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「銀歯が目立つのが気になる…」「保険で白い詰め物はできないの?」
そんなお悩みを持つ方に注目されているのが、CAD/CAMインレーです。

これは、コンピューター技術を使って作られる白く自然な詰め物で、見た目も美しく、金属アレルギーの心配もありません。
しかも、条件を満たせば保険適用も可能なため、費用を抑えながら審美的な治療が受けられる選択肢として注目されています。

この記事では、CAD/CAMインレーの特徴・素材・メリットとデメリット・他の材料との違い・保険適用条件・最新の制度改定まで、わかりやすく解説します。
「自分の歯にも使えるの?」「どこで受けられるの?」と気になる方は、ぜひ最後までお読みください。

💻 デジタル技術で作る新しい詰め物

5番・6番のCAD/CAMインレー
5番・6番のCAD/CAMインレー
5番・6番のCAD/CAMインレーの見た目
5番・6番のCAD/CAMインレーの見た目

CAD/CAMインレーは、コンピュータ支援設計(CAD)とコンピュータ支援製造(CAM)の技術を活用して作られる、白い詰め物(インレー)です。従来の金属を使った詰め物とは異なり、歯に近い自然な見た目と身体にやさしい素材を実現できる点が特徴です。

素材には、セラミック粉末を含むハイブリッドレジン(レジン+セラミック)が用いられており、審美性と加工性のバランスに優れています。これにより、天然歯に馴染む色調や質感を再現しやすくなっています。

また、金属アレルギーのリスクがないという安全性も大きな魅力です。金属アレルギーをお持ちの方でも安心して選択できる治療法として、近年ますます注目されています。

🧱 ハイブリッドレジンの構造と課題

CAD/CAMインレーに使われる素材は、ハイブリッドレジンと呼ばれる複合材料です。これは、歯科用レジン(樹脂)にセラミックの微粒子を混ぜ合わせたもので、セラミックの硬さとレジンの加工しやすさを兼ね備えています。

ただし、セラミックの含有量は限られているため、完全なセラミックと比べるとやや耐久性に劣るという特性があります。そのため、噛む力が強くかかる部位では摩耗しやすく、強度面で不安が残るケースもあります。

また、ハイブリッドレジンは**微量の水分を吸収する性質(吸水性)**があるため、長期間の使用で唾液や食べ物の色素が内部に入り込み、変色の原因となることがあります。さらに、経年劣化によって表面がざらつきやすくなり、汚れがつきやすくなるというデメリットもあります。

こうした特性を理解した上で、適切なケアや定期的なメンテナンスを行うことが、CAD/CAMインレーを長く美しく保つためのポイントです。

CAD/CAMインレーは、見た目や安全性、費用面など、患者様にとって多くのメリットがある治療法です。以下に主な利点を詳しくご紹介します。

🌟 見た目が自然で目立たない

CAD/CAMインレーは白く、天然歯に近い色調や質感を持つため、口を開けたときに金属のように目立つことがありません。審美性を重視する方にも選ばれやすく、前歯に近い小臼歯などでも違和感のない仕上がりになります。

🌿 金属アレルギーのリスクがない

金属を一切使用していないため、金属アレルギーの心配がありません。以前、金属インレーでアレルギー症状が出た経験がある方や、金属アレルギーを懸念される方にとって、安心して選べる治療法です。

💴 保険適用で経済的

CAD/CAMインレーは、一定の条件下で保険診療が可能です。小臼歯には広く適用され、大臼歯も条件付きで対応できます。3割負担の場合、1本あたり約5,000円程度と、審美性と安全性を兼ね備えながらも費用負担が少ないのが特徴です。

🖥 高精度・短期間での製作

従来の手作業によるインレーに比べて、CAD/CAM技術ではデジタルスキャンと自動加工により短期間で高精度なインレーが製作可能です。これにより、通院回数が減ることやフィット感の向上が期待できます。

CAD/CAMインレーは優れた特徴を持つ一方で、すべてのケースに適しているわけではありません。治療を検討する際には、以下のような注意点も知っておくことが大切です。

