- 1. 【📹 43秒】ファイバーコアの特徴とメタルコアとの違い|どちらを選ぶべき?
- 2. メタルコアとは?
- 3. メタルコアの役割
- 3.1. 被せ物を装着するための土台をつくる
- 3.2. 支台築造と被せ物を安定させる
- 3.3. 被せ物に適した支台形態をつくる
- 4. メタルコア治療の流れ
- 4.1.1.1. 上顎1番に白金加金のメタルコアを装着
- 4.1.1.2. メタルボンドを装着
- 4.1. 根管治療
- 4.2. ポストスペースの形成
- 4.3. 型取り・製作
- 4.4. 装着
- 4.5. 被せ物の製作
- 5. メタルコアの種類
- 5.1. 貴金属を使用したメタルコア(自費診療)
- 5.1.1. 特徴
- 5.2. 保険診療で使用される金属製の支台築造
- 6. メタルコアと歯根破折
- 7. ファイバーコアとの違い
- 7.1. ファイバーコアの特徴
- 8. メタルコアと歯ぐきの黒ずみ(メタルタトゥー)
- 9. 金属アレルギーとの関係
- 10. メタルコア除去の難しさ
- 11. 症例に応じて支台築造方法を選択することが重要
- 12. まとめ
- 12.1. 関連記事
- 13. 根管治療後の歯を、できるだけ長く守るために
- 14. 【動画】歯茎の出来物、フィステル、口内炎、口腔癌の見分け方
- 15. 筆者・院長
- 15.1. 深沢 一
- 15.1.1. メッセージ
【📹 43秒】ファイバーコアの特徴とメタルコアとの違い|どちらを選ぶべき?
メタルコアとは?
メタルコアとは、根管治療を行った歯などで歯冠部の歯質が大きく失われている場合に、被せ物(クラウン)を装着するための土台として用いられる金属製の支台築造です。

根管治療を受けた歯は、神経を失ったことによる水分量の変化だけで単純に「もろくなる」と考えるのは適切ではありません。虫歯や以前の治療、根管治療に伴う歯質の喪失などによって、歯の構造が弱くなっていることが、破折リスクに大きく関係します。
そのため、残っている歯質が少なく、そのままでは被せ物を安定して装着することが難しい場合には、支台築造を行います。
メタルコアでは、必要に応じて根管内にポストを設け、その上に失われた歯冠部を再建して、クラウンを装着できる状態に整えます。
支台築造では、単に「硬い材料で歯を補強する」ことよりも、できるだけ健全な歯質を残し、歯根に過度な負担をかけない設計にすることが重要です。
メタルコアの役割
被せ物を装着するための土台をつくる


歯質が大きく失われた歯では、そのままではクラウンを適切に装着するための十分な支台形態を確保できないことがあります。
メタルコアは、失われた歯冠部を補い、クラウンを装着するために必要な支台形態をつくる目的で使用されます。
なお、メタルコアやポストを入れることで歯そのものが強くなるわけではありません。歯を長く維持するためには、残存歯質をできるだけ保存し、適切な支台築造と被せ物の設計を行うことが重要です。
支台築造と被せ物を安定させる
ポストは、主として歯冠部に築造したコアを保持するために使用します。
噛む力を単純に「歯根全体へ分散する」ことが目的ではなく、残存歯質の量や歯根の形態、ポストの長さ・太さ・材質などを考慮し、歯根に過度な応力が加わらないように設計することが大切です。
被せ物に適した支台形態をつくる
適切な支台築造を行うことで、クラウンを装着するために必要な形態を整えることができます。
ただし、被せ物の適合性はコアだけで決まるものではありません。支台歯形成、印象・口腔内スキャン、補綴物の製作精度、接着・合着操作など、さまざまな要因が関係します。
適合性や清掃性に配慮した補綴治療は、治療後の虫歯や歯周組織のトラブルを抑えるうえで重要です。
メタルコア治療の流れ

