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妊娠中の歯ぐきの腫れや出血、それは「妊娠性歯肉炎」かもしれません。
江戸川区では、母子手帳と一緒に配布される受診票で無料の妊婦歯科検診を受けられるのをご存じですか?
当院(江戸川区篠崎)では、妊婦さんに寄り添った診療体制で、口腔トラブルの早期発見・予防に取り組んでいます。
本記事では妊娠性歯肉炎の知識とあわせて、安心して歯科を受診するポイントもお伝えします。

妊娠性歯肉炎とは、妊娠中に女性ホルモンの影響で歯ぐきに炎症が起きやすくなる状態を指します。特に妊娠初期〜中期にかけて、歯ぐきの腫れ・出血・違和感などが現れやすくなり、放置すると歯周病へと進行する可能性もあります。妊婦さん特有の生理的変化により誰でも起こりうるものであり、決して珍しいものではありません。

🤰 なぜ妊娠中に歯ぐきが腫れるのか?|妊娠性歯肉炎の主な原因

女性ホルモンの増加による炎症リスクの上昇
女性ホルモンの増加による炎症リスクの上昇

🌡 1. 女性ホルモンの増加による炎症リスクの上昇

  • 妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が急増します。
  • これらのホルモンは歯ぐきの血流や免疫機能に影響を与え、炎症を起こしやすい状態をつくります。
  • 特に、ホルモンを栄養源とする**プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)**という歯周病菌が増殖しやすくなり、歯ぐきの腫れや出血を引き起こします。

💧 2. 唾液の減少とpHの酸性化による口内環境の悪化

  • 妊娠中は唾液の分泌量が減り、口腔内が乾燥しやすくなります。
  • 同時に唾液のpHが酸性に傾くことで、細菌が繁殖しやすい状態になります。
  • このような変化は、歯ぐきの健康維持にとってマイナスに働きます。

🤢 3. つわりによるブラッシング不足でプラークが蓄積

つわりによるブラッシング不足
つわりによるブラッシング不足
  • 吐き気や気分不良で歯みがきがしにくくなることが多く、ブラッシングがおろそかに。
  • その結果、プラーク(歯垢)や歯石がたまりやすくなり、炎症が進行します。
  • 特に奥歯や歯間部の磨き残しは妊娠性歯肉炎の温床になりやすいため注意が必要です。

このような生理的・環境的な変化が重なることで、妊娠中は歯ぐきが非常に敏感な状態となり、「妊娠性歯肉炎」が発症しやすくなります。

📊 妊婦の6割が経験する!?妊娠性歯肉炎の発症率

調査によると、妊婦の約6割以上が何らかの歯ぐきのトラブルを経験しており、その中でも「妊娠性歯肉炎」は最も多い症状のひとつです。症状が軽度であれば自然に治まることもありますが、重症化すると歯周病や早産リスクにもつながるため、早期のケアが重要です。

妊娠中はホルモンバランスや体調の変化により、歯ぐきに急な腫れや出血が起こることがあります。
これは「妊娠性歯肉炎」と呼ばれる、妊婦さん特有の歯周病の一種です。放置すると、早産や低体重児出産のリスクが高まることもあるため、気になる症状があれば早めに歯科医院に相談しましょう。

🦷 妊娠性歯肉炎の症状と特徴

📅 発症時期と部位の傾向

  • 妊娠初期(2ヶ月ごろ)〜中期(8ヶ月ごろ)に発症しやすい
  • 歯と歯の間の歯ぐき(乳頭部歯肉)に炎症が起こる
  • 前歯の歯ぐきに赤く腫れた症状が出やすい

🩸 主な自覚症状

  • 歯ブラシが軽く触れるだけで出血痛み
  • 歯ぐきが赤く腫れてブヨブヨした感触になる
  • 歯みがき時に血が出る
  • 口臭が気になることもある

👶 出産後は自然に治ることも

  • 妊娠8ヶ月を過ぎると徐々に炎症が落ち着くことが多い
  • 出産後に自然治癒するケースもありますが、油断は禁物

このような症状に気づいたら、妊娠性歯肉炎が疑われます。
「妊娠中だから歯医者は控えたほうが…」と思わずに、早めの受診が赤ちゃんの健康を守る第一歩です。部分に現れることもあります。

