🦷抜歯後の「血餅」、気にしたことありますか?
親知らずなどの抜歯後、穴の中に自然とできる「血餅(けっぺい)」は、実は治りを左右する非常に大切な存在です。
この血餅がうまくできなかったり、取れてしまったりすると、「ドライソケット」という強い痛みを伴うトラブルに発展することもあります。

この記事では、
✅ 血餅の役割とは?
✅ 血餅が取れたときの対処法
✅ 抜歯後にやってはいけないこと
など、歯科医の視点でわかりやすく解説していきます。

正しい知識を身につけて、抜歯後のトラブルを防ぎましょう!

🔍血餅の意味と形成メカニズム

血餅とは、血管からにじみ出た血液が凝固してかたまりになったもので、抜歯後すぐに形成されます。
血液中の血小板フィブリンが働いて血を止め、その部分をしっかりと覆うことで、外部からの刺激や細菌の侵入を防ぎます。

このプロセスにより、抜歯部位の治癒がスムーズに進む環境が整います。

抜歯後に血餅が出来る
抜歯後に血餅が出来る

✅血餅の役割とは?

抜歯後、歯を抜いた部分には自然と「血餅(けっぺい)」と呼ばれる血の塊ができます。見た目は赤黒いこともあれば、白っぽくブヨブヨしていることもあります。これは単なる血のかたまりではなく、**治癒を進めるために欠かせない「天然のかさぶた」**のような存在です。

血餅
血餅

血餅は、以下のような重要な役割を担っています:

  • 傷口を塞いで止血する
  • 細菌の侵入を防ぎ、感染を予防する
  • 骨や歯ぐきなどの組織を再生させる土台になる
  • 外部刺激から神経を守り、痛みをやわらげる

このように、血餅は治癒のスタート地点として大切な働きをしているため、できるだけ安定した状態で保つことが重要です。

せっかく形成された血餅が途中で取れてしまうと、「ドライソケット」というトラブルに発展するおそれがあります。
これは抜歯後の痛みが長引く原因のひとつで、適切な対処が必要です。

😣ドライソケットとは?

ドライソケットとは、抜歯した穴にできた血餅が何らかの原因で剥がれたり、うまく形成されなかった場合に生じる二次的な炎症状態です。

通常、血餅がしっかりと穴を塞ぎ、組織再生をサポートしますが、それがなくなると骨がむき出しになり、神経が刺激されやすくなってしまいます

その結果:

  • 激しいズキズキした痛み
  • 治癒の大幅な遅れ
  • 口臭や不快感 などが出現することがあります。

市販の痛み止めでは効かないケースも多く、歯科医院での処置が必要です。

🚫こんな行動に注意!血餅が取れる原因

血餅はとてもデリケートなものです。以下のような行動は、血餅が剥がれる原因となるため避けましょう。

  • 強いうがい:術後すぐにブクブクうがいをすると、血餅が流れてしまうことがあります
  • ストローの使用:吸う力で穴の中の陰圧が強まり、血餅が剥がれやすくなります
  • 舌や指で触る:気になっても触るのはNG。無意識に触れてしまう方も多いので注意
  • 喫煙:ニコチンの作用で血流が悪くなり、血餅の形成や維持を妨げます
  • 激しい運動や長風呂:血圧の上昇で出血や血餅の崩壊を招くことがあります

血餅を守ることは、スムーズな治癒の第一歩です。抜歯後は特に注意深く過ごしましょう。

抜歯後の「血餅(けっぺい)」は自然治癒を進める大切な存在です。
この血餅をうまく保つことが、ドライソケットの予防早期の傷口回復に直結します。
以下のような日常のケアを心がけることで、血餅をしっかり守りましょう。

血餅を守るために|抜歯後の正しいセルフケア
血餅を守るために|抜歯後の正しいセルフケア

🪥歯みがき・うがいのポイント

抜歯当日はうがいを控えるのが基本です。
ブクブクうがいをしてしまうと、せっかくできた血餅が流れ出てしまうリスクがあります。

翌日からは水でやさしく口をゆすぐ程度にし、抜歯した部位を避けて歯みがきを行いましょう。
清潔を保つことは大切ですが、強く磨いたり、歯ブラシを傷口に当てるのは避けてください。

📝ポイント

  • 初日はうがいNG
  • 翌日以降はやさしく水ですすぐ
  • 抜歯部位は避けて、他の歯を丁寧に磨く

🍲食事の注意点

食事内容も血餅の安定に大きく関わります。以下の点に注意しましょう。

🔥避けたい食品・習慣

  • 熱いスープや飲み物(血流が促進されて再出血の恐れ)
  • 辛いものや刺激物(炎症を悪化させる)
  • アルコール(血管拡張作用あり)

❄️おすすめの食品

  • 冷たくてやわらかいもの(プリン、おかゆ、うどんなど)
  • 噛まずに済む食べ物で、傷口への刺激を避けるのがポイントです

また、ストローの使用もNG。吸う力で血餅が取れる恐れがあります。

抜歯後の傷は、血餅によって守られながら少しずつ治っていきます。
見た目の変化や治癒のスピードには個人差がありますが、一般的な流れを知っておくことで、不安なく経過を見守ることができます。

✅【1】見た目の変化と正常な反応

抜歯後の傷口には血餅がすぐに形成され、時間の経過とともにその見た目も変化していきます。
見た目の違いに驚く方も多いですが、多くの場合は正常な治癒過程の一部なので過度な心配は不要です。

