- 1. 【🎬】歯石取りで血だらけに!?その理由と“出血しない”ための正しいケア法とは
- 2. 歯石取りで出血するのは普通?
- 2.1. 多くの場合は心配ありません
- 2.2. 「血だらけ=治療ミス」ではありません
- 2.3. 正常な出血と注意が必要な出血
- 3. なぜ歯石取りで出血するの?
- 3.1. 原因は「歯石」ではなく歯ぐきの炎症です
- 3.2. 炎症がある歯ぐきでは毛細血管が弱くなる
- 3.3. 歯石を取ることで初めて炎症部分が現れる
- 4. 出血は歯周病のサイン?
- 4.1. 健康な歯ぐきは簡単には出血しません
- 4.2. 歯科医院でも「出血」は重要な検査項目です
- 4.3. 出血を放置すると歯周病が進行することも
- 5. 健康な歯ぐきとの違い
- 5.1. 健康な歯ぐきの特徴
- 5.2. 炎症を起こした歯ぐきの特徴
- 5.3. 歯石取りを続けることで歯ぐきは健康へ向かう
- 6. 出血しやすい人の特徴|黒い歯石・症例写真でわかる歯周病との関係
- 6.1. 出血しやすい人の特徴
- 6.1.1. 歯周病・歯肉炎が進行している
- 6.1.2. 歯石を長期間放置している
- 6.1.3. 毎日の歯磨きが十分にできていない
- 6.1.4. 喫煙習慣がある
- 6.1.5. 糖尿病などの全身疾患がある
- 6.1.6. 血液をサラサラにする薬を服用している
- 7. 黒い歯石(歯肉縁下歯石)とは?
- 7.1. 歯石には「白い歯石」と「黒い歯石」があります
- 7.2. 黒い歯石は歯周病の進行を示すサイン
- 7.3. 見えない場所で歯周病が進行していることもあります
- 8. 症例紹介|歯石取り後に歯ぐきはどのように改善するのか
- 8.1. 術前:大量の歯石と強い炎症
- 8.2. 歯石取り当日
- 8.3. 1週間後
- 8.4. 2週間後
- 9. 歯石取りで歯ぐきを傷つけたわけではない
- 10. 歯石取りで起こる「歯原性菌血症」とは?
- 10.1. 一時的に細菌が血液へ入ることがあります
- 10.2. 特に注意が必要な方
- 11. 出血を減らすための歯周病治療の流れ|痛みや出血を抑えるための段階的な治療
- 12. 歯周病治療の流れ
- 12.1. STEP1 歯周病の検査
- 12.2. STEP2 まずはプラークコントロールで炎症を改善する
- 12.2.1. いきなり歯石を取ることが最善とは限りません
- 12.2.2. プラークコントロールとは
- 12.2.3. 歯科医院で行うプラークコントロール
- 12.2.4. 炎症が改善すると出血しにくくなる
- 12.3. STEP3 白い歯石(歯肉縁上歯石)の除去
- 12.3.1. まずは歯ぐきより上の歯石から除去します
- 12.3.2. 超音波スケーラーを使用することが一般的です
- 12.4. STEP4 歯周ポケットの再評価
- 12.5. STEP5 SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
- 12.5.1. 黒い歯石を取り除く治療
- 12.5.2. 必要に応じて麻酔を使用します
- 12.5.3. 歯の根を滑らかにする理由
- 12.6. STEP6 治療後もセルフケアが重要
- 12.6.1. 歯石は再び付着します
- 13. 自宅でできるセルフケア
- 13.1. 正しい歯磨きを続ける
- 13.2. デンタルフロスを毎日使用する
- 13.3. 歯間ブラシを取り入れる
- 13.4. 定期的なメンテナンスを受ける
- 14. 歯石取りは「出血しないこと」がゴールではありません
- 15. 歯石取り後の注意点|出血を早く落ち着かせるために
- 15.1. 強いうがいは控えましょう
- 15.2. ガーゼでやさしく圧迫する
- 15.3. 激しい運動は当日控えましょう
- 15.4. 熱い飲食物は少し時間を空ける
- 15.5. 飲酒・喫煙はできるだけ避けましょう
- 15.6. 歯磨きは中止しないでください
- 16. 歯石取り後に血が止まらないときは?
- 16.1. ご自宅でできる応急処置
- 16.2. 歯科医院へ連絡したほうがよい症状
- 17. よくある質問(FAQ)
- 17.1. Q. 歯石取りで毎回血が出ます。異常でしょうか?
- 17.2. Q. 歯石取りで歯ぐきを傷つけたのでしょうか?
- 17.3. Q. 歯石取りのあとに歯磨きしても大丈夫ですか?
- 17.4. Q. 歯石取りをすると歯が削れますか?
- 17.5. Q. 血が出るなら歯石取りはしない方がいいですか?
- 17.6. Q. 次回も同じくらい出血しますか?
- 18. まとめ
- 18.1. 関連記事
- 19. 歯石取りで出血が気になる方へ 一人で悩まず、まずはご相談ください
- 20. 【動画】歯石は自分で取れる?
- 21. 筆者・院長
- 21.1. 深沢 一
- 21.1.1. メッセージ

