目次

虫歯が進行して神経まで達した場合、「根管治療(こんかんちりょう)」が必要になります。
根の中の感染を取り除き、歯を残すためにとても重要な処置ですが、内容がよくわからず不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、根管治療の流れをステップごとにわかりやすく解説します。

🧠根管治療の目的と役割

根管治療(こんかんちりょう)とは、虫歯や外傷などでダメージを受けた歯の神経(歯髄)を取り除き、歯の根の中(根管)をきれいに洗浄・消毒してから、内部を密封する治療法です。
この治療の最大の目的は、**「歯を抜かずにできるだけ長く使えるようにすること」**です。🦷✨

もし根管治療をせずに放置すると、感染が進行し、歯を失ったり、周囲の骨にも悪影響を与えたりするリスクが高まります。
適切な根管治療により、自分の歯を守り、噛む機能をできるだけ維持することが可能になります。

根管治療の目的と役割
根管治療の目的と役割

🚨どんな症状が出たら必要?

次のような症状が現れた場合、根管治療が必要になる可能性があります。🔍

  • 冷たいもの・熱いものが強くしみる(知覚過敏が激しい)
  • 何もしなくてもズキズキと痛む
  • 歯ぐきにニキビのような膨らみ(膿)ができた
  • 噛むと痛みを感じる
  • 虫歯が深く進行し、神経に達していると診断された
  • 過去に治療した歯が再び腫れたり痛み出した

これらの症状は、歯の内部で炎症や感染が起こっているサインです。
放置すると状態が悪化し、抜歯が必要になるケースもあるため、早めの受診が大切です。🏥

📌神経を残せるかどうかの判断基準

歯の神経を「残せるかどうか」は、主に次のポイントで判断されます。⚖️

  • 冷たいものにだけしみるか?
     冷たいものにだけ反応する段階であれば、神経を保存できる可能性が高いです。
  • 温かいもので痛みが出るか?
     温かいものにしみたり、ズキズキ痛む場合は、神経が炎症を起こしており、保存が難しいケースが多くなります。
  • レントゲン画像や歯科用CTでの診断
     根の周りに膿が溜まっている、または大きな影が見える場合は、すでに神経が壊死している可能性があります。

歯科医院では、これらの症状や検査結果を総合的に判断して、できる限り神経を残す治療(生活歯髄療法)を選択するか、やむを得ず根管治療に進むかを決定します。

🏥【STEP1】初診・診断・応急処置

  • 症状・経緯を問診
  • レントゲンやCT撮影で感染範囲を確認
  • 必要に応じて応急処置で痛みを緩和

💉【STEP2】局所麻酔の実施

  • 浸潤麻酔で痛みを抑える
  • 効きにくい場合は下顎孔伝達麻酔を追加
  • 表面麻酔や針のない麻酔器を使用して痛み軽減
浸潤麻酔
浸潤麻酔

🦠【STEP3】虫歯除去と歯髄除去(抜髄)

  • タービンやエンジンで虫歯部分を削除
  • 天蓋除去で根管治療がしやすい形に整える
  • 感染した神経(歯髄)を完全に取り除く
虫歯除去と歯髄除去(抜髄)
虫歯除去と歯髄除去(抜髄)

