「血圧が高いけれど、歯の治療を受けても大丈夫ですか?」

そんなご不安を抱えている方は少なくありません。現在、日本では約4,300万人が高血圧症と診断されており、これは国民の3人に1人が該当する計算になります。実は、歯科治療においても高血圧は重要なリスク因子の一つとされており、とくに麻酔の使用時や治療中のストレスが原因で血圧が急激に上昇するケースもあります。

当院では、高血圧の患者さまが安心して歯科治療を受けられるよう、使用する麻酔薬の選定やモニタリング体制に細心の注意を払っています。

本記事では、高血圧と歯科治療の関係、リスクを避けるための注意点、そして当院での安全管理体制についてわかりやすく解説いたします。ご自身の健康状態を知り、安心して治療に臨んでいただくための参考になれば幸いです。

🩺 日本における高血圧の現状

日本では約4,300万人が高血圧と推定されており、歯科診療においても日常的に対応が求められる全身疾患です。
自覚症状に乏しい一方で、心血管イベントの重要なリスク因子であるため、歯科治療時の全身管理が極めて重要となります。

🔍 高血圧の分類と病態

✅ 本態性高血圧(約90%)

遺伝的素因や生活習慣(塩分・肥満・ストレスなど)が関与し、明確な原因は特定されません。

✅ 二次性高血圧(約10%)

腎疾患、内分泌異常(副腎・甲状腺)、血管病変、妊娠などが原因となります。

⚠️ 高血圧がもたらす全身リスク

長期間の血圧上昇は血管内皮障害を引き起こし、以下の疾患リスクを高めます。

高血圧がもたらす全身リスク
高血圧がもたらす全身リスク

・脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)
・虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)
・慢性腎臓病
・動脈硬化の進行

👉 歯科治療時には「急性増悪」を防ぐ視点が重要です。

・治療時の緊張や疼痛で血圧が上昇しやすい
・血管の脆弱化により出血リスクが増加
・急激な血圧変動により脳・心血管イベントの誘発リスク

👉 「痛み・不安のコントロール」が最重要管理項目です。

💉 局所麻酔と血圧管理

🔹 アドレナリン含有局所麻酔(例:キシロカイン)

・血管収縮作用により止血・麻酔効果を増強
・一方で心拍数増加・血圧上昇の可能性あり

👉 高血圧患者では投与量・注入速度の厳密な管理が必須です。

🦷 高血圧患者への麻酔使用の基本指針

✅ 術前コントロール良好な場合

・通常の歯科治療(抜歯含む)可能
・アドレナリン含有麻酔も適切量で使用可能

⚠️ 高血圧未コントロールの場合

・収縮期180/拡張期110mmHg以上は原則延期
・必要に応じて高次医療機関へ紹介

💊 アドレナリン非含有麻酔薬の選択肢

💡 シタネスト・オクタプレシンの活用

  • 主成分:プロピトカインフェリプレッシン
  • アドレナリンを含まないため、心血管系への影響が少ない
  • 高血圧や心疾患の患者で使用を検討
血圧キシロカインシタネスト・オクタプレシン
180/110 mmHg以上原則禁忌(大学病院へ依頼-静脈内鎮静法)
術前コントロール良好使用OK
初回投与量は1.8 mL(1本)まで。
術中に片方でも180/110 mmHgになった場合は、
治療を中断し160mmHg以下になるのを待つ。

キシロカイン投与後に血圧,心拍数の
上昇を認めた場合の追加使用時。
β遮断薬服用者使用OK
初回投与量は1.8 mL(1本)まで。
術中に片方でも180/110 mmHgになった場合は、
治療を中断し160mmHg以下になるのを待つ。

キシロカイン投与後に血圧,心拍数の
上昇を認めた場合の追加使用時。
α遮断薬服用者原則禁忌(アドレナリン反転が起こり血圧の急激な低下)
(高血圧だけではなく精神疾患の薬の中にも含まれる)

⚠️ アドレナリン投与時の注意点|服用薬による反応の違い

🚫 α遮断薬を服用している患者の場合

  • アドレナリン投与によりβ刺激作用が優位になる
  • その結果、血管が拡張し、血圧が低下する危険性あり
  • アドレナリンは**禁忌(使用不可)**となるケースが多い

⚠️ β遮断薬を服用している患者の場合

  • アドレナリン投与によりα刺激作用が優位になる
  • その結果、血管が収縮し、血圧が上昇する可能性あり
  • アドレナリン含有のキシロカインは1.8ml(1本)まで使用可能

💊α/β遮断薬の例

商品名一般名
α遮断薬エブランチル
カルデナリン
デタントール
ミニプレス
ウラピジル
ドキサゾシンメシル酸塩
ブナゾシン塩酸塩
プラゾシン塩酸塩
非選択性β遮断薬インデラル
ナディック
ハイパジール
カルビスケン
ミケランLA
プロプラノロール塩酸塩
ナドロール
ニプラジロール
ピンドロール
カルテオロール塩酸塩

📊 術中モニタリングの重要性

安全な歯科治療にはリアルタイムの全身管理が不可欠です。

歯科治療時の術中モニタリング
歯科治療時の術中モニタリング

・血圧測定
・脈拍モニタリング
・パルスオキシメーターによる酸素飽和度管理

👉 「異常の早期発見」が重篤化を防ぎます。

🩺 定義

収縮期180/拡張期110mmHg以上の急激な上昇

🔍 主な症状

・強い頭痛
・吐き気・嘔吐
・意識障害

🦷 歯科治療中に起こる原因

・疼痛刺激
・精神的ストレス
・局所麻酔後の反応

👉 軽い処置(TBIや洗浄)でも起こり得ます。

🚑 緊急時の対応

🪑 体位調整

・座位または半座位へ変更(脳血流過多を防止)

💨 酸素投与

・全身状態の安定化を図る

💊 降圧対応

・ニフェジピン内服(5〜10mg)
※舌下投与は急激な降圧のため禁忌

ニフェジピンカプセル
ニフェジピンカプセル

🏥 当院の安全管理体制

🌟 術前の血圧チェックとリスク評価
🌟 痛みに配慮した麻酔(表面麻酔・低刺激注射)
🌟 必要に応じた麻酔薬の選択変更
🌟 治療中の継続的モニタリング
🌟 緊急時対応プロトコルの整備

高血圧の患者さまでも、血圧が適切にコントロールされていれば安全に歯科治療を受けることが可能です。

👉 重要なのは
「術前評価」「ストレス軽減」「適切な麻酔選択」「継続的モニタリング」

これらを徹底することで、安全性の高い歯科医療が提供できます。

江戸川区篠崎で高血圧でも安心して通える歯科医院をお探しの方へ

江戸川区篠崎の当院では、高血圧の患者さまにも安心して歯科治療を受けていただけるよう、血圧管理や麻酔方法に十分配慮した診療体制を整えています。表面麻酔や針のない麻酔器も活用し、痛みや不安を最小限に抑えた治療を提供しています。
持病があって歯科治療をためらっていた方も、まずはお気軽にご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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