🦠 通常の歯肉炎や歯周病との違い

項目妊娠性歯肉炎通常の歯肉炎歯周病
原因ホルモン変化・清掃不良清掃不良・細菌感染細菌感染による慢性炎症
発症時期妊娠中(初期〜中期)年齢や清掃状態に依存長期間放置により発症
歯ぐきの状態赤く腫れやすい、出血しやすい軽度の炎症が中心歯ぐきの後退・膿・動揺あり
回復傾向出産後に改善することも改善には継続的ケアが必要専門的治療が必要

妊娠性歯肉炎は、出産後にホルモンバランスが整うことで自然に落ち着くこともありますが、放置すると歯周病へ進行するリスクもあるため注意が必要です。

妊娠性歯肉炎は「歯ぐきの病気」と思われがちですが、実はお腹の赤ちゃんの健康にも影響を及ぼす可能性があります。特に、炎症が歯周病に進行した場合は、早産や低体重児出産のリスクが高まると複数の研究で報告されています。

放置するとどうなる?妊娠性歯肉炎が与える胎児への影響
放置するとどうなる?妊娠性歯肉炎が与える胎児への影響

👶 低体重児・早産リスクとの関連性

歯ぐきの炎症が進行すると、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が体内で増加します。これが血流に乗って子宮に影響を与え、以下のようなリスクを高めると考えられています:

  • 早産(37週未満の出産)
  • 低体重児(出生時体重2,500g未満)
  • 胎盤機能の低下
  • 妊娠高血圧症候群との関連性も示唆

つまり、お口の中の炎症が全身の健康、そして胎児の発育にまで影響する可能性があるのです。

🔬 海外・国内の研究事例に基づくエビデンス紹介

複数の研究が、歯周病と早産・低体重児の関係を指摘しています:

  • 米国の研究(Offenbacherら)では、歯周病のある妊婦は、健康な歯ぐきを持つ妊婦に比べて早産のリスクが最大7倍高いと報告。
  • 日本臨床歯周病学会の発表でも、歯周病を治療した妊婦は、早産率が明らかに低下したとされています。
  • 厚生労働省の資料でも、母体の口腔環境と胎児の健康の関係性に警鐘が鳴らされています。

妊娠中の歯ぐきの変化を「仕方ないこと」として放置せず、ママと赤ちゃんの健康を守る第一歩としての口腔ケアがとても大切です。

妊娠中のデリケートな時期でも、少しの工夫でお口の健康を守ることができます。以下のポイントを意識することで、妊娠性歯肉炎の予防につながります。

妊娠性歯肉炎を防ぐために|予防とセルフケアのポイント
妊娠性歯肉炎を防ぐために|予防とセルフケアのポイント

🪥 1. 正しい歯みがき習慣を身につける

  • 柔らかめの歯ブラシを使用し、優しく丁寧に磨く
  • 出血があっても怖がらず、無理のない範囲で続けることが大切
  • 歯みがきによる出血や痛みは、継続すれば1〜2週間で改善傾向

💡 歯肉炎はセルフケアで改善が可能なケースもあります。歯科医院に行く前に、まずは日々のブラッシングを見直しましょう。

🤢 2. つわりがある時期の歯みがき工夫

  • 吐き気があるときは朝食後すぐではなく体調が安定したタイミングで歯みがきを
  • 歯みがき粉は香りの少ないもの使用量を減らすことで吐き気を軽減
  • 前かがみの姿勢や口呼吸など、楽な姿勢で行うと楽になります

✅ 3. フッ素入り歯みがき粉は安心して使える

  • 妊娠中でもフッ素入り歯みがき粉は使用OK
  • 再石灰化を促し、むし歯・歯周病予防に効果的
  • 使用後は少量の水ですすぐだけにとどめると、効果を持続しやすい

