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「最近、喉が渇きやすい」「疲れやすくなった」「健康診断で血糖値を指摘された」――。

糖尿病は、初期には自覚症状がほとんどないまま進行することがある病気です。

そして、糖尿病と深い関係にあるのが歯周病です。

糖尿病があると歯周病が進行しやすくなり、反対に、歯周病による慢性的な炎症が血糖コントロールに影響する可能性もあります。

そのため、糖尿病のある方は血糖値だけでなく、歯ぐきの状態にも注意することが大切です。

この記事では、糖尿病と歯周病の関係を中心に、血糖管理や食生活、お口の健康を守るためのポイントについて解説します。

糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。

血糖値を調節する「インスリン」というホルモンの分泌が不足したり、インスリンが十分に働かなくなったりすることで起こります。

高血糖の状態が長く続くと、血管や神経が障害され、全身にさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

1型糖尿病と2型糖尿病

糖尿病にはいくつかの種類がありますが、代表的なのが1型糖尿病と2型糖尿病です。

  • 1型糖尿病
    主に自己免疫などによって膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンの分泌が著しく低下するタイプです。
  • 2型糖尿病
    遺伝的な要因に加え、食生活、運動不足、肥満、加齢など複数の要因が関係し、インスリンの分泌不足や効きにくさ(インスリン抵抗性)が生じるタイプです。

日本では2型糖尿病が多く、歯周病との関連についても多くの研究が行われています。

糖尿病と歯周病には、一方向ではなく相互に影響し合う関係があると考えられています。

糖尿病があると歯周病が悪化しやすい

血糖値が高い状態が続くと、免疫機能や組織の修復能力などに影響し、細菌感染に対する抵抗力が低下することがあります。

その結果、

  • 歯ぐきが腫れやすい
  • 歯磨きで出血する
  • 歯周ポケットが深くなる
  • 歯を支える歯槽骨が失われる
  • 歯がぐらつく

といった歯周病の症状が進行しやすくなる可能性があります。

血糖コントロールが不十分な場合には、特に注意が必要です。

歯周病が血糖コントロールに影響することも

歯周病は、歯ぐきだけに起こる病気ではありません。

歯周組織で慢性的な炎症が続くと、炎症に関係する物質が血液を介して全身に影響し、インスリンの働きを妨げる可能性が指摘されています。

そのため糖尿病のある方では、内科での治療とともに歯周病を適切に管理することが重要です。

糖尿病は、血糖値が高くなっていても初期にはほとんど症状がないことがあります。

進行すると、

  • 喉が渇く
  • 水分を多く飲む
  • 尿の回数や量が増える
  • 疲れやすい
  • 体重が減る
  • 傷が治りにくい

などの症状が現れることがあります。

しかし、症状だけで糖尿病かどうかを判断することはできません。

健康診断などで血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合は、医療機関を受診しましょう。

糖尿病の診断では、HbA1cだけでなく、空腹時血糖値や随時血糖値などを組み合わせて総合的に判断します。

HbA1cとは?

