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【動画 30秒】歯の表面のヒビと歯根のヒビの違いとは?症状と対処法を解説

歯のヒビとは?原因・種類を詳しく解説

歯のヒビとは何か?

歯のヒビとは、歯の表面や内部に細かい亀裂を認めることがあります。 一見すると目立たないことも多く、痛みを感じることも少ないため、初期段階では軽視されがちです。 まれに歯の神経が炎症を起こしたり、最悪の場合抜歯が必要になったりすることがあります。特に40代以降になると歯質の劣化が進み、ヒビのリスクが懸念されます。

30代の前歯にヒビ
30代の前歯にヒビ

30代の患者で左右上顎1番の2本にそれぞれ薄いヒビが入っています。

50代の前歯にヒビ
50代の前歯にヒビ

50代の患者で左右上顎1番の2本にそれぞれやや濃いヒビが入っています。

歯にヒビが入る原因

歯ぎしりや食いしばり

日常生活における負担過重

歯にヒビが入る最も一般的な原因は、日常的に行われる歯にかかる負荷です。以下のような行動や習慣が歯にストレスを与へヒビが入る可能性があります。

1.歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、歯に大きな負担をかけます。 特に夜中の無意識な歯ぎしりは、ヒビの原因となります。 ストレスや睡眠の質が関係していることが多く、放置すると歯自体が割れることもあります。

2.噛み合わせの問題

噛み合わせが悪く特定の歯に負荷がかかり過ぎることがあります。その部分の歯が弱くなり、ヒビが入りやすくなります。 歯並びの矯正や噛み合わせの調整は、ヒビの予防に役立ちます。

外部からの物理的な衝撃

外部からの強い力が歯にかかることで、ヒビが入ることがあります。日常生活やスポーツでの事故が主な原因です。

1.外傷や事故

転倒や直面するなどの外傷は、歯に直接的な衝撃を与えます。 このような状況では、歯の表面だけでなく内部にもヒビが生じる可能性があります。 特に前歯は衝撃を受けやすいです。

2.硬い食べ物の咀嚼

氷やナッツなどの硬い食べ物を噛むことも、歯にヒビが入る原因になります。

口腔内の環境の変化

歯の状態は、口腔内の環境の影響を受けやすく、健康な歯でも次第に弱まることがあります。

1.虫歯や歯周病

虫歯や歯周病は、歯を支える組織や歯質を弱らせます。その結果、通常の咀嚼や噛み締めでもヒビが起こることがあります。これらの病気は、早期に治療することが重要です。

2. 歯科治療後の影響

治療後の歯は、補綴物や詰め物の影響で応力が集中することがあり、ヒビが入りやすい状態になることがあります。特に大きな虫歯の治療後は注意が必要です。

加齢による影響

加齢に伴い、歯質が変化することでヒビが入りやすくなります。

1.歯質の劣化

年齢を重ねると、歯の柔軟性が低下し、硬くなります。 これにより、噛む力で亀裂が生じやすくなります。

2.咀嚼力の変化

高齢になると、咀嚼力が変化し、負荷のかかり方が偏る場合があります。これが歯のヒビにつながることがあります。

歯のヒビの種類と見分け方

表面的なヒビ(マイクロクラック)

マイクロクラックとは、歯の表面にできる微細なヒビのことで、エナメル質の範囲内にとどまるものです。初期段階では痛みや自覚症状はほとんどありません。

1.見た目での判断ポイント

マイクロクラックは、歯の表面に細い線状の亀裂として現れます。 鏡で観察すると、光の加減で確認できることがあります。 なお、目視では気づきにくい場合が多いため、定期的な歯科検診が推奨されますます。

2.痛みがない場合の対処法

マイクロクラックはエナメル質のみに限局しているため、多くの場合、放置してかまいません。定期的な歯科検診で状態を確認し、ヒビが悪化していない場合は特別な治療が必要ないこともあります。ただし、痛みがない場合でも、細菌がヒビの内部に侵し、虫歯が発生する可能性があります。


