赤ちゃんが母乳をうまく飲めない、舌を前に出すとハート型になる、発音が気になる…。このような症状がある場合、「舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)」が関係している可能性があります。

舌小帯短縮症は、生まれつき舌の裏側にある「舌小帯」が短かったり、舌の先端近くに付着していたりすることで、舌の動きが制限される状態です。

症状の程度は人それぞれで、まったく問題なく過ごせる方もいれば、授乳や発音、食事、歯並びなどに影響を及ぼすケースもあります。

この記事では、舌小帯短縮症の原因や症状、治療が必要なケース、手術の流れまでをわかりやすく解説します。

軽度舌小帯短縮症
軽度舌小帯短縮症
j重度舌小帯短縮症
重度舌小帯短縮症

舌小帯とは、舌の裏側と口の底をつないでいる薄い筋状の組織です。本来は舌が自由に動くために適度な長さがありますが、この部分が短い、または付着位置が通常より前方にあると、舌の可動域が制限されます。

この状態を「舌小帯短縮症(Ankyloglossia)」といいます。

新生児の約3~10%にみられるとされ、男児にやや多い傾向があります。軽度であれば経過観察となることもありますが、機能障害を伴う場合は治療が検討されます。

舌小帯ってどんな役割?

舌小帯(ぜつしょうたい)は、舌の裏側にある薄いすじ状の組織で、舌の動きをコントロールする役割があります。口の底と舌をつなぎ、舌が過剰に動きすぎないように制御する「ストッパー」のような存在です。通常は、舌が口蓋(上あご)や前歯にスムーズに届く程度の長さがあり、発音や嚥下、咀嚼に問題を生じません。

正常な舌小帯
正常な舌小帯

次のような症状がある場合は、舌小帯短縮症の可能性があります。

  • 舌を前に出すと先端がハート型になる
  • 舌が上あごまで届かない
  • 赤ちゃんが母乳やミルクをうまく飲めない
  • 授乳時間が長く、体重が増えにくい
  • ラ行・サ行・タ行の発音が苦手
  • 食べこぼしが多い
  • 口呼吸をしていることが多い
  • 歯並びが気になる
  • いびきをかくことがある

これらの症状が複数当てはまる場合は、一度歯科や小児歯科、耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします。

乳児期

最も多い症状は授乳障害です。

舌が十分に動かないため乳首を深くくわえられず、吸う力が弱くなります。その結果、授乳時間が長くなったり、体重が増えにくくなったりすることがあります。

また、お母さんに乳頭の痛みや母乳分泌の低下が起こることもあります。

幼児期

言葉を覚え始める頃になると、発音のしづらさが目立つことがあります。

特にラ行やサ行、タ行など、舌先を細かく動かす音が不明瞭になることがあります。

さらに、舌をうまく使えないことで食べ物を口の中で移動させにくく、食事に時間がかかることもあります。

学童期・成人

成長しても舌の動きが改善しない場合は、

  • 滑舌が悪い
  • 顎が疲れやすい
  • 顎関節症
  • 舌苔が付きやすい
  • 口臭
  • 口呼吸
  • いびき

などの症状につながることがあります。

舌は本来、安静時には上あごについています。

しかし舌小帯短縮症では舌が低い位置にあることが多く、上あごを十分に押し広げる力が働きません。

その結果、

  • 上あごが狭くなる
  • 歯並びが悪くなる
  • 開咬
  • 反対咬合
  • 出っ歯

などの不正咬合につながる可能性があります。

また、舌の位置が低いことで口呼吸になりやすく、お口の乾燥や虫歯、歯周病のリスクが高くなることもあります。

舌小帯短縮症は先天的な形態異常と考えられています。

はっきりした原因はわかっていませんが、

  • 遺伝的要因
  • 胎児期の発育過程

などが関係すると考えられています。

家族に同じ症状がある場合には発症しやすい傾向があることも報告されています。

診断では、舌の見た目だけでなく「どれくらい動くか」という機能評価が重要です。

診察では次のような項目を確認します。

  • 舌を前に出せるか
  • 上あごまで届くか
  • 舌先の形
  • 発音
  • 食事の様子
  • 授乳状態
  • 歯並び
  • 口呼吸の有無

これらを総合的に評価し、治療の必要性を判断します。

経過観察

軽度で日常生活に支障がない場合は、すぐに手術を行わず経過観察となることがあります。

成長とともに症状が目立たなくなるケースもあります。

口腔筋機能療法(MFT)

舌や唇の筋肉を鍛えるトレーニングです。

舌を正しい位置へ導き、

  • 発音
  • 飲み込み
  • 呼吸
  • 舌の使い方

を改善していきます。

手術前後に行うことで、より良い機能回復が期待できます。

舌小帯切除術

授乳障害や発音障害など、日常生活への影響が大きい場合には手術が検討されます。

舌小帯を切開または形成することで、舌の可動域を改善します。

手術時間は数分から20分程度で終了することが多く、比較的負担の少ない治療です。

手術が勧められるケース

次のような場合は手術を検討することがあります。

  • 授乳が困難
  • 体重増加不良
  • 発音障害
  • 食事がしづらい
  • 歯並びへ悪影響がある
  • 舌がほとんど動かない
  • 睡眠時のいびきや口呼吸が強い

一方で、症状がなく舌の動きにも問題がなければ、手術を行わず経過観察となることも少なくありません。

術後に大切なこと

手術後は再癒着を防ぐためのケアが重要です。

医師の指導のもとで、

  • 舌のストレッチ
  • 舌を持ち上げる体操
  • 発音練習
  • MFT

を継続することで、舌の動きを維持しやすくなります。

自然に治りますか?

軽度では成長とともに改善することがありますが、授乳や発音などに問題がある場合は専門医の診察をおすすめします。

大人でも治療できますか?

はい。成人でも治療は可能です。滑舌や口呼吸、顎の不調の改善を目的に治療を受ける方もいます。

手術は痛いですか?

局所麻酔で行うことが多く、術後の痛みは比較的軽度です。数日で落ち着くケースがほとんどです。

保険は適用されますか?

費用と保険適用|江戸川区の医療助成も解説

舌小帯切除術は、健康保険の適用対象です。

区分点数(参考)自己負担額(3割負担)
舌小帯形成術630点約1,900円

※別途、初診料・再診料・投薬料などがかかる場合があります。

江戸川区の助成制度

江戸川区では、高校3年生相当までの子どもを対象に、保険診療の自己負担分を助成する制度があります。

✅ 条件

  • 所得制限なし
  • 保険証と子ども医療証の提示が必要

詳しくは江戸川区役所またはかかりつけ医にご確認ください。

舌小帯短縮症は、生まれつき舌の動きが制限される状態で、授乳や発音だけでなく、食事や歯並び、口呼吸などにも影響することがあります。

すべての方に治療が必要というわけではありませんが、日常生活に支障がある場合は、適切な診断と治療によって改善が期待できます。

「授乳がうまくいかない」「発音が気になる」「舌の動きがおかしいかもしれない」と感じたら、早めに歯科医院や小児歯科へ相談することが大切です。早期に適切な評価を受けることで、お子さまの健やかな成長とお口の発達につながります。

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舌小帯短縮症は、お子さまの成長とともに自然に問題がなくなる場合もありますが、授乳や発音、歯並び、口呼吸などに影響することもあります。当院では舌の動きやお口全体の発育を丁寧に確認し、一人ひとりに合わせた対応をご提案します。必要に応じて専門医療機関とも連携していますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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