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親知らずを抜いた後、頬がぷっくり腫れてしまい「これって大丈夫?」「何日で治るの?」と不安になった経験はありませんか?
実は、抜歯後の腫れは多くの方に起こる自然な反応です。しかし、正しいケアや事前の準備によって腫れを最小限に抑えることも可能です。
この記事では、腫れる原因から対処法、長引く場合の注意点まで、歯科医の視点でわかりやすく解説します。

🔍炎症反応による自然な腫れとは?

  • 親知らず抜歯後の腫れは、多くが**体の自然な防御反応(炎症)**によるもの
  • 歯茎や骨へのダメージにより、血液やリンパ液が集まり腫れる
  • 術後1〜3日が腫れのピークで、見た目にも頬がふくらむことがある
  • 通常は1週間ほどで自然に回復するので、過度な心配は不要
親知らず抜歯後に起こる腫れ
親知らず抜歯後に起こる腫れ

🦠細菌感染による腫れの可能性

  • 術後の傷口に細菌が侵入すると感染が起きる
  • 感染すると、腫れ・発熱・強い痛みなどの症状が出ることも
  • 特に注意すべき行動:
    • 強いうがい
    • 喫煙やアルコール摂取
  • 違和感や腫れが長引く場合は、早めの歯科受診が必要

🦴骨を削る処置が必要なケースのリスク

  • 横向きや埋まった親知らずでは、歯ぐきの切開・骨の削除が必要になることがある
  • 外科的処置を伴うと、腫れやすく、治癒に時間がかかる傾向
  • 下あごには太い血管や神経が密集しており、腫れが強く出やすい

⏰腫れ始めるタイミング(術後24〜48時間がピーク)

  • 抜歯直後はほとんど腫れを感じないことが多い
  • 術後24〜48時間後に炎症反応が本格化し、腫れがピークに
  • 腫れやすい部位:
    • 頬や顎周辺
    • 特に下あごの親知らず
    • 骨を削るような処置をしたケース

📉腫れが治まるまでの目安(約3日〜1週間)

  • ピークを過ぎると、3日〜1週間で腫れは徐々に軽減
  • 適切なアフターケア(冷却・安静・服薬)で早期回復が可能
  • 日常生活に戻れる目安:術後5〜7日程度
  • 完全に引くまでには個人差あり
  • 10日以上腫れが続くのは稀なケース
腫れの時期と持続時間

上記のグラフは、「親知らず抜歯後の腫れの経過」を視覚化したものです:

  • 抜歯当日は腫れがほぼない
  • 術後1〜2日目で腫れがピーク(特に48時間前後)
  • その後徐々に腫れが引き、約7日以内には落ち着くのが一般的です
  • 10日以上続く場合は例外的で、注意が必要です

⚠️腫れが長引く場合に考えられる異常

  • 1週間以上腫れが続く、または腫れが悪化する場合は要注意
  • 考えられる原因:
    • 細菌感染(術後感染)
    • ドライソケット(血餅が取れて骨が露出)
    • 血腫(血のかたまり)
  • 発熱や激しい痛みがある場合も感染の可能性大
  • 異常を感じたら、早めに歯科医院を受診するのが安全
異常を感じたら、早めに歯科医院を受診
異常を感じたら、早めに歯科医院を受診

🍽抜歯前日の注意点(食事・体調管理)

  • 抜歯による腫れを抑えるには、事前の体調管理が最重要
  • 睡眠不足・疲労状態での抜歯は炎症が起こりやすい
  • 抜歯当日の朝は、軽めの食事を済ませておくのが理想的
  • 空腹で麻酔を受けると気分が悪くなることがあるため注意

🚭喫煙・飲酒を控える理由

  • 喫煙は血流を悪化させ、傷の治癒を妨げる
  • ドライソケットや感染症のリスクが高まる
  • 飲酒は血行促進により出血や炎症を助長する可能性がある
  • 術前日から禁煙・禁酒を徹底し、術後もしばらく継続を推奨

🦷歯科医による事前の適切な診断とCT活用

  • 親知らずの位置・角度・根の形・神経との距離により腫れやすさが異なる
  • 術前にCT撮影を行うことで、抜歯の難易度やリスクを正確に評価可能
  • 経験豊富な歯科医が診断・処置を行うことで、最小限の負担で安全に抜歯ができる
  • 事前準備の質が、術後の腫れ・痛みを左右する重要なポイント

🧊冷やすのはいつまで?効果的なタイミングと方法

  • 腫れを感じたら、冷やすことで炎症を軽減できる
  • 術後24時間以内が最も効果的な冷却タイミング
  • 冷やし方のポイント:
    • 保冷剤や濡れタオルをハンカチで包む
    • 10分冷やして10分休むを繰り返す「間欠冷却」が理想
  • 24時間を過ぎたら冷却は中止し、血流促進へ切り替える
  • 長時間の冷却や直接当てすぎは逆効果になる可能性があるので注意

💊痛み止めや抗生物質の使い方

  • 強い腫れや痛みには、処方薬の正しい服用が重要
  • 鎮痛薬(痛み止め)の効果:
    • 炎症をやわらげ、痛みを抑える
    • 腫れを完全になくすものではない
  • 抗生物質のポイント:
    • 感染予防に有効
    • 途中で服用をやめると効果が下がるため、指示どおり飲み切ることが大切

🚿うがい・歯磨きのポイントと注意

  • 術後当日は、強いうがいや激しい歯磨きはNG
  • 理由:血餅(かさぶた)が剥がれてドライソケットのリスクが高まる
  • 翌日以降のケアのコツ:
    • やさしくうがいをする
    • 柔らかい歯ブラシで傷口に触れないよう注意しながら磨く
  • うがい薬を使う場合は、刺激の少ないものを選ぶと安心