デメリットと注意点
デメリットと注意点

💪 強い咬合力がかかる部位には不向き

CAD/CAMインレーはハイブリッドレジンというやや柔らかい素材でできているため、奥歯のように強い力がかかる部位では破折や摩耗のリスクが高くなります。特に噛みしめや歯ぎしりの癖がある方は注意が必要です。

🎨 色の変化・摩耗のリスク

ハイブリッドレジンは**吸水性があるため、経年劣化や飲食物による着色(コーヒー、紅茶、カレーなど)**が起こりやすくなります。また、表面が摩耗するとザラつきが出て、汚れが付きやすくなる傾向もあります。

🏗 完全なセラミックと比べて耐久性が劣る

見た目が自然とはいえ、オールセラミックやジルコニアと比較すると硬さや強度では劣ります。そのため、長期的な耐久性や美しさを重視する方には、より耐久性のある素材を選ぶという選択肢も検討されます。

CAD/CAMインレーは魅力的な選択肢ですが、他にもさまざまな詰め物の素材があります。それぞれの特徴を理解することで、自分に合った治療を選びやすくなります。

🦷 セラミックインレーとの違い

セラミックインレーは、100%セラミック素材でできた詰め物です。審美性・耐久性ともに非常に高く、変色しにくく長期間美しさが続くのが魅力です。
一方、CAD/CAMインレーはハイブリッドレジンのため、セラミックよりはやや変色や摩耗が起こりやすいですが、保険適用される点や加工のしやすさなどが利点です。

  • ✔ セラミックインレー:高額だが審美性・耐久性◎
  • ✔ CAD/CAMインレー:やや劣るが保険適用で手頃

🧴 コンポジットレジンとの違い

コンポジットレジンは保険適用の中でも最も手軽な素材で、直接口腔内で盛り付け・固める簡易的な詰め物です。小さな虫歯には向いていますが、変色・破損・摩耗が起こりやすく耐久性に劣るため、長期間の使用には不向きです。

CAD/CAMインレーは、外部で設計・加工するため形が正確で、耐久性やフィット感も良好です。より長持ちする素材を求める方に適しています。

  • ✔ コンポジットレジン:安価・その場で修復可能
  • ✔ CAD/CAMインレー:精密で美しく、耐久性も中程度

💍 金属インレーとの違い

金属インレー(銀歯)は、古くから使われている非常に丈夫で長持ちする素材です。咬合力の強い奥歯にも使用でき、保険も適用されます。しかし、見た目が目立つ・金属アレルギーのリスクがあるといった欠点も。

CAD/CAMインレーは見た目が自然で、金属を使わない安心感がありますが、強度の面では金属に劣ることがあります。

  • ✔ 金属インレー:耐久性◎だが見た目と安全性に不安
  • ✔ CAD/CAMインレー:見た目やアレルギー面で優位

CAD/CAMインレーは、デジタル技術を駆使して高精度に作製される詰め物です。ここでは、歯科医院での処置から歯科技工所での加工まで、具体的な流れをご紹介します。

CAD/CAMインレーの製作工程
CAD/CAMインレーの製作工程

🦷 歯科医院での流れ|虫歯除去〜スキャン〜デザイン

  1. 虫歯の除去と歯の形成
     まず虫歯を取り除き、インレーが適切に収まるように歯の形を整えます。
  2. 口腔内印象
     印象採得には、従来の材料による型取りと、口腔内スキャナーを用いたデジタル印象の2種類があります。
  3. データ送信・設計
     スキャンデータは専用ソフトに取り込まれ、コンピュータ上でインレーの形を設計します。この工程により、歯とのフィット感が高まります。

🛠 技工所での工程|設計データを元にCAM加工・仕上げ

  1. 設計データの受け取りと加工準備
     歯科技工所では、歯科医院から送られてきた3D設計データをもとに、CADソフトで最終調整を行います。
  2. CAM機による削り出し
     専用のミリングマシン(CAM)を使い、セラミック系のブロックからインレーを自動的に削り出します。これにより、精度の高い補綴物が安定して供給されます。
  3. 研磨・仕上げ・色調調整
     削り出したインレーは、技工士の手で丁寧に研磨・微調整が施され、最終的に患者様の歯に自然に馴染むよう仕上げられます。