「歯石取りをしたら口の中が血だらけになった…」
「歯医者さんで歯ぐきを傷つけられたのでは?」
「こんなに血が出るのは異常?」
歯石取りのあとに出血すると、不安になる方は少なくありません。しかし、多くの場合、その出血は処置によるトラブルではなく、歯ぐきに炎症が起きているサインです。
健康な歯ぐきは、歯石取りで簡単に出血することはありません。一方で、歯肉炎や歯周病によって炎症を起こしている歯ぐきは、わずかな刺激でも出血しやすい状態になっています。
つまり、歯石取りで出血したからといって処置が失敗したわけではなく、歯石の下に隠れていた歯ぐきの状態が明らかになったと考えることができます。
この記事では、
- 歯石取りで出血する本当の理由
- 歯周病との関係
- 健康な歯ぐきとの違い
- 出血を減らすために大切なこと
について、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。
【🎬】歯石取りで血だらけに!?その理由と“出血しない”ための正しいケア法とは
歯石取りで出血するのは普通?

多くの場合は心配ありません
歯石取りを受けたあとに少量の出血がみられることは珍しくありません。
特に歯ぐきに炎症がある方では、歯石を除去する際に一時的に出血することがあります。
これは歯ぐきが傷ついたというよりも、炎症によって弱くなっていた組織が反応しているためです。
処置後の出血は、多くの場合、数分から10分程度で自然に落ち着きます。
出血したからといって過度に心配する必要はありません。
「血だらけ=治療ミス」ではありません
処置後にうがいをしたとき、水が真っ赤になることがあります。
しかし、見た目ほど大量の出血ではありません。
唾液に少量の血液が混ざるだけでも、口の中では大きく広がるため、実際以上に多く出血しているように感じます。
歯科医院では、歯石だけでなく歯ぐきの状態も確認しながら処置を行っています。
そのため、歯ぐきに炎症がある方ほど出血しやすくなりますが、これは治療が適切に行われている証拠でもあります。
正常な出血と注意が必要な出血
歯石取り後の出血には、心配のないケースと歯科医院へ相談した方がよいケースがあります。
| 多くは正常な経過 | 早めに歯科医院へ相談したほうがよいケース |
|---|---|
| 数分〜10分程度で止まる | 30分以上出血が続く |
| 少量のにじむような出血 | 大量の出血が続く |
| 翌日にはほぼ落ち着く | 出血量が増えてくる |
| 痛みが徐々に軽くなる | 強い痛みや腫れ、発熱を伴う |
ほとんどの方は左側の経過をたどります。
右側のような症状がある場合は、自己判断せず歯科医院へ連絡しましょう。
なぜ歯石取りで出血するの?

