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矯正治療では「目立つ装置」ばかりに目が行きがちですが、実は見えにくい装置こそが、治療の成功を支えていることをご存じですか?
その代表が、上顎に装着するワイヤー状の補助装置「トランスパラタルアーチ(TPA)」です。

TPAは、歯を正確に動かすための“固定源”として活躍し、治療の安定性を大きく高めるカギとなります。
特に、抜歯を伴う矯正やお子様の成長期矯正では、非常に重要な役割を果たします。

この記事では、TPAの仕組みや効果、適応症例、治療期間、注意点までをわかりやすく解説
「自分に必要?」「どんなメリットがあるの?」といった疑問にもお答えします。
これから矯正治療を始める方、進行中の方にもぜひ知っておいてほしい情報です。

🦷 狭窄歯列弓の定義と正常な歯列弓との違い

**狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)**とは、歯が並ぶアーチ状のライン(歯列弓)が本来のU字型よりも横幅が狭く、V字型に変形している状態を指します。
正常な歯列弓は、馬蹄形に広がり、歯がバランスよく並んでいます。一方で、狭窄歯列弓では前歯が内側に傾き、奥歯も内側へ倒れやすくなります。

この違いにより、見た目の印象や咬み合わせ、発音機能にまでさまざまな影響を及ぼします。

狭窄歯列弓
狭窄歯列弓

👀 V字型になる歯列の特徴と見た目の影響

狭窄歯列弓は、特に上顎の前歯部分の幅が狭くなることが特徴です。歯が並ぶスペースが不足することで、以下のような見た目の問題が現れやすくなります。

綺麗な歯並びの歯列弓は横に広い
綺麗な歯並びの歯列弓は横に広い

正常な歯列弓は、綺麗な馬蹄形をしています。

これは歯列弓が横にしっかりと成長した結果です。

狭窄歯列弓
狭窄歯列弓

写真のように大臼歯や小臼歯の幅径が狭い歯列弓を狭窄歯列弓と言います。

歯列弓が狭くV字型になると歯が並ぶスペースが不足し、出っ歯や乱杭歯、八重歯の原因となります。

  • 前歯の重なりやガタつき(叢生)
  • 八重歯や出っ歯などの歯列不正
  • 顎が小さく見え、顔全体のバランスが崩れる

また、横顔における「Eライン(鼻と顎を結んだ線)」から口元が突出して見えることもあり、審美的なコンプレックスにつながることもあります。

⚙ 狭窄歯列弓が与える機能的な問題とは?

狭窄歯列弓は、見た目だけでなく機能面にも深刻な影響を及ぼします。

  • 咬み合わせのズレ:開咬・交叉咬合・過蓋咬合が起こりやすく、咀嚼が不十分に。
  • 発音障害:舌の動きが制限され、「サ行・タ行・ラ行」が不明瞭になるケースも。
  • 口呼吸の助長:口腔内が狭くなり、舌が正しい位置に収まらず、鼻呼吸が難しくなる。
  • 顎関節への負担:左右のバランスが崩れ、顎の関節(TMJ)に痛みや音が生じやすい。

このように、狭窄歯列弓は機能性と審美性の両方に問題を抱える状態であり、早期発見と適切な治療が重要となります。

狭窄歯列弓は、ただ歯が並ぶスペースが狭いだけの問題ではありません。遺伝や生活習慣、口腔の使い方など複数の要因が絡み合って発生します。ここでは、主な原因とリスク因子について詳しく見ていきましょう。

🧬 遺伝的要因(親の骨格・歯の大きさ)

狭窄歯列弓は、親から受け継いだ骨格や歯の大きさによって起こりやすいとされています。

  • 両親のどちらかに顎が小さい・歯が大きいなどの特徴がある
  • 顎と歯のバランスが合わない(顎が小さく歯が並びきらない)

このような遺伝的特徴があると、歯列がV字型に狭まりやすく、八重歯やガタつきのある歯並びになりやすい傾向があります。

👅 口呼吸や舌の位置異常(舌癖・口腔習癖)

本来、舌は**上顎に軽く触れるような位置(スポット)**にあるべきですが、以下のような習癖があると顎の正常な発育が妨げられます。

  • 口呼吸:舌が下がり、上顎を広げる圧がかからなくなる
  • 舌突出癖:飲み込むときに舌が前に出て歯を押す
  • 頬杖・指しゃぶり・爪かみ:歯列に偏った力がかかり、アーチが狭まる