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、過去1~2か月程度の血糖状態を反映する指標です。

ただし、HbA1cだけで自己判断することはできません。

糖尿病の診断は血糖値などの検査結果も含め、医師が診断基準に基づいて行います。

2型糖尿病では、患者さんの状態に応じて、

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

などを組み合わせて治療します。

必要な治療は、年齢、体格、血糖値、合併症、服用している薬などによって異なります。

「糖質を減らせばよい」「カロリーだけ減らせばよい」と単純に考えるのではなく、医師や管理栄養士などの指導を受けながら継続できる方法を選ぶことが大切です。

食事のあとに血糖値が急激に上昇し、その後大きく低下するような血糖変動がみられることがあります。

一般に「血糖値スパイク」「グルコーススパイク」などと呼ばれることがあります。

食後高血糖や大きな血糖変動を繰り返すことは、血管への負担につながる可能性があるため、糖尿病のある方では食後の血糖値も含めた管理が重要です。

ただし、血糖値の評価や治療については自己判断せず、主治医に相談してください。

食品に含まれる三大栄養素は、

  • 炭水化物
  • タンパク質
  • 脂質

です。

炭水化物は「糖質」と「食物繊維」から構成され、糖質は消化・吸収されることで血糖値に大きく影響します。

特に、

  • 白米
  • パン
  • 麺類
  • 菓子類
  • 砂糖を多く含む飲料

などを一度に多く摂取すると、食後血糖が上昇しやすくなります。

一方で、炭水化物は重要なエネルギー源でもあります。

糖尿病があるからといって、自己判断で極端に制限することはおすすめできません。

GI(グリセミック・インデックス)とは、糖質を含む食品を摂取したあと、血糖値がどの程度上昇するかを示す指標です。

一般的には、精製度の高い白米や白いパンなどは血糖値が上昇しやすく、全粒穀物など食物繊維を多く含む食品では、比較的ゆるやかになる傾向があります。

ただし、GI値だけで食品の良し悪しを判断することはできません。

実際の血糖値への影響は、

  • 食べる量
  • 調理方法
  • 一緒に食べる食品
  • 食物繊維の量
  • 個人の代謝状態

などによって変わります。

「低GIだからいくら食べてもよい」というわけではありません。

糖質の摂取量を調整する食事療法が、血糖管理の選択肢となる場合があります。

しかし、すべての糖尿病患者さんに同じ糖質量が適しているわけではありません。

極端な糖質制限を行うと、栄養バランスが崩れたり、薬物療法との組み合わせによっては低血糖などの問題が生じたりする可能性があります。

特に、

  • インスリン治療を受けている方
  • 血糖降下薬を服用している方
  • 腎臓病などの合併症がある方
  • 高齢の方
  • 妊娠中の方

などは注意が必要です。

糖質量を大きく変更したい場合は、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。

糖尿病と歯科との関係を考えるうえで見落とせないのが、**「しっかり噛めること」**です。

虫歯や歯周病によって歯が痛かったり、歯がぐらついたりすると、硬い食品や繊維質の多い食品を避けるようになることがあります。

その結果、

  • 麺類
  • パン
  • 柔らかいご飯
  • 加工食品

など、噛みやすい食品に食事が偏る場合があります。

お口の状態が悪いことで食事の選択肢が狭くなれば、糖尿病の食事管理にも影響する可能性があります。

自分の歯でしっかり噛める状態を維持することは、全身の健康を支えるうえでも重要です。

糖質を控える代わりに、脂質を無制限に増やしてよいわけではありません。

脂質は重要なエネルギー源ですが、種類や摂取量によって健康への影響が異なります。

オメガ3系脂肪酸

オメガ3系脂肪酸には、魚に含まれるEPA・DHAや、えごま油などに含まれるα-リノレン酸があります。

青魚

サバ、イワシ、サンマなどの青魚にはEPAやDHAが含まれています。

日々の食事では、肉類だけに偏らず、魚、豆類、野菜などを組み合わせることが大切です。

えごま油

えごま油にはα-リノレン酸が含まれています。

酸化しやすいため、保存方法や使用方法については商品の表示に従いましょう。

くるみ

くるみにもα-リノレン酸をはじめとする不飽和脂肪酸が含まれています。

ただし、ナッツ類はエネルギー量が比較的高いため、適量を意識しましょう。

トランス脂肪酸の過剰摂取は、LDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロールを低下させるなど、心血管疾患のリスクに影響することが知られています。

