっても前歯の乳歯が抜けない場合、歯科医に相談する

10歳以上:乳歯が残っている場合の注意点

通常、10歳を超えると奥歯(第二乳臼歯)が生え変わる 時期になります。しかし、まだ乳歯が抜けない場合は、何らかの原因が考えられます。

🔹 対策ポイント

  • 乳歯の根が残っているか、レントゲンで確認する
  • 永久歯が正しい位置にあるか、歯科医で診てもらう
  • 乳歯が残っている場合、矯正治療の必要性を検討

🔹 注意点

  • 乳歯が全く抜ける気配がない場合は、先天性欠如の可能性を疑う
  • 乳歯が黒ずんでいたり、虫歯になっている場合は、抜歯が必要になることもある

5-2. 中学生・高校生になっても乳歯が抜けない場合

中学生・高校生になっても乳歯が残っている場合、通常の生え変わりとは異なる異常が考えられます

① 先天性欠如の可能性

永久歯が生まれつき存在しない場合、乳歯が長く残ることがあります。これを**「先天性欠如」** と呼びます。

🔹 確認方法

  • 12歳を過ぎても乳歯が抜けない場合、歯科医院でレントゲンを撮る
  • 永久歯がないと診断された場合、乳歯をできるだけ長く維持するか、治療計画を立てる

🔹 治療の選択肢

  • 乳歯をできる限り維持する(定期的な検診が必要)
  • 乳歯が抜けた場合、矯正治療やインプラント・ブリッジなどを検討

② 永久歯が埋伏しているケース

永久歯が正常に生えてこず、歯ぐきの下に埋まっている状態を「埋伏歯」と呼びます。

🔹 確認方法

  • レントゲンやCT撮影で永久歯の位置を確認
  • 埋伏歯の状態により、外科的処置(歯肉を切開して引っ張り出す)を行うこともある

🔹 治療の選択肢

  • 矯正治療を併用し、永久歯を正しい位置に導く
  • 埋伏歯の位置や成長によっては、抜歯が必要になる場合も

③ 矯正治療が必要になる場合の判断基準

中学生・高校生になっても乳歯が残っていると、歯並びや噛み合わせに影響を与える可能性が高くなります。

🔹 矯正治療を検討すべきケース

  • 乳歯が残っていることで歯並びが悪くなっている
  • 埋伏歯があり、自然には生えてこないと診断された
  • 先天性欠如により、噛み合わせに問題が生じている

🔹 治療の選択肢

  • 乳歯を抜歯し、矯正治療で永久歯を正しい位置に誘導
  • 永久歯がない場合は、矯正治療後にブリッジやインプラントを検討

まとめ

  • 乳歯が抜ける時期は個人差があるが、10歳以上で残っている場合は要注意
  • 12歳以上になっても乳歯が残っている場合、先天性欠如や埋伏歯の可能性がある
  • 中学生・高校生で乳歯が抜けない場合は、矯正治療が必要になることがある

適切なタイミングで歯科医院を受診し、永久歯の健康を守ることが重要です。

Q1. 乳歯を抜いた後に永久歯がなかなか生えてこない場合は?

A: 乳歯を抜いた後、通常は数週間から数か月以内に永久歯が生えてきます。しかし、以下のような場合は生えるのが遅れることがあります。

🔹 永久歯の成長スピードに個人差がある

  • 一般的に、永久歯が歯ぐきの中でしっかりと発育するまでに時間がかかることがあります。

🔹 永久歯が正しい位置にない(埋伏歯の可能性)

  • 永久歯が歯ぐきの奥深くに埋まっていたり、異常な方向に生えていたりすると、自然に出てこないことがあります。

🔹 先天性欠如(永久歯がない)

  • まれに、もともと永久歯が存在しない「先天性欠如」のケースもあります。

対応策

  • 乳歯を抜いた後、3~6か月経っても永久歯が生えてこない場合は、歯科医院でレントゲン検査を受けましょう。
  • 永久歯の位置を確認し、必要に応じて矯正治療や外科的処置が検討されます。

Q2. 乳歯の抜歯は痛い?