これらの癖は見過ごされがちですが、顎の成長期に与える影響は非常に大きいため、早めの改善が大切です。

🍼 乳歯の早期喪失と現代の柔らかい食生活

乳歯は永久歯が生えるための“ガイド”としての役割があります。そのため、虫歯や外傷で早く抜けてしまうと、スペースが失われて歯列が狭くなりやすいのです。

さらに、現代の食生活は昔に比べて「柔らかく噛まなくても食べられるもの」が多く、顎の発達が不十分になりがちです。

  • 噛む回数が減ることで顎の骨や筋肉が発達しない
  • 顎が小さいまま成長が止まり、歯が並びきらなくなる

成長期の食生活と咀嚼の習慣が、歯列形成に大きく関係していることを意識しましょう。

🦠 関連疾患(口蓋裂・睡眠時無呼吸症候群)

狭窄歯列弓は、以下のような他の疾患と関連して起こるケースもあります。

  • 口蓋裂(こうがいれつ):上顎の骨の成長が妨げられ、歯列弓が狭くなる
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS):上顎が狭いことで気道が圧迫され、いびきや無呼吸を起こしやすくなる

特にSASは、子どもの集中力や成績にも影響する可能性があるため、歯列異常と合わせて注意が必要です。

狭窄歯列弓は、見た目の歯並びが悪くなるだけでなく、噛む・話す・呼吸する・顔の印象にまで影響を及ぼす可能性があります。以下に、具体的なリスクを解説します。

🦷 噛み合わせ異常(開咬・交叉咬合・過蓋咬合)

歯列弓がV字型に狭まると、上下の歯が正しくかみ合わず、咬合異常が生じやすくなります。

  • 開咬(かいこう):前歯が噛み合わず、常に隙間があいてしまう
     → 前歯で食べ物が噛み切れない、発音しづらい
  • 交叉咬合(こうさこうごう):上下の歯がねじれるように噛み合う
     → 顎のズレや、顔の左右非対称の原因に
  • 過蓋咬合(かがいこうごう):上の前歯が下の歯を深く覆いすぎる
     → 下顎の動きが制限され、顎関節に負担がかかる

これらの咬み合わせのズレは、食事のしづらさ・虫歯や歯周病のリスク増加にもつながります。

🗣 発音障害と日常会話への影響

歯列が狭くなることで、舌の動きが制限され、特定の発音が不明瞭になることがあります。

  • サ行(さしすせそ)
  • タ行(たちつてと)
  • ラ行(らりるれろ)

これらは舌の位置や動きが重要な音であり、歯列弓の狭さが影響を与えやすいのです。
特にお子様の場合、言葉の発達や発音トレーニングの遅れにつながる可能性もあるため注意が必要です。

🤕 顎関節症や頭痛・肩こりとの関連性

噛み合わせが乱れることで、顎関節(TMJ)への負担が増加します。

  • 顎が「カクカク」と鳴る
  • 口が大きく開けづらい、痛い
  • 片側ばかりで噛む癖がつく

これにより、顎関節症(TMD)を引き起こすリスクが高まり、さらに関連症状として以下のような不調が現れることも。

  • 慢性的な頭痛
  • 首や肩のこり・痛み
  • めまいや耳鳴り

日常生活に支障をきたすケースもあり、単なる歯並びの問題と侮ることはできません。

👃 顔貌変化とEライン・鼻腔への影響

狭窄歯列弓は、顔の骨格や横顔のバランスにも影響を及ぼすことがあります。

Eライン
Eライン
  • Eラインの崩れ:上顎が発達せず、口元が前に出て見える(口ゴボ)
  • 鼻腔の狭小化:上顎が狭くなると鼻腔も狭くなり、口呼吸が慢性化しやすい
  • 頬がこけて見える/幼い印象になるなど、顔全体の印象が変わる

成長期のお子様では、これらの変化が将来の顔立ちに大きく影響するため、早期の矯正相談が重要です。

狭窄歯列弓は、見た目だけで判断するのが難しいケースも多いため、歯科医院での専門的な診断が重要です。一方で、日常生活の中で気づけるサインもあります。ここでは、歯科医院での検査内容と、自宅でできるチェックポイントをご紹介します。