原因は「歯石」ではなく歯ぐきの炎症です
歯石とは、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)が石灰化して硬くなったものです。
歯石の表面は非常にざらざらしているため、細菌がさらに付着しやすくなります。
その結果、歯ぐきの周囲では慢性的な炎症が続き、歯肉炎や歯周病が進行していきます。
歯石そのものが出血するわけではありません。
歯石の周囲で炎症を起こしている歯ぐきが出血しているのです。
炎症がある歯ぐきでは毛細血管が弱くなる
炎症が起きた歯ぐきでは、次のような変化が起こっています。
- 毛細血管が拡張している
- 血流が増えて赤く腫れている
- 歯ぐきがむくみ、柔らかくなっている
- わずかな刺激でも出血しやすい
そのため、歯石を除去する際にスケーラーが触れるだけで出血することがあります。
これは異常な反応ではなく、炎症が存在することを示す自然な反応です。
歯石を取ることで初めて炎症部分が現れる
長期間放置された歯石は、歯ぐきの縁や歯周ポケットの中に深く入り込んでいます。
歯石が付着している間は、その下で炎症が進行していても外からは見えないことがあります。
歯石を取り除くことで、炎症を起こしていた歯ぐきが初めて露出し、一時的に出血が目立つことがあります。
つまり、
歯石取りによって炎症を悪化させたのではなく、隠れていた炎症が表面に現れた状態なのです。
出血は歯周病のサイン?
健康な歯ぐきは簡単には出血しません
健康な歯ぐきは適度な弾力があり、毛細血管もしっかりしています。
そのため、
- 歯ブラシ
- デンタルフロス
- 歯石取り
などの刺激で簡単に出血することはありません。
もし歯石取りで大量に出血した場合は、歯ぐきに炎症が存在している可能性が高いと考えられます。
歯科医院でも「出血」は重要な検査項目です
歯周病検査では、歯周ポケットの深さだけでなく、
プロービング時に出血するかどうか(BOP:Bleeding on Probing)
も重要な診断項目です。
BOPが認められる部位では、歯ぐきの内部で炎症が続いていることが多く、歯周病が活動している可能性があります。
つまり、出血は歯周病の重症度や活動性を判断する大切な指標でもあります。
出血を放置すると歯周病が進行することも
歯石取りで出血する方の多くは、
- 歯ぐきの腫れ
- 歯磨き時の出血
- 口臭
- 歯周ポケットの深化
などを伴っています。
こうした症状を放置すると、歯を支える歯槽骨が徐々に吸収され、歯周病が進行することがあります。
そのため、「血が出たから怖い」と歯石取りを避けるのではなく、炎症を改善するために適切な歯周病治療を受けることが大切です。
健康な歯ぐきとの違い
健康な歯ぐきの特徴
健康な歯ぐきには次のような特徴があります。
- 淡いピンク色をしている
- 引き締まっている
- 腫れていない
- 歯磨きや歯石取りでほとんど出血しない
- 歯周ポケットは1〜3mm程度
このような歯ぐきでは、歯石取りを行っても出血は最小限で済みます。

炎症を起こした歯ぐきの特徴
一方、歯肉炎や歯周病になると、
- 赤く腫れる
- 歯ぐきが丸く膨らむ
- ブラッシングで出血する
- 歯石取りで出血しやすい
- 歯周ポケットが深くなる
といった変化が現れます。
特に歯ぐきの中に付着した**歯肉縁下歯石(黒い歯石)**がある場合は、炎症が強く、出血しやすい傾向があります。

