ヒューマンブリッジとは

  • ヒューマンブリッジは、前歯・奥歯共に適応出来る接着ブリッジの一種です。
  • 欠損部はセラミック製の白い歯で作るので審美的に美しく仕上がります。
  • 隣接する歯を殆ど削らない耐久性に優れ費用も割安なブリッジですが保険適用外です。

歯を失った所の治療の選択肢にインプラントがありますが、骨の量が少ない、心臓病、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症などの基礎疾患があるためインプラントが出来ない方もいらっしゃいます。また、手術が怖いため躊躇する方も少なくありません。

入れ歯やブリッジといった選択肢もありますが、取り外し式には抵抗があるし、ブリッジは健康な歯を削らなければならないなど、どれにすればよいか決めかねてしまいますよね。

ヒューマンブリッジ

歯をほとんど削らない接着ブリッジ

接着ブリッジの一種であるヒューマンブリッジの寿命やデメリット、メリット、費用などについて解説します。

ヒューマンブリッジ
ヒューマンブリッジ

ヒューマンブリッジの特徴

大切な歯を虫歯から守るためにはエナメル質を出来るだけ残して治療することが重要です。ヒューマンブリッジは歯の表面に浅い窪みや溝を作るだけで出来る接着ブリッジです。

従来から歯をほとんど削らない接着ブリッジはありましたが、脱離のリスクを伴うものでした。

ヒューマンブリッジは、三つのパーツから成り天然歯のアンダーカットを3次元的に巧みに使うことで脱離のリスクを極力抑えた構造になっています。

ヒューマンブリッジはインプラントが出来ない方や取り外しの入れ歯では見栄えや噛み心地に満足出来ない方などに適しています。

構造

ヒューマンブリッジは白金加金の適度な硬さと柔軟性を使い、天然歯のアンダーカットを抱きかかえるように装着することで、従来の接着ブリッジにはない維持力の高さを実現しました。

三つのパーツから成り、ブリッジの土台になる歯に接着するパーツとセラミック製の人工歯から構成されています。

可能な限り金属部は表側から見えない様な構造になっています。最終的にセメントで接着するので、取り外し出来ない装置といえます。

前歯の治療手順

前歯が1歯欠損

前歯の一本が無くなった状態の模型です。ここにヒューマンブリッジを入れ修復します。

STEP
1

前歯の裏側に浅い溝を削る

前歯の裏側の2箇所に浅く細い溝を付けます。この状態で型取り(印象採得)を行います。

前歯の裏側に浅い溝を削る
STEP
2

土台となるパーツを接着

写真は裏側から見た所です。白金加金という金属で出来たパーツを歯の裏側に接着性レジンセメントでセットします。

土台となるパーツを接着
STEP
3

人工歯のパーツを接着

写真は裏側から見た所です。人工歯のパーツを接着します。この状態で治療完了です。

STEP
4

土台のパーツが接着された正面観

ヒューマンブリッジの土台となるパーツが接着された状態の正面観です。

STEP
5

ヒューマンブリッジが完成した正面観

ブリッジの真ん中のパーツ(人工歯)が装着されセメントで固定された正面観です。

人工歯はセラミックで作るので天然歯と同じような見た目になります。

STEP
6

奥歯の治療手順

小さく浅い溝を掘る

隣接する2本の歯の矢印で示した部分に小さく浅い溝を掘ります。この状態で型取り(印象採得)を行います。

小さく浅い溝を掘る
STEP
1

土台のパーツを接着

白金加金で出来た土台となるパーツを接着性レジンセメントで接着します。

それぞれの土台は天然歯のアンダーカットの下に潜り込むように作られていて、セメントがなくても外れにくい構造になっています。

それぞれのパーツからはメール(突起物)が出ています。

土台のパーツを接着
STEP
2

正面から金属は見えない

土台となるパーツは正面から金属は見えません。小臼歯の正面部分は金属が見えないように設計されています。大臼歯は奥なので見えないため、側面の全体を金属が覆うようになっています。

STEP
3

セラミック製の人工歯を装着

セラミック製の人工歯を装着し、接着性レジンセメントで固定します。

人工歯の内側にはフィメール(陥凹部)があり、メール部とぴったりと合う構造になっています。

セラミック製の人工歯を装着
STEP
4

ヒューマンブリッジ症例

ヒューマンブリッジ症例
ヒューマンブリッジ症例咬合面

下顎6番欠損

下顎6番欠損をヒューマンブリッジで治療しました。咬合面から見た所なので金属が見えています。

横から見ると金属はほぼ見えません。

メリット

利点

 天然歯へのダメージが少ない

ヒューマンブリッジは、天然歯の表面に浅い溝を掘るだけなので、治療による歯へのダメージは殆どありません。

利点

 土台の歯が虫歯になりにくい

歯の表面のエナメル質は虫歯になりにくい組織です。従来のブリッジはエナメル質だけではなく象牙質まで削って被せ物をします。象牙質は虫歯になりやすい組織なので被せ物の下が良く虫歯になることが多々ありました。

