断乳から自然卒乳へ

  • 授乳すると愛情ホルモンのプロラクチンとオキシトシンが増加し赤ちゃんを慈しむ母性愛が深まります。
  • 授乳終了は断乳から自然卒乳が理想です。
  • 歯科の視点では、早めの断乳は悪い歯並びになり易いため2年間の母乳保育が理想です。
  • 虫歯予防法が確立しているので2年間の母乳保育で虫歯になる心配はありません。

「もうそろそろ断乳しなければ」と寂しい気持ちになっているお母さんへ。「断乳」はしなくていいのです。子供が自然とおっぱいを止める「自然卒乳」が母子共に有益なことがわかっています。

逆に、いつまでも卒乳出来ない場合でも同様です。可能な限り授乳を続けて下さい。

しかし、赤ちゃんの乳歯が生えてくると乳首に当たって痛くて授乳できないと悩んでいるお母さんもおられることでしょう。

今回は、母乳保育の重要性や乳首が当たって痛い時の対策、 歯科の視点からは乳歯の虫歯と歯並びの問題などについて解説します。

母乳育児の理想形:断乳から自然卒乳へのステップ

愛情ホルモンが出て母性愛が育つ

愛情ホルモンが出る
愛情ホルモンが出る

催乳ホルモンのプロラクチン

赤ちゃんが母乳を欲しがり乳首に吸い付くと、その哺乳刺激で脳下垂体から「母乳を作りなさい」という指令を下す母乳分泌ホルモンの一つ「催乳ホルモン・プロラクチン」の分泌が起こります。赤ちゃんが乳輪までしっかりと咥え「深飲み」すれば更にこのホルモンの分泌は高まります。

射乳ホルモンのオキシトシン

プロラクチンの分泌と同時に起こるのが射乳ホルモンであるオキシトシンの分泌です。オキシトシンは乳腺を収縮させ、「母乳を送り出しなさい」という指令を出すホルモンです。

これら二つのホルモンの分泌によりストレスを抑え、赤ちゃんを慈しむ母性愛が深まります。母乳育児は子育てを楽しく感じさせる最良の方法であり、家族関係を良好にし、親子の絆を強める一助となるはずです。

赤ちゃんの歯が乳首に当たって痛い時の対策

ラッチオンを意識しよう
ラッチオンを意識しよう

ラッチオンを意識しよう

「ラッチオン」とは、赤ちゃんが乳首に吸いつこうとする動作に合わせて、ママが上手に乳首を赤ちゃんの口にふくませ吸着させることです。

ラッチオンのコツは赤ちゃんの唇が外に向かって大きく開き、朝顔のような形状になることです。できるだけ乳首を深くくわえさせ乳輪部全体を含ませるようにします 。

medela「ピュアレーン」
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乳頭保護クリームなどの保湿剤を使って乳首を保護しましょう。赤ちゃんの口に入っても安心なものを選ぶのがポイントです。おすすめはmedela「ピュアレーン」です。

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子供に委ねる卒乳のタイミング:自然卒乳の考え方

自然卒乳

断乳ではなく自然な卒乳を目指す
断乳ではなく自然卒乳を目指す

子供の年齢に縛られない

近年、子供の意思で自然と母乳を卒業する「自然卒乳」という考え方が一般的になってきました。

つまり、子供の年齢には、縛られないということです。

以前は、母親の意思で母乳をやめるという言葉が母子健康手帳にも載っていましたが、「卒乳」の方がずっと子供の自然な成長発育に有効であることがわかったため「断乳」は削除されました。

4歳まで母乳を飲んでいた保育園に通う子供が、ある日突然、お母さん「僕は今日で母乳をやめる」と言ってお母さんの洋服を自ら下したそうです。その時、お母さんはとても感動して、その日一日眠れなかったそうです。

自然卒乳を提唱し、日本に広めたのは、橋本武夫先生です。彼のプロフィールは、新生児医療の草分けでもある生マリア病院の新生児医療センターで約40年間、新生児医療に従事し、2008年聖マリア学院大学教授、聖マリア医療福祉研究所所長などを務められました。

卒乳は子供に決めてもらう

近年、子供の栄養状態は高くなりましたが、母親の置かれている社会的な環境が変化し、育児不安や育児虐待といった問題が指摘されるようになりました。

母乳分泌ホルモンは前述した通り、母親の精神を安定させる効果があります。母乳育児は赤ちゃんにとってのメリットだけではなく、母親にとっても良好な母子関係が形成出来き、育児不安の軽減に繋がるはずです。

卒乳は母親が決めるのではなく子供に決めてもらうのが良いのではないでしょうか。

母乳保育と虫歯の関係:最新の予防法で安心育児

虫歯予防法は確立

以前は、1歳を過ぎても母乳保育をしていると赤ちゃんに虫歯が発生するのではと問題視されていました。

そこで「母乳を与えるのを止めなければ」と考え、断乳する母親が多かったと思います。

しかし現在では、様々な虫歯予防法が用意されています。例えば、赤ちゃんへのフッ素の使用、キシリトールの使用、リカルデントの使用などです。

また、虫歯菌の母子感染防止の方法は、ほぼ確立されています。

母乳保育と歯並びの関係:2年間の重要性とは

母乳保育の期間は最低2年間

母乳を飲ませる期間が2ヶ月以下だと子供の歯並びが悪くなる危険性が4倍になることが知られています。

赤ちゃんの哺乳運動は舌や顎の成長が正常になされるために必須なのです。もし、十分な顎骨の成長が起こらず、適切な舌の使い方が出来ないと子供の歯並びはガタガタの乱杭歯や出っ歯になってしまいます。従って母乳保育は最低でも2年間は必要です。

また母乳が出ない母親は咀嚼型ニプルを使用することで同様の効果が期待出来ます。

ふかさわ歯科クリニック篠崎ではお子様の現状の歯並びや咬み合わせだけに限らず、健全な成長を見据えた治療や予防に取り組んでおります。患者さまのご要望を大切にし、一人ひとりに合った小児矯正をご提案いたします。成長過程にあるお子様の口腔環境は、刻々と変化しますのでご家庭でのセルフケアをはじめ、歯科医院での定期健診も含め当院をご利用いただければと思います。江戸川区篠崎で小児矯正をお探しの方はぜひ、当院までお気軽にご相談ください。

【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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