📏【STEP4】根管長測定

  • 根管長測定器を使用して正確に根管の長さを測定
  • ファイルの音で根尖到達を確認
根管長測定
根管長測定

🧼【STEP5】根管内の洗浄・消毒・貼薬

  • 次亜塩素酸ナトリウムやEDTAで化学的洗浄
  • 水酸化カルシウムを貼薬して抗菌・消炎効果を高める
根管内の洗浄・消毒・貼薬
根管内の洗浄・消毒・貼薬

🧪【STEP6】仮封・経過観察

  • 洗浄・消毒後に仮封材を詰め、炎症が治まるか確認
  • 必要に応じて複数回にわたり消毒と仮封を繰り返す

🏗【STEP7】根管充填

  • 無菌状態を確認後、ガッタパーチャポイントで根管を密封
  • スプレッダーで隙間なく充填
  • レントゲンで充填状態を最終確認
根管充填
根管充填

🛠【ケース1】虫歯が大きい場合

🏛土台(コア)の作成・装着

  • 根管充填後に型どりし、ファイバーコアやメタルコアを作成
  • セメントで土台を固定
土台(コア)の作成・装着
土台(コア)の作成・装着

👑クラウン(冠)装着

  • 土台の上にクラウン(保険適用・自費セラミック・ジルコニアなど)を作製・装着
  • 噛み合わせを調整して治療完了
クラウン(冠)装着
クラウン(冠)装着

🛠【ケース2】虫歯が小さい場合

🛡メタルインレー装着

※注意点:神経を抜いた歯は脆く、特に小臼歯は破折リスクが高い✨

上部の根充剤を削除後、コンポジットレジンを詰める

型どりしてメタルインレーを作製・セメント固定

メタルインレー装着
メタルインレー装着

🔄平均的な通院回数と1回あたりの時間

一般的な根管治療は、2回から3回程度の通院で完了することが多いです。🚶‍♂️🚶‍♀️
1回あたりの治療時間は、約30〜60分が目安です。

ただし、根管の数(前歯は1本、奥歯は3〜4本)や、感染の広がり具合によって時間や回数は変動します。
初回は特に、検査や治療計画の説明なども含まれるため、**少し長め(1時間前後)**になることが多いです。

🧭症例によって異なる期間と回数の目安

根管治療にかかる期間・回数は、以下のように症例によって大きく異なります。📝

症例通院回数治療期間
初期の感染(痛みあり・腫れなし)2〜3回1〜2週間
感染が広範囲に及ぶケース4〜5回以上1〜2か月
再根管治療(過去治療のやり直し)5回以上2か月以上

特に再治療膿が溜まっている場合は、根管の中をきれいにするまでに時間がかかるため、回数も増えがちです。

⚠️回数が多くなるケースとその理由

根管治療の回数が多くなる代表的な理由は次の通りです。📚

  • 🦠 感染が重度で根管内に膿がたまっている
  • 🛠 根管が複雑に枝分かれしている(特に奥歯)
  • 🔍 以前の治療で器具の破折や根管の詰まりがある
  • 🧫 細菌がしつこく、消毒を繰り返す必要がある
  • 🦷 根管が細すぎて、治療器具が入りにくい

また、途中で仮封材が取れてしまった場合なども、再度消毒し直す必要があり、結果的に回数が増えることもあります。


根管治療は「短期間で終わる」ケースもあれば、「慎重に時間をかけて治す」ことが必要なケースもあります。
大切なのは、焦らず、確実に治すことです。💪✨

💢治療中に痛みが出ることはある?

根管治療中は局所麻酔をしっかり効かせるため、基本的に処置中に痛みを感じることはほとんどありません。💉

ただし、

  • 強い炎症がある場合
  • 膿が溜まっていて麻酔が効きにくい場合

などは、軽い痛みや圧迫感を感じることがあります。
その際は無理に我慢せず、遠慮なく歯科医に伝えましょう。✋

🛏治療後に出やすい違和感と対処法

治療後は、次のような一時的な違和感や痛みが出ることがあります:

  • 噛んだ時の軽い痛みや圧迫感
  • 治療部位の鈍痛(特に数時間〜翌日)
  • 歯ぐきの軽い腫れ

これらは根管内の組織が反応しているサインで、多くは数日以内に自然と治まります。🕊

✅対処法としては:

  • 市販の鎮痛剤(ロキソニンなど)を服用する
  • 激しく噛まないよう意識する(片側で噛む)
  • 歯ブラシやうがいで清潔を保つ

💡痛みが軽くなっていく方向であれば、あまり心配はいりません。

🧊痛みが強い場合の受診タイミング

以下のような症状があれば、早めに歯科医院へ連絡・再診してください:🚨

  • 2〜3日経っても痛みや腫れが強くなる
  • 夜も眠れないほどズキズキする
  • 頬が腫れてきた
  • 発熱やリンパの腫れを感じる

こうした場合、再感染や膿の再発が疑われることもあります。
「我慢すれば治るだろう」と放置せず、できるだけ早めの対応が大切です。


根管治療後の痛みは、「治っていく途中の反応」であることも多いですが、逆に「再治療が必要なサイン」のこともあります。
気になる変化があれば、早期受診が歯を守るカギ🔑です!