歯石取りを続けることで歯ぐきは健康へ向かう
歯石取りで出血したからといって、悲観する必要はありません。
歯石を除去し、毎日の歯磨きや歯間ブラシ・デンタルフロスなどによるセルフケアを継続することで、歯ぐきの炎症は徐々に改善していきます。
炎症が治まると毛細血管も正常な状態に戻り、次回以降の歯石取りでは出血が少なくなることがほとんどです。
「歯石取りで出血した」という事実は、歯ぐきを健康な状態へ改善するための第一歩ともいえるでしょう。
出血しやすい人の特徴|黒い歯石・症例写真でわかる歯周病との関係
出血しやすい人の特徴
歯石取りをしてもほとんど出血しない方がいる一方で、口の中が真っ赤になるほど出血する方もいます。
この違いは、歯科医師や歯科衛生士の技術ではなく、歯ぐきの炎症の程度によるものです。
炎症が強いほど毛細血管が拡張し、組織が弱くなっているため、歯石を除去する際に出血しやすくなります。
次のような方は、歯石取りで出血しやすい傾向があります。

歯周病・歯肉炎が進行している
最も多い原因が歯肉炎や歯周病です。
歯周病になると歯ぐきの内部では慢性的な炎症が続き、毛細血管が増えて非常にもろい状態になります。
そのため、歯石を除去する際だけでなく、歯磨きやデンタルフロスでも出血しやすくなります。
出血は炎症が存在するサインであり、歯周病が進行している可能性を示しています。
歯石を長期間放置している
歯石は時間が経つほど厚く硬くなり、歯ぐきの中へ深く入り込んでいきます。
この状態では歯石の周囲に大量の歯周病菌が集まり、炎症がさらに悪化します。
その結果、歯石を除去した際に出血しやすくなります。
「何年も歯石取りをしていない」という方ほど、初回の処置では出血が多くなる傾向があります。
毎日の歯磨きが十分にできていない
歯磨きが不十分だと、歯と歯ぐきの境目にプラーク(歯垢)が蓄積します。
プラークの中には数百種類もの細菌が存在しており、これらが歯ぐきに炎症を引き起こします。
歯石そのものよりも、歯石の表面に付着した細菌が炎症の大きな原因です。
そのため、毎日のセルフケアが不十分な方は出血しやすくなります。
喫煙習慣がある
喫煙は歯周病を進行させる大きな危険因子です。
タバコに含まれるニコチンは歯ぐきの血流を低下させ、免疫機能を弱めます。
喫煙者では炎症が進行していても見た目の出血が少ないことがありますが、歯石取りをすると隠れていた炎症が現れ、一時的に多く出血することがあります。
また、治療後の治癒も遅くなるため注意が必要です。
糖尿病などの全身疾患がある
糖尿病は歯周病と深い関係があります。
血糖値が高い状態が続くと免疫機能が低下し、歯周病菌に対する抵抗力が弱くなります。
そのため歯ぐきの炎症が慢性化し、歯石取りでも出血しやすくなります。
また、糖尿病の治療状況によっては傷の治りが遅くなることもあるため、事前に歯科医院へ伝えておくことが大切です。
血液をサラサラにする薬を服用している
抗凝固薬や抗血小板薬を服用している方では、歯石取り後の出血が通常より長く続くことがあります。
しかし、多くの場合は歯石取りのために薬を自己判断で中止する必要はありません。
服用中の薬がある場合は、必ず歯科医師へ申告しましょう。
黒い歯石(歯肉縁下歯石)とは?
歯石には「白い歯石」と「黒い歯石」があります
歯石には大きく分けて2種類あります。