特定の食品を必要以上に恐れる必要はありませんが、菓子類や加工食品などに偏らず、バランスのよい食生活を心がけましょう。

アルコールが血糖値に与える影響は、飲酒量や飲み物に含まれる糖質、食事内容、使用している糖尿病治療薬などによって異なります。

「蒸留酒なら糖質が少ないから安心」「ワインなら何杯まで大丈夫」と一律に判断することはできません。

アルコールそのものにもエネルギーがあり、飲酒によって食事量が増えることもあります。

また、糖尿病治療中の方では、薬との関係で低血糖などに注意が必要な場合があります。

飲酒の可否や適量については主治医に確認しましょう。

腸内には多くの種類の細菌が生息しており、その集団を「腸内細菌叢(腸内フローラ)」と呼びます。

近年、腸内細菌と肥満、糖代謝、脂質代謝などとの関連について研究が進められています。

ただし、「特定の菌を増やせば痩せる」「腸内細菌だけで太りやすさが決まる」といった単純なものではありません。

健康な腸内環境を保つためには、

  • 野菜
  • 海藻
  • 豆類
  • 全粒穀物
  • 発酵食品

などをバランスよく取り入れることが基本です。

発酵食品や食物繊維を取り入れる

ヨーグルト

ヨーグルトなどの発酵食品は、日常の食事に取り入れやすい食品です。

ただし、加糖タイプでは糖質量が多くなる場合があるため、糖尿病のある方は栄養成分表示も確認しましょう。

納豆

納豆は発酵食品であると同時に、タンパク質や食物繊維などを摂取できる食品です。

野菜

野菜などに含まれる食物繊維は、腸内環境を整えるだけでなく、食後血糖の急激な上昇を抑えるうえでも役立ちます。

特定の食品だけに頼るのではなく、さまざまな食品を組み合わせることが大切です。

糖尿病のある方で、次のような症状がある場合は歯周病が進行している可能性があります。

  • 歯磨きをすると歯ぐきから血が出る
  • 歯ぐきが赤く腫れている
  • 歯ぐきが下がって歯が長く見える
  • 口臭が気になる
  • 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった
  • 歯が浮くような感じがする
  • 硬いものを噛むと違和感や痛みがある
  • 歯がぐらついている
  • 歯ぐきから膿が出る

歯周病は、初期には強い痛みが出にくい病気です。

そのため、「痛くないから大丈夫」と思っている間に、歯を支える歯槽骨の吸収が進んでいることもあります。

特に糖尿病のある方は歯周病が進行しやすい可能性があるため、症状の有無にかかわらず定期的に歯科検診を受けることが大切です。

糖尿病と歯周病は、お互いに影響を及ぼすことが知られています。

糖尿病によって歯周病が悪化するだけでなく、歯周病による慢性的な炎症が血糖コントロールに影響する可能性があります。

そのため、糖尿病のある方にとって歯周病治療は、単に歯を守るためだけの治療ではありません。

歯周病を適切に治療して炎症を抑えることが、全身の健康管理にもつながる可能性があります。

ただし、歯周病治療だけで糖尿病が治るわけではありません。

内科での血糖管理と歯科での歯周病管理を並行して行うことが重要です。

糖尿病があっても、多くの場合は通常の歯周病治療を受けることができます。

基本となるのは、歯周病の原因となる歯垢(プラーク)や歯石を取り除き、お口の中の炎症を減らすことです。

歯磨き・セルフケアの改善

歯周病治療では、毎日の歯磨きが非常に重要です。

歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に落とせないため、必要に応じて、

  • デンタルフロス
  • 歯間ブラシ
  • タフトブラシ

などを使用します。

歯並びや歯周ポケットの状態によって適した清掃方法は異なるため、歯科衛生士から自分のお口に合った方法の指導を受けることをおすすめします。

歯石・バイオフィルムの除去

歯磨きだけでは取り除けない歯石や歯周ポケット内の汚れは、歯科医院で除去します。

歯周病の進行度に応じて、歯の表面や歯根に付着した歯石や細菌性の沈着物を取り除き、歯ぐきの炎症改善を図ります。

進行した歯周病では追加治療を検討

歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットや炎症が残る場合には、状態に応じて歯周外科治療などを検討することがあります。

ただし、すべての患者さんに外科治療が必要になるわけではありません。

歯周病の進行度、歯槽骨の状態、噛み合わせ、全身状態、血糖コントロールなどを総合的に評価して治療方法を決定します。

糖尿病のある方では、血糖コントロールの状態によって歯科治療時の対応を調整することがあります。

血糖値が高い状態が続いている場合には、

  • 感染しやすくなる
  • 炎症が治まりにくくなる
  • 傷の治癒が遅れる

などの可能性があるためです。

特に抜歯、歯周外科、インプラント手術などの外科処置を予定している場合には、糖尿病の状態を確認することが重要です。

お薬手帳やHbA1cの情報をお持ちください

糖尿病で治療を受けている方は、歯科を受診するときに、

  • 糖尿病で治療中であること
  • 使用している薬やインスリン
  • 最近のHbA1cや血糖値
  • 糖尿病の合併症
  • 内科の主治医から受けている指示

