「歯石取りは痛そうだから、もう少し様子を見よう…」

そんな理由で歯科受診を後回しにしている方は少なくありません。

実際に歯石取りで痛みを感じることはありますが、痛みにはきちんとした理由があります。そして現在は、超音波スケーラーや麻酔技術の進歩により、以前よりも負担を抑えながら処置を行えるようになっています。

また、歯石をため込みすぎる前に受診することで、痛みを感じにくくなるケースも少なくありません。

この記事では、

  • なぜ歯石取りで痛みを感じるのか
  • 痛みをできるだけ抑える方法
  • 治療後にしみる理由
  • 痛みを少なくするために大切なこと

を、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。

歯ぐきに炎症があると痛みを感じやすい

歯石取りで痛みが出る最も大きな理由は、歯ぐきに炎症が起きていることです。

歯周病や歯肉炎が進行すると、歯ぐきは腫れ、非常に敏感な状態になります。

そのため、器具が少し触れただけでも

  • 出血する
  • ズキッと痛む
  • 冷たい刺激がしみる

といった症状が出やすくなります。

特に長期間歯石を放置している場合は炎症が強くなり、歯石取りの刺激を感じやすくなります。

歯ぐきの中にある「黒い歯石」は刺激を感じやすい

歯石には大きく分けて2種類あります。

  • 白い歯石(歯ぐきより上に付着する歯石)
  • 黒い歯石(歯ぐきの中に付着する歯石)
白い歯石
白い歯石
黒い歯石
黒い歯石

黒い歯石は歯周ポケットの奥深くに強く付着しているため、取り除くには歯ぐきの中まで器具を入れる必要があります。

この処置を**SRP(スケーリング・ルートプレーニング)**と呼び、中等度以上の歯周病では必要になることがあります。

炎症が強い状態では刺激を感じやすくなりますが、歯ぐきの状態を改善してから行うことで負担を軽減できます。

超音波スケーラーで効率よく歯石を除去

現在、多くの歯科医院では超音波スケーラーを使用しています。

超音波の細かな振動と水流によって歯石を砕きながら除去するため、

  • 効率よく歯石を取れる
  • 歯ぐきへの負担を抑えやすい
  • 処置時間を短縮しやすい
  • 手作業だけの場合より刺激が少ないことが多い

という特徴があります。

軽度から中等度の歯石であれば、

「思っていたより痛くなかった」

と感じる患者さんも多くいらっしゃいます。

痛みが心配な場合は麻酔を使用できます

歯周病が進行している場合や、痛みに敏感な方には麻酔を併用することも可能です。

例えば、

  • 表面麻酔
  • 電動麻酔器
  • 局所麻酔(浸潤麻酔)

などを組み合わせることで、処置中の痛みをできるだけ抑えられます。

近年は麻酔注射そのものの痛みを軽減する工夫も進んでおり、

「歯石取りは我慢するもの」

という時代ではなくなっています。

歯石取りは、いきなり深い歯石を取るわけではありません。

痛みを抑えるためには、段階的に治療を進めることが重要です。

①まずは歯ぐきの炎症を改善する

炎症が強いままでは痛みが出やすいため、最初に

  • ブラッシング指導
  • プラーク(歯垢)の除去
  • 必要に応じた洗口剤の使用
  • 軽いクリーニング

などを行い、歯ぐきの状態を整えていきます。

炎症が落ち着くだけでも、処置中の痛みは大きく変わります。

②白い歯石から取り除く

歯ぐきの上にある白い歯石は比較的取りやすく、痛みも少ないことがほとんどです。

この段階で細菌の量が減るため、歯ぐきの炎症もさらに改善していきます。

③最後に黒い歯石を除去する

歯ぐきの状態が改善してから、歯周ポケット内の黒い歯石を取り除きます。

必要に応じて麻酔も使用しながら処置を行うため、炎症が強い状態で無理に治療するよりも、痛みや出血を抑えやすくなります。

歯石は放置するほど、

  • 炎症が強くなる
  • 歯周ポケットが深くなる
  • 黒い歯石が増える

ため、処置の範囲も広がります。

その結果、痛みを感じやすくなることがあります。

反対に、

  • 定期的なクリーニング
  • 歯周病になる前のメンテナンス
  • 炎症が少ない状態での歯石除去

であれば、負担は比較的少なく済むことが多いでしょう。

「痛くなる前に受診すること」が、結果として痛みを減らす近道です。

歯石取りの後、

  • 冷たい水がしみる
  • 風が当たるとキーンとする
  • 歯ぐきが少し違和感を感じる

ことがあります。

これは、歯石に覆われていた歯の根元が露出し、一時的に知覚過敏が起こるためです。

多くの場合は数日から2〜3週間ほどで落ち着いてきます。

症状が長く続く場合は、知覚過敏の処置を行うことで改善が期待できます。

処置後は歯ぐきが回復している途中です。

次のポイントを意識しましょう。

  • 強く磨きすぎない
  • 辛いものや熱いものなど刺激物を控える
  • 知覚過敏用歯磨き粉を活用する
  • フロスや歯間ブラシを継続する

毎日のセルフケアで歯石が付きにくい状態を維持できれば、次回以降の歯石取りも負担が少なくなります。

インターネットなどで販売されている歯石取り器具を使い、自分で歯石を取ろうとする方もいます。

しかし、自己流の処置には

  • 歯ぐきを傷つける
  • 歯の根を削ってしまう
  • 知覚過敏を悪化させる
  • 歯周病を進行させる

などのリスクがあります。

特に歯ぐきの中にある黒い歯石は目で確認できないため、専門的な検査と適切な器具による処置が必要です。

歯石取りの痛みは、歯石そのものではなく炎症の程度や歯周病の進行状態が大きく関係しています。

現在では、超音波スケーラーや麻酔を活用し、できるだけ負担を抑えながら処置を行うことが可能です。

また、定期的に歯石を除去していれば、歯ぐきの炎症が起こりにくくなり、毎回の処置も楽になる傾向があります。

「痛そうだから行かない」のではなく、「痛くなる前に受診する」。

それが、お口の健康を守る最も負担の少ない方法といえるでしょう。

関連記事

歯周病
歯石取りを自分でやっても大丈夫?セルフ除去の危険性と歯科医院との違い
歯石取りを自分でやっても大丈夫?セルフ除去の危険性と歯科医院との違い
歯周病治療
歯周病
歯周病
歯石取りとは?
歯石取りとは?放置するリスク・費用・痛み・適切な頻度まで
歯周病
歯石取りの頻度はどれくらい?歯科医師が教える適切な間隔と歯周病予防のポイント
歯石取りの頻度はどれくらい?適切な間隔と歯周病予防のポイント
歯周病
【歯石取りの必需品】超音波スケー
歯石取りの「キーン」という機械は何?|超音波スケーラーの仕組み・効果
歯科口腔外科
浸潤麻酔とは?歯科の麻酔は痛い?効果・持続時間・副作用まで
浸潤麻酔とは?歯科の麻酔は痛い?効果・持続時間・副作用まで

歯石の付き方や歯ぐきの状態によって、処置の方法は異なります。当院では、お口の状態を丁寧に確認し、患者さんの負担に配慮しながら治療を進めています。歯石取りに不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。

【動画】歯石の痛くない取り方

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!