🏥 歯科医院での検査(視診・X線・セファロ分析)

歯科医院では、以下のような流れで狭窄歯列弓かどうかを診断します。

① 視診(口腔内診査)

  • 歯列の形がU字型かV字型かを確認
  • 前歯・奥歯のガタつきや傾きの有無
  • 噛み合わせの異常(開咬・交叉咬合・過蓋咬合)

② X線検査

パノラマX線
パノラマX線
セファロX線
セファロX線
  • パノラマX線で歯の全体像と顎の骨の状態を把握
  • **セファロX線(側面頭部X線)**で、歯と顎のバランス、骨格的な問題を確認

③ 口腔習癖のチェック

  • 舌の位置や動き、呼吸の状態(口呼吸かどうか)
  • 指しゃぶりや舌突出癖の有無

これらの情報を総合的に分析し、歯列弓の幅や咬合状態を正確に評価します。必要に応じて矯正専門医による診断や治療計画の提案が行われます。

🪞 自宅でできるセルフチェックポイント

「もしかしてうちの子も?」「自分も歯並びが気になる…」
そんなときは、以下の項目をチェックしてみましょう。

🪞 鏡で見たときのV字型

  • 正面・上から歯並びを見て、前歯が内側にすぼまっている
  • 奥歯に向かって急に狭くなっている(馬蹄形でなくV字)

✅ 正常な歯列弓は広がりのあるU字型です。

😬 噛み合わせのズレ

  • 上下の歯を噛み合わせたときに前歯が閉じない(開咬)
  • 左右で高さや位置が違う(交叉咬合
  • 片側だけで食べる癖がある

✅ 咬み合わせの違和感は、狭窄歯列弓の初期サインかもしれません。

💬 発音や口呼吸の兆候

  • サ行・タ行・ラ行の発音が聞き取りづらい
  • 鼻が詰まっていないのに口で呼吸している
  • 就寝時のいびきや口の開きっぱなし

✅ 舌の動きや口腔内スペースに問題がある可能性があります。

狭窄歯列弓の治療は、年齢と顎の成長段階によって最適な方法が異なります
特に成長期にあるお子様は、骨の発達を利用した治療が可能であり、早期対応が将来の歯列にも大きな影響を与えます。ここでは、年齢別に有効な治療法をご紹介します。

👧 子どもの場合(6〜12歳)

子どもの顎はまだ成長段階にあるため、顎の拡大によって歯が正しく並ぶスペースを作る治療が効果的です。

🛠 拡大床(可撤式装置)

拡大床
拡大床
  • 取り外し可能な装置で、少しずつ顎を広げていく
  • 1日12時間以上の装着が推奨
  • 痛みが少なく、6〜10歳ごろの使用が理想的

⏩ 急速拡大装置(RPE)

急速拡大装置
急速拡大装置
  • 歯列の中央に固定し、特殊なネジを回して短期間で顎を広げる
  • 1週間で約1mmの拡大も可能
  • 重度の狭窄歯列弓や交叉咬合に有効

🌀 機能的矯正装置(プレオルソ)

プレオルソ
プレオルソ
  • 口周りの筋肉や舌の位置を整え、自然な顎の発育を促進
  • 口呼吸の改善や舌癖の修正にも効果
  • 矯正の補助としても優秀で、子どもが嫌がりにくい設計

6〜12歳のうちに治療を開始すると、将来的に抜歯や外科矯正を避けられる可能性が高まります。

🧑 成人の矯正(13歳以降)

13歳以降は、顎の成長が完了に近づくため、歯を動かす矯正治療が中心になります。必要に応じて外科的処置を併用するケースもあります。

🔧 ワイヤー矯正(ブラケット矯正)

  • ワイヤーとブラケットで歯に力をかけて整列
  • 中等度〜重度の狭窄歯列弓に対応可能
  • 細かい調整がしやすく、安定した仕上がりが期待できる

🦷 インビザライン(マウスピース矯正)

  • 透明で目立ちにくいマウスピースを使用
  • 軽度〜中等度の症例に適しており、審美性と快適性が高い
  • 自己管理が必要で、装着時間の確保(20時間以上)が必須

✅ 見た目やライフスタイルに合わせて、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を選択することが可能です。

🛠 外科的治療(SARPE・骨切り術)

