コンポジットレジン(CR)とは?

  • コンポジットレジンは、虫歯治療や歯の修復に使用される歯科材料で、プラスチック樹脂にセラミック粒子を混ぜた複合材料です。この材料は歯の修復を行う自然な白い詰め物として知られ、審美治療を可能にします。
  • 金属を使用しないため、金属アレルギーが無く、また、保険適用であるため、手軽に治療を受けられる点も人気の理由です。
  • この記事では、コンポジットレジンの基本情報から治療のプロセス、メリットやデメリット、そして費用面のまで詳しく解説していきます。

【動画 27秒】保険適用で経済的!コンポジットレジン治療

主な用途と利用される治療シーン

この材料は虫歯の修復にも歯の欠けた部分の補修、さらには見た目を改善する審美目的の治療に使用されます。治療の際、削る歯の量が少なくなります。また、金属を使わないため、自然な白い色合いで仕上がりが美しいのが特徴です。 特に小さな虫歯や軽度の欠けに対して、簡単かつ迅速に対応できるため、1日で治療が完了するので多くの患者様に選ばれています。

コンポジットレジン充填
コンポジットレジン充填

3歯で4ヶ所に充填

左右上顎1番の2本と右上顎2番にコンポジットレジン充填を行った口腔内写真です。

全部で4ヶ所(矢印)に充填されていますが、よく見ないと充填部位が判別できないくらい審美的に仕上がっています。

コンポジットレジン修復の術前・術後

上顎1番にC2の虫歯
上顎1番にC2の虫歯

上顎1番の隣接面にC2の虫歯が出来ています。

コンポジットレジンで修復
コンポジットレジンで修復

上顎1番の隣接面に出来たC2の虫歯をコンポジットレジンで治療したところです。よく見ないと充填した所がどこなのか分からないくらい審美的に仕上げっています。


コンポジットレジンの利点と課題

利点

自然な見た目:コンポジットレジンの利点は多岐にわたります。コンポジットレジンの材料には複数の色が用意されています。各人の歯の色に合わせて選ぶことで審美的修復が可能です。そのため、天然歯に近い色合いを再現できるため、治療後の見た目が非常に自然です。

即日治療が可能:即時治療が可能な点はメリットになります。治療時間が短く、通院回数を減らすことができるため、忙しい患者様にも適しています。

保険適用の場合のコストパフォーマンス:保険適用であるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢となります。 これら、審美性と実用性の両方を兼ね備えているため、理想的な治療法となっております。

課題

耐久性の限界:コンポジットレジンにはいくつかの課題もあります。 最も大事なのは、金属材料と比べて耐久性がやや劣る点です。金属材料(例えば金属インレーやクラウン)と比較して耐久性が低い傾向にあります。 特に、奥歯のように強い咬合力がかかる部分では、亀裂が入ったりする可能性があります。負荷のかかる部分での使用は慎重に検討されるべきです。

着色しやすい傾向:コンポジットレジンは、微量の水分を吸収する性質を持っています。このため、口腔内での長期使用により、飲食物に含まれる色素がレジン内部に浸透し、変色が起こります。 、紅茶、赤ワイン、カレーなど、色素が強い飲食物を頻繁に摂取する人では、着色が顕著になる傾向があります。

治療結果が技術に依存する:治療の結果は歯科医の技術に依存するため、高度な技術を持つ歯科医を選ぶことが重要です。これらの課題を正しく、適切なケアを行うことで、コンポジットレジンの効果を最大限に引き出すことができます。


コンポジットレジンが変色した症例

欠点

1

変色

コンポジットレジンは吸水性があるため色素を取り込んで変色する欠点があります。

写真はコンポジットレジン自体の変色もありますが、充填した境界に筋状の変色が認められます。

欠点

2

二次カリエス

コンポジットレジンは重合収縮する傾向があります。そのため充填した境界に僅かな隙間が出来、二次カリエスを発生させるリスクがあります。

変色したコンポジットレジンを再充填した症例

コンポジットレジン充填部に変色
コンポジットレジン充填部に変色

複数歯に渡ってコンポジットレジン充填部の変色が認められます。

コンポジットレジンを再充填
コンポジットレジンを再充填

変色したコンポジットレジンをすべて削り取って再充填が完了した所です。

寿命

コンポジットレジンの欠点でも触れたように経年劣化で変色するまでの期間は2~3年です。変色だけなら審美的問題なので歯の寿命に影響しませんが、二次カリエスが出来ると再充填が必要です。


治療手順

STEP

虫歯C2を窩洞形成

浸潤麻酔をかけて虫歯C2をすべて削ります。

虫歯C2を窩洞形成

STEP

コンポジットレジン充填

虫歯が除去された窩洞内にコンポジットレジンを充填します。

コンポジットレジン充填

STEP

光照射

充填されたコンポジットレジンに光を照射して固めます。

光照射

STEP

研磨

研磨用のバーで綺麗に磨いて仕上げます。研磨によりレジン表面を滑らかに仕上げることで、天然歯に近い光沢を実現します。特に前歯など見た目が重要な部分では、研磨が治療後の見た目に大きく影響します。