🧂 4. 食生活と間食習慣を見直す

  • ダラダラ食べを控え、食事・間食の時間を明確に
  • 甘いジュース・スナック菓子の摂取を減らす
  • カルシウム・ビタミンCなど、歯ぐきの健康に必要な栄養素を意識的に摂取

💊 5. 妊婦向けの補助アイテムを活用する

  • ノンアルコールのマウスウォッシュは低刺激で妊婦さんにもやさしい
  • デンタルフロスや歯間ブラシでプラーク除去の精度を高める
  • つわりが強い場合は、水だけで使える洗口液もおすすめ

🏥 不安なときは、使用前に歯科医院で相談を。妊婦さんに適したアイテムのアドバイスを受けられます。


妊娠中の口腔ケアは「できる範囲で、やさしく、継続する」が基本です。
毎日のちょっとした意識が、ママと赤ちゃんの健康を守ります。

「妊娠中に歯医者に行っても大丈夫?」という疑問を持つ妊婦さんは少なくありません。結論から言えば、適切な時期と配慮のもとであれば、歯科治療は妊娠中でも安全に受けられます。むしろ、放置するほうがリスクになることもあります。

⏰ 妊娠中の通院ベストタイミング(安定期)

歯科受診のおすすめ時期は**妊娠中期(16〜27週)**の「安定期」です。この時期はつわりも落ち着き、お腹もまだ大きすぎないため、診療チェアに無理なく座れる体勢がとれます。

  • 妊娠初期(〜15週):緊急以外の処置はできるだけ避ける
  • 妊娠中期(16〜27週):最も安全に治療できる期間
  • 妊娠後期(28週〜):治療は控えめにし、簡易な処置が中心に

🧘 レントゲンや麻酔の使用は大丈夫?

レントゲン撮影も局所麻酔も、適切な管理下では安全です。

  • レントゲンはお腹を鉛の防護エプロンで保護し、必要最小限に
  • 歯科で使用する局所麻酔は胎児への影響がほぼないとされるリドカインを使用
  • 妊婦さん専用の対応ができる歯科医院での受診がおすすめ

とはいえ、体調が不安定なときや不安が強い場合は、医師に相談のうえで治療を進めましょう。

🦷 妊娠前から歯周病がある場合の注意点と対策

⚠ 1. 妊娠で歯周病が悪化するリスク

  • 妊娠すると女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が増加し、もともとあった歯周病が悪化しやすくなります
  • 妊娠前から歯ぐきの腫れ・出血がある方は、特に注意が必要です。

👶 2. 放置は危険!胎児への影響も

  • 妊婦の歯周病を放置すると、低体重児出産や早産のリスクが高まると報告されています。
  • ママのお口の健康は赤ちゃんの健康にも直結するため、早めの対処が大切です。

🏥 3. 歯科医院での歯周治療を受けましょう

  • 自分だけで歯周病を治すのは困難です。歯科医院で歯石除去や歯周ポケットの洗浄などの専門的な治療を受けましょう。
  • 併せて、正しいブラッシング方法の指導を受けることで、セルフケアの質も高まります。

⏰ 4. 治療のタイミングは妊娠中期がベスト

  • 一般的に、妊娠4〜5ヶ月以降の**安定期(妊娠16〜32週)**であれば、安全に歯科治療を行えます。
  • 妊娠初期(〜15週)には流産リスクもあるため、積極的な治療は避け、必要最低限にとどめるのが基本です。

妊娠前から歯ぐきに違和感があった方は、放置せず、妊娠がわかった時点で歯科の受診をおすすめします。
赤ちゃんの健やかな成長のために、今こそお口の健康を見直しましょう。

📅 妊婦歯科検診(自治体の無料サービス)も活用を!

