- 1. 糖尿病で歯周病です。歯ぐきから出血と小さな腫れがあります。歯磨きで治りますか?
- 1.1. ご相談内容
- 2. 歯ブラシで出血するのは歯周病のサインです
- 2.1. 出血してもブラッシングは続けましょう
- 2.2. 歯間ブラシ・フロスを併用しましょう
- 2.3. 歯ぐきのふくらみは放置しないでください
- 2.3.1. 歯ぐきの境目にできる腫れ
- 2.3.2. 歯の根元付近のふくらみ
- 3. 重度の歯周病はブラッシングだけでは治りません
- 4. 糖尿病の方が歯周病になりやすい理由
- 5. 症例でみる糖尿病と歯周病
- 5.1. 治療前
- 5.1.1. 正面写真
- 5.1.2. 右側写真
- 5.1.3. 左側写真
- 5.1.4. 染め出しで分かる磨き残し
- 5.2. 歯磨き指導と歯石除去後の改善
- 5.2.1. 正面写真
- 5.2.2. 右側写真
- 5.2.3. 左側写真
- 6. 当院で行う糖尿病の方の歯周病治療
- 7. よくある質問(FAQ)
- 7.1. Q1. 歯磨きで血が出ても磨いて大丈夫ですか?
- 7.2. Q2. 糖尿病があると歯周病は治りにくいですか?
- 7.3. Q3. 歯ぐきのふくらみは自然に治ったので様子を見てもいいですか?
- 7.4. Q4. 糖尿病と歯周病は本当に関係がありますか?
- 8. まとめ
- 8.1. 関連記事
- 9. 糖尿病の方こそ、歯周病の早期発見・早期治療が大切です
- 10. 【動画】歯周病の手遅れの症状
- 11. 筆者・院長
- 11.1. 深沢 一
- 11.1.1. メッセージ

「歯磨きをすると毎回出血する」「歯ぐきに小さなふくらみができては治る」「奥歯を噛むと少し痛む」。
このような症状は、糖尿病をお持ちの方によくみられる歯周病のサインかもしれません。
糖尿病と歯周病は密接に関係しており、糖尿病があると歯周病が悪化しやすく、逆に歯周病が進行すると血糖コントロールも悪くなることが分かっています。
この記事では、糖尿病の方にみられる歯ぐきの出血や腫れの原因、ブラッシングで改善できるケース、歯科医院で必要となる治療について歯周病専門の視点から詳しく解説します。
糖尿病で歯周病です。歯ぐきから出血と小さな腫れがあります。歯磨きで治りますか?
ご相談内容
現在、2型糖尿病で内服治療を受けています。
歯周病用の歯ブラシを使用していますが、歯磨きのたびに歯ぐきから出血します。歯間ブラシも毎日使っていますが、大きな改善は感じられません。
最近は歯ぐきに小さなふくらみができ、自然に治ることを繰り返しています。また、硬い物を噛むと奥歯がきしむような軽い痛みもあります。
このような状態は、ブラッシングだけで改善するのでしょうか。それとも外科的な治療が必要なのでしょうか。
歯ブラシで出血するのは歯周病のサインです

歯磨きで出血する最も多い原因は、歯肉に炎症が起きていることです。
健康な歯ぐきはブラッシング程度では出血しません。
プラーク(細菌の塊)が歯ぐきに付着すると炎症が起こり、わずかな刺激でも出血しやすくなります。
糖尿病では
- 免疫機能の低下
- 血流障害
- 傷の治りにくさ
が重なるため、同じ量のプラークでも炎症が強く現れます。
そのため、糖尿病の方の歯ぐきの出血は放置してはいけない重要なサインです。
出血してもブラッシングは続けましょう
「出血するから磨かない方がよい」と思われる方もいますが、それは逆効果です。
炎症を改善するためには、
- 歯と歯ぐきの境目
- 歯周ポケット周囲
のプラークを毎日除去することが最も重要です。
最初は出血していても、適切なブラッシングを続けることで炎症が改善し、徐々に出血も減少していきます。
ただし、力を入れて磨く必要はありません。
毛先を歯と歯ぐきの境目に軽く当て、小刻みに優しく磨くことがポイントです。
歯間ブラシ・フロスを併用しましょう
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは約6割程度しか除去できません。
歯周病の改善には
- 歯間ブラシ
- デンタルフロス
の使用が欠かせません。
さらに当院では、**POICウォーター(ポイックウォーター)**を用いたホームケアもご提案しています。
POICウォーターはタンパク質を分解する性質を利用して口腔内の汚れを除去し、細菌の繁殖を抑える補助的なケアとして活用されています。
毎日のセルフケアと組み合わせることで、より良好な口腔環境の維持が期待できます。
歯ぐきのふくらみは放置しないでください
歯ぐきにできる小さなふくらみには、いくつかの原因があります。
歯ぐきの境目にできる腫れ
歯周病による歯周膿瘍の可能性があります。
歯周ポケットの中で細菌感染が起こると、一時的に膿がたまり、腫れては破れて治ることを繰り返します。
歯の根元付近のふくらみ
フィステル(瘻孔)と呼ばれる状態の可能性があります。
これは歯の神経が感染し、根の先に膿がたまっている状態です。
この場合はブラッシングでは治らず、
- 根管治療
- 再根管治療
- 歯根端切除術
などが必要になることがあります。
重度の歯周病はブラッシングだけでは治りません

歯周病が軽度であれば、セルフケアの改善で炎症は大きく改善します。
しかし、
- 深い歯周ポケット
- 縁下歯石
- 歯槽骨の吸収
が進行している場合は、歯ブラシだけでは改善できません。
歯周ポケットの内部には歯ブラシが届かないため、専門的な歯周治療が必要になります。
糖尿病の方が歯周病になりやすい理由