🥣食事:避けるべき食べ物・おすすめの流動食

  • 傷口が安定するまで、食事に注意が必要
  • 避けるべき食品:
    • せんべい・ナッツなどの硬いもの
    • 唐辛子など刺激の強い料理
    • アルコールを含む食品・飲料
    • 熱すぎる食べ物もNG
  • おすすめの食事:
    • おかゆ、スープ、ヨーグルト、ゼリーなどの流動食・軟らかい食品
  • 噛む際の注意点:
    • 抜歯していない側で噛む
    • 食後はうがいや歯磨きで口腔内を清潔に保つ

😴睡眠姿勢と枕の高さ

  • 術後の腫れを防ぐには、頭を高くして寝る姿勢が有効
  • 枕を1〜2枚重ねて、心臓より頭を上に保つ
  • この姿勢で血流の集中を防ぎ、腫れや内出血を軽減
  • 避けたい寝方:
    • うつ伏せ
    • 横向きで患部を下にする寝方
  • 初日は特に、仰向け+やや上体を起こした姿勢を意識
頭を高くして寝る姿勢
頭を高くして寝る姿勢

🛌運動・入浴・飲酒はいつからOK?

  • 術後すぐの運動・長風呂・飲酒はNG(血流が増え腫れ悪化の原因)
  • 【術後24時間以内】
    • すべて控えるのが基本
  • 【術後2〜3日以降】
    • 腫れや痛みがなければ軽い散歩はOK
    • 入浴は湯船を避けてシャワーが無難
  • 飲酒は最低でも3日間は控えるのが安心
  • 医師の指示がある場合はそれに従うのが最優先

🚨ドライソケットや感染症の可能性

  • 腫れが1週間以上続く、またはどんどん悪化する場合は要注意
  • 考えられる異常:
    • ドライソケット:傷口にかさぶた(血餅)ができず、骨が露出する状態
      • 特徴:ズキズキと響く強い痛みが続く
    • 術後感染症:細菌が侵入し、炎症や膿、発熱を伴う
      • 症状:腫れ、熱感、膿の排出、発熱などが見られる
  • どちらも自然治癒は難しく、歯科での適切な処置が必要

🧑‍⚕️歯科医院を再受診すべきサイン

以下のような症状が見られる場合は、早めに歯科医院を受診してください:

  • 💢 腫れが3日以上経っても悪化している
  • 🌡 発熱や寒気、強い倦怠感がある
  • 💉 傷口から膿が出る、または口臭がひどい
  • 🫢 激しい痛みで眠れない/痛み止めが効かない

➡️ 上記の症状は合併症の前兆である可能性があります。
自己判断せず、早期の受診が症状の悪化を防ぐカギとなります。

💬腫れが出ない人もいるの?

はい、すべての方に腫れが出るわけではありません。親知らずの位置や抜き方、個人の体質によって、ほとんど腫れが出ないケースもあります。特に上あごの親知らずで、まっすぐ生えている場合は、比較的軽い処置で済むため、術後の腫れも最小限で済むことが多いです。

💬上と下、腫れやすいのはどっち?

一般的には下あごの親知らずのほうが腫れやすいとされています。理由は、下の親知らずは骨の中に深く埋まっていることが多く、抜歯に時間がかかり骨を削るケースが多いからです。また、下あごは血流やリンパの流れが複雑で、炎症反応が強く出やすいという特徴もあります。

💬抜歯前に何を準備すべき?

抜歯当日に慌てないよう、以下の準備をしておくと安心です:

  • 📝 保険証や紹介状、服用中の薬の情報を持参
  • 😌 体調を整えて、前日はしっかり睡眠をとる
  • 🥣 柔らかい食事(おかゆ・スープ等)を事前に用意
  • 🧊 保冷剤や冷えピタなど、冷却グッズを準備
  • 🚫 術後に飲酒・喫煙を控えることを事前に意識

準備を整えることで、親知らずの抜歯後に腫れが起きたとしても、落ち着いて対応できるようになります。

✅親知らず抜歯後の腫れを抑えるためのポイント

  • 親知らずの抜歯後の腫れは、体の自然な治癒反応
    • ただし、事前の準備や術後のセルフケアで軽減可能

🩺抜歯前にできる対策

  • 体調を整えてから抜歯を受ける
  • 喫煙・飲酒を控える
  • CTなどによる正確な診断でリスクを事前に把握

💊術後のセルフケア

  • 冷却(24時間以内)で炎症を抑える
  • 安静に過ごす
  • 処方された薬(鎮痛薬・抗生物質など)を指示通り服用

⚠️注意が必要な症状

  • 腫れや痛みが長引く・悪化する場合は要注意
    • ドライソケットや感染症の可能性あり
    • 早めの歯科受診が重要

💡安心して治療を受けるために

  • 正しい知識と対応が、腫れや不安を減らすカギ
  • 親知らずの抜歯は、準備とケアで快適に乗り越えられる
江戸川区篠崎で痛みの少ない迅速な親知らず抜歯をご希望の方へ

当院では、術後の腫れや痛みを最小限に抑えるため、精密診断と低侵襲な抜歯を行っています。
「親知らず抜歯後の腫れ」が不安な方も、経験豊富な歯科医が丁寧に対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。

また、親知らずの移植や歯髄バンクなどの有効活用も考慮した適切なアドバイスを行っています。

【動画】親知らず抜歯後の穴に食べカスが詰まる

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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