| 種類 | 付着する場所 | 特徴 | 出血しやすさ |
|---|---|---|---|
| 白い歯石(歯肉縁上歯石) | 歯ぐきより上 | 黄白色・比較的柔らかい | 少ない |
| 黒い歯石(歯肉縁下歯石) | 歯ぐきの中 | 黒褐色・非常に硬い | 非常に多い |
【画像:白い歯石と黒い歯石の比較】
黒い歯石は歯周病の進行を示すサイン
黒い歯石は歯周ポケットの内部に形成されます。
歯ぐきから出た血液の成分が歯石に取り込まれるため、黒褐色になります。
黒い歯石の周囲では歯周病菌が大量に繁殖し、歯ぐきの炎症が強くなっています。
そのため、除去する際には出血しやすいだけでなく、深い歯周ポケットでは麻酔を併用することもあります。
見えない場所で歯周病が進行していることもあります
歯肉縁下歯石は歯ぐきの中に隠れているため、ご自身で見ることはほとんどできません。
見た目には歯がきれいに見えても、
- 歯ぐきが腫れている
- 歯磨きで出血する
- 口臭が気になる
という場合は、歯ぐきの中に黒い歯石が存在している可能性があります。
歯周病検査やレントゲン検査を行うことで、その状態を詳しく確認できます。
症例紹介|歯石取り後に歯ぐきはどのように改善するのか
術前:大量の歯石と強い炎症
初診時には歯と歯ぐきの境目に大量の歯石が付着していました。
歯ぐきは赤く腫れ、歯周ポケットからの出血も認められる状態です。
このような歯ぐきでは、少し触れるだけでも出血しやすくなっています。



歯石取り当日
歯石を除去すると、一時的に出血がみられます。
これは歯石によって隠れていた炎症部分が刺激されたためであり、多くの場合は正常な反応です。
歯石が除去されたことで、歯ぐきが治癒しやすい環境が整います。

1週間後
歯石が除去され、患者さんが毎日のセルフケアを続けることで、歯ぐきの赤みや腫れが徐々に改善していきます。
出血も少なくなり、歯ぐきが引き締まり始めます。

2週間後
炎症はさらに改善し、健康的なピンク色の歯ぐきへ近づいています。
初診時には簡単に出血していた部位でも、この頃には出血しにくい状態になっています。
歯石取りによる出血は、歯ぐきが健康を取り戻すまでの一時的な反応であることがよく分かる症例です。

歯石取りで歯ぐきを傷つけたわけではない
歯石取りで出血すると、
「歯ぐきを削られたのでは?」
と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、歯科医師や歯科衛生士は歯石だけを除去するよう細心の注意を払って処置を行っています。
健康な歯ぐきであれば、器具が触れてもほとんど出血しません。
一方、炎症を起こした歯ぐきでは、毛細血管が非常にもろくなっているため、わずかな刺激でも出血します。
つまり、出血の原因は器具ではなく、歯周病によって弱くなっていた歯ぐきなのです。
また、歯石を除去することで歯ぐきは本来の位置へ引き締まり、「歯が長くなった」「隙間が広がった」と感じることがあります。
これも歯石に覆われていた部分が見えるようになった結果であり、歯が削れたわけではありません。
歯石取りで起こる「歯原性菌血症」とは?

一時的に細菌が血液へ入ることがあります
歯石取りでは、炎症を起こした歯ぐきから一時的に細菌が血流へ入ることがあります。
これを歯原性菌血症といいます。
しかし、健康な方では免疫機能が速やかに細菌を排除するため、大きな問題になることはほとんどありません。
特に注意が必要な方
次のような方では、処置前に必ず歯科医師へ申告してください。
- 人工弁や心臓弁膜症などの心疾患がある
- 感染性心内膜炎の既往がある
- 人工関節が入っている
- がん治療中で免疫力が低下している
- コントロール不良の糖尿病
- 免疫抑制剤を服用している
必要に応じて内科や主治医と連携し、安全性に配慮しながら歯周治療を進めます。
歯石取りによる一時的な菌血症を過度に心配する必要はありませんが、ご自身の持病や服用中のお薬については、必ず歯科医院へ伝えるようにしましょう。
出血を減らすための歯周病治療の流れ|痛みや出血を抑えるための段階的な治療
「歯石取りをすると毎回たくさん出血する…」
そのような方でも、適切な治療を順番に進めることで、次第に出血しにくい健康な歯ぐきを目指すことができます。
歯周病治療では、いきなり歯ぐきの奥深くまで歯石を取り除くのではなく、炎症を改善しながら段階的に治療を進めることが重要です。
ここでは、歯石取りによる出血を最小限に抑えながら治療を進める一般的な流れをご紹介します。
歯周病治療の流れ
STEP1 歯周病の検査