顎の骨の成長が止まった成人では、矯正単独では顎の拡大が難しいことがあります。その場合、外科的手術を併用することがあります。

  • SARPE(外科的急速拡大)
     上顎の骨に切れ目を入れ、拡大装置で幅を広げる手術
     → 特に重度の狭窄歯列弓に適応される
  • 骨切り術(ルフォーI型など)
     顎の位置や形そのものを調整する外科矯正
     → 嚙み合わせや顔貌への影響が大きい場合に選択される

✅ 外科矯正は最終手段として位置付けられますが、劇的な改善効果も期待できます。

🧘‍♀️ 補助的治療(機能と安定を支えるアプローチ)

狭窄歯列弓の治療には、歯や骨だけでなく筋肉や癖への対応も重要です。

🦷 スプリント療法

  • 顎関節症を併発している場合に使用
  • マウスピース型の装置で咬み合わせを安定化
  • 矯正治療と並行して行われることが多い

👅 MFT(口腔筋機能療法)

  • 舌の位置・口唇・頬などの筋肉の使い方をトレーニング
  • 舌突出癖や口呼吸の改善に有効
  • 矯正治療後の後戻り防止にも役立つ

✅ 矯正だけで終わらせず、筋機能や生活習慣の改善もセットで取り組むことが、治療の成功と長期安定につながります。

✅ まとめ

年齢主な治療法特徴
6〜12歳拡大床・RPE・プレオルソ顎の成長を利用して自然に拡大
13歳以上ワイヤー矯正・マウスピース矯正成長が止まっても歯を動かせる
成人・重度SARPE・骨切り術外科的処置で骨格から改善
全年齢共通スプリント・MFT筋肉や習癖の改善で治療効果を高める

狭窄歯列弓の治療を成功させるためには、「どの矯正装置が自分に合うのか」「費用や期間はどれくらいかかるのか」「痛みや後戻りへの備えは?」といったポイントを事前にしっかり理解しておくことが大切です。

🦷 矯正装置の種類と適応症例の比較表

狭窄歯列弓の治療には、症例の重さや年齢によって適した矯正装置が異なります。以下の表を参考に、自分に合った治療方法を把握しましょう。

装置名対象年齢適応症例特徴
拡大床(可撤式)6〜12歳軽度〜中等度ゆっくり顎を広げる。装着時間の管理が必要
急速拡大装置(RPE)8〜14歳中等度〜重度短期間で拡大。固定式で効果が高い
ワイヤー矯正10歳以上中等度〜重度精密な歯の移動が可能。目立ちやすいが確実性が高い
インビザライン12歳以上軽度〜中等度透明で目立たない。自己管理が必要
SARPE / 骨切り術18歳以上重度外科的処置を併用。大きな改善が可能

✅ 歯科医師とのカウンセリングで、自分の症状とライフスタイルに合った装置を選ぶことが成功の第一歩です。

📅 治療期間と費用の目安

治療内容によって、かかる時間や費用は大きく異なります。下記は一般的な目安です。

治療法期間費用(目安)
拡大床6か月〜1年10〜30万円
急速拡大装置(RPE)3〜6か月20〜50万円
ワイヤー矯正1.5〜3年60〜100万円
インビザライン1.5〜3年80〜120万円
SARPE / 骨切り術6か月〜1年100〜200万円以上(手術費含む)

💡 費用は医院によって異なりますが、事前に総額や分割払いの有無を確認することが安心につながります。

🤕 治療中の痛みとその対処法

矯正治療では、歯や顎に力がかかるため、装置の装着直後や調整後に軽い痛みを伴うことがあります。

よくある症状:

  • 歯が浮くような感覚
  • 噛みにくさ、食事時の違和感
  • 装置が頬や舌に当たって痛む

対処法:

  • **鎮痛剤(例:ロキソニン)**を服用
  • 柔らかい食べ物(おかゆ、スープ、豆腐など)を選ぶ
  • **ワックス(矯正用保護材)**で装置の角をカバーする

✅ 通常は1〜3日で慣れることが多く、耐えられないほどの痛みが続く場合は歯科医へ相談を。

🔁 治療後の後戻りとリテーナーの重要性

矯正治療が終わっても油断は禁物。歯は元の位置に戻ろうとする**「後戻り(リラプス)」**が起こりやすくなります。

🔒 リテーナー(保定装置)の種類:

