リンガルアーチは抜歯症例で大臼歯が手前に動くのを防ぐ加強固定、萌出スペースの確保を目的にした保隙装置、弾腺による歯の移動などの目的で使います。 リンガルアーチの痛みは装着から3日~4日出ることがあります。

【動画 35秒】子どもの歯並び矯正に!リンガルアーチの役割とメリットとは?

リンガルアーチの基本構造と仕組み

リンガルアーチとは、歯の裏側に沿って装着される固定式の矯正装置です。主に臼歯(奥歯)に装着されるワイヤーとバンドから構成され、歯並びの維持や矯正治療の補助に用いられます。

マルチブラケット装置と併用したリンガルアーチ
マルチブラケット装置と併用したリンガルアーチ

上顎・下顎に使用

リンガルアーチ(舌側弧線装置)は、上顎または下顎の左右の第1第大臼歯に装着されたバンドに太いアーチワイヤーを固定し歯列の内側に沿うように通します。太いアーチに細いワイヤーを溶接し、ワイヤーの弾力を利用して特定の歯を目的の方向へ動かす装置です。

リンガルアーチは、マルチブラケット装置と併用することが多く、固定源となる第1大臼歯が動かないように固定するための固定装置としても使用されます。

ワイヤーの役割と固定方法

ワイヤーは歯列の形に合わせて設計され、臼歯に固定されることで歯の移動をコントロールします。装置は歯科医院で調整され、患者自身で取り外すことはできません。

リンガルアーチの目的

歯列矯正の補助装置としての役割

リンガルアーチは、単独で歯並びを矯正するのではなく、他の矯正装置と併用しながら補助的に使用されます。

受け口(反対咬合)や奥歯の固定に使われる理由

奥歯をしっかり固定することで、前歯やその他の歯の移動をスムーズに行うことができます。また、受け口の改善や抜歯後のスペース管理にも役立ちます。

どのような歯並びに適しているのか?

  • 乳歯が早期に抜けた際の保隙装置として 乳歯が早期に抜けた場合、隣の歯が倒れ込むのを防ぐために使用されます。
  • 反対咬合の矯正 下の前歯が上の前歯より前に出ている場合、咬み合わせを改善するために活用されます。
  • 臼歯の固定(抜歯後の歯の移動を防ぐ) 抜歯後に隙間ができた際に、奥歯の位置を固定し、不要な歯の移動を防ぎます。
  • 隙間のコントロール 矯正治療の一環として、歯列の隙間を調整する目的で使用されます。

小児矯正と成人矯正での違い

小児矯正におけるリンガルアーチの役割

小児矯正では、成長に合わせた歯列のコントロールが重要となるため、リンガルアーチを使用することで永久歯が適切に並ぶよう誘導します。

成人矯正での使用例と限界

成人の場合、歯の移動が少なくなるため、リンガルアーチ単独での矯正効果は限定的ですが、補助装置として使用されることがあります。

リンガルアーチのメリット

  • 固定式で自己管理の手間が少ない
  • 目立ちにくい
  • 奥歯の固定力が高い

リンガルアーチのデメリット

  • 装着後の違和感や発音への影響
  • 磨き残しによる虫歯・歯周病のリスク
  • 調整が必要なため定期的な通院が必要
  • 歯の移動に限界がある

使用時の痛み

使用目的により力のかけ方が異なります。前述した乳臼歯の早期喪失時の大臼歯の前側への移動を防ぐ目的だとほとんど痛みは発生しません。

ある程度の力を掛けた場合には、装着時から12時間ほど経って歯が浮いたような痛みが発生します。特に、食事中にものを噛む時に痛みが発生し、3~4日間続きます。

また、バンドやワイヤーが舌に触れるなどの違和感や痛みが出ることがあります。

治療の流れ

  1. 初診・カウンセリング
  2. 型取りと装着
  3. 調整と経過観察

装着後の注意点

  • 食事制限はあるのか? 硬いものや粘着性のある食べ物は避けることが推奨されます。
  • 適切な歯磨き方法とケア方法 装置周辺の清掃をしっかり行うことが重要です。
  • 痛みや違和感がある場合の対処法 数日で慣れますが、強い痛みがある場合は歯科医院に相談してください。