歯石取りを始める前に、まず現在のお口の状態を詳しく調べます。
主な検査内容は次のとおりです。
- 歯周ポケットの深さ
- 歯ぐきからの出血(BOP)
- 歯の動揺
- プラークの付着状態
- レントゲンによる歯槽骨の確認
- 必要に応じて口腔内写真
これらの検査により、
- 歯肉炎なのか
- 軽度歯周病なのか
- 中等度以上なのか
を診断し、一人ひとりに合った治療計画を立てます。
STEP2 まずはプラークコントロールで炎症を改善する
いきなり歯石を取ることが最善とは限りません
歯ぐきの炎症が非常に強い場合、最初から歯ぐきの奥にある歯石をすべて除去すると、出血や痛みが強くなることがあります。
そのため、多くの場合はまず炎症を少しでも改善することを優先します。
炎症が軽くなるだけでも、歯石取りの負担は大きく減らせます。
プラークコントロールとは
プラークコントロールとは、歯の表面に付着するプラーク(歯垢)を減らし、細菌の数をコントロールすることです。
歯石そのものよりも、歯石や歯の表面に付着した細菌が歯ぐきの炎症を引き起こしています。
そのため、毎日のセルフケアによって細菌を減らすことが、歯周病治療の第一歩となります。

歯科医院で行うプラークコントロール
歯科医院では次のようなサポートを行います。
- 正しい歯磨き方法の指導
- デンタルフロスの使い方
- 歯間ブラシの選び方
- プラークが残りやすい部位の確認
- 必要に応じた洗口剤の使用
患者さん一人ひとりのお口に合わせてセルフケアを改善することで、歯ぐきの炎症は徐々に落ち着いていきます。
炎症が改善すると出血しにくくなる
プラークが減少すると、
- 歯ぐきの腫れが引く
- 毛細血管が正常に戻る
- 歯ぐきが引き締まる
- 歯石取りの際の出血が減る
という変化が現れます。
歯石取りで出血を減らすためには、歯科医院での治療だけでなく、患者さん自身の毎日のセルフケアも非常に重要です。
STEP3 白い歯石(歯肉縁上歯石)の除去
まずは歯ぐきより上の歯石から除去します
炎症が少し改善したら、最初に除去するのは歯ぐきより上に見えている**歯肉縁上歯石(白い歯石)**です。
白い歯石は比較的柔らかく、超音波スケーラーなどで効率よく除去できます。
歯ぐきより上の細菌を減らすことで、歯ぐきの炎症はさらに改善していきます。

超音波スケーラーを使用することが一般的です
現在では多くの歯科医院で超音波スケーラーが使用されています。
超音波の振動によって歯石を細かく砕きながら除去するため、歯を削ることはありません。
「歯石取りで歯が削られるのでは」と心配される方もいますが、通常の歯石取りで健康な歯が削られることはほとんどありません。
STEP4 歯周ポケットの再評価
歯ぐきより上の歯石を除去し、セルフケアを続けることで炎症が改善してきます。
その後、再び歯周病検査を行い、
- 歯周ポケットは浅くなったか
- 出血は減ったか
- プラークコントロールは改善したか
を確認します。
この再評価は非常に重要です。
炎症が改善すると、初診時より歯周ポケットが浅くなることも少なくありません。
STEP5 SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
黒い歯石を取り除く治療
歯ぐきの中に残る黒い歯石(歯肉縁下歯石)は、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)によって除去します。

SRPとは、
歯周ポケットの内部に付着した歯石や細菌を取り除き、歯の根の表面を滑らかに整える治療
です。
歯周病治療の中でも特に重要な処置になります。
必要に応じて麻酔を使用します
歯周ポケットが深い場合や炎症が強い場合には、局所麻酔を使用してSRPを行うことがあります。