上顎1番に白金加金のメタルコアを装着
白金加金の土台が歯根に装着された状態です。この状態で歯型を採り、クラウン(メタルボンドやジルコニア)などが装着されます。

メタルボンドを装着
白金加金のメタルコアの上にメタルボンドをセットした写真です。
根管治療
歯髄の炎症や感染、根尖性歯周炎などの状態に応じて根管治療を行います。
根管内の感染源をできるだけ除去し、清掃・消毒したうえで根管充填を行います。
ポストスペースの形成
必要に応じて、根管充填材の一部を除去してポストを設置するためのスペースを形成します。
この際、歯根を必要以上に削ると歯根破折などのリスクに関係するため、残存歯質をできるだけ保存することが重要です。
型取り・製作
間接法による鋳造メタルコアでは、形成した歯の状態を印象採得などによって記録し、模型上で歯科技工士がコアを製作します。
装着
完成したメタルコアの適合状態などを確認し、歯科用セメントを用いて装着します。
被せ物の製作
メタルコアを装着した後、必要な支台歯形成を行い、クラウンを製作・装着します。
メタルコアの種類

貴金属を使用したメタルコア(自費診療)
金合金や白金加金などを使用して製作するメタルコアがあります。
特徴
- 金属材料の中では比較的耐食性に優れている
- 材料によっては鋳造性や適合性に配慮した製作が可能
- 使用する合金によって機械的性質が異なる
- 金属アレルギーの原因となる可能性はゼロではない
「貴金属だから歯根に力が集中しない」「必ず長持ちする」とは一概にいえません。
予後には、使用する材料だけでなく、残存歯質の量、フェルールの有無、歯根の状態、噛み合わせ、支台築造やクラウンの設計などが関係します。
保険診療で使用される金属製の支台築造
保険診療における支台築造には、治療方法や使用材料について保険診療上の規定があります。
金属を使用した支台築造が選択されることもありますが、使用される材料は診療時期や治療方法などによって異なるため、「保険のメタルコア=銀パラジウム合金」と一律に説明するのは適切ではありません。
金属製のコアには十分な強度がある一方、歯質より弾性率の高い材料を使用する場合には、残存歯質や歯根の形態を考慮した設計が重要です。
メタルコアと歯根破折
根管治療を受けた歯で特に注意したいトラブルの一つが、歯根破折です。

歯根破折はメタルコアだけが原因で起こるものではありません。
残っている歯質の量、根管治療やポスト形成による歯質の削除、歯根の形態、ポストの設計、噛み合わせ、歯ぎしり・食いしばりなど、さまざまな要因が関係します。
金属製ポストは一般に歯質より弾性率が高いため、条件によっては歯根に応力が集中する可能性があります。そのため、ポストを必要以上に太くしたり、歯根を過度に削ったりしないことが重要です。
歯根に縦方向の亀裂や破折が生じると、破折の位置や程度によっては歯の保存が難しくなり、抜歯が必要になることがあります。
特に歯質が少ない歯や、強い歯ぎしり・食いしばりがある場合などでは、噛み合わせを含めた総合的な評価が必要です。
ファイバーコアとの違い
近年では、ガラス繊維を含むファイバーポストと歯科用レジンを組み合わせた支台築造も広く使用されています。
ファイバーポストは金属製ポストと比較して象牙質に近い弾性率をもつことが特徴ですが、それだけで歯根破折を防げるわけではありません。
治療後の予後には、残存歯質の量やフェルール、接着操作、噛み合わせなども大きく関係します。
ファイバーコアの特徴
- 金属製ポストとは異なる機械的性質をもつ
- 金属を使用しないため、歯科用金属に起因するアレルギーの心配がない
- 金属色が透けにくく、審美的な被せ物に適している
- 金属由来の歯肉の着色を生じない
- 条件によっては歯根への応力集中を抑えられる可能性がある
ただし、「ファイバーコアなら歯根破折しない」「メタルコアより必ず長持ちする」とはいえません。
どの支台築造が適しているかは、残存歯質や歯根の状態、クラウンの種類、噛み合わせなどを考慮して判断します。
メタルコアと歯ぐきの黒ずみ(メタルタトゥー)
歯科治療で使用した金属に由来する微細な金属粒子などが歯肉や粘膜内に取り込まれ、灰色から青黒色に見えることがあります。こうした状態は一般に「メタルタトゥー」と呼ばれます。