ヒューマンブリッジはエナメル質を殆ど残すので、こういったリスクが軽減されています。

利点

 麻酔の必要が無い

歯を僅かに削るだけなので麻酔は必要ありません。従って、治療中の痛みも殆どありません。

デメリット

欠点

 動揺歯は禁忌

歯が動揺していると接着が切れてしまうリスクがあります。従って、歯周病が進行し動揺があるケースでは不適となることがあります。

欠点

 欠損部が3歯以上

ヒューマンブリッジが適用出来るのは歯が無い部分が2歯までです。それを超えた場合は、ヒューマンブリッジが外れやすくなるリスクがあります。

欠点

 前歯の歯茎が下がっている

前歯の歯茎が下がってブラックトライアングルが出来ているケースだと内側の金属が見えてしまうリスクがあります。

欠点

 奥歯でも審美性を要求

奥歯では金色の金属がやや見えます。審美性を追求している患者さんには不向きです。

欠点

 上下の噛み合わせがきつ過ぎる

特に上の前歯で起こりやすいですが、下の前歯が上の前歯の内側に強く噛み込んでいる場合には、金属の強度を保つスペースが取れないため適用にならないことがあります。

欠点

 土台となる歯が天然歯ではない

土台となる歯が金属冠、メタルボンド、レジン前装冠などが装着されている場合には原則禁忌となります。エナメル質に比べ接着力が劣るからです。

ただし、前装冠やレジン前装冠などを外し、ヒューマンブリッジのメール部分を組み込んだ冠を作れば適応出来るケースもあります。

厳密には模型を製作して精査しなければ分りません。

寿命(耐久性)

ヒューマンブリッジの寿命

ヒューマンブリッジの寿命(耐久性)について何年持つという事を断定するのはかなり困難です。欠損形態や上下の噛み合わせの状態、歯周病の有無、プラークコントロールの程度など様々な要因が関与するからです。

とは言え、天然歯を殆ど削らないため、仮にヒューマンブリッジが脱離しても、天然歯が虫歯になるリスクはかなり下がります。

そのため、ヒューマンブリッジ本体の寿命というよりも支えになる自分の歯の寿命が保険のブリッジに比べ遥かに長くなることは確実です。

お手入れ

お手入れ
お手入れ

デンタルフロスは使えません

一般的なブリッジと同様に3歯が連続しています。そのため、歯の間にデンタルフロスは入りません。

細い歯間ブラシ(ゴムタイプ)なら入ります。通常のブラッシングと同様に行えば問題ありません。

虫歯や歯周病の予防のために使用するポイックウォーター、フッ素入り歯磨き粉、キシリトールなどの使用をお薦めします。

ヒューマンブリッジの費用

自費治療

保険適用外です。

種類金額 ※単位:円
1歯欠損297,000円
2歯欠損397,000円 (症例により脱離のリスクあり)
※3本以上欠損の場合治療の対象外です。事前の模型診査、型取りや調整などの費用すべて含んだ価格です。

保険の入れ歯

歯を削る

寿命(耐久性)

審美性

手術

噛む力

保険適用

保険のブリッジ

歯を削る

寿命(耐久性)

審美性

手術

噛む力

保険適用

ヒューマンブリッジ

歯を削る

寿命(耐久性)

審美性

手術

噛む力

保険適用

インプラント

歯を削る

寿命(耐久性)

審美性

手術

噛む力

保険適用

治療手順

手順

歯を削る

従来のブリッジは欠損歯の両隣の歯を削って土台とします。歯型取りと高さ決めを行い、石膏模型を作成してブリッジの作成を技工所に依頼します。

歯を削る
歯を削る

手順

ブリッジを装着

出来上がったブリッジをセメントで装着します。

接着ブリッジを技工所へ依頼

従来のブリッジのデメリット

従来のブリッジは両隣の歯を削って接着剤で固定する方法ですが、最大の欠点は天然歯を象牙質まで大きく削る必要があることです。

象牙質まで削ってしまうと将来的にブリッジの下が虫歯になるリスクが高まります。また、大きく歯を削ることで歯髄炎を起こして神経を抜く治療(抜髄)が必要になったりもします。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、金属アレルギーの原因ともなる金属の使用を極力抑えたメタルフリー審美治療に努めております。見た目はもちろんですが、機能性や適合性にも留意した審美修復治療を実施しております。天然歯を出来るだけ削らない低侵襲処置(ミニマルインターベーション)を基本とし、長期維持を追求したつめ物・かぶせ物治療に努めております。江戸川区篠崎で、ヒューマンブリッジの接着ブリッジをご希望の方はぜひ、精度の高い審美歯科治療をご提案いたしますので、当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】奥歯を抜歯したまま放置すると?

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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