糖尿病では、次のような理由から歯周病が進行しやすくなります。
- 免疫力が低下し細菌に抵抗しにくくなる
- 血流障害により歯ぐきの治癒が遅れる
- 炎症反応が強く現れやすい
- 縁下歯石が付着しやすい
- 歯周病が悪化すると血糖値も上昇しやすくなる
このように、糖尿病と歯周病は互いに悪影響を及ぼす「双方向性」の関係にあります。
症例でみる糖尿病と歯周病
治療前
正面写真

歯ぐき全体に発赤と腫脹がみられ、軽度の自然出血が認められます。
また、
- 歯肉縁上プラーク
- 着色
- 縁下歯石
が認められ、糖尿病による治癒力低下も加わり炎症が強く現れています。
右側写真

右側では歯の根元にプラークと縁下歯石が多く付着しています。
歯肉は丸く腫れ、歯周ポケット周囲の発赤が目立ちます。
糖尿病ではこのような炎症反応がさらに強くなり、出血しやすい歯ぐきになります。
左側写真

左側でも歯間乳頭の腫れと多数の出血点が確認できます。
歯肉の浮腫が強く、糖尿病に伴う血流障害や免疫低下が歯周病を悪化させている典型的な状態です。
染め出しで分かる磨き残し

プラーク染色を行うと、赤く染まった部分が磨き残しです。
特に、
- 歯と歯ぐきの境目
- 歯間部
- 下顎前歯の裏側
に磨き残しが集中していました。
糖尿病では、この磨き残しと炎症部位がほぼ一致することが多く、適切なブラッシング指導が非常に重要になります。
歯磨き指導と歯石除去後の改善
適切なブラッシング指導とスケーリング・ルートプレーニング(SRP)を行った結果、歯ぐきは大きく改善しました。
正面写真

- 発赤の改善
- 腫脹の軽減
- 自然出血の消失
- 歯肉の引き締まり
が認められました。
右側写真

歯肉の色調は健康的なピンク色に近づき、
- プラークの減少
- 歯間部の清掃状態改善
- ポケット周囲の炎症軽減
が確認できました。
左側写真

左側でも、
- 縁上歯石の除去
- 歯肉の赤みの改善
- 歯間部プラークの減少
- 歯ぐきの引き締まり
が確認され、ブラッシング技術の向上が反映されています。
当院で行う糖尿病の方の歯周病治療
当院では、糖尿病の患者さんに対して次のような歯周病治療を行っています。
- 精密な歯周病検査
- レントゲン・必要に応じて歯科用CT撮影
- ブラッシング指導(TBI)
- スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
- PMTC・エアフローによる専門的クリーニング
- 必要に応じた歯周外科治療
- 定期的なメインテナンス(SPT)
また、歯周病菌の種類や量を詳しく調べたい方には、リアルタイムPCR検査にも対応しています。原因菌をDNAレベルで解析することで、一人ひとりに適した治療計画をご提案しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 歯磨きで血が出ても磨いて大丈夫ですか?
はい。強くこすらず、歯と歯ぐきの境目をやさしく丁寧に磨きましょう。炎症が改善すると、出血も徐々に減少します。
Q2. 糖尿病があると歯周病は治りにくいですか?
血糖コントロールが不良な場合は治癒に時間がかかることがありますが、適切な歯周病治療とセルフケア、内科での血糖管理を並行して行うことで改善が期待できます。
Q3. 歯ぐきのふくらみは自然に治ったので様子を見てもいいですか?
一時的に腫れが引いても原因が解決しているとは限りません。歯周病や根の感染が隠れている可能性があるため、早めの受診をおすすめします。
Q4. 糖尿病と歯周病は本当に関係がありますか?
はい。両者は密接に関係しており、歯周病の改善によって血糖コントロールの改善が期待できることも報告されています。
まとめ
糖尿病の方が歯磨きで出血する場合、その多くは歯周病による炎症が原因です。
初期の歯周病であれば、正しいブラッシングや歯間清掃によって改善が期待できます。しかし、歯ぐきの腫れを繰り返したり、歯ぐきにふくらみができたり、噛むと痛みがある場合は、歯周病だけでなく歯の根の感染が隠れていることもあります。
糖尿病と歯周病は互いに悪影響を及ぼすため、「出血するけれど様子を見よう」と放置せず、早めに歯科医院で検査を受けることが大切です。
関連記事
糖尿病の方こそ、歯周病の早期発見・早期治療が大切です

「歯磨きをすると血が出る」
「歯ぐきが腫れている」
「歯周病と言われたことがある」
このような症状がある場合は、糖尿病の影響で歯周病が進行している可能性があります。
歯周病は放置すると歯を支える骨が徐々に失われるだけでなく、血糖コントロールにも悪影響を及ぼすことが知られています。しかし、適切な歯周病治療と毎日のセルフケアを続けることで、歯ぐきの健康を取り戻し、再発を予防することが可能です。
当院では、歯周病の精密検査をはじめ、
- 歯周病の進行度を詳しく調べる歯周組織検査
- スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
- PMTC・エアフローによる専門的クリーニング
- ブラッシング指導(TBI)
- リアルタイムPCR検査による歯周病原因菌の解析(必要に応じて)
など、お一人おひとりのお口の状態に合わせた治療をご提案しています。
歯ぐきからの出血や腫れは、身体からの大切なサインです。
気になる症状がある方は、お早めにお気軽にご相談ください。
【動画】歯周病の手遅れの症状
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





