「骨吸収(こつきゅうしゅう)」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、歯を支える骨が少しずつ減っていく現象のこと。歯周病や抜歯のあとに起こりやすく、気づかないうちに進行してしまうこともあります。放っておくと歯がグラグラしたり、インプラント治療ができなくなることも…。

この記事では、骨吸収の原因・症状・治療法・予防法について、やさしく解説していきます。

骨吸収とは
骨吸収とは

骨吸収とは、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が徐々に失われていく現象です。

健康な状態では、骨は「骨形成」と「骨吸収」を繰り返しながらバランスを保っています。しかし、歯周病や歯の欠損、過度な咬合力などが加わると骨吸収が優位となり、歯槽骨が減少してしまいます。

骨吸収が進行すると歯を支える力が弱くなり、歯の動揺や歯の喪失につながるだけでなく、将来的なインプラント治療にも影響を及ぼします。

歯周病による骨吸収

矢印部に歯ぐきの強い炎症があり、X線では歯槽骨の吸収が確認できる中程度の歯周病の状態です。
矢印部に歯ぐきの強い炎症があり、X線では歯槽骨の吸収が確認できる中程度の歯周病の状態です。
歯周病により骨吸収した歯槽骨のレントゲン
歯周病により骨吸収した歯槽骨のレントゲン

歯槽骨吸収の最も多い原因が歯周病です。

歯周病菌による感染が歯ぐきの炎症を引き起こし、その炎症が歯を支える骨へ波及すると、体の防御反応として骨が溶かされていきます。

中等度歯周炎では、歯ぐきの発赤や腫脹、歯肉退縮がみられ、レントゲン検査では歯槽骨の吸収が確認できます。特に前歯部では歯根の露出が進み、歯が長く見えたり、歯の動揺が起こったりすることがあります。

歯周病による骨吸収は初期には自覚症状が少ないため、気付いた時にはかなり進行しているケースも少なくありません。

骨吸収が進行すると現れる症状

  • 歯ぐきが下がる
  • 歯が長く見える
  • 歯と歯の間に隙間ができる
  • 歯がグラグラする
  • 噛みにくくなる
  • 口臭が強くなる
  • 最終的に歯を失う

抜歯後の骨吸収

歯を失うと、その部分の歯槽骨は役割を失うため徐々に痩せていきます。

歯には噛む力が加わり、その刺激によって骨が維持されています。しかし抜歯によって刺激がなくなると、骨は不要な組織と判断され吸収されてしまいます。

特に抜歯後半年から1年程度で大きな骨吸収が起こることが知られています。

骨吸収が進行すると、

  • 入れ歯が合わなくなる
  • ブリッジ治療が難しくなる
  • インプラント埋入に必要な骨量が不足する
  • 顔貌が変化し老けて見える

などの問題が生じます。

抜歯後は放置せず、適切な補綴治療を検討することが重要です。

インプラントと骨吸収

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む治療です。

そのため十分な骨量と骨質が必要となります。

長期間歯を失ったまま放置すると骨吸収が進み、そのままではインプラント治療が困難になることがあります。

実際に上顎小臼歯部や大臼歯部では、歯の欠損期間が長いほど骨の高さや幅が不足しやすくなります。

しかし現在では骨造成技術の進歩により、多くの症例でインプラント治療が可能になっています。

骨吸収が進んだ部位へのインプラント治療

骨量が不足している場合には、GBR(骨誘導再生法)などの骨造成術を併用します。

骨補填材や再生膜を使用し、不足した骨を再生させることで、インプラントを適切な位置へ埋入できるようになります。

適切な診査・診断を行うことで、骨吸収が進行した症例でも良好な長期予後が期待できます。

骨吸収は元に戻るのか

一度失われた歯槽骨は自然に元の状態へ戻ることはほとんどありません。

ただし、骨吸収の原因を除去し、再生療法を行うことで一定程度の骨再生が期待できる場合があります。

特に歯周病による垂直性骨欠損では、再生療法の適応となるケースがあります。

重要なのは、骨吸収が進行する前に発見し、原因を取り除くことです。

リグロスによる歯周組織再生療法

リグロスは保険適用で行える歯周組織再生剤です。

歯周病によって失われた歯槽骨に投与することで、歯周組織の再生を促進します。

適応となるのは主に垂直性骨欠損で、歯周外科手術と併用して使用します。

フラップ手術

フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)

中等度から重度の歯周病では、歯肉を開いて歯根面や骨面を直接確認しながら感染組織や歯石を除去するフラップ手術が行われます。

この手術では、

  • 深い歯周ポケットの除去
  • 歯石や細菌の徹底除去
  • 歯根面の滑沢化
  • 骨再生療法の併用

が可能となり、歯周病の進行を効果的に抑制できます。

GBR(骨誘導再生法)

GBRはインプラント治療で広く用いられる骨造成術です。

骨補填材と特殊な膜を使用し、骨を再生させるためのスペースを確保します。

骨幅や骨高さが不足した症例でも、GBRによってインプラント埋入が可能になることがあります。

骨吸収が進んだ部位へのインプラント治療
骨吸収が進んだ部位へのインプラント治療
骨吸収が進んだ部位へのインプラント治療:骨造成を併用した確実な埋入術

骨吸収を防ぐためには、歯周病予防が最も重要です。

  • 毎日の丁寧な歯磨き
  • デンタルフロスや歯間ブラシの使用
  • 定期的な歯科検診
  • 歯石除去とプロフェッショナルクリーニング
  • 禁煙
  • 糖尿病など全身疾患の管理
  • 抜歯後の早期補綴治療

これらを継続することで、歯槽骨の健康を長期的に維持できます。

骨吸収は歯周病や歯の欠損によって引き起こされる重要な病態です。進行すると歯の動揺や喪失、さらにはインプラント治療の難易度上昇につながります。

一度失われた骨は自然には回復しませんが、リグロスによる歯周組織再生療法やGBRなどの骨造成術によって改善できる場合があります。

歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつきなどの症状がある方は、骨吸収が進行している可能性があります。早期発見・早期治療が歯を守るための重要なポイントです。

江戸川区篠崎で骨吸収が心配な方へ

骨吸収は気づかないうちに進行してしまうことが多く、「歯ぐきが下がった」「歯がグラつく」などの症状で困って来院される方も少なくありません。でも大丈夫。 早めに検査・治療を行えば、骨や歯を守ることができます。当院では定期検診や歯周病治療、インプラント治療に向けた骨造成にも対応しています。お口の健康を守りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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