【動画 28秒】CAD/CAM冠とは?保険適用で白い歯を手に入れる方法

CAD/CAM冠(キャドカム冠)

CAD/CAM冠とは

CAD/CAM冠
CAD/CAM冠

保険適用の白い被せ物

CAD/CAM冠は、コンピューターを使用して設計・製造される被せ物で、保険適用でも白い歯を提供できる治療方法です。「CAD」は「Computer-Aided Design(コンピューター支援設計)」、「CAM」は「Computer-Aided Manufacturing(コンピューター支援製造)」を意味し、これらの技術を活用して歯科補綴物が作られます。

従来、保険適用の被せ物といえば銀歯が一般的でしたが、CAD/CAM冠の導入により、審美性が高く金属アレルギーのリスクがない治療が可能になりました。

CAD/CAM冠は、コンピュータに歯の形を読み込ませ、ハイブリッドレジンという材料を器械が削り出して作ります。装着時の見た目は自然で美しく、金属アレルギーの心配もありません。ただし、セラミックよりも強度が劣るため、割れやすく、耐摩耗性が低いため次第に表面の艶が無くなり色落ちもします。

保険適用は何番まで?

CAD/CAM冠は、ほとんどの歯に保険が適用されますが、条件や制限もあります。

保険適用のブリッジには使用できません。

CAD/CAM冠(キャドカム冠)の保険適用条件

CAD/CAM冠が保険適用となるには、いくつかの条件を満たす必要があります。特に、治療部位や患者の状況により適用範囲が異なるため、事前の確認が重要です。

2024年6月の診療報酬改定では、保険適用範囲がさらに拡大しました。従来は前歯・小臼歯が対象でしたが、新たに大臼歯への適用条件が緩和され、適用可能な症例が増えています。これにより、患者が保険内で審美性と機能性を両立できる治療を受けやすくなりました。

1. 大臼歯への適用条件の緩和

これまで、CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)の大臼歯への使用は、特定の条件下でのみ認められていました。しかし、今回の改定により、以下の条件を満たす場合に適用が可能となりました。

  • 適用条件:
    • 被せ物を装着する部位の対側に大臼歯による咬合支持があること。
    • 以下のいずれかに該当する場合:
      • 被せ物を装着する部位と同側に大臼歯による咬合支持があり、当該補綴部位に過度な咬合圧が加わらない場合。
      • 被せ物を装着する部位の同側に大臼歯による咬合支持がなく、当該補綴部位の対合歯が欠損している場合(部分床義歯を装着している場合を含む)で、当該補綴部位の近心側隣在歯までの咬合支持がある場合。

これにより、第二大臼歯へのCAD/CAM冠の装着が条件付きで可能となり、患者の選択肢が広がりました。

CAD/CAM冠の経年劣化の症例

上顎咬合面観

上顎咬合面観

右側の小臼歯2本と左側の第二小臼歯にCAD/CAM冠が入っています。経年劣化により咬合面はすり減り平坦化が進んでいます。

右側の小臼歯2本の側面観

右側小臼歯2本の側面観

同症例の右側小臼歯2本の側面観です。艶が無くなり、色あせが進んでいます。第一小臼歯の歯茎下がりも顕著です。

左側小臼歯1本の側面観

右側2本に比べる艶がまだ残っています。色あせもまだありません。歯茎下がりは気になります。

CAD/CAM冠の特徴とメリット

利点

 費用が安い

費用面でも、保険適用により経済的負担が軽減される点が魅力です。特に、小臼歯や大臼歯に使用できるようになったことで、広範囲にわたる治療が可能となり、多くの患者にとって現実的な選択肢となっています。

利点

 審美性がある

CAD/CAM冠の最大のメリットは、見た目の美しさと健康面での安全性です。保険適用でありながら、自然な白さを実現できるため、銀歯に抵抗を感じる方に最適です。隣接する歯の色に合わせて色の調整が可能です。

利点

 金属アレルギーのリスクがない

金属を使用しないので、金属に対するアレルギー反応が起きない。

利点

 装着後の違和感が少ない

コンピューターによる精密設計・製造が行われるため、噛み合わせやフィット感が良好です。従来の手作業では再現が難しかった細部まで正確に作られるため、装着後の違和感が少ないのも特徴です。

CAD/CAM冠の特徴とデメリット

欠点

 変色や着色

使用する素材のハイブリッドレジンとは少し吸水性があるため色素を取り込みます。素材の特性上、経年劣化により色味が変化する可能性があります。このため、長期間の使用を考える場合には、適切なメンテナンスが重要です。

欠点

 耐久性が低い

耐久性の面では、従来の金属冠に比べるとやや劣る場合があります。特に、強い噛み合わせが必要な部位や、歯ぎしりのある方には注意が必要です。素材のハイブリッドレジンは強度が低いため強い咬合力がかかる小臼歯や大臼歯で割れやすいリスクがあります。

欠点

 耐摩耗性が低い

ハイブリッドレジンは耐摩耗性が低いため表面がすり減って艶が無くなります。次第にのっぺりとした見た目になります。

欠点

 保険適用にならない場合あり

全ての症例で保険適用となるわけではない点にも注意が必要です。適用条件が細かく定められており、場合によっては保険外治療を選択する必要があります。そのため、治療前に歯科医師と十分な相談を行い、自身に最適な治療法を選ぶことが重要です。

寿命

デメリットでも触れたように経年劣化で変色や着色するまでの期間は2~3年です。保険の被せ物は2年で作り換えが可能なので、そのくらいの期間と考えればよいでしょう。

他の治療法との比較

CAD/CAM冠は、金属冠やセラミック冠など他の被せ物と比較して、審美性や経済性の面で優れています。特に、金属アレルギーを持つ方にとっては、健康面で大きな利点があります。

一方で、セラミック冠に比べると、耐久性や色調の再現性では劣る場合があります。自費治療として提供されるセラミック冠は、審美性を追求したい方に適していますが、費用が高額になる傾向があります。

選択肢を検討する際は、自身の優先順位を明確にすることが重要です。見た目を重視するのか、費用を抑えたいのか、あるいは両方をバランスよく実現したいのかを考慮し、最適な治療法を選びましょう。

CAD/CAM冠(キャドキャム冠)の費用

保険診療

保険適用です。

内容保険点数
CAD/CAM冠(キャドキャム冠)ハイブリッドレジン前歯1,638点 小臼歯1,388点 大臼歯1,550点
※ メタルコアまたはファイバーコアの費用は別途必要です。土台の形を整えるために削ったり、印象採得(歯型取り)、装着料金などは別途必要です。これら合算して3割負担の場合の費用は概ね一部負担金が約9,000円になります。
※ さらに、初診料、再診料、指導料などがかかる場合があります。※保険点数は改定で変更になる場合があります。

CAD/CAM冠は、保険適用内で自然な白さの歯を手に入れることができる最新の治療法です。これまで、奥歯の治療といえば銀歯が一般的でしたが、CAD/CAM冠なら目立たず、審美性を重視した治療が可能です。また、金属を使用しないため、金属アレルギーの心配もありません。当院では、患者さんの症状やご希望に合わせて最適な治療をご提案します。気になる点やご質問がありましたら、お気軽にお尋ねください。CAD/CAM冠で、見た目も機能も満足のいく治療を一緒に目指しましょう!

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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