🎯【再発予防】治療成功のために大切なこと

  • 根の先までしっかり清掃・消毒
     細菌を残さないよう、徹底した洗浄がカギ。
  • 隙間なく根管を充填する
     根の先端まで緊密に薬剤で封鎖し、再感染を防止。
  • 早期に土台やクラウンで封鎖
     仮封のまま放置すると、細菌が再侵入するリスクが高くなる。
  • 丁寧なセルフケア🪥が必須
     歯磨きやフロスによる日々のケアも、再発防止に不可欠。
  • 治療スケジュールを守る
     来院が遅れると、仮封が外れて感染リスクが高まる⚠️。

🔁【再治療】再根管治療が必要になるケース

  • ☠️ 根の先に膿が再発した
  • 🦷 前回の治療で根管の一部が未処置だった
  • 🦠 根管内に残った細菌が繁殖した
  • ⚙️ 被せ物のすき間から細菌が侵入した
  • 🔩 根管内に器具が残っている

🔍 再治療は難易度・費用・回数が増加するため、初回治療の精度が極めて重要です。

🦷【技術力】治療精度を高めるためにできること

  • 🖥 拡大鏡を活用
     目に見えない細部まで確認し、治療精度を向上。
  • 🏥 信頼できる歯科医院を選ぶことが重要
     精密な根管治療を行う医院を選ぶことで、歯の寿命が延びる。

🦷【難易度】抜髄治療の難しさは歯の部位で異なる

👄【前歯・犬歯・小臼歯】比較的簡単

  • 根管が太くて真っすぐなので、器具が入りやすい
  • 根管の本数が1~2本と少ない
  • 口の前方にあるためアクセスしやすい

治療時間の目安

  • 前歯・犬歯・下顎小臼歯:約20分
  • 上顎小臼歯:約25分
【前歯・犬歯・小臼歯】比較的簡単
【前歯・犬歯・小臼歯】比較的簡単

😬【奥歯(大臼歯)】治療が難しい

  • 根管が細くて湾曲しており、器具の操作が難しい
  • 根管の本数が3~4本と多い
  • 口の奥に位置し、アクセスしづらい
  • 第二大臼歯は最も難易度が高い

治療時間の目安

  • 第一大臼歯:約40分
  • 第二大臼歯:約50分
【奥歯(大臼歯)】治療が難しい
【奥歯(大臼歯)】治療が難しい

※いずれも麻酔や根管充填の時間は含まず、個人差あり。🦷✨

🪥セルフケアで再発を防ぐコツ

根管治療が終わっても、油断は禁物です。
内部の細菌は取り除かれていても、外から再感染する可能性は残っています。🦠

再発を防ぐには、以下の日々のセルフケアが非常に重要です:

  • 毎日、歯ブラシ+デンタルフロス歯間ブラシを活用🪥
  • 就寝前のフッ素入り歯磨き粉の使用がおすすめ
  • 噛み合わせの違和感があればすぐに相談する

根管治療した歯は一度削っているため再感染に弱くなっています。
だからこそ、毎日のていねいなケアが、歯を長持ちさせるカギになります🔑

🗓定期検診で治療効果を維持

治療後は「もう大丈夫」と思いがちですが、
最低でも年に1〜2回の定期検診は欠かせません。👨‍⚕️

定期検診では、

  • 被せ物や土台がぐらついていないかチェック
  • 歯ぐきや根の状態をレントゲンで確認
  • 早期の虫歯・歯周病の発見にもつながる

根管治療を受けた歯は「神経がない=痛みを感じにくい」ため、気づかないうちに悪化しているケースもあります⚠️
予防のためにも、プロの目でのチェックが必要不可欠です。

🚫治療後に避けるべき行動・食事

根管治療直後は、歯が一時的にもろく、割れやすい状態になっています。
以下のような行動や食事は避けるようにしましょう:

  • ❌ 硬い物(氷・ナッツ・フランスパンなど)を噛む
  • ❌ 片側だけで噛む習慣を続ける
  • ❌ 被せ物が入る前にガムやキャラメルなど粘着性のある食べ物を食べる
  • ❌ 仮封が外れたまま放置する

特に「仮の詰め物」が入っている間は、取れないように優しく使うことが重要です。
無理に使い続けると、歯が割れて抜歯が必要になるリスクも…!