多くの自治体では、妊娠届を提出した後に無料の妊婦歯科検診の案内を受けられます。これは妊娠中の口腔内トラブルを早期に発見・予防するための制度であり、積極的に活用すべきです。

🗺️ 江戸川区にお住まいの方へ:
当院では江戸川区の妊婦歯科検診に対応しており、母子手帳をお持ちいただければ無料で受診可能です。お気軽にご相談ください。


歯ぐきの健康は、赤ちゃんとお母さん、どちらにとっても大切なテーマです。
「迷ったら相談」くらいの気軽な気持ちで、安心して歯科医院を活用してくださいね。

妊娠中の歯科受診にはさまざまな不安や疑問がつきもの。ここでは、妊婦さんからよく寄せられる質問をQ&A形式でわかりやすく解説し、安心して通える歯科医院選びのポイントもご紹介します。

💬 Q&A形式:よくある妊娠中の歯の疑問

❓Q1. 妊娠中でも歯の治療は本当に安全ですか?

A. はい、安全に行えます。
特に安定期(16〜27週)は治療に適した時期です。治療が必要な場合は、かかりつけの産婦人科と連携して治療計画を立てることもできます。

❓Q2. 妊娠してから歯ぐきが腫れてきたのですが、自然に治りますか?

A. 出産後に改善することもありますが、放置は禁物です。
妊娠性歯肉炎が進行すると歯周病に悪化する可能性があります。歯科でのチェックと早めのケアが安心です。

❓Q3. 歯科でレントゲンを撮るのが心配です。

A. 防護エプロンを使えば問題ありません。
歯科用レントゲンは腹部から離れた位置にあり、被曝量も非常に少ないため、お腹の赤ちゃんへの影響はほとんどありません。

❓Q4. 歯みがきすると吐き気がしてしまいます。どうしたらいいですか?

A. 香りの少ない歯みがき粉や、水だけで磨く方法がおすすめです。
無理に朝磨かず、体調が落ち着いている時間帯を選ぶのも良い方法です。

🏠 歯科医院選びのポイント(マタニティ対応)

妊婦さんが安心して通える歯科医院を選ぶには、次のようなポイントをチェックしましょう:

  • 妊婦歯科検診を実施しているか(自治体指定医療機関)
  • 妊娠中の治療経験が豊富な歯科医師が在籍しているか
  • 産婦人科と連携している医院か
  • 妊婦さん向けのクッションや姿勢配慮があるか
  • つわり・体調変化への理解があるか

また、初診時には「現在妊娠中であること」を必ず伝えましょう。治療や配慮内容がより適切になります。


妊娠中の口腔ケアは「ママと赤ちゃんを守るケア」です。無理なく続けられること、安心して相談できる環境を選ぶことが、何より大切です。

妊娠性歯肉炎は、多くの妊婦さんが経験するごく自然な変化ですが、「よくあることだから」と油断して放置するのは危険です。進行すれば、歯周病や口腔内のトラブルにとどまらず、赤ちゃんの発育や出産にまで影響を及ぼす可能性があります。

だからこそ――

🦷 **「妊娠中こそ、口腔ケアを見直すチャンス」**です。

  • 毎日の正しい歯みがきとやさしいセルフケア
  • 妊娠中でも安心して通える歯科医院の選択
  • 自治体の妊婦歯科検診を活用したプロによるチェック

これらを意識することで、ママ自身の健康だけでなく、お腹の赤ちゃんを守ることにもつながります

妊娠は大きな変化の時期。だからこそ、「気づいた今」がケアを始めるベストタイミングです。
お口のことで少しでも不安がある方は、お気軽にご相談くださいね😊

🗺️【江戸川区・篠崎】で妊婦歯科検診を受けられる方へ

妊娠中の口腔トラブルは、お母さんの体調だけでなく、赤ちゃんの健康にも関わる大切な問題です。
当院では、妊娠中の患者さまが安心して通える環境づくりを心がけています。

  • やさしく丁寧な診療と対応
  • 妊婦さん専用のチェアセッティング
  • つわりや体調の変化にも柔軟に対応

江戸川区では、母子手帳と一緒に受け取る受診券を使って、無料で妊婦歯科検診が受けられます
妊娠中の体調が落ち着いている今こそ、ぜひこの機会にお口の健康チェックをしてみませんか?

【動画】妊娠性歯肉炎

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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