歯冠部分のヒビ

歯の噛む部分(歯冠)にできるヒビで、進行すると咀嚼時の痛みや不快感を伴うことがあります。

1.噛んだ時の痛みの特徴

歯冠部分にヒビがある場合、食べ物を噛んだときに瞬間的な痛みを感じます。この痛みは特定の方向で噛んだときにだけ発生することが多く、ヒビが進行すると頻度が増加します。

2.放置した場合のリスク

歯冠部分のヒビを放置すると、亀裂が歯の内部に達し、歯根まで進行する可能性があります。これにより、神経の炎症や感染がやがて、最終的に抜歯が必要になるケースもあります。早期の治療が歯を保存する鍵です。


歯根のヒビ(歯根破折)

歯根部分に亀裂が生じた状態が進行すると深刻な症状になります。 最も治療が難しいヒビの種類です。神経の無い歯で差し歯になっている場合には、歯根にヒビが入ることがあります。ヒビが大きくなると抜歯が必要になることがあります。

歯根にヒビ正面観
歯根にヒビ正面観

右上顎2番に差し歯が入っていました。差し歯が動揺しているため除去すると歯根にヒビが入っていました。

歯根にヒビ咬合面観
歯根にヒビ咬合面観

同症例の咬合面観です。矢印部の歯根が破折しているため抜歯して、即日インプラントを埋入した症例です。

1.痛みや腫れの症状

歯根のヒビは、噛むときの痛みだけでなく、歯茎の腫れや膿が出ることがあります。このような症状は、ヒビを通して細菌が歯の根元に侵入し、感染を起こしているサインです。

2.レントゲンの診断方法

歯根のヒビは、肉眼で確認するのが難しいため、歯科医がレントゲン撮影で診断します。これにより、ヒビの場所や深さを正確に把握し、正しい治療法を選択します。早期発見が治療成功の鍵となります。

歯のヒビの治療法

マイクロクラックの治療法

マイクロクラック(歯の表面的なヒビ)は、症状や進行具合によって治療が必要かどうかが判断されます。以下に主な治療法を紹介します。


1. 特に治療を行わない(経過観察)

  • 適用例: 痛みやしみがなく、ヒビがエナメル質にとどまっている場合。
  • 理由: エナメル質の微細なヒビは、治療を行わなくても健康上の問題を引き起こすことは少ないため。
  • 方法: 定期的に歯科検診を受けて、ヒビの進行や変化をチェックします。


2. レジン(歯科用樹脂)による修復

  • 適用例: ヒビが見た目に気になる場合や、軽度のしみがある場合。
  • 方法: ヒビの部分に歯科用レジンを詰め、滑らかに成形します。
  • 効果: ヒビを目立たなくし、歯の表面を保護します。

3. ラミネートベニア

  • 適用例: ヒビが多く見た目を大きく改善したい場合。
  • 方法: 歯の表面に薄いセラミックのシェルを貼り付けます。
  • 効果: ヒビを完全に隠し、歯の見た目を美しくします。

歯のヒビが浅く、症状が軽い場合は、比較的簡単な治療で対応可能です。


進行したヒビの治療法

ヒビが歯の内部にまで達している場合、より専門的な治療が必要です。

1.クラウンを被せる

ヒビがある歯を削り、その上にクラウン(被せ物)を装着して歯全体を補強します。これにより、咀嚼時の負荷を分散し、ヒビが広がるのを防ぎます。

2.根管治療

歯の神経まで達する深いヒビの場合、感染を防ぐために根管治療を行います。 根管内を清掃・消毒し、詰め物をして歯を保存する治療法です。


3.抜歯が必要なケース

ヒビが歯根まで達している場合や、治療が困難な場合には抜歯が必要になる場合があります。

1.歯根破折の判断基準

このようなケースでは、抜歯を選択することが歯茎や周囲組織への悪影響を防ぐための選択となります。

2.抜歯後の選択肢

抜歯後は、ブリッジやインプラント、部分入れ歯などの方法で折れた歯を補うことができます。患者の状態や予算に応じて最適な方法を選びます。


最新技術を活用した治療法

近年では、歯の保存を目指した新しい治療法も普及しています。

1.口腔外接着再植法

一旦抜歯した歯を接着剤で治療し、再び元の位置に戻す方法です。歯根破折などで抜歯が必要になった場合でも、保存できる可能性があります。ただし、適応できるケースはまれです。