種類特徴装着時間
固定式リテーナー歯の裏側にワイヤーを接着24時間固定
取り外し式リテーナーマウスピース型で清掃しやすい初期は1日12〜20時間、その後は就寝時のみ

矯正後1〜2年はリテーナーをしっかり装着することで、治療効果を長く維持できます。

狭窄歯列弓は、生活習慣や口腔機能の発達によって予防・改善が可能なケースも多くあります。特に乳幼児期からのケアは、将来の歯並びや顔立ちに大きな影響を与えるため非常に重要です。また、矯正治療後の維持管理も予防の一環です。

👶 乳幼児期の予防(授乳・離乳食の工夫)

乳幼児期は、顎の発達がもっとも活発な時期です。この時期に正しい口腔機能を育てることで、狭窄歯列弓のリスクを下げることができます。

🍼 授乳・哺乳のポイント

  • 母乳育児は顎の成長を促進しやすい
  • 哺乳瓶を使う場合は、吸う力が必要な硬めの乳首を選ぶ

🍽 離乳食の進め方

  • 柔らかい食材に偏らず、**よく噛む必要のある食材(野菜スティック・少し固めのご飯など)**を取り入れる
  • スプーンは上あごに押し付けるように与え、舌の運動を促す

✅ この時期の食べ方や飲み方が、正しい舌の位置と顎の発育に直結します。

🚫 日常生活で気をつけたい癖(指しゃぶり・姿勢・口呼吸)

子どもの癖や姿勢の乱れは、知らず知らずのうちに歯列や顎の発育に悪影響を与えます。

指しゃぶり・舌突出癖

  • 2〜3歳までは自然な行動ですが、4歳以降も続くと歯並びに影響
  • 舌で前歯を押す癖(舌突出癖)は、V字型の歯列や開咬の原因

姿勢と頬杖

  • 猫背やうつ伏せ寝、頬杖の習慣は、顎の発育を妨げ歯列をゆがめる
  • 正しい座り姿勢・寝姿勢(仰向け・横向き)が重要

口呼吸

  • 鼻づまりがなくても口が開いている状態が続くと、舌が下がり顎の発達が妨げられる
  • アレルギー性鼻炎などがある場合は耳鼻科での治療も併用を

✅ 毎日の小さな習慣が、歯列の健全な発達を支えます

👅 舌のトレーニング&鼻呼吸指導

舌や口周りの筋肉を正しく使うことは、歯列弓の発育・維持に不可欠です。

舌のトレーニング

  • 舌を上あご(スポット)につける習慣をつける
  • 「あいうべ体操」や「ポッピング」(舌を鳴らす練習)で筋力アップ

鼻呼吸の習慣づけ

  • 就寝時は口テープで鼻呼吸を促す
  • 日中も「鼻から吸って、口を閉じたまま吐く」を意識
  • 鼻詰まりがある場合は鼻うがいやアレルギー対策も有効

✅ 正しい舌の位置と鼻呼吸をセットで習慣化することが、狭窄歯列弓の進行予防に効果的です。

🔁 矯正後のリテーナーと定期検診の重要性

矯正治療で整えた歯並びも、ケアを怠ると後戻りしてしまう可能性があります。

保定装置(リテーナー)の正しい使用

  • 治療終了後1〜2年は特に重要
  • 固定式・取り外し式いずれも、歯科医の指示に従って使用

定期検診でのフォローアップ

  • 保定装置のチェックや、噛み合わせの変化を早期発見
  • 舌癖・口呼吸など、後戻りの原因となる習慣の確認

✅ 綺麗な歯並びを「ゴール」で終わらせず、「維持」する意識が大切です。

狭窄歯列弓について、患者さんからよく寄せられる疑問にお答えします。治療を検討する際の不安や迷いの解消にお役立てください。

❓ 自然に治ることはある?

基本的に自然に治ることはありません。

狭窄歯列弓は、顎の成長不足や習癖によって歯列の幅が狭くなる状態です。成長とともに改善することは少なく、むしろ放置すると悪化する可能性があります。

特に舌の位置異常や口呼吸などがある場合、放置すればするほど歯並びや咬み合わせの乱れが進行します。早めの診断・治療がカギです。

❓ 治療は子どもと大人でどう違う?