根管治療は「終わり」ではなく、「これから歯を守っていくスタート地点」です。
適切なセルフケアと定期検診で、再発ゼロを目指しましょう!🦷✨

根管治療の費用

保険適用治療

※ 保険点数の変更が頻繁に行われるため、一部負担金はおおよその金額を示したものです。

下記費用は3割負担の場合です。下記の金額以外にも初診料、再診料、レントゲン撮影料、投薬料、各種指導料などが適宜加算されます。また、最短で治療が完了した場合の一部負担金を示しています。

治療種別金額(税込み) ※単位:円
大臼歯の抜髄+根管洗浄+根管充填2,850円。
小臼歯の抜髄+根管洗浄+根管充填2,130円。(2根管の場合)
前歯・犬歯の抜髄+根管洗浄+根管充填1,390円。

❓根管治療って必ず成功するの?

根管治療は非常に成功率の高い治療ですが、必ずしも100%成功するわけではありません。🎯

成功率は一般的に70〜90%程度とされており、次のような要素で左右されます:

  • 感染の広がり具合(膿や炎症の範囲)
  • 根管の形状(複雑な形や分岐があるか)
  • 治療の精度(マイクロスコープやCTの有無)
  • 患者さんのセルフケアや定期検診の有無

🧠重要なのは、「再発しないように丁寧に処置されているか」と「その後のケア」がセットであることです。

❓保険は使える?自費との違いは?

はい、根管治療は保険診療で受けることが可能です。🪪
ただし、使用できる材料や機材に制限があります。

項目保険診療自費診療
材料保険適用の薬剤・金属より高品質な薬剤やセラミック等
機材肉眼・簡易ルーペが主マイクロスコープ・CTなど精密機器
治療時間限られた枠内での処置十分な時間を確保し丁寧に処置
成功率状況によりやや変動より高精度・高成功率が期待できる

自費治療は費用がかかる反面、再発のリスクをより下げる精密治療が可能です。
目的や希望に応じて、歯科医と相談しながら選びましょう。

❓途中でやめたらどうなる?

根管治療を途中で中断するのは非常に危険です⚠️

なぜなら、

  • 根の中に残った細菌が再び増殖し、膿がたまる
  • 歯がもろくなって破折・抜歯につながる
  • 周囲の骨や歯ぐきにも炎症が広がる
    …といったリスクがあるからです。

「痛みが治まったからもう大丈夫」と思っていても、内部の治療はまだ未完成な状態です。🛑
治療は最後までしっかり受けることが、歯を守る一番の近道です。


必要な治療を適切に終え、ケアを続けることで、根管治療した歯も長持ちさせることが可能です🦷✨
不安や疑問があれば、遠慮せずに歯科医院へ相談しましょう!

根管治療は、虫歯や感染から歯を救う最後の砦とも言える大切な治療です。
適切な流れに沿って、丁寧に処置を行えば、歯を抜かずに長く使い続けることが可能です。🦷✨

治療のポイントは以下のとおりです:

  • 正確な診断と治療計画(レントゲン・CT活用)
  • 根の奥までしっかり洗浄・消毒・密封すること
  • 治療後の被せ物・土台まできちんと仕上げること
  • 毎日のセルフケアと定期検診を続けること

一方で、中断や不十分な処置、再感染などが起きると、再治療が必要になったり、最終的に抜歯となることもあります⚠️
そのため、**「信頼できる歯科医院選び」と「治療を最後までやり切ること」**が非常に重要です。

あなたの歯を守れるのは、**“今この瞬間の判断と行動”**かもしれません。
気になる症状があれば、どうか早めに歯科医院へご相談ください。🦷💬

江戸川区篠崎で根管治療をご検討中の方へ

当院では、患者さまの大切な歯をできるだけ残すために、丁寧かつ精密な根管治療を行っております。
治療前にはしっかりとご説明し、不安を少しでも軽減できるよう心がけています。
「神経を抜く治療ってどんな流れなの?」「何回くらい通うの?」といった疑問にもお応えし、根管治療の流れをわかりやすくご案内しています。
精密な治療で、再発リスクを最小限に。
初めての方も、お痛みがある方も、どうぞ安心してご相談ください。

【動画】歯茎のニキビのような出来物・フィステル

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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