リンガルアーチ装着時の歯磨き

リンガルアーチ装着時の歯磨き
リンガルアーチ装着時の歯磨き

より丁寧に

植毛部が1列の矯正専用歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなど様々歯ブラシを駆使して細かな所まで磨いて下さい。

また、虫歯予防のためにフッ素入り歯磨き粉、キシリトールガム、リカルデント、ポイックウォーターなどを併用すると良いでしょう。

歯科でメインテナンス

矯正治療中は最低でも3ヶ月に一度はエアフローでクリーニングを受けると良いでしょう。

目的

抜歯症例の加強固定

マルチブラケット装置を使ったワイヤー矯正で、小臼歯を抜歯して犬歯や前歯を後方に移動させる時、第一大臼歯を固定源としますが、その加強固定装置としてリンガルアーチを使います。しかし、リンガルアーチだけでは第一大臼歯の前方移動を完全に防ぐことはできません。

抜歯スペースの半分~3分の2ほどを前歯や犬歯の後方移動に使いたいケースで用いられます。

期間

この場合に用いるリンガルアーチの使用期間は1年以上になると思われます。

目的

保隙装置

乳臼歯が早期に喪失すると第1大臼歯(6歳臼歯)は手前側に移動してしまいます。すると、その次に生えてくる大人の歯である小臼歯や犬歯の萌出スペースが不足し乱杭歯になってしまいます。

そこで小臼歯や犬歯が生えるまでの期間、萌出スペースを確保するためにリンガルアーチを入れて第1大臼歯が手前の方に動くのを防止する保隙装置として使用します。

期間

この場合は乳臼歯の喪失の時期により異なりますが、数年に及ぶ期間装着が必要になります。

目的

弾腺による歯の移動

リンガルアーチの主線である太いアーチワイヤーに溶接された細いワイヤーの弾性力で少数歯の移動を容易に行えます。

期間

例えば、子供の前歯の1歯~2歯の反対咬合のケースであれば上顎にリンガルアーチを装着し、1ヶ月ほどの期間で正常の噛み合わせに直すことも可能です。

費用相場

  • 保険適用の有無 一部の症例では保険が適用されることがあります。
  • 自費診療の場合の目安価格 30,000円〜100,000円程度

矯正治療はリンガルアーチ単体の装置だけで終わることもありますが、複数の装置を併用して進めることが多いです。当院では術前の検査・診断結果をもとに、総額を提示いたします。また、追加の費用はかかりません。

詳細は下記リンクから確認できます。

初期段階では違和感や軽い痛みを感じることがありますが、数日で慣れることがほとんどです。

痛みが強い場合は歯科医院での調整が可能です。

固い食べ物や粘着性のある食品は装置に負担をかけるため避けることが推奨されます。

普段の食事には大きな影響はありませんが、食後の歯磨きをしっかり行うことが大切です。


通常、1ヶ月に1回程度の定期的なチェックが推奨されます。

矯正の進行状況によっては、調整が必要となる場合もあります。

適切な歯磨きで装置の周囲を清潔に保つことが重要です。

過度な力を加えたり、装置を舌で押したりしないように注意しましょう。用することで大きな変化が得られるーターの治療実績があるか」を確認するとよいでしょう。

江戸川区篠崎でリンガルアーチ矯正をお考えの方へ

江戸川区篠崎で矯正治療をお考えの方へ。リンガルアーチは、歯の裏側に装着する目立ちにくい矯正装置で、受け口(反対咬合)の改善や奥歯の固定、歯並びの調整に効果的です。特に、乳歯が早期に抜けた際のスペース保持や、成長に合わせた小児矯正にも適しています。

当院では、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた矯正プランをご提案し、痛みの少ない治療を心がけています。リンガルアーチに関するご相談や、矯正のカウンセリングも実施中です。

江戸川区篠崎で矯正治療を検討中の方は、ぜひ当院へご相談ください!

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筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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