麻酔を使用することで、
- 痛みを軽減できる
- 丁寧に歯石を除去できる
- 患者さんの負担を減らせる
というメリットがあります。
「歯石取りは痛い」というイメージをお持ちの方も、麻酔を使用することで安心して治療を受けられることが多くあります。
歯の根を滑らかにする理由
歯石を取り除いた後は、歯の根の表面を滑らかに整えます。
表面が滑らかになることで、
- プラークが付着しにくくなる
- 歯ぐきが再び付着しやすくなる
- 歯周病菌が増えにくくなる
という効果が期待できます。
STEP6 治療後もセルフケアが重要
歯石は再び付着します
一度歯石を取り除いても、毎日の歯磨きが不十分であれば再びプラークが蓄積し、やがて歯石になります。
そのため、歯石取りだけで歯周病が治るわけではありません。
患者さん自身のセルフケアが、歯周病治療の結果を左右します。
自宅でできるセルフケア
正しい歯磨きを続ける
歯周病予防で最も大切なのは毎日の歯磨きです。
歯と歯ぐきの境目へ毛先を当て、小刻みに動かしながら丁寧に磨きましょう。
力を入れ過ぎる必要はありません。
やさしく細かく磨くことが大切です。

「▶ Amazonで見る」
「▶ 楽天で見る」
デンタルフロスを毎日使用する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを十分に取り除くことはできません。
デンタルフロスを使用することで、歯ブラシでは届かない部分のプラークを除去できます。
特に歯肉炎や歯周病の方には毎日の使用をおすすめします。
歯間ブラシを取り入れる
歯周病が進行すると歯と歯の隙間が広くなります。
その場合はデンタルフロスだけでは十分に清掃できないことがあります。
歯科医院で適切なサイズを選んでもらい、歯間ブラシを使用すると清掃効果が高まります。
定期的なメンテナンスを受ける
セルフケアだけでは完全に歯石を防ぐことはできません。
そのため、3〜6か月ごとの定期メンテナンスを受けることが大切です。
定期的に歯石を除去することで、
- 歯周病の再発予防
- 歯ぐきの健康維持
- 出血しにくい状態の維持
につながります。
歯石取りは「出血しないこと」がゴールではありません
歯石取りで一時的に出血することは、炎症が存在していた証拠でもあります。
しかし、適切な歯周病治療と毎日のセルフケアを続けることで、歯ぐきは少しずつ健康を取り戻し、次第に出血しにくくなっていきます。
歯石取りは一度だけで終わる治療ではなく、歯ぐきの健康を長く維持するための大切なメンテナンスです。
歯科医院と患者さんが二人三脚で治療を続けることで、「歯石取り=血だらけ」という状態から、健康で出血しにくい歯ぐきを目指すことができます。
歯石取り後の注意点|出血を早く落ち着かせるために
歯石取り後は、歯ぐきに軽い刺激が加わっている状態です。
多くの場合、出血は短時間で自然に治まりますが、処置後の過ごし方によっては出血が長引くことがあります。
歯ぐきを早く回復させるためにも、次の点に注意しましょう。
強いうがいは控えましょう
処置後に何度も強くうがいをすると、でき始めた血餅(かさぶたの役割をする血液)が流れてしまい、再び出血することがあります。
処置当日は、軽く1~2回ゆすぐ程度にしましょう。
ガーゼでやさしく圧迫する
出血が気になる場合は、清潔なガーゼを出血部位に当て、5~10分ほど軽く噛んで圧迫してください。
ほとんどの場合は、この方法で自然に止血します。
激しい運動は当日控えましょう
運動をすると血圧が上昇し、止まりかけた出血が再開することがあります。
当日は、
- ランニング
- 筋力トレーニング
- 激しいスポーツ
などは控え、できるだけ安静に過ごしましょう。
熱い飲食物は少し時間を空ける
熱い飲み物や食べ物は血流を増やし、出血を助長することがあります。
処置後しばらくは、
- 熱いお茶
- コーヒー
- スープ
- アルコール
などは控え、常温または少し冷ましたものがおすすめです。
飲酒・喫煙はできるだけ避けましょう
アルコールは血管を拡張させるため、出血しやすくなります。
また、喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、治癒を遅らせる原因になります。