💡 適用できるケースとできないケース

CAD/CAMインレーは便利で美しい治療法ですが、すべての歯に使用できるわけではありません。歯の状態や噛み合わせによっては、他の治療法が適していることもあります。

✅ 適応部位:小臼歯〜一部大臼歯

CAD/CAMインレーは、主に小臼歯(前から4番目・5番目の歯)に適しています。噛む力が中程度で、詰め物の範囲が限定されている場合に特に有効です。
また、2022年以降の保険改定により、一部の条件下では大臼歯(奥歯)にも保険適用が可能となり、選択の幅が広がりました。

❌ 不適応:強い咬合力・深い虫歯・歯質が少ない場合

以下のようなケースでは、CAD/CAMインレーは適さない可能性があります:

  • 強い咬合力がかかる奥歯(特に歯ぎしり・食いしばりがある方)
  • 虫歯が深く、歯の内部構造が弱っている歯
  • 歯の残存量が少なく、詰め物では支えきれない場合

これらの場合は、金属インレーやクラウン(被せ物)など、より強度の高い修復法が推奨されることがあります。治療前には、歯科医による精密な診査と説明を受けることが大切です。

CAD/CAMインレーは、条件を満たせば健康保険が適用される白い詰め物です。ここでは、保険適用の条件と費用、自由診療との違いについて詳しくご紹介します。

🩺 保険診療の条件(2022年以降の変更点含む)

CAD/CAMインレーは、もともと小臼歯(4番・5番)へのみ保険適用でしたが、2022年の診療報酬改定により、一定条件下で大臼歯(6番・7番)にも保険適用が可能となりました。
ただし、大臼歯の場合は以下のような条件があります:

  • 噛み合わせが過度に強くないこと
  • 保険で対応できる他の治療法が適さないと判断される場合
  • 審美的な配慮が必要な症例 など

保険適用を受けるには、歯科医院での診査・判断が必要です。

💰 自由診療との比較

保険診療での費用は、3割負担の方で1本あたりおよそ5,000円前後と、非常に経済的です。その一方で、素材や加工精度には一定の制限があります。

一方、自由診療ではより耐久性の高いセラミックやジルコニア素材を選ぶことが可能で、色調の細かい調整や強度面でも優れた仕上がりが期待できます。費用は医院によって異なりますが、1本あたり3万円〜6万円程度が相場です。

項目保険診療自由診療
対象部位小臼歯(+条件付きで大臼歯)全ての部位に適用可能
費用の目安(3割負担)約5,000円/本約30,000〜60,000円/本
使用素材ハイブリッドレジンセラミック、ジルコニアなど高品質素材
審美性・耐久性標準的高精度・高耐久・高審美

CAD/CAMインレーを長くきれいに保つためには、正しいお手入れと素材に合わせた対策が大切です。以下に、日常生活で実践できるメンテナンス方法をご紹介します。

🪥 自宅でのケア方法|研磨剤入り歯みがきの使用法

ハイブリッドレジンは、表面に微細な凹凸ができやすく、汚れや色素が付きやすい素材です。そのため、毎日のブラッシングが欠かせません。

  • **ホワイトニング効果のある歯みがき剤(低研磨性)**を使用すると、表面の汚れをやさしく落とせます。
  • ゴシゴシと力を入れすぎず、やわらかめの歯ブラシで丁寧に磨くのがポイントです。
  • 歯間ブラシやフロスを併用することで、インレー周辺の清掃性も高まります。

🦷 定期的なクリーニングの重要性

どんなに丁寧に磨いていても、家庭でのケアだけでは取りきれない着色や歯石があります。そこで、**3〜6か月ごとの定期検診・プロフェッショナルクリーニング(PMTC)**を受けることで、以下のような効果が期待できます:

  • インレーの表面を再度研磨し、着色や汚れを除去
  • 小さな摩耗や欠けの早期発見
  • 口腔全体の健康管理につながる

🧱 素材選びによる対策(ジルコニアなど)

「変色や摩耗が気になる」「さらに長持ちさせたい」といった方には、ジルコニアインレーやフルセラミックインレーなど、より高耐久・低変色性の素材を選ぶのも一つの方法です。

これらは自費診療になりますが、美しさと耐久性を兼ね備えた選択肢として、審美性重視の方に特におすすめです。

CAD/CAMインレーに関して、患者様からよく寄せられる疑問にお答えします。

📆 耐久性はどれくらい?