2.セラミックを用いた治療

セラミック素材を使用したクラウンや詰め物は、耐久性が高く、見た目も自然な仕上がりになります。 特に審美性を重視する患者におすすめの治療法です。


このように、歯のヒビの治療法は、その進行度やヒビの種類に応じて様々です。早期発見と適切な治療を受けることで、歯を長く健康に導くことが可能です。

歯のヒビを予防するには、日常生活での習慣の改善や歯科の定期検診が重要です。以下、具体的な対策について紹介します。


日常生活での注意点

1.歯ぎしり防止用のピースマウス

歯ぎしりや食いしばりは、歯に強い負荷がかかり、ヒビが生じる主な原因の一つです。 歯ぎしりを防ぐためには、歯科医が作成するマウスピースの使用が効果的です。 特に就寝中に無意識に歯ぎしりをしている人は、マウスピースを装着することで歯への負担を軽減できます。

2.正しい噛み合わせのチェック

噛み合わせの悪さは、特定の歯に力が集中し、ヒビのリスクを高めます。 歯科医による噛み合わせチェックを受け、必要に応じて矯正や噛み合わせ調整を行うことで、歯にヒビが入るのを予防できます。


食生活の改善

1.硬いもの

氷や硬いキャンディ、ナッツなどを噛むことは、歯に負担がかかり、ヒビが入る原因になります。 特に前歯や治療後の歯は弱いため、これらの食品を控えることが重要です

2.歯を強くする栄養素の摂取(カルシウム・ビタミンD)

歯を強くするためには、カルシウムやビタミンDを含む食品を積極的に摂取しましょう

  • カルシウム:乳製品
  • ビタミンD:日光浴や、魚類

歯科検診の重要性

初期段階での発見と対応

歯のヒビは初期段階では目立たないことが多く、本人が気づかない場合もあります。 ただし、放置するとヒビが広がり、最悪の場合は抜歯が必要になることもあります。 歯科医によるレントゲン検査を活用すれば、目に見えないヒビも確認できます


まとめ

日常生活の注意点を意識し、噛む力や食生活を改善することが、歯のヒビの予防に直結します。また、定期的な歯科検診で問題を早期発見・早期対応することが、歯日常のケアと専門的な診断を組み合わせ、ヒビのリスクを極力抑えましょう。

ヒビの深さや場所によりますが、早期治療で抜歯を回避できることが多いです。

初期段階では、噛むときや冷たいものがしみる程度の軽い症状が多いですが、ヒビが進行すると持続的な痛みや強い噛み痛みが発生することがあります。ヒビを放置すると、その隙間から細菌が侵入し、歯の内部に感染が広がる可能性があります。ヒビが深くなると、咀嚼時の力が分散できず、歯が割れるリスクがあります。歯が割れてしまったり、修復が困難になったり、抜歯が必要になるケースもあります。

保険治療では基本的な修復は可能ですが、自費治療ではより精密で見た目に優れた方法が選択できます。

表面的なマイクロクラック程度であれば、ホワイトニングを行うことは可能です。でも、いくつかの注意点があります。歯の状態やヒビの深さに応じて適切な対応が必要です。深いヒビがある場合、ホワイトニングを行うと痛みや炎症のリスクがございます。このようなケースでは、ヒビの修復や適切な治療を優先すべきです。

日常生活の注意点を意識し、噛む力や食生活を改善することが、歯のヒビの予防に直結します。また、定期的な歯科検診で問題を早期発見・早期対応することです。日常のケアと専門的な診断を組み合わせ、ヒビのリスクを極力抑えましょう。歯にヒビが入ってご心配の方は当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】差し歯やブリッジが取れた時の応急処置

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
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日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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