歯周病の改善という点からも、少なくとも処置当日は飲酒・喫煙を控えることをおすすめします。
歯磨きは中止しないでください
「出血しているから歯磨きはしない方がいいですか?」
これは非常によくある質問です。
しかし、歯磨きをやめてしまうとプラークが増え、炎症が悪化してしまいます。
処置当日も、
- やわらかめの歯ブラシ
- 力を入れすぎない
ことを意識して、いつもどおり歯磨きを続けましょう。
歯石取り後に血が止まらないときは?
歯石取り後の出血の多くは、数分から10分程度で自然に止まります。
しかし、まれに出血が長引くことがあります。
ご自宅でできる応急処置
次の方法を試してください。
- 清潔なガーゼを5~10分噛む
- 強いうがいをしない
- 激しい運動を控える
- 飲酒・喫煙を控える
- 出血部位を舌で触らない
これだけで止血できることがほとんどです。
歯科医院へ連絡したほうがよい症状
次のような場合は、早めに受診してください。
- 30分以上出血が止まらない
- 出血量が増えてくる
- 大きな血の塊が何度も出る
- 強い腫れや痛みがある
- 発熱を伴う
- 膿が出てくる
また、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方は、念のため歯科医院へ相談すると安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 歯石取りで毎回血が出ます。異常でしょうか?
毎回出血する場合は、歯ぐきに炎症が残っている可能性があります。
歯石取りを継続し、毎日のセルフケアを改善することで、多くの場合は徐々に出血しにくくなります。
Q. 歯石取りで歯ぐきを傷つけたのでしょうか?
健康な歯ぐきであれば、歯石取りで大きく傷つくことはほとんどありません。
出血している原因は、歯周病によって歯ぐきが弱くなっていたためです。
Q. 歯石取りのあとに歯磨きしても大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。
むしろ歯磨きを中止するとプラークが増え、炎症が悪化する原因になります。
やさしく丁寧に磨きましょう。
Q. 歯石取りをすると歯が削れますか?
通常の歯石取りで健康な歯が削られることはほとんどありません。
超音波スケーラーや手用器具は、歯石を除去するための器具です。
Q. 血が出るなら歯石取りはしない方がいいですか?
いいえ。
炎症があるまま放置すると歯周病はさらに進行します。
一時的な出血を恐れて歯石取りを避けるよりも、原因となる歯石や細菌を除去することが大切です。
Q. 次回も同じくらい出血しますか?
多くの方では、初回が最も出血しやすく、炎症が改善するにつれて次回以降の出血は少なくなります。
定期的なメンテナンスを続けることで、歯ぐきは健康な状態へ近づいていきます。
まとめ
歯石取りで出血する原因の多くは、歯ぐきに炎症があるためです。処置によるトラブルではなく、歯周病や歯肉炎のサインであることが少なくありません。
適切な歯周病治療と毎日のセルフケアを継続することで、歯ぐきは徐々に健康を取り戻し、出血しにくい状態へ改善していきます。
歯石取りは「歯石を取ること」が目的ではなく、歯ぐきの健康を回復し、ご自身の歯を長く守るための大切な治療です。
出血を理由に歯石取りを避けるのではなく、早めに歯科医院で相談し、継続的なメンテナンスを受けることが、将来のお口の健康につながります。
関連記事
歯石取りで出血が気になる方へ 一人で悩まず、まずはご相談ください

歯石取りで出血すると驚かれる方も多いですが、その原因の多くは歯周病や歯肉炎による炎症です。
歯石を取り除き、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスを続けることで、歯ぐきは少しずつ健康を取り戻し、出血しにくい状態へ改善していきます。
「出血が多くて心配」
「歯周病かどうか診てもらいたい」
「歯石取りが怖い」
という方は、一人で悩まずお気軽にご相談ください。
【動画】歯石は自分で取れる?
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。