CAD/CAMインレーの寿命は、一般的に5年〜10年程度とされています。使用する歯の部位や咬み合わせの力、日々のケア状況によって差はありますが、丁寧にメンテナンスすれば10年以上使えるケースもあります

特に歯ぎしりや食いしばりのある方は、ナイトガードの併用や定期的なチェックが耐久性を伸ばすポイントです。

😣 痛みはあるの?

治療後に痛みが出ることはほとんどありません。装着直後に「違和感」や「軽いしみ感」があることはありますが、多くの場合は数日〜1週間程度で自然に落ち着きます

もし、噛むと痛い・しみる・高く感じるなどの症状が長引く場合は、かみ合わせ調整や神経の状態確認が必要になることもありますので、早めの受診をおすすめします。

🌟 自費と保険、どちらを選べばいい?

見た目や素材に強くこだわりたい方、より長持ちさせたい方は自費診療のセラミックやジルコニアが適しています。一方で、保険適用でも見た目が自然で、費用を抑えられるというメリットがあります。

つまり、選び方の基準は以下の通りです:

  • コスト重視・一定の見た目を希望 → 保険のCAD/CAMインレー
  • 審美性・長期的な耐久性を最優先 → 自費のセラミック・ジルコニアインレー

ご自身の希望やライフスタイルに合わせて、歯科医師とよく相談して選ぶことが大切です。

CAD/CAMインレーは、デジタル技術の進化とともに、保険適用の範囲や製作工程が大きく変化しています。

🧬 新素材・加工技術の進化

近年、CAD/CAMインレーに使用される材料や製作技術が飛躍的に進化しています。

  • 新素材の登場:従来のハイブリッドレジンに加え、ジルコニアやスーパーエンプラなど、より耐久性と審美性に優れた素材が導入されています。
  • 加工技術の向上:高精度なミリングマシンや3Dプリンターの導入により、より精密でフィット感の高いインレーの製作が可能となっています。

これらの技術革新により、患者様にとってより快適で長持ちする治療が実現しています。

📈 保険適用範囲の拡大予測(2024年改定の反映)

2024年6月の診療報酬改定により、CAD/CAMインレーの保険適用範囲がさらに拡大されました。

  • 窩洞形成加算の新設:CAD/CAMインレーの窩洞形成に対して150点の加算が新設され、治療の評価が高まりました。
  • 光学印象の保険適用:口腔内スキャナーを用いた光学印象が保険適用となり、100点の加算が認められました。これにより、従来の型取りが不要となり、患者様の負担が軽減されます。
  • 歯科技工士との連携加算の新設:歯科医師と歯科技工士が連携して光学印象を行った場合、50点の加算が新設され、チーム医療の推進が図られています。

これらの改定により、CAD/CAMインレーの導入が進み、患者様にとっても選択肢が広がっています。

🏥 江戸川区篠崎でCAD/CAMインレーをご希望の方へ

「銀歯を白くしたい」「金属アレルギーが心配」――そんなお悩みはありませんか?
江戸川区篠崎の当院では、保険適用で自然な白い詰め物が可能なCAD/CAMインレー治療に対応しています。

CAD/CAMインレーは、デジタル技術を用いた精密な詰め物で、見た目の美しさと安全性を両立した治療法です。条件を満たせば保険で治療できるため、費用を抑えながら白くて目立たない仕上がりを希望される方に最適です。

当院は、篠崎駅から徒歩圏内の通いやすい立地で、丁寧なカウンセリングと診療を行っています。

「どの素材が自分に合っているかわからない…」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
江戸川区篠崎で、見た目も安心も叶えるCAD/CAMインレー治療をお探しの方は、ぜひ当院へ。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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