ただし、メタルコアが入っているからといって必ずメタルタトゥーが生じるわけではありません。
また、歯ぐきが黒く見える原因には、金属色が歯質や薄い歯肉を通して透けて見える場合などもあり、すべてがメタルタトゥーとは限りません。
特に前歯では、こうした色調の変化が審美面で気になることがあります。
金属アレルギーとの関係
歯科用金属に含まれる成分が、体質によってアレルギー反応に関与することがあります。
ただし、皮膚炎や湿疹があるからといって、歯科用金属が原因とは限りません。
歯科用金属との関連が疑われる場合には、皮膚科などの医科と連携し、必要に応じて検査結果や口腔内に使用されている金属材料などを確認しながら対応を検討します。
症状だけをもとにメタルコアを除去するのではなく、原因を慎重に評価することが大切です。
メタルコア除去の難しさ
根管治療の再治療が必要になった場合、既存のメタルコアを除去しなければならないことがあります。
特に歯根内に長いポストが入っている場合や強固に装着されている場合には、除去が難しくなることがあります。
除去時には、
- 歯根に亀裂や破折が生じる
- 健全な歯質を削る
- 根管壁を損傷する
- 偶発的に穿孔(パーフォレーション)が生じる
などのリスクがあります。
症例によっては、マイクロスコープや超音波器具などを利用し、周囲の歯質をできるだけ保存しながら除去を試みます。
ただし、これらの機器を使用すれば必ず安全に除去できるわけではなく、ポストの種類や長さ、歯根の状態などによって難易度は異なります。
症例に応じて支台築造方法を選択することが重要
現在はファイバーポストを用いた支台築造が広く行われていますが、すべての症例に同じ材料や方法が適しているわけではありません。
特に「歯根が短いから貴金属メタルコアが適している」「残存歯質が少ないほどメタルコアが有効」と一律に判断することはできません。
むしろ残存歯質が極端に少ない場合には、どの材料を選ぶかだけではなく、十分なフェルールを確保できるか、歯根の厚みや長さは十分か、そもそも補綴治療によって長期的な保存が期待できるか、といった点を慎重に評価する必要があります。
支台築造を選択する際には、
- 残っている健全な歯質の量
- フェルールの有無
- 歯根の長さや厚み、形態
- 根管治療の状態
- 噛み合わせ
- 歯ぎしり・食いしばりの有無
- 装着するクラウンの種類
- 審美性
- 将来再治療が必要になった場合の対応
などを総合的に検討します。
まとめ
メタルコアは、根管治療後などで歯冠部の歯質が大きく失われた歯に対し、被せ物を装着するための支台形態をつくる方法の一つです。
メタルコアを装着することで歯そのものが強くなるわけではなく、治療後の歯を長く維持するためには、できるだけ健全な歯質を残すことが重要です。
また、歯根破折はメタルコアだけによって起こるものではなく、残存歯質、ポストの設計、歯根の形態、噛み合わせなど複数の要因が関係します。
ファイバーコアにもメタルコアにもそれぞれ特徴があり、「どちらが必ず優れている」と一律に決めることはできません。
支台築造では、材料だけでなく、残存歯質やフェルール、歯根の状態、噛み合わせ、審美性、将来の再治療の可能性などを総合的に評価することが大切です。
根管治療後の被せ物をご検討中の方は、担当歯科医師と相談し、ご自身の歯の状態に適した支台築造方法を選択しましょう。
関連記事
根管治療後の歯を、できるだけ長く守るために

メタルコアとファイバーコアには、それぞれ特徴があります。残っている歯質や歯根の状態、噛み合わせ、被せ物の種類などを丁寧に確認し、一人ひとりの歯に適した支台築造をご提案します。
「神経を取った歯をできるだけ長持ちさせたい」「古いメタルコアをやり替えたい」「歯ぐきの黒ずみが気になる」という方は、お気軽にご相談ください。
【動画】歯茎の出来物、フィステル、口内炎、口腔癌の見分け方
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