成長期の子どもは「顎を広げる」、大人は「歯を動かす」治療が中心になります。

  • 👧 子ども(6〜12歳):拡大床や急速拡大装置で、顎の成長を促進。自然な歯列育成が期待できる。
  • 🧑 大人(13歳以降):ワイヤー矯正やインビザラインで歯を動かす。重度の場合は外科矯正(SARPEなど)も選択肢に。

✅ 成長期の方が負担が少なく、非抜歯・短期間での改善が可能になるケースが多いです。

❓ 治療中の痛みはどのくらい?

矯正装置を装着した直後や調整後に、圧迫感や軽い痛みを感じることがあります。

  • 拡大床やRPE:拡大ネジを回した直後に、じんわりとした痛み
  • ワイヤー矯正:調整後2〜3日間、噛んだときの違和感や痛み
  • インビザライン:新しいマウスピースに交換した日から数日間、軽度の締めつけ感

✅ 通常は数日で慣れます。痛みが強い場合は鎮痛薬の使用や、柔らかい食事を取り入れると楽になります。

❓ 費用の目安と支払い方法

治療法や医院によって異なりますが、以下が目安です。

治療法費用の目安
拡大床10〜30万円
急速拡大装置(RPE)20〜50万円
ワイヤー矯正60〜100万円
インビザライン80〜120万円
SARPE(外科矯正)100〜200万円以上

支払い方法の例:

  • 分割払いやデンタルローン対応の医院が多数
  • 医療費控除の対象となる場合もあり(確定申告で還付される可能性あり)

✅ 治療前に**「総額」「追加費用の有無」「支払いプラン」**を必ず確認しましょう。

❓ 矯正以外の選択肢は?

軽度の狭窄歯列弓であれば、以下の非矯正的アプローチが有効なこともあります。

  • MFT(口腔筋機能療法):舌や口の筋肉の使い方を正しくするトレーニング
  • 鼻呼吸トレーニング:口呼吸を防ぎ、顎の発達を促す
  • 舌のトレーニング:舌を上顎につける・正しい嚥下を身につける

✅ ただし中等度以上では矯正治療との併用が推奨されます。まずは歯科医院で適応を確認しましょう。

**狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)**は、単なる歯並びの問題ではありません。
噛み合わせ・発音・顎関節・顔貌・呼吸機能など、口元と健康の多方面に影響を与えるため、正しく理解し、早めの対応を心がけることが重要です。

✅ 症状の早期発見で、負担の少ない治療が可能

  • V字型の歯列やガタつき、発音のしづらさに気づいたら要注意
  • 成長期のうちなら、顎の発達を利用して非抜歯・短期間での改善が期待できます

✅ 成長期の矯正で大きな効果

  • 拡大床やプレオルソ、急速拡大装置(RPE)など、顎を育てる矯正が有効
  • 正しい舌の位置や呼吸習慣も併せて整えることで、理想的な歯列育成が可能

✅ 大人でも外科矯正やMFTで対応可能

  • 顎の成長が止まっていても、ワイヤー矯正・マウスピース矯正・SARPEなどで改善可
  • 舌や呼吸のトレーニング(MFT)と組み合わせることで、安定性の高い治療成果が得られます

✅ 放置せず、まずは歯科医院へ相談を!

  • 「ちょっと歯並びが狭いかも…」「噛み合わせが気になる」
     →そんな時は、まず歯科医院での正確な診断を受けることが第一歩です
  • お子様の将来の笑顔のためにも、早期のチェック・予防が最善の治療

🔹 狭窄歯列弓は、適切なタイミングで対応すれば改善できます。
🔹 悩む前に、まずは信頼できる歯科医師にご相談ください。

🏥 江戸川区篠崎で「歯並びが狭い」と感じている方へ

江戸川区篠崎で歯並びや噛み合わせにお悩みの方、
「前歯がガタガタしている」「歯列がV字型に狭まっている」と感じたことはありませんか?
それは**狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)**と呼ばれる状態かもしれません。

当院では、お子さまから大人の方まで、年齢や症状に合わせた矯正治療をご提案しています。
拡大床・プレオルソ・ワイヤー矯正・マウスピース矯正はもちろん、
舌の癖や口呼吸の改善指導(MFT)まで一貫対応
重度のケースには外科矯正の相談も可能です。

「これって治るのかな?」
そんな疑問からでもかまいません。まずはお気軽にご相談ください。

📍江戸川区篠崎駅から徒歩1分、土日診療・相談実施中です。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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