A: 乳歯の抜歯は、痛みを最小限に抑えるために局所麻酔を使用するのが一般的です。

🔹 抜歯の流れ

  1. 表面麻酔を塗る(注射の痛みを軽減)
  2. 局所麻酔を注射(感覚がなくなるまで待つ)
  3. 専用の器具で乳歯を抜く(多くの場合、数分で完了)

🔹 痛みの程度

  • 麻酔が効いている間はほぼ無痛ですが、抜歯後に麻酔が切れると多少の違和感や軽い痛みを感じることがあります。
  • 痛みは通常1~2日で治まりますが、痛みが長引く場合は歯科医院に相談しましょう。

抜歯後の注意点

  • 強くうがいをしない(血が止まりにくくなる)
  • 当日は硬い食べ物を避ける(傷口の刺激を防ぐ)
  • 腫れや痛みがひどい場合は、歯科医院に連絡する

Q3. 乳歯が抜ける前に永久歯が生えたらどうすればいい?

A: これは「二重歯列(シャークトゥース)」と呼ばれる状態で、乳歯が抜ける前に永久歯が後ろや横から生えてくる現象です。

🔹 なぜ起こるのか?

  • 永久歯が本来の位置ではなく、乳歯の裏側や横から生えてきてしまう。
  • 乳歯の根がまだ吸収されず、自然に抜けにくい。

🔹 対応策
様子を見ても良いケース

  • 乳歯がグラグラしている場合 → 自然に抜ける可能性があるので、しばらく待つ。
  • 永久歯が乳歯を少しずつ押し出している場合 → 数週間様子を見る。

歯科医院を受診すべきケース

  • 乳歯が全くグラグラしていない
  • 永久歯が大きくズレて生えてきた
  • 食事の際に違和感がある

⚠️ 重要: 放置すると歯並びが悪くなる可能性があるため、気になる場合は早めに歯科医に相談しましょう。

Q4. 自然に抜けるのを待つべき?すぐに歯医者に行くべき?

A: 乳歯が抜けるタイミングには個人差がありますが、以下のような状況では対応が異なります。

自然に抜けるのを待つべきケース

  • 乳歯が少しグラグラしているが、痛みがない。
  • 乳歯の下に永久歯が見えてきており、少しずつ押し上げている。
  • 6~9歳で、前歯や犬歯の生え変わり時期にある。

すぐに歯科医院を受診すべきケース

  • 10歳以上になっても乳歯が抜けない(永久歯の先天性欠如や埋伏歯の可能性)。
  • 永久歯が乳歯の裏側や横から生えてきた(二重歯列のリスク)。
  • 乳歯がグラグラせず、全く動かない(根が吸収されていない可能性)。
  • 歯ぐきが腫れている、痛みがある(炎症や感染の可能性)。

🔹 結論

  • 基本的には自然に抜けるのを待つのがベストですが、10歳以上で残っている場合や永久歯の異常が疑われる場合は早めに受診を!

まとめ

  • 乳歯が抜けた後に永久歯が生えてこない場合は、3~6か月様子を見て歯科医院へ。
  • 乳歯の抜歯は麻酔を使うため痛みは少ないが、抜歯後のケアが大切。
  • 二重歯列になった場合、自然に抜けるのを待つか、必要に応じて歯科で抜歯を検討。
  • 基本は自然に抜けるのを待つが、異常を感じたら早めに歯科医に相談。

乳歯が抜けないことで永久歯の健康に影響を及ぼさないよう、適切なケアと定期的な歯科検診を心がけましょう!

乳歯が抜けない原因を理解し、適切な対応を

乳歯が抜けない原因には、乳歯の根の吸収不足や永久歯の生え方の異常、先天性欠如などが考えられます。年齢や生え変わりの状況を確認しながら、自然に抜けるのを待つべきか、歯科医院での診察が必要かを見極めることが重要です。

永久歯への影響を最小限にするために定期的な歯科検診を

乳歯の生え変わりがスムーズに進むよう、定期的に歯科検診を受けることをおすすめします。特に、10歳を過ぎても乳歯が抜けない場合や、永久歯が異常な位置に生えている場合は、矯正治療を含めた早期の対策が必要になることがあります。

不安がある場合は小児歯科医に相談を

乳歯が抜けないことで不安を感じたら、早めに小児歯科医に相談しましょう。永久歯の生え方や歯並びの状態をレントゲンで確認し、最適な治療法を提案してもらうことで、将来的な歯並びのトラブルを防ぐことができます。

乳歯の生え変わりは個人差があるため、焦らずに適切なケアと定期的なチェックを心がけましょう!

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筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

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日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

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