研磨が不十分だと表面に微細な凹凸が残り、汚れや着色物質が付着しやすくなります。研磨を適切に行い表面を滑らかに仕上げることで、着色を防ぐ効果があります。

歯とレジンの接合部を滑らかに仕上げることで、細菌の侵入や歯垢の蓄積を防ぐ効果があります。

研磨

治療後のケア

コンポジットレジン充填後に着色を防ぐためには、日常生活でいくつかの注意点を守ることが重要です。以下に具体的な対策を紹介します。

1.色素の強い飲食物を控える

コンポジットレジンは色素を吸着しやすい特性があるため、特定の飲食物を摂取する際に注意が必要です。特に以下の飲食物は着色の原因となりやすいので、治療直後から数日間は控えることをおすすめします。

  • 飲み物: コーヒー、紅茶、赤ワイン、緑茶、コーラ
  • 食べ物: カレー、チョコレート、トマトソース、醤油
  • その他: 色付きのスムージーやジュース

着色しやすい食品は特に治療直後24〜48時間の間に影響を与えやすいです。この期間は特に注意しましょう。

2. 喫煙を控える

タバコに含まれるタールやニコチンは、コンポジットレジンの表面に付着しやすく、強い着色を引き起こします。喫煙習慣がある方は、着色予防のために喫煙を控える、または禁煙に取り組むことが理想的です。

3. 適切な歯磨きと口腔ケア

日々の歯磨きは、着色を防ぐ基本的な手段です。以下のポイントを意識すると効果的です。

  • 柔らかい歯ブラシを使用: レジン表面を傷つけないよう、柔らかめの歯ブラシで丁寧に磨きます。
  • 研磨剤の入っていない歯磨き粉を選ぶ: 研磨剤が多い歯磨き粉は、レジン表面に微細な傷を作り、汚れが付着しやすくなります。
  • フロスや歯間ブラシを活用: 歯と歯の間に汚れがたまると、そこから着色が進む可能性があるため、歯間の清掃を習慣にしましょう。

4. 口腔内を乾燥させない

口腔内が乾燥すると唾液の自浄作用が低下し、色素が蓄積しやすくなります。以下の方法で口腔内の潤いを保つことが大切です。

  • 水分をこまめに摂取。
  • 口が乾燥しやすい場合はシュガーレスガムを噛むことで唾液分泌を促進。

5. 定期的な歯科メンテナンス

自宅でのケアだけでは防ぎきれない着色や汚れが生じた場合、定期的な歯科医院でのクリーニングが効果的です。プロフェッショナルクリーニングにより、表面の汚れを除去し、元の状態を保つことができます。

他の治療法との比較

インレー修復との違い

項目コンポジットレジンインレー修復
材料プラスチック+セラミックセラミック、金属(ゴールドなど)
治療回数1回で完了2回以上必要
耐久性やや低い高い
審美性自然な見た目セラミックは高い
コスト保険適用で安価な場合が多い自由診療では高額

コンポジットレジンは即日対応が可能で費用を抑えたい患者に適しており、インレー修復は耐久性や審美性を重視するケースに向いています。それぞれの特徴を理解し、症例や希望に応じて適切な選択をすることが大切です。


コンポジットレジンの適用範囲

前歯と奥歯での使用例:コンポジットレジンは、前歯や奥歯の小さな虫歯治療に幅広く利用されています。

小児歯科における活用:小児歯科では、虫歯の進行が軽度な場合や、歯並びへの影響を最小限に抑えたい場合に活用されています。

成人歯科での審美目的治療:審美的な改善を求める成人患者にも適しており、特に前歯の隙間や欠けた部分の修復において効果を発揮します。



コンポジットレジンの費用

コンポジットレジン治療は、保険が適用される場合、比較的低コストで受けられる点が魅力です。一方で、自由診療を選択すると、より高度な材料を使用した治療が可能となります。治療費用は歯の状態や使用する材料によって異なりますが、コストパフォーマンスを最大化するには、患者自身が治療内容を理解し、適切な選択をすることが重要です。

保険診療

保険適用です。

内容保険点数
簡単なもの単純窩洞のもの245点
複雑なもの隣接面に虫歯があるもの315点
※ 3割負担の場合の費用は複雑なのもで一部負担金は950円になります。※ 麻酔費用は含まれます。
さらに、初診料、再診料、指導などがかかる場合があります。※保険点数は改定で変更になる場合があります。

当院では、金属アレルギーの原因ともなる金属の使用を極力抑えたメタルフリー審美治療に努めております。見た目はもちろんですが、機能性や適合性にも留意した審美修復治療を実施しております。天然歯を出来るだけ削らない低侵襲処置(ミニマルインターベーション)を基本とし、長期維持を追求したつめ物・かぶせ物治療に努めております。江戸川区篠崎で、保険診療のコンポジットレジン充填を希望される方はぜひ、精度の高い審美歯科治療をご提案いたしますので、当院までお気軽にご相談下さい。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

Follow me!