子供の口臭がうんちの臭い、ドブの臭い、生臭い臭いなど、特に寝起きの時にひどい臭いがすることがあります。
子供の口臭は、歯垢の磨き残しが原因で起こることが殆どですが、口呼吸やドライマススが原因で口が乾くために起こる口臭も考えられます。
全身疾患として糖尿病(1型)、呼吸器疾患、蓄膿症、胃腸炎などでも発生することがあります。口臭を起こす原因は様々あり、その対策法も異なります。
ここでは、特に子供に起こり易い口臭の原因と対策法について解説します。
子供の口臭が気になる方へ:考えられる原因と改善法
原因① 口呼吸
口呼吸があると口腔乾燥が起こり口腔内細菌が増殖して口臭が発生します。口呼吸の子供は、寝ている時も口呼吸なのでお口をカン開けて寝ます。そのため、口の中が乾き寝起きにうんちの臭いやドブの臭いが起こりやすくなります。
口呼吸になるきっかけとして代表的なものにアデノイド肥大があります。
鼻づまりが原因で起こる口呼吸はアデノイド肥大ばかりではなく、アレルギー性鼻炎やプールの塩素が原因で起こる鼻炎などもあります。
また、生まれつきの舌小帯短縮症や舌癒着症などの解剖学的問題が原因の口呼吸もあります。
生活習慣の問題として、よく噛まないことや指しゃぶりがいつまでも続くことなどで口呼吸になることもあります。
アデノイド肥大
子供の口呼吸が起こる原因で、最も頻度の高い疾患がアデノイド肥大です。
5歳頃をピークに喉の奥の方にあるアデノイドが肥大します。それによって鼻腔が閉鎖して鼻の通りが悪くなります。それがきっかけで口呼吸が始まります。
アデノイド肥大は誰にでも起こりうる生理的な現象ですが、その程度は個人差があります。
口呼吸でお口ポカーンになると口の中が常に乾いた状態になり、唾液本来の力である自浄作用や抗菌作用など十分に発揮出来なくなり、口腔内細菌が増殖し、口臭発生の原因となります。
アレルギー性鼻炎
鼻炎は、様々な原因で発症します。その代表的なものにアレルギー性鼻炎や花粉症があります。鼻炎が起こると鼻が詰まってしまうため、気道抵抗の少ない口呼吸が容易に始まってしまいます。
口呼吸は、生活習慣や先天的解剖学的問題でも起こります。
対策
口呼吸が起こった原因ごとに対策を立てる必要があります。
原因② ドライマウス
ストレス性(神経性)ドライマウス
ドライマウスの原因は様々ありますが、小学校高学年くらいから徐々にドライマウス専門外来を受診する子供たちが増えてきます。
子供に多いトライマウスは、いじめや親からの過度の期待によるプレッシャーや受験戦争など精神的ストレスが原因で起こるストレス性(神経性)ドライマウスです。
唾液の分泌量が低下するドライマウスでは、口腔内の自浄作用や抗菌作用が低下するため口臭の発生原因となります。
対策
強すぎるストレスは子供の成長発育にとっても好ましいものではありません。適度なストレスを緩和してあげることも、親の務めであると考えます。ストレスの少ない生活環境では唾液の分泌が増して口臭が改善します。
原因③ 歯垢の歯磨き残し
歯垢は口臭の発生源
口腔内細菌細菌が作り出すガスが口臭の原因です。歯垢(プラーク)は細菌の塊です。磨き残しがあれば当然口臭の発生は防げません。
対策
正しい歯磨きの仕方を身に付けて歯垢の磨き残しを防ぎます。歯垢染め出し液を使った歯磨き練習は効果的です。
特に、歯磨き粉は口臭防止のためにこだわる必要はありません。子供の口臭防止のために開発された市販の歯磨き粉はないと言っても良いでしょう。
どうしても使いたい場合には、次亜塩素酸水のポイックウォーターがお薦めです。
原因④ 蓄膿症(副鼻腔炎)
風邪などウイルスや細菌感染
鼻の周辺の骨に左右対称に八つの空洞があります。この空洞を副鼻腔と言います。子供はよく風邪を引きますが、ウイルスや真菌(カンジダ菌)、花粉などによって副鼻腔に炎症を起こすことがあります。副鼻腔炎が慢性化したものを蓄膿症と言います。
炎症を起こした副鼻腔からは生臭い黄色~黄緑色の粘っこい鼻汁がでます。副鼻腔は鼻と交通しているため、この臭いが鼻から出てきます。この臭いを周りの人は口臭と感じるわけです。