血餅の見た目の変化
血餅の見た目の変化
  • 抜歯直後:血餅は赤黒く、粘り気のある塊として抜歯窩を満たします。
  • 数日後:血餅の表面が白っぽく見えることがありますが、これはフィブリンというタンパク質が表面を覆っているためで、順調に治っているサインです。
  • 黒っぽく見える場合もありますが、これは血液が酸化した自然な変化です。

見た目だけでは異常かどうかは判断できません。痛みや腫れ、悪臭などの症状がなければ基本的に問題はないと考えて大丈夫です。

✅【2】治癒のスケジュール

抜歯後の治癒は、一見するとすぐに治っているように見えても、内部では時間をかけて組織の再生が進んでいます。治癒の過程には2つの段階があります。

  • 歯ぐきが閉じるまで:約1〜2週間
     抜歯直後は出血や腫れがありますが、1週間ほどで歯ぐきがふさがり始めます。
     この時期に抜糸を行うことも多く、目に見える部分は比較的早く回復します。
  • 骨の再生完了まで:約2〜3ヶ月
     傷口の奥では、血餅が肉芽組織(にくがそしき)という再生細胞に置き換わり、徐々に新しい骨や神経へと再構築されていきます。
     この間は無理な刺激を避け、安静に保つことが重要です。

見た目だけで完治したと判断せず、内部の治癒が完了するまでは注意深くケアを続けましょう

✅【3】大きな血餅ができたときの対処法

抜歯後、出血が多かったり止血に時間がかかった場合、血餅が通常より大きく形成されることがあります。
ときには頬側(ほっぺたの内側)まで血の塊が広がって、「取れそうで怖い」と不安になる方もいます。

大きな血餅
大きな血餅

ですが、抜歯窩(ばっしか)=歯を抜いた穴の中の血餅に触れない範囲であれば、外側の大きな血餅をそっと取り除いても問題ありません。

対処する際は以下の点に注意してください:

  • 手指は消毒し、必ず清潔なガーゼを使用すること
  • 強く引っ張らず、無理に取ろうとしないこと

また、多くの場合は余分な血餅は自然に取れていくので、痛みや出血がなければ心配する必要はありません。

不安がある場合は、自己判断せずに歯科医院にご相談ください。

✅【4】血餅が取れそうで怖いときの考え方

抜歯後、血餅の一部が「取れそう」「動いているように見える」と感じ、不安になる方は少なくありません。
しかしご安心ください。一部が取れたように見えても、血餅がすべて一度に剥がれ落ちることはめったにありません。

スポンゼル(止血剤)
スポンゼル(止血剤)

また、抜歯時に使用された**スポンゼル(止血剤)**が混ざった白いブヨブヨとした塊が出てくることもありますが、それだけで異常とはいえません。

大切なのは、抜歯窩(ばっしか)=歯を抜いた穴の中に血餅が残っているかどうかです。
痛みや出血がなければ、たとえ一部が剥がれても問題ないケースがほとんどです。

不安なときは無理に触らず、気になる症状があれば歯科医院に相談するのが最善です。

抜歯後の血餅に関しては、多くの患者さんが見た目や感触に不安を覚えるものです。ここでは、よくある質問とその正しい理解について解説します。

❓「血餅が見えないのは異常?」

👉血餅は必ずしも目に見えるものではありません
表面が唾液で湿っていたり、粘膜が覆っていると目視で確認しにくくなることがあります。

ただし、「激しい痛み」「出血が止まらない」「口臭が強くなる」などの症状がある場合は、血餅が失われている可能性があるため早めに歯科医院を受診しましょう。

❓「黒い・白い=失敗?」

👉血餅が黒く見えるのは、自然な変化です。血が酸化して色が変わるだけで、異常ではありません。

また、表面が白っぽくなるのはフィブリン膜という治癒に必要な成分が見えている状態で、こちらも正常です。
「色」で判断せず、痛みや腫れの有無で状態を確認することが大切です。

❓「自分で血餅を作る方法はある?」

👉血餅は自然な止血反応によって形成されるため、人工的に「作る」ことはできません
しかし、血餅がきちんと形成・維持されるよう、以下のような正しいケアを実践することは可能です

  • 抜歯当日はうがいや歯磨きを控える
  • 傷口に触れない
  • 食事や行動で刺激を与えない(熱い物・ストローNG)

これらの習慣が血餅の安定とスムーズな治癒をサポートします。

江戸川区篠崎で抜歯後のトラブルを予防したい方へ

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当院では、抜歯後の経過までしっかりとサポートし、ドライソケットや感染症の予防に力を入れています。

🏥当院では安全な抜歯と丁寧なアフターケアを実施

当院では以下のような体制で、患者さまの安心・安全な抜歯治療を提供しています。

🩺 正確な診断と抜歯技術

  • 歯科用レントゲンを活用し、神経や骨の状態を的確に把握
  • 難症例にも対応可能な、経験豊富な歯科医が担当します

📘 血餅を守る生活指導と経過観察

必要に応じて複数回の経過チェックを行い、炎症や出血の早期発見につなげます

抜歯後のセルフケア方法を、イラストや資料でわかりやすくご説明

【動画】親知らず抜歯後ドライソケットに!

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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