などを歯科医師にお伝えください。

必要に応じて、内科の主治医と連携しながら歯科治療を進めることがあります。

糖尿病の薬を歯科治療のために自己判断で中止することは避けてください。

歯周病が進行して歯がぐらついたり、歯を失ったりすると、十分に噛めなくなることがあります。

すると、肉や野菜など噛み応えのある食品を避け、パン、麺類、柔らかいご飯など、食べやすい食品に偏ってしまうことがあります。

糖尿病の食事療法を続けるためにも、さまざまな食品をしっかり噛んで食べられる口腔環境を維持することが大切です。

虫歯や歯周病を治療するだけでなく、失った歯がある場合には、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどを含め、噛む機能を回復する方法を検討します。

歯周病は、一度治療をすれば終わりという病気ではありません。

歯周病治療によって症状が改善しても、歯周ポケットが残っていたり、セルフケアが不十分になったりすると再び悪化することがあります。

特に糖尿病のある方では、血糖コントロールの変化によって歯周組織の状態も変わる可能性があります。

そのため治療後も、

  • 歯ぐきの炎症
  • 歯周ポケット
  • 歯の動揺
  • 歯垢・歯石の付着
  • 噛み合わせ
  • 毎日のセルフケア

などを定期的に確認することが大切です。

患者さんのお口の状態に応じて、適切な間隔でメンテナンスを続けていきます。

糖尿病だと必ず歯周病になりますか?

いいえ。糖尿病があるからといって、必ず歯周病になるわけではありません。

ただし、血糖コントロールが不十分な状態では歯周病が発症・進行しやすくなる可能性があります。

毎日の歯磨きと定期的な歯科受診を続けることが重要です。

歯周病を治療すると糖尿病も治りますか?

歯周病治療だけで糖尿病が治るわけではありません。

一方、歯周病の炎症を改善することで、血糖コントロールにも良い影響を与える可能性が報告されています。

糖尿病は内科での治療を継続しながら、歯科でも歯周病を適切に管理することが大切です。

HbA1cが高くても歯科治療はできますか?

治療内容や糖尿病の状態によって異なります。

通常の歯科治療を行える場合もありますが、血糖コントロールが不十分な場合や外科処置を行う場合には、感染や治癒遅延などに配慮する必要があります。

HbA1cの数値だけで一律に判断するのではなく、全身状態や予定している治療内容を確認して判断します。

糖尿病の薬を飲んでいても歯周病治療はできますか?

多くの場合、治療可能です。

ただし、服用している薬や治療内容によって注意点が異なります。

歯科を受診する際はお薬手帳を持参し、糖尿病の治療内容を歯科医師に伝えてください。

薬を自己判断で中止したり、服用量を変更したりしないことが重要です。

歯ぐきから血が出るだけでも受診したほうがよいですか?

歯磨きのたびに出血する場合は、歯肉炎や歯周病が起きている可能性があります。

特に糖尿病のある方では、症状が軽いうちから状態を確認しておくことが大切です。

出血が続く場合は歯科医院を受診しましょう。

糖尿病と歯周病は、それぞれ別の病気に見えますが、互いに影響し合う関係があります。

糖尿病によって歯周病が進行しやすくなる一方、歯周病による慢性的な炎症が血糖コントロールに影響する可能性もあります。

大切なのは、「糖尿病は内科、歯周病は歯科」と完全に切り離して考えないことです。

血糖値を適切に管理するとともに、

  • 毎日の丁寧な歯磨き
  • 歯間ブラシやフロスによる清掃
  • 歯科医院での歯石・バイオフィルムの除去
  • 定期的な歯周病検査
  • しっかり噛める口腔環境の維持

を続けることが、お口と全身の健康を守ることにつながります。

糖尿病があり、「歯ぐきから血が出る」「歯ぐきが腫れる」「歯がぐらつく」「口臭が気になる」といった症状がある方は、症状が強くなるまで待たず、一度歯科医院で歯周病の状態を確認することをおすすめします。

糖尿病の治療と歯周病の管理を並行して行い、歯と全身の健康を長く守っていきましょう。

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歯ぐきの出血・腫れ・口臭・歯のぐらつきは、歯周病のサインかもしれません。糖尿病と歯周病は互いに影響するため、血糖管理とあわせてお口の健康を守ることが大切です。

症状が軽いうちから歯周病の状態を確認し、必要な治療や定期的なメンテナンスにつなげましょう。全身の健康を守るためにも、ぜひお気軽にご相談ください。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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