また、副鼻腔炎になると鼻詰まりが起こるため、口呼吸になり、口の中の細菌の増殖し口臭の発生が見られるようにもなります。
対策
自分で出来る方法として鼻うがいや馬油(ソンバーユ)点鼻薬などがあります。
耳鼻咽喉科では抗生物質や抗真菌剤、鎮痛剤などの投与で治療します。
原因⑤ 歯肉炎
子供に発症する3タイプの歯肉炎
子供に起こる歯肉炎は次の三つのタイプに大別されます。歯肉炎により口臭が起こります。
歯肉炎は歯周病菌の感染で起こりますが、小学生の頃に主に家族(両親)から感染します。子供の頃に感染する歯周病菌は毒性の低いものが殆どなので、歯茎に限局した歯肉炎という形で発症するが一般的です。
1%未満とかなり頻度が低い侵襲性歯周炎(若年性歯周炎)があります。また、高熱後の急性歯肉炎があります。
風邪など高熱後の急性歯肉炎
子供は大人に比べて風邪などで高熱が出やすいものです。多くの場合、ウイルス感染が原因と考えられていますが、細菌感染でも発症します。
発熱後、急性歯肉炎になることがあり、炎症は歯肉全体に及び出血も見られます。
歯磨き不足があると、体力や免疫力の低下が加わることでウイルスや細菌が増殖します。
歯肉炎は歯周病の一形態です。歯周病菌の一時的な増殖により強い口臭の発生を伴います。
侵襲性歯周炎
中学生くらいの年齢で歯磨きはしっかり出来ているのに歯周病が急速に進行してしまうことがあります。これを侵襲性歯周炎と呼びます。遺伝的要因が考えられ、家族の中で複数名同疾患を発症することがあります。
通常の歯肉炎
この歯肉炎は磨き残しが沢山あれば、どの子供にでも起こり得るものです。
歯肉炎であれば、それだけ歯周病菌の増殖が起こっているということになります。当然、口臭は発生しやすくなります。
対策
炎症が強いときは柔らかい歯ブラシやガーゼなどで歯垢(プラーク)を優しく掃除します。栄養補給や安静が基本となります。
歯周病菌の数を減らすために乳酸菌の入ったタブレットの使用も効果的です。乳酸菌ls1タブレットがお薦めです。
歯科医院での治療法は抗菌薬の投与や歯石除去、エアフロー、PMTCなど歯周病の治療に準じた処置を行います。
原因⑥ 虫歯
虫歯菌(ミュータンス菌)の増殖
虫歯は進行度の順にCO から C4に分類されます。虫歯が大きくなればなるほどより毒性の強い細菌感染を起こします。
C3の虫歯では歯髄が壊死して根管内で細菌の増殖が起こります。そこから出る腐敗臭が口臭の原因となります。
対策
小さな虫歯であれば、詰め物(充填処置)で治療出来ますが、神経まで到達した虫歯であれば神経を除去し、根管治療後に歯冠修復処置が必要となります。
虫歯にならないように綺麗に歯磨きをすることは言うまでもありません。虫歯予防に効果的なフッ素とキシリトールの入った歯磨き粉を使いましょう。
虫歯を発生させる原因菌にミュータンス菌があります。ミュータンス菌の母子感染を防止することで虫歯や口臭の発生を事前に防ぐことが出来ます。
原因⑦ 舌苔
細菌の死骸や脱落した上皮細胞
舌苔は、舌の表面にある突起物(糸状乳頭)の間に細菌の死骸や口腔粘膜から脱落した上皮細胞、食べかすなどが付着して白色~黄色に見えるものです。
舌苔は、誰にでも起こる生理的現象ですが、口臭の最大の原因と考えられるようになってきています。
ただし、子供で、舌苔が大量に付着するというケースは稀です。
対策
専用の舌ブラシで舌苔を優しく除去します。この時、強すぎる力で舌苔を除去すると糸状乳頭が剥ぎ取られてかえって口臭を強める結果になるので注意が必要です。
江戸川区篠崎で口臭外来をご希望の方へ
江戸川区篠崎駅前の口臭外来です。口臭の原因は、内臓が原因は10%。90%が細菌が作る揮発性硫黄化合物です。子供の口臭の原因は、アデノイド肥大や鼻炎からの口呼吸、ストレス性ドライマウスなどです。
口臭の種類には自臭症と他臭症、生理的口臭と病的口臭に分類されます。口臭対策には舌苔除去が最も効果的です。口臭治療なら江戸川区篠崎駅南口のふかさわ歯科クリニック篠崎へ。
【動画】なかなか取れない舌苔の完全除去方法
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。